リングシリーズの最新映画『貞子DX』(さだこデラックス)、24時間で死に至る貞子ウィルスのビデオがSNS上で拡散してしまい、頭脳明晰な主人公が妹を救うために奮闘するストーリー!
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価、元ネタなど考察、ストーリーのネタバレ結末解説、エンドロールの内容を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓

映画『貞子DX』作品情報・キャストと演技の印象
ジャンル:ホラー
監督:木村ひさし
脚本:高橋悠也
原作:もとになった原作小説はナシ(牧野修によるノベライズ版がある)
年齢制限:R15+(15歳以上鑑賞可)
主題歌: 三代目J SOUL BROTHERS「REPLAY」
『リング』シリーズの原作小説の著者・鈴木光司さんが本作の世界観を監修しています。
登場人物・キャスト紹介
ジブリの実写版『魔女の宅急便』でヒロインを演じた小芝風花さんが主演です。IQ200の天才学生という設定ですが、考えるときに両手で首ツボを押すシーンがネタにしか見えませんでした。
THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのメンバー川村壱⾺さんが自称占い師役。川村さんが悪いというより演出のせいでお笑い担当として滑りまくっていて見ていてきつかったです。
⿊⽻⿇璃央さんが主人公の協⼒者である感電ロイド役。
あとは『イップマン』の空手家役で有名な池内博之が霊媒師・Kenshin役で登場。イップマンにボコられてましたが、今回は貞子にボコられます。すっかりやられ役というポジションが確立していますね。
貞子DX あらすじ
©︎ 2022「貞子DX」製作委員会
ニュースは原因不明の死亡者続出の話題で持ちきりになっていました。ネット上では20年前の貞子の呪いだという噂が広まっています。
IQ200の大学院生・文華はTV番組で霊能力者のKenshinと対談。Kenshinは「貞子の呪いだから動画をSNSで拡散させるのは止めろ」と視聴者に忠告しました。
しかし文華は「呪いなんてない。全て科学で説明がつく」と冷静に反論。
番組終了後、Kenshinはフォロワーから送られてきた貞子の呪いのビデオテープを文華に渡し「IQ200の頭脳で呪いを解明してみろ」と挑戦状を叩きつけました。
文華は家に帰り、母と妹・双葉にその話をします。
妹・双葉は、古いビデオデッキを押し入れから取り出し、呪いのビデオを再生してしまいました。
すると井戸の中の映像が出て、よじ登る女性の手が映りました。井戸の外に見えるのはなんと双葉が住んでいる家です。
双葉は玄関を開けると、外に白いワンピースを着た女性が立っています。貞子でした…。
翌日、双葉は文華に呪いの謎を解いて欲しいと頼みますが…。
ネタバレなし感想
池田エライザ主演の『貞子』(2019)は怖さが1mmもない超駄作でしたが、それよりは全然マシ。
貞子が24時間かけてだんだん近づいてくる設定は面白いですし、テンポもいいです。
『貞子DX』が公開されるということでリングシリーズの前作『貞子』(2019)を観てみましたが、想像以上の駄作っぷりに驚愕しました。シネマグなぜここまで怖くないホラー映画が爆誕してしまったのか!?具体的なシーンを踏[…]
ただホラーとして怖いかと言われるとかなり微妙な作品。
仲間由紀恵と阿部寛の『TRICKトリック』のテイストを出したかったけど若干滑ってるみたいな感じです(シュールなのが好きな人は好きかも)。
同時期公開の『カラダ探し』と同じくホラーコメディという趣が強い作品になりました。
実写映画『カラダ探し』。橋本環奈ら女子高生たちが夜の校舎でバラバラ死体探し!全部探すまで明日は来ませんという衝撃のループホラー!CineMagひとことでまとめると文化祭のお化け屋敷…。それなりに怖いシーンもありつつ、高校[…]
おすすめ度 | 60% |
アイデア・設定 | 80% |
ストーリー | 50% |
※以下、『貞子DX』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『貞子DX』ネタバレ感想・酷評
怖いというより笑える
貞子が完全にネタに走ってしまった。SNSでバズることを考えてお笑いの方向へ舵を切ってしまった。そんな印象でした。
主人公・文華の妹・双葉が呪われて白い幽霊に付き纏われるのですが、幽霊の顔が静岡の親戚の叔父さんなんですよ…(貞子が親戚に変身)。
白塗りのおっさんを見せて笑わせようとしているのでしょうか。怖がらせようとしているなら製作陣の感性を疑わざるを得ません。
ラストでも文華の死んだ父親がカクカクしながら一家団欒のソファに登場します。ジャンルはホラーじゃなかったの?
もはやネタ枠の王司が喫茶店で何度もテーブルに足をぶつける演出も見ていてイタイタしかったです。
店内でうるさいって注意される場面、鼻をすすってカッコつける場面も何回も見せられると、川村壱馬さんのファン以外にとってはノイズでしかありません。物語に関係ないですから。
さらに王司が白い服の女性を見るたびに勘違いし、何度も大袈裟に驚くのも見ていて辛い。
彼が出てきてからホラーというよりは完全にコメディになります。
王司を演じた川村壱馬さんが悪いというよりは演出の問題が大きいでしょう。
ホラー映画で主要キャストを完全ネタ扱いしているこの演出は看過できるレベルではありません。
THE RAMPAGE from EXILE TRIBEに忖度して仕方なく壱馬さんのお笑いシーンを増やす方向にしたのでしょうか。だとしてももっと上手いやり方があったのでは?
あとタイトルの貞子デラックスって何なんでしょう、マツコデラックス的な?タイトルからしてネタ映画です。
IQ200は盛りすぎ
論理思考が普通の人並みにできれば、24時間経っても死なない人の共通点が呪いのビデオを2回以上見たからだとすぐにわかるはず。
そのロジックに後半まで気づかないことから察するに文華のIQは確実に100以下でしょう(笑)。方程式って言いたいだけです。
そもそも呪いのビデオの風景がそれを見ている人がいる建物になぜ変化するか科学的に説明がつかないのに、それはスルーします。
前半ではTVに出てプラセボ効果とかサブリミナルとか語っちゃってますが、それらに人を怯え殺すほどの効力はないですし、1人ならともかく大勢の人間が死ぬ説明としては成り立ちません。
妹の双葉は「お姉ちゃんがTVで霊能者のKenshinを論破してる」と喜んでましたが、この議論の内容だと論破されているのはIQ200の文華のほうです。
論破されていて気づかないのは痛い…。
またコロナが流行っているから複数人でビデオを見るとウィルスが分散されて死なない!という仮説を立てますが、ウィルスはカルピスじゃありません。薄まるとかないです…。増殖するので。
ウィルスについての知識がゼロに近い人の推論ですね。
良かった点
編集とかテンポはすごく良かったと思います。序盤は引き込まれました。
呪いのビデオで貞子が井戸から出るとビデオを見ている人が現在いる建物が映り、外に貞子いることが暗示されるアイデアも素晴らしいと思いました。
しかし、中盤からお笑い要素が強くなりすぎるせいで台無しになってしまった印象です。
貞子DX 徹底考察
元ネタはこれ
『貞子DX』の元ネタというか、設定パクってるな…っていうのは『イット・フォローズ』(2014)です。
怨霊が身近な人の姿に変身してタイムリミット内でどんどん近づいてくるという設定が非常に似てます。
まあ、ホラー映画の設定自体には権利はないですし、アイデアはいろんなコンテンツで共有されて膨らんでいくものなのでパクってるから悪いというわけではないですが、そのまんますぎてもう少し捻りを加えて欲しいとは思いました。
貞子がデジタルタトゥーに!
今作の貞子はネット上に残ってしまって消せないデジタルタトゥーのメタファーでした。
一旦ネット上に動画がアップされると拡散され、消すことはできません。
貞子の呪い=デジタルタトゥーというコンセプトは上手いような気もしますが、ホラーとして恐怖が増幅されるかというとイマイチ。
そこから視点を広げるとネットやSNSの毒に一旦感染したら人間はそこから逃れられないというメッセージが見えてきます。
ただこのメッセージもありがちなので、それほど感銘を受けませんでした。
貞子DXの目的は何なの?
今回の貞子ウィルスの表面上の目的は何でしょうか?
感染した人間に生き残る方法(24時間空けず毎日ビデオを見ればOK)を与えたことから、人類を滅ぼさず貞子ウィルス自身もずっと生き延びたいという目的にシフトしたのでしょう。
つまりwith貞子という共存です。
人の死が根幹にあるホラーというジャンルで共存という結末はある意味斬新。ジュラシックパークじゃないんですけど。
俯瞰してみると貞子からは「たくさんの人に何回も見てほしい。再生数を伸ばしたい」というYoutuber的根性がうかがえます。
ホラーアイコンと化し、金儲けの道具のなってしまった貞子。
また、文華の家族が白塗りの父親含めてテレビ画面を囲んでいるラストシーンからは、テレビ離れを食い止めたいTV局の願望が透けて見える気がします。
こういっちゃなんですが、全体的に矮小なメッセージが多かった印象です。
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