映画『ジュラシック・ワールド3/新たなる支配者』(Jurassic World: Dominion)。ハッキリいって超つまんなかったです。
恐竜が眼前に迫ってくるのに眠くなるという貴重な体験をしました(本作が好きだった人には申し訳ないです)。
主人公たちにはすぐ食いつかない忖度まる出しの恐竜たち、いつも通りの予定調和ストーリー、ぶち込まれた巨大イナゴ問題、しょぼいラスト…という劇場に2時間以上座っているのがなかなか辛い作品でした。
記事では悪口にならないようにジョークも交えながら解説しています。基本的に辛口です。
作品情報・キャスト・あらすじ・海外評価、ストーリーネタバレ感想・ぶっちゃけ酷評!、人類へのメッセージ考察を知りたい人向けに徹底レビュー!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
映画『ジュラシック・ワールド3/新たなる支配者』作品情報・キャスト解説
原題:『Jurassic World: Dominion』
ジャンル:モンスターパニック・アクション
監督:コリン・トレヴォロウ
脚本:エミリー・カーマイケル/コリン・トレヴォロウ
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
撮影:ジョン・シュワルツマン
音楽:マイケル・ジアッチーノ
登場人物・キャスト紹介
登場人物 | キャスト |
オーウェン・グレイディ |
クリス・プラット (『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ。『ソー・ラブアンドサンダー』『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023)マリオの声優) |
アラン・グラント(初代作品の主要メンバー)
|
サム・ニール (『ピアノレッスン』『ジュラシック・パークIII』) |
エリー・サトラー(初代作品の主要メンバー) |
ローラ・ダーン デヴィッド・リンチ好きからしたら女神!再登板にテンション上がりまくりです。 『ブルー・ベルベット』『ワイルドアットハート』『インランド・エンパイア』『マリッジ・ストーリー』 |
イアン・マルコム(初代作品の主要メンバー) |
ジェフ・ゴールドブラム (『ザ・フライ』『ジュラシック・パーク/ロストワールド』『グランドブタペストホテル』) |
クレア・ディアリング |
ブライス・ダラス・ハワード (『ヴィレッジ』『ターミネーター4』) |
メイジー・ロックウッド | イザベラ・サーモン (『ジュラシック・ワールド/炎の王国』) |
バリー・センベーヌ | オマール・シー (『最強のふたり』、Netflixドラマ『Lupin/ルパン』『アンタッチャブルズ』) |
ジア・ロドリゲス | ダニエラ・ピネダ (Netflix『カウボーイ・ビバップ』) |
クリス・プラットは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー volume3』にも出演。
マーベル映画『ガーディアンズオブギャラクシー3 VOLUME 3』。ロケットの過去が明らかに!ピーターやドラックス、ネビュラたちは最悪なヴィラン・ハイ・エボリューショナリーの脅威から仲間を守れるのか!? ガーディアンズオブギャラクシー[…]
あらすじ
オーウェン(クリス・プラット)とクレアは恐竜の管理地域近くでメイジーも一緒に暮らしていました。
ある日、森の近くで暮らしていたブルーに子供が産まれていたことが発覚。
しかしブルーの子供とメイジーは、巨大企業バイオシンに依頼された仕事人にさらわれてしまいました。
オーウェンたちは手がかりを得るためにイタリアのクレタ島へ向かいますが…。
一方、30年前の『ジュラシック・パーク』での危機を乗り越えたエリー博士(ローラ・ダーン)はアメリカで巨大イナゴが出現したことに違和感を覚えます。
このままでは世界が食糧危機に陥るということで、エリーは旧友で考古学者のアラン(サム・ニール)に協力を呼びかけました。
2人はイタリアにある巨大企業バイオシンの研究施設へ行き、イアン・マルコム(ジェフ・ゴールドブラム)と再会しますが…。
レビュー(ネタバレなし)・海外の評価
全体的に緊張感が皆無なことに加えて2時間半と長いので眠くなります。
第1作のキャストなど懐かしい顔ぶれが登場するのは嬉しいですが、登場キャラが多くなりすぎて本題に入るまでに時間がかかりすぎです。
恐竜が襲いかかってくるシーンも主要キャラを襲ってはいけないようなお約束が感じられて迫力がないですし、ストーリーの大枠も過去作とほぼ一緒。
海外大手レビューサイト・Rotten Tomatoesの批評家評価も100%中30%とゲキ低ですが、低評価をつけられても仕方ない退屈な作品だと思います。
『ジュラシック・パーク』というブランドがなければ「予算が潤沢なB級映画」(矛盾した言い方ですが)というレベルでしょう。
おすすめ度 | 30% |
恐竜アクションの迫力 | 24% |
ストーリー | 29% |
IMDb(海外レビューサイト) | 5.7(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 30% 一般の視聴者 77% |
※以下、映画『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』のストーリーネタバレありなので注意してください!
『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』ネタバレ感想・評価
こんなことならスピルバーグ先生に撮らせなさいよ…。
恐竜パニックとして最悪な演出
1番イライラしたのが、恐竜が登場人物たちを襲う直前で失速して助かるパターン。
明らかに追いつけるスピードなのにカットが切り替わると、不自然に追いつけていないのです。
モンスターパニックとして1番やってはいけない最悪な演出だと思いました。
また襲い掛かれる位置にいるのに、「ギャオーー!」って叫んで時間稼ぎする恐竜たちに、野生の恐ろしさは微塵も感じられません。
ご都合主義・恐竜の忖度によってリアリティという文字が絶滅しています。
ヴェロキラプトルは瞬発力があるはずなので、並走できている状態なら明らかに主人公オーウェンのバイクに飛びかかれるはず。
またオーウェンが氷の下を泳いでいる最中に襲われそうなシーンは緊張感があると思いきや、恐竜が泳ぎながらぐるぐる回ったり叫んだり時間稼ぎをしてなかなか食いつきません。
あとは、恐竜に人が食われる瞬間のシーンはほぼ全部カットされているので、シリアスさもゼロ。
サメ映画で人がサメに喰われているところを映さないようなもんですからね。
刺激がないモンスターパニックってジャンルとして成立するのでしょうか。
子供も見るからというのはわかりますが、それによって現実味や臨場感、食物連鎖の厳しさなど映画の根幹の部分が壊れるなら本末転倒では?
また登場キャラクターたちもオーバーリアクションでケレン味たっぷり。
演出のせいか演技している感じがモロに出ちゃっていて、映像に引き込まれることは終始ありませんでした。
モーションキャプチャとCGを使った恐竜もところどころ明らかに人間の動きでリアリティがなかったです。
クレアが池に潜って上から恐竜が叫ぶシーンはクレアの頭が切れているっぽく映っててなんか違和感。
レーザーポインターで狙った相手を恐竜が狙うという訳わかんねえ設定も興醒め。いかにもB級っていう感じの設定です。
ギガノトサウルスとティラノサウルスの対決も勝手にやってくださいって感じ。
1993年の『ジュラシック・パーク』で感じられた人間が捕食される側になる根源的な恐怖は皆無で、B級怪獣映画のような演出です。
シリーズ第3作目の新なる支配者/ドミニオンは臨場感ゼロの残念な作品でした。
焼き増しストーリーがさらに劣化
基本的に『ジュラシックワールド』シリーズは、「過去に悲惨な事件があったけど今度はちゃんと恐竜を管理できる」→「無理だっためんごめんご」の繰り返し。
人類の知能が白亜紀に向かって退化しています(笑)。
そんな人類の退化の最先端が本作『ジュラシックワールド/新たなる支配者』。
- ヴェロキラプトルの子供とメイジーが恐竜を研究する巨大企業にさらわれた!助けに行くぜ!
- 企業が巨大イナゴを作っている!証拠をつかむぜ!
そしてまたパーク崩壊。ストーリーの大枠はこれだけ。
波平の頭くらい薄っぺらい物語です。
あと毎回疑問なのですが、主人公オーウェンとかメイジーを救いに行くならまともな武器を持っていけばいいのに…
ナイフ1本で巨大恐竜がいるパークに乗り込むのはおかしくないですか?
オーウェンはイアン・マルコムには「ランボーかよ?」と突っ込んでおきながら、自分もランボー気取りです。
アホすぎるイナゴ展開
- 巨大企業バイオシン「利益独占のために巨大イナゴ作ったぜ」
- CEO「証拠隠滅のためにイナゴを燃やそ!」
- イナゴの群れが逃げて恐竜パーク各地に火がつき大混乱!
いやいやいや…。
恐竜でなくイナゴをターゲットにするエリー博士とアラン…。
イナゴをメインに据えたミッション・インポッシブルでしょうか。
キモい巨大イナゴがノイズになって恐竜の印象が霞んでます。
ツッコミどころが多すぎてどこからツッコんでいいかわからんです。
イナゴを支配者的に出演させた事態が間違いだったというのは置いておいて、具体的な問題点もいろいろあります。
- 巨大イナゴに火がついた場合、真っ先に燃えるのは羽なので飛べるのはおかしい…。
- 研究施設のガラスがイナゴの強度に見合っていない。
などなど疑問は無数…。イチイチ真面目に突っ込むのが馬鹿らしいひどい展開ですね。
ラストのダサいSDGsメッセージ
SDGs自体が悪いわけではないですが、最近流行りのSDGsに乗っかったわりにはラストのメッセージがしょぼすぎます。
パークから逃げ出した恐竜たちが世界各地に散らばり、トリケラトプスはアフリカで象やサイと一緒に暮らす。
プテラノドンは鳥たちと一緒に空を飛んでいる。
「みんな共存できるんだ」という結末。
頭がハッピーセットですね。
そんなわけありません。
地球では森林や草原が少なくなっているのに絶対数増えたら共倒れです。
食料や生息地が被ったら熾烈な争いが起き、たくさんの種が絶滅へ向かうでしょう。
こんな何の解決にもならないような解決がラストでいいのでしょうか。
子供も人類が直面している現実を理解できなくなってしまうのでは?
この映画自体も壊滅的に面白くなく、ぜんぜん持続可能ではないのもイタいです(まあ本作は一応シリーズ最終作なのですが。)
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