映画『ザ・クリエイター/創造者』ネタバレ感想・評価,ラスト考察,AI少女を救えるか?あらすじ2023

  • 2023年12月27日

映画『ザ・クリエイター/創造者』ジョン・デヴィッド・ワシントンが人類に危機をもたらすAI少女と旅をするSFアクション!

シネマグ
ロボットVS人類の王道のストーリーの中に斬新な設定がキラリと光る

作品情報・キャスト

あらすじ・ネタバレなしの感想

物語ネタバレ・ラスト結末解説

正直な感想・評価(ネタバレあり)

テーマやAI問題の考察

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

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映画『ザ・クリエイター/創造者』作品情報

公開:2023年10月20日(金)
制作国:アメリカ
上映時間:2時間13分
原題:『The Creator』
ジャンルSFアクション、アドベンチャー
年齢制限:G(年齢制限なし)
監督:ギャレス・エドワーズ
脚本:ギャレス・エドワーズ/クリス・ワイツ
音楽:ハンス・ジマー(『ダークナイト』『DUNE/デューン 砂の惑星』)

監督・脚本・原案を務めたギャレス・エドワーズは『モンスターズ/地球外生命体』『GODZILLA ゴジラ』『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』で有名な方です。

キャスト

ジョン・デヴィッド・ワシントン

ジョン・デヴィッド・ワシントン

イコライザーことデンゼル・ワシントンの息子であり、近年は父に迫るような大活躍を見せる実力派。2世でも大成功する稀有なパターンですね。

『TENET』も最高でした。ジョン・デヴィッド・ワシントンが演じると、ストーリーにリアリティが増すというか、そういう特殊能力を持ったすばらしい役者さんだと思います。

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Netflix『ベケット』

その他のキャスト

役名 キャスト
マヤ(ジョシュアの妻)
ジェンマ・チャン
ジェンマ・チャン(『エターナルズ』)
アルフィー(謎の少女。AIサイドの最終兵器)
アルフィー役のマデリン・ユナ・ヴォイルズ
マデリン・ユナ・ヴォイルズ
ハウエル大佐
アリソン・ジャネイ
アリソン・ジャネイ(『アメリカン・ビューティー』)
ハルン(AI模造人間・シミュラント) 渡辺謙(『ラスト・サムライ』『ダークナイト』)
シップリー(ジョシュアの仲間) スタージル・シンプソン
カミ ヴェロニカ・グゥ
アンドリュース ラルフ・アイネソン

『ザ・クリエイター/創造者』あらすじ

映画『ザ・クリエイター/創造者』

2065年。AI(汎用人工知能)の反乱によりロサンゼルスで核爆発が起こってから15年が経過。

アメリカ率いる西側諸国はAIの禁止とAIロボットの駆逐を掲げ、アジアと戦争を始める。

ニューアジアではAIと人間が共存しており、互いにかけがえのない家族だった。

軍人のジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)はニューアジアにいるAIの創造者・クリエイター(ネパール語でニルマータ)を殺害する任務を命じられ、AIの模造人間・シミュラントと人間が共存する地域・コナンに潜入。

ジョシュアは現地で美しい女性・マヤと出会う。2人は愛し合い、結婚。マヤは妊娠した。

地域のリーダーでシミュラントのハルン(渡辺謙)たちも、ジョシュアを仲間として迎え入れる。

そんな中、アメリカ軍が上陸。マヤはジョシュアがスパイだったと気づいて絶望した。

アメリカの最終兵器・ノマド(上空数千メートルから敵地を爆撃する施設)がマヤたちが住む地域を爆撃した…。

ネタバレなし感想

AIの生命倫理を問いかける興味深いコンセプトの物語でした。

『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のパート2!という感じで、SFアドベンチャーとしてのクオリティも高いです。

シネマグ
AI少女とジョン・デヴィッド・ワシントンの絆に超感動AI少女に泣かされるとは思いませんでした

面白かったですけど冷静に考えるとツッコミどころがたくさんあるので、ストーリーを論理的に考えてしまう人には向かないかもしれません。

感想を語る犬

勢いのあるSFアドベンチャーを見たい人や、「AIに人間と同じ権利は与えられるのか!?」と熱く議論したい人にオススメします!

※以下、映画『ザ・クリエイター/創造者』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『ザ・クリエイター/創造者』ネタバレ・ラスト解説

 

マヤはジョシュアに絶望してハルンたちと一緒に船に乗り込んで逃げようとする。しかし一行はノマドの爆撃によって全滅した。

5年後

 

アメリカに戻っていたジョシュアは、ハウエル大佐から「あなたが潜入していた地域にニルマータ(AIの創造主)がいるはずだ」と質問攻めにあうも、記憶を失っていることにして何も答えなかった。

ハウエル大佐は生きていたマヤの動画を見せ、「ニルマータが作ったAI側の最終兵器を探したいから任務に同行してくれ」と言われる。

ジョシュアは妻・マヤを探すために、大佐の部隊に加わって再びニューアジアへ。

自然豊かな現地の地下に巨大な研究施設を発見。厳重な扉の中に隠されていた最終兵器はAI少女・アルフィーだった。

アルフィーは感情を持っているようで、人間の子供となんら変わらない。

ジョシュアは、アルフィーならマヤの居場所を知っていると考えて連れて逃げる。ジョシュアたちはアメリカ軍やハルンの部隊から狙われた。

やがて、ニルマータの正体がマヤだと判明。元はマヤの父がAIの創造主だったが、父の死後にマヤがニルマータを受け継いで最先端のAIを作ったらしい。

アルフィーを狙うアメリカ軍とハルンの部隊が戦闘状態になる。アルフィーは能力を使って敵の兵器のスイッチをオフにし、ハルンたちを助けた。

ハルン役の渡辺謙

ラスト結末

ジョシュアはハルンから、「アルフィーはマヤが自身の胎児をスキャンして作った成長するAIだ」と聞かされて驚く。

アルフィーはマヤのお腹の子供のコピーだったのだ(つまりジョシュアの子供のコピー)。

ジョシュアはハルンに連れられて山頂の寺院へ。そこには植物状態のマヤがいた。AIの僧侶は、「我々は人間を死なせることができないから生かしている」という。

アルフィーが「ママを天国へ連れて行ってあげて」と言う。ジョシュアは泣きながら生命維持装置をオフにした

そこへ再びアメリカ軍が攻撃してくる。ジョシュアたちはハウエル大佐を倒して逃げた。

ジョシュアとアルフィーはシャトルに乗って上空のノマドに潜入。ノマドにあるミサイルに爆弾を仕掛けた。

アルフィーはマヤ型のシミュラント(マヤの外見を持つAIロボ)を見つけ、マヤ本体のデータを挿入する。しかし動かない。

長い手足を持つ機械が現れてジョシュアが大ピンチ。アルフィーの助けを借りてどうにか相手を戦闘不能にした。

脱出ポッドの扉がうまく作動ぜずジョシュアが入れない。

ジョシュアはアルフィーだけを地上に送ろうと発射のスイッチを押した。アルフィーは泣き叫ぶ。

ジョシュアはマヤのシミュラントと出会い、キスをした。

ノマドは大爆発を起こして地上に墜落する。

アルフィーは地上に降り立ち、ハルンたちAIや地域の住民に迎えられた

終わり

映画『ザ・クリエイター/創造者』ネタバレ感想・評価

良かった点:ターミネーターの逆転構造

『ザ・クリエイター/創造者』の評価は85点。巷でも話題のAIをテーマにしたSFアドベンチャーの良作です!
シネマグ
ジョン・デヴィッド・ワシントンがAI少女・アルフィーと絆を深めていく過程に感動し、実はアルフィーが自分の子供をスキャンしてつくられた存在だったとわかるシーンで涙がこぼれました

人間と同じような感情を持つAIロボットは特に新しくはありませんが、最強兵器とうたわれたAIが自分の子供(胎児のまま死んだ)の分身という設定は斬新でしたし、感動を誘うものだったと思います。

単にAIと人間の共存を描くのではなく、「自分の子供がAIとして生まれてきたら愛せるのか?」という究極の問題提起をしてきたのが熱いです。さすがローグワンの監督ですね。

2023年11月現在、全米俳優組合がAI技術で俳優をコピーする技術やNetflixなどのストリーミングについて抗議していますが、本作は「AIは敵だ!」みたいな単純な結論ではないどころか、AIの人権のような概念まで投げかけていたのがすごいと思いました。

感想を語る犬
コンセプトだけで比較するなら、トム・クルーズが体を張ってAIと戦う『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』よりだいぶ大人ですね。

ストーリーの大枠は、『ターミネーター』×『ローグワン』でした。

ターミネーターは機械が人間を守る物語でしたが、『ザ・クリエイター』は人間が機械を守る逆転の構造なのがおもしろいです。

さらにに『ブレードランナー』のオマージュとして日本語のCMや看板を目立たせ、『アバター』の物語の要素を入れ込んだ印象でした。

しつこいハウエル大佐が敵なのも『アバター』っぽかったです。

悪い意味ではなく、過去の傑作SF映画の要素をふんだんに取り入れた作品でした。

ダメな点・微妙だった点

ぶっちゃけ物語はご都合主義な設定や展開がめちゃくちゃ多かったです。

まず本物のAI(人工知能)が創造されたのであれば、そのテクノロジーを封印したアメリカ側に勝ち目があるはずがありません

AIはインプットもアウトプットも無限にできるので、武器の発明、戦略、サーバー戦などありとあらゆる面で人間を大きく上回る成果をあげられるでしょう。

感想を語る犬
なぜアメリカが優勢なのか疑問でした。ニューアジアは平和主義でアメリカを攻撃しない設定だったのでしょうか。

また、AIの兵士になぜ人間が対抗できるのかも謎です。

模造人間はロボットの体に尋常じゃないスピードの処理回路と判断力を備えているはず。対峙して人間が勝つのは不可能だと思います。

模造人間・シミュラントが大体人間と同じレベルの能力しか持っていないように見えました。

さらにそもそもAIについての詳しい説明が一切なかったのが気になりました。

アルフィーやハルンを見る限り感情は人間と同じようにあるようですが、痛みなど神経系はどうなってるかなど、さらっとでも説明があればよりSFっぽくなったと思います。

(AIについて作中で明確に定義づけるとストーリーが難解になってしまうのであえてフワッとさせたのだと思いますが)

CineMagの点数 85点
世界観・アイデア 86点
ストーリー 80点
IMDb(海外レビューサイト) 7.1(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 批評家 67%
一般の視聴者 76%
メタスコア(Metacritic) 63(100点中)

『ザ・クリエイター/創造者』考察

AI問題を西洋・東洋の価値観の違いで表現

『ザ・クリエイター/創造者』のコンセプトで特に優れていたのが、人類が人工知能をどう扱うかを西洋と東洋の価値観の違いから論じたところ。

日本を含むアジアにはアニミズムの考え方が根付いています。アニミズムは人間や動物はもちろん、植物や鉱物にまで魂が宿っているという考え方です。

本作においてなぜアジア側がAIを擁護したのか?それはアニミズム的な考え方があるからに他なりません。AIロボットにも魂が宿っており、人間と同じような権利を有するという考え方が受け入れやすいのです。

(手塚治虫の『火の鳥』や、近年のアニメ作品でも人間がロボットに感情移入するコンテンツが多いのもアニミズムの影響だと思います)

私自身も本作を見ながら、AI少女アルフィーやその他のシミュラントを人間以下の存在と考えて殺すことはできないと感じました。

いっぽう、哲学者のマルクス・ガブリエルさんによれば、西洋には日本のようなアニミズム的な考え方が根付いていないので、「ロボットの子犬を蹴飛ばすのもなんとも思わない」と本(『2035年の世界地図』)で語っていました。

彼の意見が西洋を代表するかは分かりませんが、その傾向はあると思います。

欧米などキリスト教圏・一神教の地域では、神が絶対的な存在であり、神が作った人間がその次に偉いのでしょう。

人間とその他のものに限りない格差が存在しているわけです。そう考えるとAIに権利を与えるなど神への冒涜ですね。

『ザ・クリエイター/創造者』は現実世界の東洋と西洋の価値観の違いを、AIと共存できるかできないかのシャープな切り口で提示した点がすばらしいと思いました。

Chat GPT(擬似AI)などの出現により、人工知能とどう向き合うかの議論が盛んになっている昨今。本作を視聴して世界がアニミズム的な考え方を受け入れられるかどうかがAI問題の鍵になると思いました。

AIに人権はあるのか?

人間の脳の思考回路をシミュレーションできるようなAIが登場した場合、彼らに人権はあるのでしょうか?

意見がわかれるでしょうし、そもそも結論は出せません。しかし私見を述べるなら本作のアルフィーやハルンのようにロボットが身体を獲得した時点で彼らに何らかの権利が発生すると思います(人権ほどではなくとも)。

スーパーコンピューター上のAIならともかく、自らの体を持ち、その体と共に体験や記憶を蓄積していくAIが出てきたなら、倫理的に人間と区別するのは難しいです。もはや機械というよりも、造られた生命と言ったほうがちかいと思います。

まだまだ数十年先の話になると思いますが、AIの登場だけでなくAIが身体性を獲得するときが人類の転換期になると思います。本作を観てそんな想像が広がりました。

最後のまとめ

映画『ザ・クリエイター/創造者』は、この世に誕生することができなかった自分の子供がAIとして登場する物語によってAIの倫理問題を深めると同時に、完成度の高いSFアドベンチャーも見せてくれました。

SFとしては設定がガバガバなのが気になりましたが、まだ誰も本物を見たことがない人工知能についての映画なので仕方ないかもしれません。

感想を語る犬
ラストでジョン・デヴィッド・ワシントンが妻のデータが入ったロボットとキスをして大爆発が起こるところなんか『ローグワン』そのまんまのような気もしましたが、やっぱり感動しました。

ギャレス・エドワーズ監督の次回作も楽しみですね。

ここまで読んでいただきありがとうございます。レビュー終わり!

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