ひどい?『デューン/砂の惑星』デヴィッド・リンチ版ネタバレ感想と考察,つまらない編集,設定解説と評価

  • 2024年4月11日

映画『デューン/砂の惑星DUNE』はフランク・ハーバートのSF長編小説『デューン』を映画化したもの。

監督のデヴィッド・リンチにファイナルカット(最終編集)の権利がなかったことで、映画としてはボロボロの出来になり、評価は散々だった。(リンチが編集していれば…。)

今、デューンを見直してみると、映画としてはやはり、ひどいと言わざるを得ないが、ところどころ光っていたアイデアや設定があったので、そのあたりを重点的に考えてみようとおもう。

まずは、デューンの何がダメだったのか?というところを解説する。

デヴィッド・リンチ版の映画『デューン/砂の惑星』ネタバレ感想と酷評:編集がやばい

デューン/砂の惑星が映画として一番いただけなかった部分はこれ。全体の長さが2時間17分だが、後半は場面場面の関連性が薄い飛び飛びのつなぎになっており、予告編をずっと見せられているようだった!というもの。

つまり編集ともいえず、ダイジェスト版を見せられているだけだったのだ。

そのシーンに感情移入する前に、ポンポン次の場面に切り替わってしまう。映画としては致命的だろう。

しかし、今考えると、ダイジェストぽっく映画を作るのはある意味斬新で面白いかもしれない。

なぜ、このようになってしまったのか!?

やはり、デヴィッド・リンチが編集しなかったということは大きいだろう。

デヴィッド・リンチが撮った、狂気のシーンを、彼の意図を汲まない人たちが編集すれば、作品として破綻するに決まっている。

食材について無知な人が、料理を作ってしまった悲劇に近い。彼らは、トリュフを捨ててしまうだろう。

何時間の映画にするか、制作側と配給側で擦り合わせができていなかったような節も見受けられる。1973年には企画段階でボツっており、そのときには10時間の大作にする予定だったそうだ。

10時間はさすがに長すぎるが、制作側はもっと長尺で公開する予定だったのに、2時間ほどにまとめろと配給側に言われて、困惑したのだろう。

個人的には、ぶち切れて仕事を放り出した人物がいるとおもう。それで公開に間に合わせるため、付け焼き刃的に編集し、メチャクチャな映画が出来上がったのだ。

デヴィッド・リンチ版『デューン/砂の惑星』カルト的な人気の理由

デューン/砂の惑星を一言でいうと、1から10まで全て狂っている!という感じ。

そこまでおかしい映画だと、何やら前衛芸術っぽい雰囲気が漂い出す(リンチの演出や構図によるものある)。

ある種の”壊れた感”を楽しむことができるのだ。カルト映画と呼ばれるのもうなづける。

これからデューン/砂の惑星を見る、あるいは見直すという人は、ぶっ飛んだ世界観を楽しむ気持ちで観るといいだろう。

映画『デューン考察砂の惑星(DUNE)』のSF設定解説

スパイス(香料)=ドラッグ

惑星デューンにスパイスがあって、それが人々の能力開花や人類の進化に繋がっているという設定だが、ものすごくドラッグっぽくないか?

ギャグなのか?オブラートに包まないチープな感じは敢えてやっているのかとも考えられて、非常に興味深い。

スパイスを嗅ぐポール

体を四角いシールドが覆う

戦うときは、体を四角いシールドが覆う。よって戦闘シーンで何が起こっているか全くわからない(笑)。でも、よく考えると斬新ではある。

当時やるには技術が追いつかなかったのだろう。スターウォーズのライトセイバーみたいな革新性を模索していたように思える。

何を鼻に突っ込んでるの!?

デューン/砂の惑星で出てくる黒い服は、砂漠で体が水分を失わないように、汗など体外へ出た水分を蒸留できるように作られている。

とはいえど、鼻にチューブを突っ込んでいるのがギャグにしか見えない。

カイル・マクラクラン デューン/砂の惑星

斜め上を行き過ぎている。砂漠での呼吸とかの問題なら、普通にマスク形状で良くないか?

こういう、細かい部分が、デューン/砂の惑星の魅力なのだ!

『デューン/砂の惑星』長尺版やディレクターズカット版の情報

映画作品としてはズタボロのデューンだが、個人的には、デヴィッド・リンチがちゃんと編集していれば、メチャクチャ良い作品になったのではないかとおもう。

余計な説明などをなくし、芸術方向にもっと振り切れば、評価もガラッと変えることができただろう。

と思ってたら、日本公開30周年記念のBlu-rayに189分の長尺版があり、こちらを見た人の評価は高い。さっそく見てみたいと思う。

ちなみにデヴィッド・リンチのディレクターズカット版は残念ながら存在しない。Blu-rayを買って3時間越えの長尺版を楽しむしかなさそうだ。

最後に感想・考察まとめ

デューン/砂の惑星は地球以外の惑星で暮らす人類を描いていながら、みんな思考回路が斜め上方向になっている。

デューンの設定は10100年代なので、今から約8000年後の出来事だ。

今から8000年後、人類の価値観や生き方が変わり、知能指数が変わらないまま、みんなアヴァンギャルドな思考回路になっている可能性は・・・ないとは言い切れない!

もしかすると、デューン/砂の惑星は8000年後に公開していれば大ヒットしたかもしれないのだ。現代人には早すぎた・・・

デヴィッド・リンチ監督作品。関連記事↓

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