ホラー映画『ラン・ラビット・ラン』ネタバレ解説ラスト考察!あらすじ,感想・評価,キャスト,Netflix配信

  • 2023年8月26日

Netflix配信のサスペンス・ホラー映画『ラン・ラビット・ラン』シングルマザーがおかしな行動をする娘と狂気の世界に引きずり込まれていく意欲作!

シネマグ
よく考えるとすごく怖い問題作!物語の意味などを徹底考察・解説しています。

作品情報・キャスト

ネタバレなしの感想

考察:ストーリー、ラストシーン、ウサギの意味

視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

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ホラー映画『ラン・ラビット・ラン』おもしろかった?(投票どうぞ)

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Netflix映画『ラン・ラビット・ラン』作品情報・予告

日本公開:2023年6月28日・Netflix
制作国:オーストラリア
上映時間:100分
原題:『Run Rabbit Run』
ジャンルサスペンス・ホラー・スリラー
年齢制限16+(血などの描写あり)
監督:ダイナ・リード(ドラマ『シャイニング・ガール』)
脚本:ハンナ・ケント

キャスト

母・サラ サラ・スヌーク(『メディア王 〜華麗なる一族〜』『ブラック・ミラー』『私というパズル』)
娘・ミア リリー・ラトーレ(『クリアリング 囚われの子供たち』)
離婚した夫・ピート デイモン・ヘリマン(『J・エドガー』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』)
ノワ(ピートの妻) シャバナ・アゼース(『Fate of the Night』『The Last Elephant on Earth』)
サラの母・ジョーン グレタ・スカッキ(『ラスプーチン』『監禁アマゾネス』)

ホラー映画『ラン・ラビット・ラン』あらすじ

ホラー映画『ラン・ラビット・ラン』

シングルマザーのサラ(サラ・スヌーク)は、7歳の娘・ミアの言動がおかしくなったことに悩んでいた。父・アルバート(娘ミアの祖父)が死亡したあとからだ。

7歳の誕生日の当日、娘・ミアは家の敷地に入り込んだウサギを飼うといい、さらにウサギのお面をつける。

後日、ミアはなぜか学校で土管の中でふるえ、頭にケガをしている。

さらにミアは1度も会ったことのないジョーン(介護施設にいるサラの母)に会いたいと泣きわめき、「自分はミアでなくアリスという名前だ。本当の母さんに会いたい」と言うのだった…。

サラはミアとジョーンに会いに行くが、周囲に奇妙な出来事が起こりはじめる。

果たして娘は別人になってしまったのか…

ネタバレなし感想・海外評価

シネマグ
人間の怖さを斬新な構造で突きつけた意欲作です!

スッキリ明確に答えがあるタイプではありません。

語られていない部分は推測や考察をするしかなく、あれこれ考えるのが好きじゃない人には向いてないと思います。

難易度もわりと高いです。注意深く見ないときっと意味がわからないでしょう。私も1回見て「?」だった重要そうなシーンを何回も見直しました。(何度も戻せるのがNetflix配信の利点ですね。)

海外ではあまり評価されてないみたいですが、個人的には結構好きです。

感想を語る犬
抽象的、アート的なサスペンス映画が好きな人にはおすすめですよ!
おすすめ度 70%
世界観 80%
ストーリー 82%
IMDb(海外レビューサイト) 5.4(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 批評家 38%
一般の視聴者 35%
メタスコア(Metacritic) 57(100点中)

※以下、映画『ラン・ラビット・ラン』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『ラン・ラビット・ラン』考察(ネタバレ)

ストーリーの意味:母親の狂気

まずストーリー全体として2つのパターンが考えられます。

  1. 幽霊のような超常現象が起こっているパターン
  2. 超常現象ではないパターン

私の解釈は、「多くのシーンが主人公かつ母親・サラの歪(ゆが)んだ主観の映像だった」というもの。つまり超常現象は起きていないパターンです。

幼い頃に妹・アリスを殺してしまったサラの罪悪感が、娘・ミアがアリスに憑依された幻覚として現在に回帰してしまったのだと思います。

シネマグ
現実には娘・ミアがおかしいのではなく母・サラがおかしいのです。

しかし映像は狂ったサラ主観なので、何か超常現象的なことが起こっているようなシーンが続きます。(この構造が本作の興味深いところであり、わかりにくくて賛否分かれる部分でもあるでしょう。)

ミアの絵の裏に描かれていた怖い絵は、最後にサラが書いていたものだったとわかります。

また序盤では、サラがミアを迎えに行ったときにミアが土管の中で震えていましたが、これはサラに怯えていたのかもしれません。ミアの頭のケガや鼻血ももしかするとサラによる虐待では?

これらの現実がサラ主観の映像では「娘がおかしい…」と合理化・脳内変換され、それを観客が見せられているのが本作なのです。

『ラン・ラビット・ラン』の1番の怖さがここにあります。視聴者は狂っている側・虐待している側の心理描写を見せつけられているのです。

サラの父・アルバートは少し前に亡くなっています。

おそらくサラがおかしくなったのは彼女が精神的にヤバいと知っていてケアしてくれていた父がいなくなったからでしょう。

サラは父の遺品のセーターを抱きしめ「お前はいい子だ(You are good girl)」と言っていましたが、これは父がサラをなぐさめてくれた時のセリフを自分で言っているのだと思います。

感想を語る犬
父・アルバートはサラがアリスを崖から突き落としたと暗に気づいていたので、同居して監視していたのかもしれません。

もちろん妹・アリスの魂・怨念がサラに憑依したと、映像通り受け取ることも可能です。

しかし、娘の7歳の誕生日に、7歳の妹を殺した過去を思い出して狂っていく母親…と考えた方が全体的にスッキリすると思いました。

ラスト結末の解説

ラストシーンは、サラが昔崖から突き落として殺した妹・アリスが娘のミアを連れて崖へ向かって手をつないで歩いていく!というもの。それをサラが家の窓からながめて叫んでいます。

ミアが逃げてしまったのか、それとも死んでしまったかは定かではありません。

ただ先ほどの解釈を前提にすると、ラストシーン自体もサラのゆがんだ主観映像の可能性があります。

さらにサラが寝ていた部屋の別のベッドに男性がうつ伏せで寝ており、頭に枕が乗せられていました。枕で窒息死させたあとに見えます。死んでいるのでしょう。おそらく元夫のピートです。

しかしサラはその死体を気にもとめません。

サラはピートにいろいろなことを知られ、衝動的に殺してしまったのかもしれませんね。

仮にミアが死んでいる場合、サラは自分でミアを殺しておきながら、アリスがミアを連れていく映像で脳内を合理化していることになります。

感想を語る犬
怖いですね…。

前向きな解釈としては、ミアがサラの呪縛から逃れることができたとも捉えられるでしょう。

オープニングでサラが川岸で寝ている映像がありましたが、服装からしてこれはラストの映像を冒頭に持ってきたものです。

感想を語る犬
サラは、遠くへ行ったウサギ(ミアとアリス)の幻影をいつまでも追い続けるのでしょう。

ウサギの意味

ウサギはサラが殺した妹・アリスのメタファーです。(「不思議の国のアリス」にもかかっているのかも)

もっと具体的にいうとサラがアリスのことを「こちらが生殺与奪を握れるウサギのような弱い存在」と考えていたということ。

誕生日にウサギが家に迷い込んできてから娘・ミアは「私はアリスだ」と言うなど奇行が目立つようになり、ウサギのお面をかぶるようになりました。

ミアは学校の土管など穴の中や、川岸の薮の中に隠れていましたが、これもミアに乗り移ったアリスにウサギの性質がある(サラの考えでは)ことを意味しています。

ウサギについては、サラが「子供の頃に父が害獣であるウサギを狩っていた」と言うシーンがありました。

子供時代に妹・アリスを虐待して突き落とすシーンでは、サラは動物用の罠(ワナ)を持っています。(ウサギ用でしょうか)

娘・ミアが描いた絵の裏に少女とウサギの怖い絵がかかれていましたが(サラが描いたもの)、これはサラとアリスの関係を示唆しています。

タイトルの『ラン・ラビット・ラン/Run Rabbit Run』は「ウサギよ走れ!」という意味。

サラが逃げるウサギ(アリス)を追い詰めることに快感を覚えていた暗示なのでしょうか。

それとも、サラは自分の暴力的な衝動から妹・アリスに逃げてほしいという葛藤を抱えていたのかもしれません。

Netflixホラー映画『ラン・ラビット・ラン』ネタバレ感想・評価

Netflix映画『ラン・ラビット・ラン』

映画『ラン・ラビット・ラン』の評価は80点
シネマグ
母親版『シャイニング』に、少しデヴィッド・リンチのエッセンスをふりかけた!みたいな異色作でした。

主演のサラ・スヌークさんの表情は絶品で、そしてシンプルに怖い。被害者のような加害者のような狂気的な演技が見応えバツグンでした。

ストーリーは推測するしかない部分も多く、サラがアリスを虐待していた理由についても、狩猟本能みたいな狂気的な性質を持っていたからのか?母の愛を受ける妹が憎かったのか不明瞭です。両方の要素があったように見えます。

細かい部分がフワッとしているのは好き嫌いあるでしょうけど、広い視点でみると暴力をふるう人間の主観・心理描写の生々しさが本当に恐ろしいです。

感想を語る犬
人間の狂気を“狂気側の視点”で映すコンセプトがすばらしい

虐待するような人間は、周囲の状況を自分なりに合理化してみんなと違う映像を見ているのかもしれない…。そんな怖い学びがありました。

母が娘の変な行動を見て慌てるワンパターンな展開が続いたという部分はありますが、観てよかった作品でした。

最後のまとめ

ホラー映画『ラン・ラビット・ラン』は、シングルマザーと娘の関係から人間の狂気を浮き彫りにした斬新な作品でした。

もう少しコンセプトをわかりやすくするか、もしくはフックとなるような怖いシーンを入れ込んでいればもっと高い評価を得られたような気がします。

シネマグ
近年はわかりにくい作品が敬遠される傾向がありますが、本作のような抽象的な作品がもっと出てくることを願っています。

ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『ラン・ラビット・ラン』レビュー終わり!

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