面白すぎ海外ドラマ『ブレイキング・バッド』シーズン1感想ネタバレなしで考察・解説

  • 2024年3月7日

2008年のシーズン1から、2013年のシーズン5まで、最高に面白いとの呼び声を欲しいままにしていた『ブレイキング・バッド』。

U-NEXTにあったので、今さらながら視聴してみた(流行に遅れること12年)。

冴えない化学教師ウォルターが肺癌で余命宣告を受け、「メス」と呼ばれる麻薬をハイクオリティで製造し、破滅に進んでいくこのドラマ。

予想以上に面白くてどハマりしてしまった。

なぜこんなに面白いのか?自分なりに理由を考察してみたので、『ブレイキング・バッド』に興味がある人は読んでほしい。

ちなみに、『ブレイキング・バッド』の主人公・ウォルター・ホワイトを徹底解剖した記事もあるのでどうぞ。

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『ブレイキング・バッド』主人公ウォルター・ホワイト

みんなの犯罪願望を叶える!

ブレイキング・バッドのウォルター

『ブレイキング・バッド 』が視聴者を惹きつける1番のポイントはココだろう。

視聴者は主人公のウォルター・ホワイトになった気分で、犯罪行為を楽しむことができるのだ。

誰しもが心の奥底に持っている最高に悪い人間になってみたいという欲求。

それをウォルターが叶えてくれている。

良識も倫理観もある、見るからに良い人間そうなウォルター・ホワイトという人間が、麻薬製造という完全な裏社会に足を踏み入れていく。

彼の葛藤がそのまま視聴者の葛藤に繋がるからこそ、大いに感情移入できるのだ。

最初から悪そうな人間が演じても、常人が感じるはずの葛藤が表現できないので、ウォルターほど感情移入はできないだろう。

良い人間が悪に染まっていくときの心理を丁寧に描いているので、一緒になって楽しめるのだ。

ウォルターの、末期癌、妻が妊娠中、子どもが脳性麻痺、家族に金を残すために麻薬製造に手を染めるなどの事情も、視聴者の感情移入のアクセルを加速させる要因となっている。

大小さまざまな伏線が張り巡らされている

『ブレイキング・バッド』は伏線が本当に多い。

小さなものは会話。例えばウォルターの化学の授業の講義が、そのままその回のストーリーを暗示していることなど。

大きな伏線とは、複数の放送にまたがって回収されるシーン。

数話分の結末部分だけを冒頭で流すという伏線。

アレはコレを暗示していたのか。こういう意味だったのか!と毎回いろいろな伏線が回収されるので、スカッとする。カタルシスと爽快感が半端ない

無駄なシーンがない

『ブレイキング・バッド』には、無駄なシーンが殆どないといっても過言ではない。

間延びするような無駄なシーンが本当に少ないないのだ。(ウォーキング・デッドとかだと、割と無駄なシーンも多い)

制作側が各シーンの意図を非常に明確にしていること。

そして編集が素晴らしいことが要因だろう。

だからこそ、話のテンポがよく飽きない。

1日に何話も視聴しても全く苦にならないのだ。

会話が二重の意味になってる

『ブレイキング・バッド』では、会話が二重に意味を含んでいることが多い。

会話の裏の意味を考える面白さがあるのだ

主人公のウォルター・ホワイトは、麻薬を製造していることを家族や周りの人間に隠している。

彼が自分の犯罪行為を頭によぎらせながら喋るキャラということもあり、会話の意味を二重にしやすいのだとう。

例えば、ウォルターが家族に「clean(片付け)」という言葉を喋っているとき、家族は文字通りの意味で捉え、ウォルターの頭の中では「問題の解決」や「殺人」などについて考えているというものだ。

これには、麻薬文化とは切ってもきれない、ギャングスタ・ラップも関係しているだろう。ラップの歌詞も、1つの文章に二重三重の意味を込める言葉遊びになっていることが多い。

麻薬がテーマの『ブレイキング・バッド』においては、会話に多くの意味を持たせようというコンセプトがあるように思える。

登場人物の表情が計算され尽くしている

会話や簡単なやりとりで、登場人物の表情が計算し尽くされているのも『ブレイキング・バッド』の大きな魅力。

言葉の裏の感情を、各キャラクターが表情で巧みに表現している。

よって無駄なセリフが必要なくなる。

おそらく、表情でどんなセリフを伝えるのかまで、しっかり指示されて演技しているのだろう。

それを実行できる俳優陣もすごい。

『ブレイキング・バッド』は笑いのセンスがすごい

『ブレイキング・バッド』はマジで笑える。

ジャンルはクライムドラマになるのだろうが、コメディだと言っても過言ではない。

例えば、50代の主人公・ウォルターが、20代の麻薬製造の相棒、ジェシー・ピンクマンの影響で、不意に「Yo!」と口走ったりすることなど。

本人は気づいておらず、敢えて家族も突っ込まない。

それがシュールさを演出している。このシュールさは傑作映画『アメリカン・ビューティー』に近いかもしれない。

真面目人間が盗みや麻薬製造などの凶悪犯罪に手を染めていくので、行動がいちいち面白い。ウォルターとジェシーが麻薬の原材料をドラム缶ごと盗み出すときなども、2人でピョコピョコ歩きながらドラム缶を持つシーンが爆笑だった。

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