Netflixホラーアニメ『伊藤潤二 マニアック』。不条理かつ狂気のストーリーに酔いしれちゃいます。
全12話のアンソロジー(短編集)です。
- 作品情報・スタッフ
- ネタバレなしの感想
- 全話視聴した感想・評価(ネタバレあり)
- 全話ネタバレあらすじ解説・考察
- 各エピソードの声優(CV)
これらを知りたい人向けに内容をわかりやすくまとめました。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。好きな項目から読んでください。)
作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
- 1 Netflixアニメ『伊藤潤二 マニアック』作品情報・予告
- 2 ネタバレなし感想・海外評価
- 3 Netflix『伊藤潤二 マニアック』ネタバレ感想・評価
- 4 1話「怪奇ひきずり兄弟 降霊会」ネタバレ感想
- 5 2話「トンネル奇譚」「アイスクリームバス」ネタバレ感想
- 6 3話「首吊り気球」ネタバレ
- 7 4話「四重壁の部屋」「睡魔の部屋」ネタバレ
- 8 5話「侵入者」「屋根裏の長い髪」ネタバレ
- 9 6話「黴」「蔵書幻影」ネタバレ
- 10 7話「墓標の町」ネタバレ
- 11 8話「恐怖の重層」「漂着物」ネタバレ
- 12 9話「富江・写真」ネタバレ
- 13 10話「耐えがたい迷路」「いじめっ娘」ネタバレ
- 14 11話「路地裏」「首のない彫刻」ネタバレ
- 15 最終回 12話「耳擦りする女」「双一の愛玩動物」ネタバレ
- 16 最後のまとめ
Netflixアニメ『伊藤潤二 マニアック』作品情報・予告
ジャンル:ホラー・不条理
英題:『Junji Ito Maniac: Japanese Tales of the Macabre』
年齢制限:16+(16歳以上推奨。グロテスクな描写あり)
監督・キャラクターデザイン:田頭しのぶ
脚本:澤田薫
原作:「伊藤潤二 傑作集」「魔の断片」「伊藤潤二研究 ホラーの深淵から」
制作:スタジオディーン
音楽:林ゆうき
配給:Netflix
全12話ですが1話で2エピソードの回もあり、話としては全部で20エピソードです。
田頭しのぶ監督はアニメ『HUNTER×HUNTER』などで有名な方です。
田頭しのぶ・脚本の澤田薫・スタジオディーンは2018年のアニメ『伊藤潤二 コレクション』も手がけています。
Netflix『伊藤潤二 マニアック』は、アニメ『コレクション』の続編的な位置づけと考えてよいでしょう。
ネタバレなし感想・海外評価
伊藤潤二の傑作たちが2023年によみがえりました。
設定も展開も1から10までぜんぶ狂っています。シュールの極みともいえる内容は好みがハッキリわかれるでしょう。
論理的な物語が好きな人には向いてないですが、思考やストレスを日常からおさらばさせたい現代人には超オススメです。
イッキ見すると白昼夢のような感覚になるやや危険なコンテンツですが、個人的には大好きです(笑)
海外の評価もわりと高いです。一般層からの支持はむつかしいかもしれませんが、マニアがよろこぶコンテンツであることは間違い無いでしょう。(ネタバレ少なめの感想はこちら←)
おすすめ度 | 80% |
狂気の世界観 | 97% |
ストーリー | 82% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.5点(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 71% 一般の視聴者 62% |
※以下、Netflixホラーアニメ『伊藤潤二 マニアック』のストーリーネタバレありなので注意してください!
Netflix『伊藤潤二 マニアック』ネタバレ感想・評価
恐怖すらあざ笑ってしまう、狂気の真骨頂。
楳図かずおが織りなす独特の間と、つげ義春のシュールレアリスム的な世界観を融合させたような伊藤潤二の奇怪な作品群。
伊藤潤二の原作ももちろんすばらしいですが、アニメになるとより味わい深いです。
アニメ『伊藤潤二 コレクション』(2018)にまさるとも劣らない不条理の良作だと思います。
Netflixアニメ『伊藤潤二 マニアック』で特に好きだったのが第3話の首吊り気球。
自分の顔をした気球に襲われて首を吊られる…。アニメーションで見るともはや芸術的です。
楽しむためだけのエンタメアニメとは一線を画したアートの領域にあると思います。
各エピソードのエンディングの最後には精神病棟にいるっぽい男性のナレーションがあり、脳内の狂った情景を語っていきます。
最終話まで聞くと「いよいよ私は変だなと思った…」と、第1話エンディングのナレーションの内容に戻るループ構造になって面白い。
また伊藤潤二の原作が1980年代・90年代に書かれたこともあり、昔ながらの日本家屋など情緒もあります。
物語が途中で中断され、結末があいまいなまま終わるのも極めて日本的です。
ドラマ『舞妓さんちのまかないさん』などNetflixに日本的なコンテンツが増えてうれしいです。
1話「怪奇ひきずり兄弟 降霊会」ネタバレ感想
引摺黄子| CV 朴璐美
引摺四五郎|CV 飯島肇
引摺成美|CV 清水理沙
引摺ヒトシ|CV 朝井彩加
引摺みさ子|CV 金田朋子
©︎Netflix
両親に先立たれた引摺(ひきずり)一家は、末娘・みさ子の願いで両親の霊を呼び出すため降霊会を行うことに。
長男・一也は心霊写真に興味がある女性・サチヨを立会人として自宅に招くが、彼女が彼氏連れだったのでイライラする。
降霊会が始まり、次男・四五郎の体に父の霊が乗り移った。
父の霊は一也が仕事とウソをついて公園でぶらぶらしていることを説教した。
後日、サチヨの彼氏は研究室で四五郎の体から出てきたエクトプラズマがうどん粉だったと突き止め、降霊会がインチキだったことを知る。
長男・一也はインチキを仕組んだ四五郎に説教するが、三男・ヒトシに本物の父の霊が乗り移り、一同を震え上がらせた。
エピソード1の感想
そして物語はエクトプラズマがうどん粉だったあたりから、もうめちゃくちゃ。
引摺一家は自分たちが気色の悪い存在であるにもかかわらず、幽霊を怖がるのがシュールすぎて笑えます。
2話「トンネル奇譚」「アイスクリームバス」ネタバレ感想
「トンネル奇譚」あらすじ
マリ|CV 嶺内ともみ
小山|CV 水野理紗
五郎は仲間に誘われて、かつて自分の母が消えたトンネルへ探検に行く。
トンネルの奥へ行くと、なぜか妹・マリがいた。
五郎はマリを連れて帰るが、翌日にまたいなくなっていた。
五郎の父がトンネルに探しに行くが帰ってこない。
五郎はトンネルの中間地点に宇宙線観測所があるのを発見。
マリは観測所の中にいた。研究者の小山が父親は来ていないという。
その場所で写真を撮った小山たちは、幽霊が放射線のように体を突き抜けることを発見。
人体に害があると考えて施設を閉鎖するが、マリや小山たちはなぜかまたトンネルに戻ってきてしまった。
小山から助けてほしいと電話を受け、五郎もトンネルへ入った。
マリの体がどんどん土や壁にめり込んでいき、死亡する。
死んで幽霊となったマリに追われた五郎と小山も地面に沈んで死んだ。
「アリスクリームバス」あらすじ
友樹|CV 松本沙羅
アイスクリームマン|CV 近松孝丞
©︎Netflix
園原が越してきた団地に、アイスクリームマンが運転する毎週土曜日アイスクリームバスがくる。
子供はアイスクリームバスに乗って街を一周できる特典がついてくる。
園原は息子の友樹を毎週そのバスに乗せていた。
バスの中ではアイスクリームをなめまくるのだという
ある日、園原が家に帰ると友樹がアイスクリームになって溶けた友達をなめていた。
園原が止めようとすると、息子の首がアイスのようにポロッと落ちて絶叫する。
エピソード2の感想・考察
トンネルの中に宇宙線観測所。この設定自体がシュールすぎて大好きです。
幽霊が放射線のよう体を突き抜けてやがて体がドロドロになる結末も、論理的なのかなんなのか意味不明でツボでした。
そしてアイスクリームマンが無駄にイケメンで笑いました。息子の首がもげるシーンはトラウマ必至。
真面目に考察すると、子供って親が見てないところで成長して勝手に大人になっていくことのメタファーかなと思ったり。
3話「首吊り気球」ネタバレ
藤野輝美|CV 野水伊織
白石晋也|CV 岸尾だいすけ
人気アイドルの輝美が自宅で自殺。
友達だった和子は、輝美の彼氏だった白石から輝美の首から上が巨大化した幽霊をみたと聞く。実際、街では似たような目撃情報が多数出ていた。
和子は白石から輝美の首の幽霊が出たと電話を受け、現地へ。そこにいたのは気球のように大きな輝美の顔の幽霊だった。首から下はない。
輝美だけでなく、白石の顔をした幽霊気球もある。気球にはロープがぶら下がっていた。白石はそのロープに首を吊られて死亡。白石の巨大な顔の気球が、白石の首吊り死体と一緒にどこかへ飛んでいった。
数日後、空には住民たちの顔の首吊り気球が何百体も飛んでいる。
和子の友達も下校中に首吊り気球のロープで死亡した。
©︎Netflix
近くの男性が、和子の友人を助けるためにボーガンで矢を撃ち込む。気球はしぼんだがその友人の顔もしぼんで死亡。
和子は家に立てこもるが、両親や弟が次々に外へ出て死んでいく。やがて和子も弟の気球の声に騙されて窓を開け、首を吊られて死んでしまった。
首吊り気球の感想と考察
自分の顔の気球に自分が首を吊られるなんて常人では考えつかないアイデアですね。
不条理な傑作エピソードだと思いました。
首吊り気球に首をくくられて死ぬさまは、自分の表面上の意識が無意識に支配されていくことの暗喩かとも思いました。
4話「四重壁の部屋」「睡魔の部屋」ネタバレ
「四重壁の部屋」あらすじ
公一|CV 細谷佳正
さゆり|CV 斉藤佑圭
大工の互須|CV 青山穣
呪いを使って屋根裏部屋で音を立て、兄・公一の勉強の邪魔をする双一。
公一は父に頼んで部屋の防音工事をすることに。
工事を担当するのは互須(たがいず)という不気味な男だった。互須は双一の釘づかいをほめ、双一も工事を手伝うことに。
防音工事は完成した。
公一が部屋のドアを開けるとまたドアがある。全部で4つドアがあり、部屋の中に部屋、そのまた中に部屋という四重壁の奇妙な構造だった。
ドアを4つ開けて入れる部屋はとても小さいが物音はなく静かで公一は満足した。
しかししばらくするとミーンミーンと双一の声が聞こえてくる。双一が部屋と部屋の隙間に入る抜け穴を作り天井裏から忍び込んでいたのだ。
公一は双一を捕まえようとするが、抜け穴が多すぎて捕まえられずヘドロのコーナーに落ちた。
壁の隙間にいた双一は酸欠で倒れる。
「睡魔の部屋」あらすじ
マリ|CV 岡純子
雄二は、「夢の中にいる自分が現実に出てきて君をほっしている」と恋人マリに話す。
寝たら夢の中の自分が出てきてしまうため、寝むることができない。
何日かは耐えたがついに雄二は寝てしまい、雄二の腕が裏返って口から出てくる。夢の中の自分が出てこようとしているのだ。
マリはそれを見て恐怖し、雄二を起こす。しかし雄二はまた寝てしまった。
そしてマリは雄二の体に取り込まれてしまった。
現実の雄二は裏返って夢に取り込まれ、夢の中の雄二が現実に現れた。
エピソード4の感想
双一の陰湿なキャラは相変わらず最高でした。四重壁の構造もエキセントリックすぎて笑えます。
四重壁の部屋は、どんなに心の防御壁を張り巡らせても何か異物が入り込んできて平穏はつかめないと真理を表現しているかのようです。アニメの中では異物はもちろん双一です。
睡魔の部屋は、自分の体がゴム手袋のように裏返ることで夢の中の自分になるという発想が素晴らしいです。
普通の感性では考えつきません。
5話「侵入者」「屋根裏の長い髪」ネタバレ
「侵入者」あらすじ
押切は庭で自分の体を埋めていた。埋められているほうの自分が目を覚ます。
オカルト好きの押切は、学校で浮いていた存在だった。
異次元に興味がある神山、渡辺、小泉3人は、図書館で押切が読んでいるオカルト本に興味を持ち、話が盛り上がる。
押切は家で何者かの足音が聞こえると話した。神山たちは興味を持ち、押切の家へ。
押切の家は巨大な屋敷で、押切はそこに1人で住んでいた。
足音が聞こえ、神山は異次元の住人だと確信する。
庭を見ると、異次元からきた押切が死体を埋めている。死体は神山のものだった。
異次元の押切は人を殺し、バレないようこの次元に埋めにきたのだ。
押切が叫ぶと、異次元の押切は消えた。
神山は「異次元の自分を殺したのは異次元の押切だからここにいる押切の人間性は疑えない」と言う。
土の中には渡辺、小泉の白骨化死体もあった。4人はもっと深く埋め直すことにする。
「屋根裏の長い髪」あらすじ
平塚|CV 武藤正史
エリ|CV 千本木彩花
チエミは8年以上付き合った彼氏の平塚にフラれる。
チエミは以前平塚に海に連れて行ってもらい、髪を伸ばせと言われたことを思い出す。今ではかなりのロングヘアだ。
翌朝起きると、髪の毛に大きなネズミがからまって死んでいる。屋根裏にいたネズミだ。
チエミは妹のマリに髪を切ってもらうことにする。
ハサミを持ってチエミの部屋に入ったマリは、首がら上が切断されたチエミの死体を発見するのだった。
葬式が終わり、屋根裏に行った父は長い髪と首だけになったチエミを発見してショック死。
マリは屋根裏で首を見つけて悲鳴をあげる。
チエミの首は転がって外へ出て、平塚のところへ行き彼を絞め殺した。
エピソード5の感想・考察
エピソード5は不条理だけど考えさせられる話でしたね。
「侵入者」については、序盤のシーンの押切がどういう経緯で自分を埋めていたのかがまったく言及されません。なんで埋められているほうが目をバチッと見開いたのでしょうか?意味不明すぎます。
おそらく別次元の自分に殺されることで別次元に移動できるみたいな不条理ルールがあるのでしょう。いろいろ想像するのが楽しすぎます。
「屋根裏の長い髪」については、チエミは平塚のことが忘れられなすぎて、いざ髪を切るというときに彼への想いが爆発して首と長い髪だけの化け物になったのでしょう。
6話「黴」「蔵書幻影」ネタバレ
「黴」(カビ)あらすじ
誠二|CV 岡野浩介
海外出張から1年ぶりにマイホームに帰ってきた独身男性・赤坂。
学生のときに担任だった呂木一家に家を貸していたのだが、冷蔵庫の中身は腐り果て、風呂場には垢(アカ)がたまりまくっていた。
赤坂は弟・誠二から事情を聞く。誠二は、この家に住みはじめた呂木一家の赤ちゃんや長女の肌がボコボコになっていたのと見たという。
家はカビと大きな根で覆われ、壁や天井がぼろぼろになっていった。
赤坂は壁の中でカビと化して破裂している呂木とその妻を発見。
赤坂の皮膚もただれはじめた。
「蔵書幻影」あらすじ
香子|CV 半場友恵
五郎は父・章吾から受け継いだたくさんの蔵書に囲まれて日々を過ごしていた。
ある日、「冬風のルネ」という本がなくなり五郎はパニックになる。蔵書は一冊たりともなくなってはいけないのだ。
五郎はその本を勝手に読んでいた妻の香子を責めた。
「冬風のルネ」は幼い頃に男と失踪した母のような女性の姿で戻ってきて本文を朗読しはじめた。
しかし五郎が「冬風のルネ」をすべて覚えてしまうと本は再びなくなった。
まもなく「有棘地獄」という本も紛失。
五郎は本と別れるつらさから、蔵書をすべてを暗記しようと考える。五郎は発狂し、ランプの火が家をもやした。
病院から抜け出した父・章吾のベッドに「冬風のルネ」と「有棘地獄」、そして「香仔の楓」という本があった。
エピソード6の感想・考察
黴については、家を貸してくれと頼みにきた呂木一家の長女が主人公・赤坂にウインクしていたシーンが意味不明なうえに何か気持ち悪かったです。
蔵書幻影については、情報があふれる現代人にも通じるものがあると思いました。
ネットでどんな情報にもたやすくアクセスできる現代において、すべての知識を独占したいという欲求はありますが不可能です。そんなジレンマにハマると五郎のように発狂してしまうのでしょう。
蔵書幻影を考察するに、五郎は幼い頃の母の喪失を「冬風のルネ」で埋め、その本がなくなったことで母を失う苦しみを追体験して精神崩壊してしまったのだと思います。「有棘地獄」は父親のことを表現しているのでしょう。
本を盗みに入ったのも父・章吾かもしれません。「有棘地獄」の具現化と施設にいる章吾の顔つきが同じでしたから。
7話「墓標の町」ネタバレ
吉川かおる|CV M・A・O
村上泉|CV 内田彩
新しく免許を取った剛は妹のかおると一緒に旧友の泉の家に遊びにいくことに。
剛たちは山道である少女をひき殺してしまった。剛はその死体をトランクに入れる。
剛たちは泉がいる街についた。道路には石の墓標がたくさん立っている。
泉がやってくる。この町では人が死んだ場所に墓標を立てる風習があるという。
夜になり、泉の妹・あゆみが行方不明となる。剛とかおるはトランクに入っている死体があゆみだと気づいてがくぜんとする。
翌朝、町の人総出であゆみの捜索をするが見つからない。
剛は町の人から、神社の麓にある古井戸を見せてもらう。
井戸はとてつもなく深く、成仏できなかった死体(墓標になれなかった死体)を投げ込むという。
剛は病院で死んだ老人が墓標になっていくのを見る。手を触れようとすると親族が怒った。
死体が墓標になる前に動かされると成仏できないらしい。
夜、剛とかおるは車で古井戸へ。トランクを開けると成仏できなかったあゆみの死体は岩状の怪奇きわまりない姿になっていた。
2人は死体を古井戸へ投げ込む。
翌日、泉は古井戸のそばであゆみがつけていた鈴を見つける。泉と両親は家で自殺し、そのまま墓標になった。
あゆみの死体で手を傷つけてしまった剛は、家のベッドで岩状の怪物になり死亡。かおるは震えていた。
エピソード7の感想
人が死ぬとそのまま墓石になる設定が面白すぎます。
死体を動かすと成仏できず、墓標になれない。死体を動かしてしまうと化け物のような形状になり腐る。
8話「恐怖の重層」「漂着物」ネタバレ
「恐怖の重層」あらすじ
成実| CV 朴璐美
お母さん| CV 小林美奈
成美が運転している車が事故り、妹の麗美(れいみ)の顔面が剥がれた。
しかし病院で、麗美の顔の皮が下から再生していることがわかる。
医者は麗美の体が木の年輪のように層になっていることを発見。
成美は自分の体も重層構造になっていると、何層にも連なっている歯を母に見せた。
成美は昔、考古学者だった父が古代人の貝塚にあった子供の頭蓋骨から土の層が年輪のように波状しているのを発見し、気が狂ってしまったことを思い出した。
成美も麗美もその遺跡の呪いをかけられているのだ。
麗美を愛する母は、2歳の頃の麗美に会うため彼女の皮を剥いでいく。
何層もはぐと2歳の頃の麗美が現れるが、木のような手足が長い不気味な形状になった。
母は自分も重層構造になっているはずだから若返って麗美を産みなおすと言い、みずから顔の皮をはぐ。しかし単に皮がはげただけだった。
「漂着物」あらすじ
美枝|CV 小林優子
弘原海(わだつみ)はいつも深海にいる生物の夢を見ていた。
ある日、海に巨大な未確認生物がうちあげられる。
弘原海は見物人の中にいた美枝という女性から、彼女の婚約者がフェリー事故で帰ってこなかったと聞いた。
未確認生物の腹の中から薄緑色になった人々が次々に現れた。
美枝は婚約者のタダシがその中にいるのを発見。
フェリー事故にあった人々は巨大な未確認生物の腸に寄生してこれまで生きてきたのだ。
エピソード8感想
2歳の娘に会いたいから皮を剥いでいく…。伊藤潤二 マニアックの中で1番気持ち悪いエピソードでした。
「漂着物」は人間が海洋生物の寄生虫になるという設定が、寄生虫になった人々は潜水艦に乗って海を冒険しているような感覚なのかな?と妄想したりできて面白かったです。
何度も言いますけど、常人がこんな奇怪なアイデアを思い浮かべることは不可能でしょう。
9話「富江・写真」ネタバレ
泉沢月子|CV 花守ゆみり
山崎先輩|CV 八代拓
太地|CV 杉田智和
木股|CV 吉野裕行
写真部の月子は人気の男子の写真を撮って、女子たちに高値で売っていた。
最近転校してきた風紀委員の川上富江は月子を注意する。しかし月子と友人はしらばっくれた。
月子は大好きな山崎先輩から富江の写真を撮ってくれと頼まれたことにショックを受ける。
富江を見つけて写真を撮るが、谷先生に見つかって写真を売っていたことがバレて停学処分になった。
月子は現像された富江の写真を見て、頭の裏にもう1つ顔があるのを見て驚く。
月子はその写真を学校中にばらまいた。
富江は怒り狂い、富江の取り巻きの太地と木股が月子を探した。
山崎先輩も富江のとりこになっており、月子をロープで絞め殺そうとする。月子は山崎に薬品をかけて逃れた。
家に帰ると富江がやってくる。富江の頭にはやはりもう1つ顔があった。
富江は頭にある顔を見て驚き、太地と木股にこの“できもの”を切断しろと命令。
2人はナタで富江の頭の顔を切りはじめるが、夢中になりすぎて首を落としてしまった。
“できもの”の顔のほうが、本物の顔を焼けと叫ぶ。太地と木股は富江の首を持って去っていった。
富江の切断された胴体の首からは新しい顔が生え、家を飛び出していった。
月子は血で汚れた部屋を掃除する。
エピソード9の感想・考察
男たちはよくわからないまま富江の首をちょん切ってしまういつものパターンも不条理すぎる(笑)。
一番怖いのは何事もなかったかのように冷静に部屋の掃除する月子です。
ラストシーンでカメラのレンズに映っていたのは富江だと思いますが、実際にはカメラの前には月子しかいません。
富江の血をさわった月子が次の富江になるのでしょうか?そんな想像をしてしまいました。
10話「耐えがたい迷路」「いじめっ娘」ネタバレ
「耐えがたい迷路」あらすじ
法子|CV 嶋村侑
倉本文|CV 安済知佳
法子は、陰口をたたかれて学校を休みがちな友人・小夜子を連れて登山に行く。
しかし2人は迷い、修行僧たちがたくさんいる聖地に入り込んでしまった。
修行僧が2人を見つけ、本堂に案内する。
僧は自分たちが不迷教団という密教団体だと説明し、2人に数日間の座禅の修行を進めた。
小夜子たちの部屋に文(あや)という同世代の女子がいた。彼女はこの教団に入信した5年前から帰ってこない兄を探していると言う。
3年に一度の百人入定(ひゃくにんにゅうじょう)の日の夜、文たちは夜にたくさんの僧が本堂から抜け出すのを見てあとをつけた。
僧たちは山にある大仏の横の扉から洞窟迷路に入っていった。
小夜子たちが中に入ると、たくさんの僧が立ったまま死んでいる。文は兄の姿を見つけた。
小夜子と法子は迷路から出ようとするが視線を感じて発狂する。
僧侶たちの死体がこちらを見ている。
「いじめっ娘」あらすじ
栗子は小さい頃に近所の子供・直くんの世話をまかされた。
毎日直くんと遊んでいるうちに、栗子は次第に耳を引っ張ったりドブに顔を突っ込ませたりして虐待するようになった。
それでも直くんは栗子から離れようとしない。
栗子は大人になって直くんと再会して結婚。しかしそれは直くんの復讐だった。
子供の洋(ひろし)が、昔の直くんくらいの年齢になると、直くんはそれっきり帰ってこなかった。
栗子は直くんをいじめていた快感が忘れられず、子供の頃の格好をして自分の子供の洋を公園に連れていく。
エピソード10の感想
「耐えがたい迷路」は、登山してそのままなんとなく本堂から抜け出せなくなる流れがシュールでした。
「いじめっ娘」については妙にリアルというか、小さい頃の経験で性癖がゆがんじゃう人っているんだろうなとゾクっとしました。
いじめられている子供も、自分の意志がはっきり固まっていないので拒否できないのも現実的で怖い。
大人になった栗子がピチピチのワンピースを着て顔面を白塗りにした姿は狂気そのものです。
11話「路地裏」「首のない彫刻」ネタバレ
「路地裏」あらすじ
忍|CV うえだ星子
石田はある家に下宿するようになる。
石田が使う部屋はその家の長女・忍が使っていた部屋だった。
忍は引っ越しのにほどきを手伝ってくれた。
夜になると、部屋に入って左側から子供たちの声が聞こえてくる。
石田は落ちそうになりながら、部屋の正面の窓から出て高い塀に囲まれた路地の中をのぞくが何も見えない。
ある日、石田は前に下宿していた男から、部屋の左の壁にある窓から塀に囲まれた路地に降りると、地面に鉄の扉があり死体が埋まっていると聞かされる。
石田が部屋の左側にある本棚をどかすと確かに窓があった。そこからロープをつたって下に降りて鉄の扉をあけると本当に死体があった。
ロープを登って部屋に戻ろうとすると、忍に手を刺されて落下。
忍は小さい頃にいじめっ子3人を殺し、忍の父が死体がバレないように路地を高い塀で塞(ふさ)いだという。
さらに忍は気に入らないクラスメートや父をも殺して地下の扉の中に隠したと話す。
夜になると殺された人物の霊が塀に浮かび上がり自分を路地に呼ぼうとするが、路地に降りなければ大丈夫なので逆に霊が悔しがるのが面白いと忍は高笑いした。
忍は石田が気絶していると思いって路地の中へ降りる。なぜかロープが切れてしまった。
路地の中から出られないまま夜になり、忍は霊たちに襲われる。
「首のない彫刻」あらすじ
島田|CV 近藤隆
美術の岡部先生は著名な彫刻家で、美術部の島田と留美は彼の作品を手伝っていた。
「美術品に描かれた顔は感情を固定されたようでおもしろくない、顔なんかなくてもいい」というのが岡部の彫刻のコンセプトで、彼の彫刻には全部首がなかった。
ある日、岡部先生は旧校舎の美術室で首なし死体で発見された。
留美は前日の夜おそくまで美術室で手伝っていた島田が怪しいと思い、休んでいた彼をたずねた。島田はマスクをしていた。
島田は、「岡部先生はわけあって隠れている。留美になら真実を話せる」と言って、留美を学校の美術室に案内する。
美術室にあったのは首のない彫刻につけられた岡部の生首だった。島田も首から下は彫刻だ。
首のない彫刻が、「首ちょうだい」と言って留美を襲う。
エピソード12感想・考察
「路地裏」。路地裏って確かになんともいえない不気味な空間ですが、そこを塀で塞(ふさ)いでしまったさらに異様な空間に衝撃を受けました。
「首のない彫刻」。作られた美術品って自分の容姿にコンプレックスをもったりするのでしょうか。首を必死にほしがる姿は恐怖というより切実にみえます。
伊藤潤二は富江とかもそうですが、顔や首の欠落に対するコンプレックスがグロテスクな悲劇につながっているパターンが多いですね。
最終回 12話「耳擦りする女」「双一の愛玩動物」ネタバレ
「耳擦りする女」あらすじ
内田美津|CV 園崎未恵
美津(みつ)という女性が山東家の娘・まゆみの新しい世話係としてやってきた。
まゆみは、息をしていいか、どんな姿勢でいればいいか、笑えばいいかなど、何ひとつとして自分で決めることができない精神的な病気だった。
美津は何も決められないまゆみに毎日必死に指示を出す。まゆみの父は美津が痩せこけながらも根を上げないことにある種の狂気を覚えた。
まゆみはまるで自分の影のような美津から指示を受け、パニックを起こさないようになっていた。
美津はDV彼氏の阿賀と暮らしていた。ある日美津は阿賀から暴力を受けて死亡する。
まゆみには死んだはずの美津の声が聞こえていた。
美津の指示通り、まゆみは阿賀を殺した。
「双一の愛玩動物」あらすじ
さゆりが捨て猫を拾ってきてコロンと名付けた。
双一はコロンを縄で縛りつけようとするが、さゆりにしかられたうえにコロンに顔を引っかかれた。
双一はコロンに呪いをかける。
コロンの体は放電するようになった。さらにコロンは大きなムカデや得体の知れない目玉がたくさんついた巨大な昆虫を外でくわえてきて食べるようになった。
コロンは家の中でも暴れまわり、ふすまを破きまくる。
双一はコロンをギャロンと呼び、かわいがる。家の中は猫の毛が大量に舞い散っていた。
コロンが大放電して双一は感電。
コロンはもとのかわいい猫に戻り、双一は入院した。
『伊藤潤二 マニアック』最終回の感想・考察
「耳擦りする女」は、『伊藤潤二 マニアック』の話の中では1番まともに感じました。一応美津の恨みという解釈ができます。
何も決められないから指示を出しまくり、美津が人形をあやつる黒子(くろご)のようになる絵面が強烈です。
「コロン」という双一のエピソードできれいにオチがつきました。この一家の双一を放っておくお父さんのふところが広すぎる(笑)。
最後のまとめ
Netflix『伊藤潤二 マニアック』は原作コミックの狂気が素晴らしいアニメーションで現代によみがえったシュールアニメの傑作。
今の時代はわかりやすいものが流行しやすく、不条理なコンテンツは敬遠される傾向がありますが、そんな流れに逆らうかのような作品でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。アニメ『伊藤潤二 マニアック』レビュー終わり!
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