映画『ラストナイト・イン・ソーホー』は、デザイナー志望の女子が夢で1960年代のロンドンへタイムスリップしてしまう話でしたが、浅く薄っぺらい印象で正直つまらなかったです。
美しい2人の若手女優、トーマシン・マッケンジーとアニャ・テイラー=ジョイが、ロンドンの現在と過去を彩ります。
海外での評価は悪くないですが、本記事の感想で書いたさまざまな理由で個人的には駄作だと感じてしまいました(好きな人には申し訳ない…)。
考察のしがいはある作品でそれもまとめてみましたが、全体のメッセージがありきたりというか薄いのが難点ですね。搾取される女性を描いた物語としても微妙です。
鏡の意味考察、サンディ正体・母の霊の意味考察、ぶっちゃけ感想・酷評!ストーリーネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに記事をまとめました。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです)
映画『ラストナイト・イン・ソーホー』キャスト・作品情報
英題:Last Night In Soho
監督:エドガー・ライト
脚本:エドガー・ライト/クリスティ・ウィルソン=ケアンズ
撮影:チョン・ジョンフン
編集:ポール・マクリス
音楽:スティーヴン・プライス
監督のエドガー・ライト(『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ベイビー・ドライバー』)いわく、本作は、クラシックムービー『赤い影』や『反撥』の影響を受けた映画のようです。
撮影は『オールド・ボーイ』『IT/イット それが見えたら終わり』などで有名な韓国のチョン・ジョンフンですね!
エロイーズ|トーマシン・マッケンジー
エイロイーズ(自称エリー)は、1960年代ロンドンファッションや音楽が大好きな女性。
第六感を持ち、ときどき自殺した母の霊が見えます。
女優トーマシン・マッケンジーは、『ジョジョ・ラビット』のユダヤ少女役でブレイク。
Netflix『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)どにも出演しています。
サンディ|アニャ・テイラー=ジョイ
サンディは、1960年代ロンドン・ソーホーで夢を追っていた美しい女性。
女優アニャ・テイラー=ジョイは、M・ナイト・シャマランの映画『スプリット』ヒロイン役や、Netflixドラマ『クイーンズギャンビット』の主演で世界に名を轟かせました。
彼女が劇中歌「ダウンタウン」を歌っている動画もぜひ↓↓歌手ペトゥラ・クラークのオリジナル版と比較すると、ストリングスとピアノの複雑なコードアレンジがすごい…。作品の複雑さとシンクロしてますね。
ネタバレなし感想・見どころ・あらすじ
あらすじ:エロイーズはファッションの専門学校に合格し、ロンドンへ出てきました。下宿先の屋根裏部屋で寝ると、夢の中では1960年代のロンドンにおり、サンディというブロンド女性になっています…。
クラシックホラーのオマージュも多めで、ホラーファンは楽しめるでしょう。
ただ肝心のストーリーが浅く感じられ、個人的にはおすすめできません。
アニャ・テイラー=ジョイのファッションショーとして見ても間延びします。
また、性暴力描写が多く、苦痛を感じる人もいるかもしれません。
おすすめ度 | 58% |
世界観 | 75% |
ストーリー | 50% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.2(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家75% 一般90% |
※以下、『ラストナイト・イン・ソーホー』のストーリーネタバレありなので注意してください!
鏡の意味・考察
映画『ラストナイト・イン・ソーホー』では鏡が効果的に使われていました。視覚だけでなく、メタ的に何かを訴える意図があるのでしょう。
さまざまな解釈ができると思います。
私の結論は、鏡は1960年代のサンディの心理状態をエロイーズで表す装置というもの。
物語はエロイーズ主体で展開していくので、エロイーズが鏡に映るサンディを自分だと錯覚するのは、見たままのストレートな解釈ですよね。
最初は見つめ合って微笑んでいた2人。物語が進みサンディが墜ちていくにつれ、2人の距離はどんどん開きバラバラになっていきます。鏡と距離をメタファーとして上手く使っていますね。
サンディもソーホーに来た当初はエロイーズと同じ無垢な女性だったと表現しているのだと思えました。
最初は鏡でお互いを確かめ合うような笑顔を見せ、一旦バラバラになり、最後にまた見つめ合う綺麗なラスト。
サンディの歌手になる夢や希望が肯定されたイメージですね。
調べてみるとネット上では、鏡でなく自分を変えるのが本作のメッセージ的な考え方もあるよですが、鏡は本来自分の投影なので写っている人と自分は同一という視点が欠けている気がして少し腑に落ちません。
母の幽霊の意味・サンディの正体考察
母の幽霊が意味すること
母の霊を登場させた意味は、母と違って人に助けを求められる人物になってたくましく生きろという主人公エロイーズに対してのメッセージと考えられます。
ただこれ以外にストーリーの裏側として、エロイーズの母はサンディのビジョンに取り憑かれて自殺した解釈もできると思います。
エロイーズと若い頃の母(デザイナー志望)は同じような状況下にありますし、母も霊感があったようです。
エロイーズは母のような悲劇を辿らなかったハッピーエンドであり、しかし今も鏡に映るサンディが見えているので取り憑かれている意味深なラストとも捉えられます。
サンディの解釈
本作のオチはサンディは殺されたと思いきや殺した側で、家主のミス・コリンズがサンディの正体だ!というある意味奇抜なもの。
サンディの純粋な心だけが男たちに殺され、亡霊になったという斬新な解釈ができます。
生き霊に近い、不思議な概念ですね。
他の解釈としては、現在に出現した男たちは助けを求めてたので幽霊でしょうが、サンディの映像自体はエロイーズが霊感で過去のビジョンを投影しただけというもの(だとしたら、幽霊とビジョンが同時に出てきて変に複雑ですね)。
鏡を見ていれば
若いリンジー刑事が、サンディに娼婦から足を洗えと忠告したとき、「鏡の自分を見てみろ」と言っていました。
そう考えるとなんだか切ないですね。
エロイーズは一応タイムスリップしているようでありつつ、サンディには何も影響を与えていないので、実際はタイムバックというより、過去のビジョンを見ていただけの解釈が近いかもしれません。
いずれにせよ、ビジョンと霊の境目を曖昧にする演出は見る側の解釈まで÷2になってしまうようで、あまり良くないと思います。
映画『ラストナイト・イン・ソーホー』ネタバレ感想・酷評
性暴力テーマやストーリーのチープさが目立った
母親の霊とか必要あった?
ラストのオチでメッセージが分解
2021年公開映画ネタバレ考察記事
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- サスペンス, ホラー
- 2021年公開作, ひどい・酷評, アニャ・テイラー=ジョイ, ネタバレ, 全話あらすじ, 感想, 登場キャラ・キャスト, 考察
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