映画『インランド・エンパイア』ネタバレ考察/わかりやすく意味や構造を解説,ラスト解釈

  • 2024年4月7日

鬼才デヴィッドリンチ監督のインランド・エンパイアをまず1回観たのですが、内容やテーマがほとんど分からず、プライドがズタボロになり泣きました(笑)。

そこで2回目は全てのシーンやセリフをメモに取り、内容やストーリーを解き明かすことに成功!9時間かかりました。。。

その結果、インランド・エンパイアはものすごく感動するテーマが込められた映画だとわかりました!なので観たけど意味がわからなくてつまらなかった!という人に読んで頂きたいです!

(インランドエンパイアのあらすじが知りたい方はこちらの記事へ↓↓)

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映画インランドエンパイア

映画『インランド・エンパイア』キャストと作品情報

公開年/制作国 2006年・アメリカ・ポーランド・フランス
監督・脚本 デヴィッド・リンチ
キャスト ローラ・ダーン
ジェレミー・アイアンズ
ハリー・ディーン・スタントン
ジャスティン・セロー

主演はローラ・ダーン。『ブルー・ベルベット』『ワイルド・アット・ハート』などリンチ監督作品の常連です。その他にはスピルバーグの『ジュラシック・パーク』への出演が有名!

あとはデヴィッド・リンチの独壇場。

前作『マルホランド・ドライブ』はヒットして評価も凄く高かったわけですが、今作は前作に輪をかけたような奇怪かつ難解すぎる内容だったのでどこの映画会社からも出資してもらえず、普通に映画製作ができなかったらしい(フランスの映画会社が多少出資)。

そういうわけで撮影は、俳優にはほぼノーギャラで出てもらい、しかもリンチ監督が何か思いついたら俳優を呼び出しその場で撮るという斬新なものでした。

結果、何回も観て内容が解ればすごく感動できる映画になりましたが、1回見ただけでは全く意味が分からないという難易度MAXムービーに!

映画『インランド・エンパイア』予告動画

youtu.be

かつての大女優ニッキー(ローラ・ダーン)の豪邸へ、目のギョロッとした東欧訛りのおばあさんが近所に越してきた挨拶に訪れる。

コーヒーを飲みながらのおばあさんの会話が次第に奇怪なものになり、ニッキーは困惑。

次の日、ある映画の主演が決まり喜ぶニッキー。打ち合わせを進めるうちに、作品の脚本がいわくつきのものであると知り。。。

映画『インランド・エンパイア』感想・見どころ(ネタバレなし)

意味不明なシーンの連続

ウサギの着ぐるみを被って座っている人がいたり、娼婦たちがいきなり踊り出したり、口に電球を加えているおっさんがいたり、そんなアイデアどっから生まれたんだよ!ってゆうくらい意味不明です(笑)

そういった奇怪なシーンが好きな人は楽しいかもしれません。

難易度MAX!

もはや見どころとはいえないかもしれませんが、インランド・エンパイアは僕が今まで見た映画の中で難易度が一番高いです!

一見現代アート映画のように意味不明なシーンの連続なのですが、よく観るて考えるとしっかりストーリーがわかるような作りになってます。

物語の軸はしっかりあるが、構造が複雑すぎるという意味では難易度MAX。

よく難解映画の代名詞として同監督のマルホランド・ドライブが挙がりますが、インランド・エンパイアは数倍複雑です。

映画『インランド・エンパイア』ストーリー構造とテーマや意味を考察・図解

インランド・エンパイアを簡単に説明すると。かつてポーランドで「47」という映画の撮影時に不倫して殺されてしまった女性(ロストガール)が、ハリウッドでこの映画のリメイク話があることを察知。

まだそのリメイク映画に出演も決まってないニッキーの家へ、緑のおばさんの来訪。

二人は会話の中でロストガールの悲願を感じとり、「役が決まった場合の撮影の状況」「映画の内容」「ポーランドでの悲劇」「悲劇を生んだ”悪”の破壊」を想像。

(※ロストガール自体がニッキーの想像という見方もできますが、全体的な解釈にあまり差が出ないため触れません)

ニッキーの想像を映像として観て感動したロストガールは、忘れていた大事なものを思い出し救われる。

それを逆に感じとったニッキー自身も救われる!という内容。

インランド・エンパイアは構造で分けると5重構造になります。

想像の中の想像の中の想像というめちゃくちゃ複雑な作りになっているため、わかりやすく図も作りました!

インランド・エンパイアのわかりやすい解説図

テーマ①女性賛歌

僕が感じたこの映画のテーマは「女性賛歌」

心に傷を負った女性(ロストガール)がニッキーと通じて心が救われる。それによってニッキーも悲劇を回避するという構成になっているからです。

よく、ファントム(悪い男)はニッキーだ!不倫をしてしまった罪の意識を退治したのだ!という解説を見かけますが、違うと思います。

この作品では不倫は”悪”ではなく、どうしようもない旦那を持ってしまった結果に起きた”悲劇の象徴”という意味合いが強です。

【女性たちには、身を売ったり男に傷つけられたりといった苦難を乗り越えられる、強い共感(シンパシー)の力がある!】というのがテーマだというのが僕の結論です。

テーマ②女の人生は女優と娼婦

著名な解説者の町山智浩さんがラジオでこの映画は娼婦と女優の起源や根幹は一緒だという解説をしていましたし、女性の人生は役を演じる女優や、娼婦のようなものだ!というテーマもあると考えます。もちろん悪い意味ではなく。

部屋で映像を観ながらずっと泣いているロストガール自身もカメラを通して画面に映っているというシーンがあるので、みんな女優だよ!というテーマが見えます。

テーマ③デヴィッド・リンチ監督の頭の中

今作でよく出てくるのは”撮影カメラ”。

このカメラはニッキーの想像を物語としてロストガールのTV画面に投影したり、ニッキーからロストガール側を覗くという場面でも使われます。

加えてアイデア一発のような意味不明なシーン、出演者が苦悩してトラブルに陥る設定、助監督がみんなから金をせびる描写から、リンチ監督自身の映画製作の過程や、カメラを通して得られた感動も表現されているように感じます。

映画『インランド・エンパイア』あらすじネタバレ完全版

インランド・エンパイアあらすじネタバレ詳細はこちら

映画『インランド・エンパイア』なぜ難解か考察

構造が複雑

想像の中の想像の中の想像の話といった構造になっている上に、説明もないため、観る人は”今どこ”にいるのか混乱します。

顔が覚えきれない

インランド・エンパイアは全員の顔を完璧に覚えないとストーリーが全くわからないのですが、シーンの入れ替わりが激しいので、初見だと覚える前に次の他の人物のシーンに写ってしまい、ついていけません(笑)しかも顔が似てる人が多い気がする。

映像が暗くて荒い

デジカメの映像は荒いし、シーンは暗い部分が多いため、余計解読が難しいです。

娼婦たちが踊った曲「ロコモーション」

娼婦たちがいきなり踊りだす意味不明なシーンがあります。なぜこのシーンがあるのか?

ヒントもないので確かな事はわからないですが、苦境にいる女性たちの開き直りや楽しさを表現しているのかもしれません。

解説まとめ/ウサギの部屋の意味は?

デヴィッド・リンチ監督によるインランド・エンパイヤの解説!お楽しみ頂けましたでしょうか!?

暗く、禍々しいシーンが多いインランドエンパイヤが、女性賛歌を表現していたという結論に納得して頂けましたでしょうか?

僕はこの考えに至ったときとても感動し、難解だがとても魅力的な作品だと思いました!

ちなみにウサギの部屋ですが、僕の解釈ではハリウッド側とポーランド側を繋ぐ空間です。

この映画もリンチ監督らしく、観る人によって得られるテーマや感想が異なるものになっているので、僕と違う解釈をした人や、この映画に関する意見などあればコメントをください!

インランド・エンパイアの関連記事↓

『インランド・エンパイア』以外にも、デヴィッド・リンチ監督は名作たくさん。

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