『ワンダーウーマン1984』を観てきた。前作はイマイチだったけど、今作はアクションもすごいし、いろんな意味で完成度が上がっていたと思う。
クリスマスに恋人と見に行く映画としてもグッド!
この記事では、
- あらすじネタバレ
- 2017年の前作との比較
- 映画のテーマ考察
これらを徹底解説します。
豪華アンクションを楽しみつつ、資本主義を否定する話。
映画『ワンダーウーマン1984』ネタバレ評価・感想
ワンダーウーマンに違和感がない
2017年の第一作『ワンダーウーマン』はつまらなかった。第一次世界大戦を舞台にしていたのだが、ワンダーウーマンのコスチュームが戦場で浮きまくっていて、かなりシラけたのだ。
しかし今作1984は、ドリームストーンにまつわるファンタジー要素が強いストーリーだったため、ワンダーウーマンの存在に違和感がなかった。
登場人物やキャストが素晴らしい
前作はワンダーウーマンとスティーヴ以外にも魅力的なキャラがいたにも関わらず、全く活躍の場がなくて残念だったが、今作は“悪者”と“ヴィラン”がしっかり輝いていた。
本作の悪役であるマックス・ロードは、ペテン実業家でありながら、子どもと1週間に1度会える日を楽しみにしている父親である。ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』でオベリン・マーテルを演じた俳優ペドロ・パスカルは、その複雑で人間味のある役柄に迫力をプラスして、見事に演じきったと思う。
そしてメインヴィランとなるチーター/バーバラを演じたクリステン・ウィグは、冴えない女性の役だったが、年齢が中年で哀愁があったし、ダイアナに嫉妬する過程がよく描かれていたと思う。
ワンダーウーマン1984ストーリー考察/敵は資本主義と女子カースト
あきらかなトランプ政権批判
観た人はわかると思うが、『ワンダーウーマン 1984』は明らかなトランプ批判をしている。マックスや大統領の身振り手振りがトランプっぽいし、エジプトで地域を囲むように大きな壁が出現して周囲が無政府状態になったシーンは、トランプ大統領の「メキシコとの間に壁を作る発言」を思い出させる。
偶然ではなく意図的だろう。
パティ・ジェンキンスの政治的思想もわからないが、ひとつ言えるのは、本作はコロナで公開が遅れなければ、2020年のトランプVSバイデンの大統領選前に上映される予定だったということ。
タイミングが合えば、トランプを倒したシンボル的な映画として受け入れられたかもと考えると興味深い。
ワンダーウーマンの敵は資本主義
『ワンダーウーマン1984』の結末は清々しいほど徹底した反資本主義だった。
みんなに欲望を口にさせ、それらが全て叶えられると秩序が崩壊していく。そこでワンダーウーマンが「願いを取り消して」の呼びかけにみんなが賛同し、世界が平和になるのだ。
欲望=戦争 欲望取り消し=平和
こんな図式になっていて面白い。
人類を滅亡させる敵は資本主義だ!というメッセージがわかりやすく伝わってくる。ワンダーウーマンの真の敵はマックスでなく資本主義なのだ。
そしてみんながその欲望を取り消したなら、新たな世界が待っているという終わり方になる。
設定はファンタジー過ぎだけど、解決方法を哲学的にしっかり提示しているところが素晴らしいと思った。
女子カースト問題
女の敵は女。今作はそれを体現するかのように、女同士の友情というより、もろに女子カースト(スクールカースト)を描いていた。
ダイアナの強さと美貌は、イモ女バーバラのプライドに火をつけた。そしてバーバラは強くなった。
わかりやすくてカタルシスのある筋書きと演出だったと思う。女性監督のパティ・ジェンキンスだからこそ、リアリティとエンタメ性を両立できたのかもしれない。
今回、女子カースト問題は激しいバトルの末に解消されたが、現実の世界でも解消できる方法があったら、さぞ女性が生きやすい世の中になることだろう。
悪者もハッピーエンド!隠された一方的な価値観
悪役はマックスだったわけだけど、彼は最後にワンダーウーマン(と真実の縄)にさとされて、子どもを救うために願いを取り消し、ラストは息子のもとに駆け寄って抱きしめて終わる。
そう、悪者である彼にとってもハッピーエンドなのだ。
悪者も改心して救われました!というのはあまりにも“おとぎ話”っぽいが、本作ではあまり鼻につかなかった。
それはそれでいいのだ。ただ、そこに悪党の美学が一切ないことに気づいただろうか。
『ダークナイト』しかり、『アベンジャーズ/エンドゲーム』しかり、悪には悪の正義があり、ときにはそれが正しく思えるような裏付けがあり、正義のヒーローと思想がぶつかる面白さがあるが、本作の結末はそれらとは全くタイプが異なる。
『ワンダーウーマン1984』は、より勧善懲悪的というか、「正しい思想は1つだぜ!」と声高らかに叫んでいるようだ。最近のヒーロー映画らしくなくて興味深い。
価値観は1つということになる。
多様性がなければ、欲望の価値観が勝者への鍵である資本主義と、ある面では同じといえるだろう。その辺りが世界平和と矛盾している気もする。
映画『ワンダーウーマン1984』あらすじ完全ネタバレ解説
あらすじ起:ダイアナとバーバラ
第一次世界大戦から数十年経った1984年。
ダイアナ・プリンス(ガル・ガドット)は、考古学者としてスミソニアン博物館で働きながら、ワンダーウーマンとして陰ながら市民の平和を守っていた。
ある日、ショッピングモールの高級ジュエリー店に強盗団が入り、女の子を人質に取った。ワンダーウーマンはヘスティアの縄(光る投げ縄)を使って犯人たちをまとめて縛りあげ、警察の車両に突き落とす。
そんな中、スミソニアン博物館に、垢抜けない女性宝石学者バーバラ・ミネルヴァ(クリステン・ウィグ)が新しく雇われた。彼女は、先日の強盗事件があったジュエリー店で裏取引されていた年代物の宝物を鑑定するように依頼される。
ダイアナがバーバラのもとにやってきて、その中の一つの茶色く光る石(ドリームストーン)に興味を持つ。ラテン語で、願いが叶うと書いてあり、ダイアナはスティーヴのことを想った。
ダイアナとバーバラはディナーで意気投合。帰りに酔っ払いの男性に襲われそうになったバーバラを、ダイアナが助ける。バーバラはその夜、ドリームストーンを手に握りながら「ダイアナのようになりたい」と強く願った。
女の嫉妬は猫も食わないニャ
あらすじネタバレ承:スティーヴ復活,マックスの野望
翌日、石油実業家のマックス・ロード(ペドロ・パスカル)がスミソニアン博物館にやってきて寄付を申し入れる。セクシーになったバーバラが博物館を案内し、二人は急接近。その夜、マックスが開いたパーティーにバーバラも参加。マックスとバーバラはオフィスで愛し合う。マックスはラテン語に詳しい知人がいると言って、ドリームストーンを持ち出して、石の化身となった。
パーティーで見知らぬ男性に声をかけられたダイアナ。外見は違うが、魂はかつて共に戦って命を落とした恋人スティーヴ(クリス・パイン)のものだとわかり、二人は強く抱き合った。
ダイアナはスティーヴに“1984”年を案内して街を歩いた。そんな中、石の秘密やマックスの悪事に気づき、阻止を決意。
石の力を得たマックスは、自分の願いを他人の口から言わせ、代わりにその人物から“代償”を手に入れることで、石油を掘り当て大成功。祖先の領土を取り戻したいと話すエジプトの石油王の願いを叶えると言うと、領土があった地域を囲むように巨大な壁が出現。マックスは見返りに、石油王の私兵を全員連れて帰ってしまう。壁の出現により、辺り一帯は緊張状態になった。
スティーヴに飛行機を操縦させ、ダイアナもエジプトに到着。車で移動していると、護衛車に囲まれたマックスを発見。
ワンダーウーマンに変身して大型車両をなぎ倒して行くが、パワーが弱まっていたため逃げられてしまう。
ドリームストーンでスティーヴが生き返った代償として、力を失いかけているのだ。
あらすじネタバレ転:バーバラ変貌、スティーヴさよなら
ダイアナたちはアメリカへ戻り、ドリームストーンについての文献を持つシャーマンに会いにいく。文献を読むと、ドリームストーンを得た文明は滅びるとの歴史が書かれていて、石を破壊するか、願いを取り消すかしか止める方法はないらしい。
バーバラは願いを取り消すことを拒否して逃亡。以前自分を襲おうとした酔っ払いの男性をボコボコにする。
女性を敵に回した場合の最悪な結末にゃ!
一方、マックスはホワイトハウスにいる大統領に会いに行き「核ミサイルがもっと欲しい」という願いを聞き入れ、その代わりに絶大な権力を手に入れる。しかし石の力に蝕まれ、体は徐々に弱りつつある。
ワンダーウーマンがマックスを止めようとするが、バーバラが立ちはだかり、倒せなかった。
スティーヴは「このままじゃ勝てない、人類が滅びる」とダイアナを説得。「願いを取り消す」ダイアナはそう言って涙を流して飛び去る。スティーヴの魂は消えた。
投げ縄で雷をつかんで空を飛ぶ。ダイアナはアマゾンの伝説の戦士・アステリアの黄金の鎧を身にまとい、マックスのもとへ向かった。
あらすじネタバレ結:ワンダーウーマンの呼びかけ
マックスは世界中のテレビ局と通信をつないで演説をはじめ、願いを言えと人々に呼びかける。「金持ちになりたい」「有名になりたい」などの欲望が次々に叶えられ、マックスは代償として世の秩序を奪い、肉体を回復させる。そしてバーバラにさらなる力を与え、彼女はチーターという怪物に変貌した。
黄金の鎧をまとったワンダーウーマンが空から舞い降り、マックスの部下たちを倒して行く。
しかし、チーターが立ちはだかり、壮絶な戦いが繰り広げられた。水の中で争う二人。ワンダーウーマンは高圧電線を水に浸し、チーターを気絶させた。
世界中継して人々の欲望を叶えていくマックス。アメリカがミサイルを配備しソ連と戦争が開始される。各地が大パニックになっていた。
ダイアナはドリームストーンを司る邪神のパワーで吹き飛ばされそうになるが、マックスの足を真実の投げ縄でつかみ、世界の人々に「願いを取り消して」と語りかけた。マックスは息子のことを思い出し、彼自身も願いを取り消した。
飛んでいたミサイルが破壊され、アメリカとソ連は停戦。世界に再び平和が訪れる。
クリスマス、ダイアナが一人で歩いていると、スティーヴの魂が乗り移った男性が偶然現れ、二人は少しだけたわいもない会話をする。
ある街では、まだ生きていた伝説の女王・アステリアが少女を救っていた。
END
ワンダーウーマン1984の考察,解説・感想まとめ
ワンダーウーマン1984は石で願いを叶えるファンタジー要素を強め、登場キャラが光り、資本主義を批判しているとお分かりいただけただろうか。
特にファンタジーと資本主義批判という相容れない要素を取り入れた点が面白い。
何にせよ、DCコミックス制作の前作『ハーレイクインの覚醒』みたいに、コケなくてよかった(コロナのせいで興行的には失敗となってしまったが…)。
- DCコミックス, アクション
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