映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ティモシー・シャラメが若き日のウィリー・ウォンカを演じます!
作品情報・キャスト
あらすじ
視聴しての正直な感想・評価(ネタバレあり)
良い点・ダメな点・予告詐欺について
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』作品情報
制作国:アメリカ
上映時間:1時間58分
原題:『Wonka』
ジャンル:ミュージカル・ヒューマンドラマ・ファンタジー
年齢制限:G(年齢制限なし)
監督:ポール・キング(『パディントン』)
脚本: サイモン・ファーナビー&ポール・キング
原作: ロアルド・ダール『チョコレート工場の秘密』(1964)
撮影:シェイマス・マクガーヴェイ
音楽: ジョビー・タルボット
キャスト
ウィリー・ウォンカ|cast ティモシー・シャラメ(『DUNE/デューン砂の惑星』『ドント・ルック・アップ』『フレンチ・ディスパッチ』)(吹き替え|花村想太 Da-iCE)
ヌードル|cast ケイラ・レーン
アーサー・スラグワース|cast パターソン・ジョセフ(英語版)(吹き替え|岸祐二)
ミセス・スクラビット|cast オリヴィア・コールマン(吹き替え|松本梨香)
ウンパルンパ|cast ヒュー・グラント(吹き替え|松平健)
プロドノーズ|cast マット・ルーカス(吹き替え|関智一)
フィクルグルーバー|cast マシュー・ベイントン(英語版)(吹き替え|武内駿輔)
警察署長|cast キーガン=マイケル・キー(吹き替え|長田庄平 チョコレートプラネット)
神父|cast ローワン・アトキンソン(吹き替え|松尾駿 チョコレートプラネット)
アバカス|cast ジム・カーター(吹き替え|平林剛)
アファブル|cast コブナ・ホルドブルック=スミス(吹き替え|森久保祥太郎)
ブリーチャー|cast トム・デイヴィス(吹き替え|石井康嗣)
ラリー|cast リッチ・フルチャー(吹き替え|山本高広)
パイパー|cast ナターシャ・ロスウェル(吹き替え|斉藤貴美子)
ロッティー|cast ラキー・ザクラル(吹き替え|早見沙織)
ウォンカの母|cast サリー・ホーキンス(吹き替え|本田貴子)
『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』あらすじ
ウィリー・ウォンカ(ティモシー・シャラメ)は、帽子いっぱいの夢と12枚の銀貨を持って世界一のチョコレートの店を開こうと街にやってくる。
ウォンカは靴磨きの少年や困っている女性に銀貨を全部あげてしまい、お金がない状態で野宿しようとした。
ブリーチャーという男性が見かねてウォンカをミセス・スクラビット(オリヴィア・コールマン)の宿兼洗濯屋に案内する。
スクラビットは「稼いだら払えばいい」とウォンカに契約書にサインをするようにすすめた。
字が読めないウォンカはサインをした。しかしそれは罠だった。
ウォンカは1晩泊まっただけで1万日の無償労働を強いられ、宿に閉じ込められる。
他にも4人の男女が宿に閉じ込められ、街の洗濯物を洗う仕事をしていた。
ウォンカは宿で働く孤児・ヌードルの助けを得て日中に外に抜け出し、チョコレートを売る。
ウォンカの摩訶不思議で絶品のチョコレートは人々を魅了した。
街のチョコレート会社の社長/アーサー・スラグワースはウォンカの才能を恐れ、警察署長にチョコレートの賄賂を払ってウォンカをつぶすように依頼。
さらにウォンカを見張るウンパルンパ(ヒュー・グラント)が大量のチョコレートを盗んでいく。
ウォンカとヌードルは、署長やスラグワースたちの妨害をかいくぐり、とうとう念願のチョコレートショップをオープンするが…。
ちょこっと感想・ネタバレなし
チョコレートに夢を託す青年・ウォンカと夢なき孤児・ヌードルの友情と、甘くファンタスティックな映像の数々が楽しめます。
ストーリーも細かい設定がつながっていないので、別の作品として見たほうが楽しめると思います。
※以下、映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のストーリーネタバレありなので注意してください!
『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ネタバレ感想・評価レビュー
良かった点
ウォンカの帽子からポッドなどさまざまな小道具が出てくるのも面白かったですが、特にワクワクしたのはウォンカのカバンがポータブルのチョコレート工場になっているアイデア!
ミセス・スクラビットの宿に閉じ込められたあとに、ポータブルチョコレート工場でヌードルに希望のチョコを作ってあげるくだりは、本当にワクワクしました。
ウォンカが店を開くシーンもステキでした。桜の木を中心にさまざまなチョコレートをお客たちが群がります。
ホバーチョコレート(飛べるチョコ)のアイデアもグッド!
こんなチョコレートあったら最高ですね。夢見心地になりました。
ウォンカとヌードルが風船で夜の街を飛び回るシーンも感動しました。本作で1番好きだったシーンです。
ダメな点・ひどい点
前作が濃厚なダークチョコレートだとすると、今作は誰でも食べられるミルクチョコレート!
前情報なしで鑑賞したのでびっくり。前作のティム・バートン版を音楽で盛り上げてくれた作曲家ダニー・エルフマンが参加していない!のですね。
ティム・バートンがいないことより、ダニー・エルフマン不在のほうが痛手です。
結果、ミュージカルの音楽がすごく普通のものばかりで、その点については本当にガッカリしました。
『オーガスタス・グループ』みたいなブッ飛んだ曲が1曲もないんですよ…。
ちょっと狂った鬼才が作曲した前作の音楽と比較すると、今作の曲は悪い意味ですごく優等生に聴こえました。
ウンパルンパが大勢で踊るシーンもない(ヒューグラントが1人でちょっと踊るだけ)。
前作の雰囲気に寄せなければならない法律はないですが、狂った曲と狂ったダンスという一番魅力的な部分を踏襲しないのはいかがなものかと思いました。
私の親戚に前作の『チャーリーとチョコレート工場』が好きすぎて一時期毎日見ていた人がいますけども、そういった熱狂的なファンは本作を見て困惑するのでは!?
ウンパルンパの登場シーンも案外少なかったですね(予告ではずっと出てる感じだったのに)。ウンパルンパのシーンをもっと見たかったです。
映画全体の完成度は決して低くありませんが、攻撃性や中毒性がない本作は悪くいえば続編で金儲け主義で作ったふうに見えてしまいました。
味気ないウィリー・ウォンカのキャラ
ティモシー・シャラメが演じるウィリー・ウォンカのキャラクターも味気なかったです。
チョコレート作りにかけては天才で、他の点においてはアホという…わかりやす過ぎるキャラクター。
ジョニー・デップが演じる影のあるウィリー・ウォンカのほうが魅力的だったと思います。
本作のウィリーはコンプレックスを持っておらず、ジャンルは違いますがワンピースのルフィみたいな感じですね。
チョコへの狂気がうすい点は前作とは大きく違う点ですね。
『チャーリーとチョコレート工場』と設定は同じだけど、本質的な部分は全然ちがう別作品です。
子どもが見る分には素敵な作品かもしれませんが、大人が見て何か学ぶにはちょっと底が浅いストーリーでした。
チョコレートと人間の欲望
前作『チャーリーとチョコレート工場』では、チョコレートのダークサイドがしっかり描かれていましたが、本作ではそれがない!
チョコレートは甘い夢がつまった最高のお菓子ですが、裏を返せば欲望のかたまりでもあります。私たちはそれをよく知っているはずです。
一旦食べたら止まりません。食べ過ぎたらすぐに太ります。
さらにチョコレートの原料となるカカオ豆はアフリカなど途上国の児童労働でまかなわれています(→参考記事)。
前作ではチャーリー以外の子供たちは、みんなチョコレートやその他の欲望に取りつかれているようでした。
ウンパルンパが工場でチョコレートを作っている様子は児童労働のメタファーっぽいですよね。
本作ではチョコレートを食い過ぎた警察署長や神父(Mr.ビーン)がダークサイドなんでしょうけど、基本的にチョコレートは夢のお菓子として描かれています。
これだと、子どもが見ても学びが少ない気もします。
ミセス・スクラビットも悪いヤツでしたけど、単に悪いだけでストーリーに深みを与えるようなキャラクターだとは思いませんでした。(オリヴィア・コールマンが演じるキャラクター自体はすごく魅力的でしたが)。
予告詐欺では?
Twitterでコメント頂いて知ったのですが、本作は実は『夢のチョコレート工場』(1971)の前日譚として作られたようです。
しかし、日本版の予告では『チャーリーとチョコレート工場』のはじまりの物語!とはっきり言っています。
小説『チョコレート工場の秘密』の内容の前日譚と言うならまだしも、『チャーリーとチョコレート工場』は2005年の映画しか指しません。
これは予告詐欺と言われても仕方ないですね。
CineMagの点数 | 75点 |
世界観 | 88% |
ストーリー | 56% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.6(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 84% 一般の視聴者 % |
メタスコア(Metacritic) | 68(100点中) |
最後のまとめ
『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は、素敵なシーンと甘いチョコレートに彩られた映画でしたが、『チャーリーとチョコレート工場』の続編・前日譚とはいえない作品でした。
昔に比べると、本作だけでなくたくさんの作品から毒が抜かれている気がします。
ハリウッドはマーベルやDCなどヒーロー映画が主流になり、他の作品からも毒やクセのようなものが抜かれている気がして心配です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』レビュー終わり!
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