Netflix映画『バードボックス バルセロナ』(Bird Box Barcelona)。目を合わせたら自殺してしまう怪物が現れた終末世界!父と娘の絆が試される…。サンドラ・ブロック主演『バードボックス』の続編です!
作品情報・キャスト
あらすじ
ネタバレなしの感想
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
考察:ストーリーの意味・怪物“それ”の正体!
視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『バードボックス バルセロナ』作品情報・予告
制作国:スペイン
上映時間:111分
原題:『Bird Box Barcelona』
ジャンル:ホラー・ヒューマンドラマ・キリスト教
年齢制限:16+(16歳以上。自殺や暴力のシーンあり)
監督・脚本:アレックス・パストール|ダビ・パストール
サンドラ・ブロック主演の『バードボックス』(2018)がありましたが、そのときスペインのバルセロナでは何が起こっていたのか!?というお話!
続編でありスピンオフです。
映画『バードボックス バルセロナ』キャスト
役名 | キャスト |
セバスティアン | マリオ・カサス |
アンナ(セバスティアンの娘) | アレハンドラ・ハワード |
クレア | ジョージナ・キャンベル |
ソフィア | ナイラ・シューパース |
神父 | ゴンサロ・デ・カストロ |
クレア役のジョージナ・キャンベルは『バーバリアン』にも出てましたね。2024年は『ザ・ウォッチャーズ』にも出演。
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映画『バードボックス バルセロナ』あらすじ
9カ月前に謎の怪物が現れ、目を合わせた人間は次々と自殺して世界的な大惨事が起こった。
生き延びたセバスティアンと娘のアンナは、怪物を避けながらどうにか暮らしていた。
外にでるときは目隠しとしてゴーグルをしている。怪物を目を合わさないためだ。
ゼバスティアンはアンナに「隠れていて」と言って、集団で生活しているコミュニティに入り、一緒に暮らせそうかを探った。
しかし、最悪の秘密が首をもたげる。果たしてセバスティアンとアンナの命運は!?
ネタバレなし感想・海外評価
人間の心理のなんともいえない気持ち悪さ・不気味さを味わいたい人にはうってつけだと思います。
ただ、オーソドックスなパニックスリラー・ホラーを求めている人にはおそらく不向き。
ストーリーの意味も自分で考えないと上手くつかみとれない作りになっています。
海外レビューサイトの評価も50点を下回るくらいの割と低評価で、少なくとも一般受けはしない作品です。
おすすめ度 | 75% |
世界観 | 84% |
ストーリー | 70% |
IMDb(海外レビューサイト) | 5.4(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 48% 一般の視聴者 46% |
メタスコア(Metacritic) | 45(100点中) |
※以下、Netflix映画『バードボックス バルセロナ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『バードボックス バルセロナ』ネタバレあらすじ解説
セバスティアンの秘密
セバスティアンが加わった工場に住む集団には、目のつぶれた男がいた。
その男は「怪物を見ても自殺しない人がいる。その人たちは自殺はしないが頭はおかしくなっており、神を見ろと言って自分が前にいた集団の人たちを外にひっばりだして目を開けさせていた。俺はナイフで目をつぶした」と話す。
朝早く起きたセバスティアンは集団が寝ているバスを運転する。集団のメンバー、リリアナやマルシアルが飛び起きてセバスティアンを止めようとした。
バスは工場の外で横転。リリアナやマルシアルは怪物を見てしまい、次々に自殺する。
セバスティアンも怪物を見ても自殺しない男の1人だったのだ。
9カ月前
正体不明の怪物が現れ、人々が自殺しまくっていた。
セバスティアンの知り合いの神父は「奇跡を見たい」と言う。
セバスティアンは娘・アンナを迎えに行き、妻・ラウラのところへ行く。しかしラウラは暴走した車に轢かれて死亡。
それからしばらくあと、セバスティアンとアンナは隠れて暮らしていた。
しかし、怪物を見ても死ななかった神父たちのグループに見つかり、外で無理やり目を開かされてしまった。
セバスティアンは死ななかった。しかしアンナは飛び降り自殺。セバスティアンは絶望で叫び、娘・アンナの幻影が見えるようになった。
セバスティアンはアンナの幻影に言われるがままに「怪物の正体は天使であり、人々に天使を見せれば魂が救われる」と信じるようになる。
天使を見た人が自殺するとき、セバスティアンはいつもその人の魂が外に昇っていくのを見ることができた。
ラスト結末
セバスティアンは地下で生活する別の集団を見つける。集団にはクレアという女性と、ドイツからきた少女・ソフィアがいた。
セバスティアンはドイツ語でソフィアと仲良くなり、集団にとけ込む。そして「食料が尽きる前に、山の上にある天空都市・モンジュイックへ行こう」と提案した。
みんなで目隠して外を進む。実はセバスティアンのゴーグルは、視界が完全にふさがれていなかった。
メンバーたちを先導していた犬のロープがちぎれ、バラバラになる(セバスティアンがロープに切れ目を入れていた)。
怪物がやってきて、愛しい人が現実にいるようにささやき、目隠しを取るように迫る。メンバーの1人は死亡した。
建物に逃げるが、セバスティアンはそこでも1人を窓のある部屋に誘導して殺害。
クレアはセバスティアンが自分たちを殺そうとしていることに気づく。
そこへ神父たちの集団がやってきた。
ソフィアを見て良心に目覚めたセバスティアンは、ソフィアとクレアを神父から助け、一緒に山の上までいくロープウェイの場所まで移動する。
セバスティアンは神父と戦い、相打ちで死亡。
ソフィアとクレアはどうにかロープウェイに乗り、山の上の天空都市に到着した。
そこは軍が管理しており、たくさんの人々が暮らしていた。
ソフィアは母親と再会して抱き合う。
クレアは血液検査を受け、軍医から「怪物を見ても自殺せず、DNAが後天的に変異した預言者と呼ばれる人々が現れた」と聞く。セバスティアンや神父のような人のことだ。
クレアは「預言者の中にも対話できる人物がいる」と言った。セバスティアンのことだ。
ネットフリックス映画『バードボックス バルセロナ』終わり
映画『バードボックス バルセロナ』考察(ネタバレ)
主人公の行動と本作の怖さ
『バードボックス バルセロナ』は、完全にキリスト教をベースにした内容でした(前作もそうでしたが)。
聖書の最後にある歴史の終わり・終末世界を描く、黙示録と最後の審判をモチーフにしているのでしょう。
怪物を見ても自殺しなかった主人公・セバスティアンは、自分は審判で生き残った選ばれし人間だと思い込んでしまいました。
自分は羊飼いだと言っていましたが、「羊飼い」は神の子イエス・キリストを指しています。
そして怪物を天使と呼びました。
本作の怖さは、「それの正体は、天使でなく悪魔かもしれない」という点です。
妻と娘を失った主人公の絶望と信仰心に入り込んできたのは、神の慈悲でなく悪魔のささやきなのかもしれません。
信仰心が絶望と交錯した時に、最悪の決断をしてしまう。
ストーリーの意味:罪人こそが許される
ストーリーの大きなテーマは、セバスティアンのような罪人こそが許される!ということでしょう。キリスト教だけでなく仏教にもこのような教えがあります。
セバスティアンはたくさんの人を死に追いやりましたが、ソフィアをみて改心しました。
彼は死んでしまいますが、クレアは対話できると考えます。
このときのクレアの態度は「あなたの罪は許された」そのものだと思います。
最悪な状況を経て、信仰の極地に達したという印象です。
怪物“それ”の正体!
怪物“それ”の正体は明確にはされないままですが、今作ではピザ屋の店員が「量子力学の観察者効果」を説明に出してましたね。
むつかしいことではなく、怪物は人によって姿や声を変えるということです。
主人公セバスティアンは、ラッセル・クロウ主演の『ビューティフルマインド』的なイマジナリーフレンド(幻想)としてソフィアが見えてしまっていたようですが、怪物が娘・アンナに姿を変えてずっとそばにいたと考えることもできます。
また元も子もないことを言えば、怪物“それ”の正体を問うこと自体が本質からズレています。
バードボックスシリーズは信仰心を試される内容で、怪物“それ”に遭遇して登場人物が何を想像するかが重要です。
天使か悪魔か?はたまた宇宙人か?怪物の正体が明らかにされてしまったら宗教的な世界観はガタガタと崩れ落ちて終了です。
今後、続編やスピンオフが作られるとしても「人によって観察者効果で見た目や声を変える性質」以外の踏み込んだ正体は明かされないでしょう。
映画『バードボックス バルセロナ』ネタバレ感想・評価
娘と一緒に必死に生きる主人公・セバスティアンが実はみんなを殺して回る側だったという展開が特に好きでした。
快楽殺人者ではなく、「人々を救って天国で娘と妻と暮らす」という絶望と宗教の教義がブレンドされた動機が妙に気持ち悪くてゾクっとしました。
俺は良いことをしている!っていう感じで人を殺すヤツが1番怖いし、得体の知れない不気味さを感じます。
目を合わせたら自殺してしまう怪物がウヨウヨいる終末世界で、宗教的な動機で人々に目を開けさせる“預言者”がいるコンセプトはすばらしいと思いました。
ただ、サスペンス的にはそこまでおどろきのないストーリーでした。
序盤でセバスティアンがヤバいヤツだとわかって、中盤で娘・アンナが実在しないことが確定します。
終盤でセバスティアンが改心する展開はわりとあっさりしていましたね。
幻影のアンナと、実在するソフィアが天秤にかけられてソフィアが選ばれる展開はすごく神秘的で美しいと思いましたが、深く考えずに見ると「何この展開?」となってしまうかもしれませんね。
2023年になって普通なのかそうじゃないのかよくわからない人物を主人公にした作品が増えてきたように思えます。
Netflix『ラン・ラビット・ラン』もこの系統でしたね。
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最後のまとめ
Netflixホラー映画『バードボックス バルセロナ』は、宗教と信仰と絶望をテーマにした素晴らしいコンセプトのいっぽう、ストーリーは尻すぼみ感があり、世界的に高い評価を得るには至りませんでした。
『バードボックス』のスピンオフシリーズはまだまだ世界中で作られるのでしょうか?本作の評価を見る限り、現在制作中のものがなければ終了…な気がします。
『バードボックス』南アフリカ!とかできたら見ちゃいますけどね!
ここまで読んでいただきありがとうございます。『バードボックス バルセロナ』(Bird Box Barcelona)レビュー終わり!
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