映画『ブレイブ群青戦記』を鑑賞。
高校生が部活の競技や連携プレイで織田軍と戦うトリッキーな内容に期待していた。しかし高校生たちは思ったより優秀でなくむしろアホで、リアリティや緊迫感もゼロだった。
記事ではストーリーのネタバレや、酷評ポイントを徹底解説・考察!
『 踊る大捜査線』シリーズの 本広克行監督なのに残念な出来栄え。戦いのシーンとかツッコミどころアリまくりで感情移入もできない…。
駄作『ブレイブ -群青戦記-』正直な感想と酷評(ネタバレ)
『 踊る大捜査線』シリーズや、『 PSYCHO-PASS』シリーズの 本広克行監督だから期待したが、正直とてもつまらなかった。点数をつけるなら60点くらいだろう。
漫画『群青戦記』を原作としたトリッキーな内容なので、実写化は難しいだろうと思っていたが、案の定。
主役の 新田真剣佑も、実写映画『モンスターハンター』でハリウッドデビューした、ヒロイン役の山崎紘菜もパッとしない。
そもそも、なぜこんなにつまらなかったのか?理由を具体的に紹介していく。
前提として、細かい点ばかりを指摘してもしょうがないので、作品のクオリティに関わる致命的にダメな部分を厳選して解説。
敵陣攻めるのに作戦が皆無
歴史マニアの主人公・蒼や、国際科学オリンピック金メダルの萬次郎がいるにもかかわらず、作戦と呼べる作戦がなかったのが残念でイタい。
武士の軍を高校生のアイデアでどう倒すかが一番の見どころのはずなのに…。
まず、4時間かけて今浜城付近までタラタラ移動している途中で、敵に見つかって襲われる。
敵陣近くに行くのに斥候(先に少人数で行かせる偵察隊)を出さずに全員で移動するなんてバカか。相手の軍は陣地付近に常に見張がいるはずで、見つかって囲まれて無駄死にするに決まっている。
偵察を思いつかないなら、戦国時代の人間より確実に知能は低いだろう。蒼は歴史に詳しいはずなのに、その辺のリアリティが全くなくて悲しかった。
織田配下の今浜城を攻撃して人質を救出する際も、“3ヶ所から攻めた”だけで、まともな作戦は皆無。正面から野球部と ラグビー部が攻めている間に、蒼たちが他の場所から遥を救出するというもの…。知略とかないの?と思ってしまった。
さらに、城を攻めるのに城門をどうやって破ったかという重要なポイントが曖昧。漫画『キングダム』を読んだことある人なら「ハァ?」となってしまうお粗末な内容だった。
アホな高校生に遠慮する戦国武士
納得いかないのが、信長の家来の戦国武士たちが500人いる場所に高校生20人ちょいで攻めていくシーン。知略はなく、雑なパワープレイに終始した。
アメフト部が円陣を組んで鎧もろくにつけず突っ込んでいく。アホなのか?槍で待ち構えられたら自ら串刺しじゃないか…。それでも高校生に遠慮したのか、武士たちは槍を使わず適当に倒されていく。弓矢とかはあまり使わない。
一方、野球部たちがボールを打ったり投げたりで武士たちにぶつけていく。
ボール…。アホか? バットで殴った方がよくね?ボールだと150km出しても、鎧に当たったらダメージ全然ないと思うけど。
そんなこんなで、500人どころか武士を20人も倒していない気がするが、最初の門を超えたところは制圧する。
残りの武士たちはどこへ行ったのか?他の場所にいるにしても数が合わない。
部活の競技を活かせてないキャラたち
明らかに見る側が期待するのが、部活動の競技を活かした城攻めである。
野球部なら爆弾でも作って抜群のコン トロールで投げればよかったし、アメフト部なら丸太などを持って突進するべきだった。(ちなみにサッカー部は冒頭で惨殺され、バスケ部とかはいなかった)。
普通にボール投げたり突進されたら、正直アホにしか見えない。使えない脳筋の集まりだ。
『ブレイブ -群青戦記-』では一番の見どころである部の競技を活かした戦法が見られなくて残念だった。
家康頼みのひどい展開
蒼たちは結局瑠衣率いる武士たちに囲まれて絶体絶命…。そこへ家康軍が助けにやってくる。一番やっちゃダメだろこの展開!
結局、高校生たちだけでは織田軍に太刀打ちできなかったことになる。
映画のテーマ自体を否定したようなひどい展開だった。
『えんとつ町のプペル』もそうだけど、大人が介入しちゃうパターンは冷めてしまう。
登場人物の説明不足
登場人物がそこそこ多いせいで各キャラが説明不足。結果、共感や感情移入ができなかった。
『新解釈三国志』と同じくらい薄っぺらい登場人物たちになってしまった。
織田信長と戦うわけじゃない
『ブレイブ -群青戦記-』は 織田信長じゃなくて配下の城を攻めるだけ。信長との絡みを期待していたらがっかりするだろう(宣伝はそんな感じだし…)。
城とかが出てこねえ
予算の関係なのか史実なのか、今浜城は木の門と櫓(やぐら)だけの中継地点みたいなところ。映画を通じて大きな城は出てこず、なんか圧倒的なスケールに欠ける印象。
ブレイブ群青戦記で良かったところ/ 三浦春馬の演技
三浦春馬の若い頃の家康の演技が良かった。表情の作り方や振る舞いが巧みで、大物でありながら他者をいたわる心を感じさせてくれる。実写『進撃の巨人』の頃より演技に繊細さが感じられる。
ブレイブの 三浦春馬を見ていると、時代劇系の役でもどんどん活躍しただろうポテンシャルが感じられたので、2020年の彼の急逝が本当に残念。
あとは、映画冒頭の武士たちに校舎が攻められたところのアクションはグロくてリアリティがあって良かった。中盤から後半にかけてグロさが抜けてリアリティも無くなったのが残念だけど。
映画ブレイブ群青戦記/あらすじ完全ネタバレ
1:戦国時代へタイムスリップと取り引き
聖徳学院高等学校が、祭られた岩の力で校舎ごと戦国時代にタイムスリップしてしまい、野武士に襲われて多くの生徒が殺された後、織田軍にも襲われ何名かが人質になってしまう。
織田軍と敵対関係にある、のちの 徳川家康( 三浦春馬)の軍がやってきた。
弓道部の西野蒼( 新田真剣佑)は殺されないために、家康が物資を運び込む作戦の一環として今浜城を攻めると取り引きした。
2:親友・考太の死
蒼の親友で剣道部の松本考太( 鈴木伸之)を筆頭に、今浜城へ向かうが、途中で織田軍に見つかってしまう。考太は斬られて死亡し、蒼の幼馴染の瀬野遥( 山崎紘菜)がさらわれてしまう。
一方、特進クラスの生徒たちは映画『 バック・トゥ・ザ・フューチャー』と同じ原理で、雷のエネルギーを岩に流せば元の世界に帰れると解明。陸上部員が蒼たちに知らせるために走る。
3:城攻め
蒼は考太の死に失望するが、家康にさとされて人質奪還のためにみんなを率いて今浜城を攻めると決心。
野球部とアメフト部が正面から攻めて注意を引き、蒼やボクシング部の黒川敏晃(鈴木仁)、空手部の相良煉(福山翔大)、フェンシング部の成瀬勇太( 飯島寛騎)が、人質たちを救出した。煉と敏晃は途中で死亡。
蒼たちは武士たちに取り囲まれて絶体絶命のピンチ。そこへ家康軍が現れて、敵を蹴散らしていった。生き残っている生徒たちは、校舎へ向かって急いだ。
家康は蒼をかばい、火縄銃で撃たれて死亡。撃ったのは1年前に先に戦国にタイムスリップしていた先輩の不破瑠衣( 渡邊圭祐)だった。彼は、現代に退屈さを感じ、歴史を書き換えるために戦国に来て織田配下の武将になっていたのだ。瑠衣が槍で斬りかかってくる。
遥かは瑠衣に脚を刺された。蒼はなんとか瑠衣を斬り殺して遥を救い、馬で校舎まで急いで戻った。
4:ラスト結末!蒼の決断
雷が落ち、聖徳学院の生徒たちは現代に戻ることに成功。
蒼は歴史を変えないために、戦国にとどまり家康となることを決意。 織田信長( 松山ケンイチ)の配下になることを決める。
現代に戻り、遥は家康の若い頃の 肖像画をネットで見つける。それは、蒼にそっくりだった。
『ブレイブ -群青戦記-』完
映画『ブレイブ -群青戦記-』の結論まとめ
高校生たちがそれぞれの部活の競技を活かし、連携して戦国の軍団を圧倒する。そんな、内容を期待していたが、アホな高校生のレベルに戦国側が遠慮してしまう残念でつまらない映画になってしまった。
本広克行監督ならなんとかしてくれると思っていたが、なぜ駄作になってしまったのだろう?とにかくガッカリ。
(記事の画像の権利:映画『ブレイブ -群青戦記-』公式サイト)
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