HBOの傑作ドラマ『ウエストワールド/シーズン1』のあらすじをネタバレありで解説!
さらに、ウィリアムやフォードの理想について徹底考察しています。
哲学的な難解さとどんでん返しの連続が楽しめる超傑作!
ウエストワールドの魅力/すべての会話が哲学的
『ウエストワールド』は、 A.I.の自我を問いかける緻密な物語だった。
自我の問いかけは、すべて哲学的な問題とイコールになる。
登場人物のセリフ全部が哲学っぽくてとても興味深かった。
意識や自我とは何なのか?高度なロボットと人間に違いはあるのか?
ひたすら問われ続けるのだ。
創造主になったフォードとアーノルドの理想
フォード( アンソニー・ホプキンス)と、共同開発者のアーノルドは意見を対立させていた。
30年前、アーノルドはホストが“自我”を持つことを知り、ウエストワールドの開園を中止しようと言う。それを阻止するためにフォードが彼を殺したと思われたが、実態は違ったのが、どんでん返し的で素晴らしかった。
ホストたちを守りたかったアーノルドは、自らをドロレスに殺させることで開園を中止しようとし、ホストが自我を持つためのトリガーになったのだ。(ドロレスはウエストワールド最古のホストで、30年前にワイアットを演じ、バーナードはそのシナリオを利用して殺していた。)
一方、フォードはすべてのホストを支配して権力を維持しているかと思われたが、アーノルドの意志を30年に渡って継いでいたことが判明。
フォードは、ホストたちが人間と争って勝つにはまだ時間が必要だと考え、30年間淡々と計画・観察していたのである。
自分とアーノルドが生み出したホストを芸術作品のように感じ、ウエストワールドから脱出させることまで計画済みだった(シーズン2でより具体的な計画が判明)。
フォードの目的は、人間に変わる次の支配生命体を生み出すことだったといえるだろう。その点がアーノルドと共通だったのだと思う。
フォードは次の世界の創造主になりたかったのだ。
その結果、人類は滅亡してもいいと考えているのだろうか?
常軌を逸しているが、彼は A.I.に人類が持っていない純粋さを見いだしたのだろう。
人間社会の次の世界はこうやってつくられるのかもしれない。
ホストが自我を持つプロセス考察/夢幻レヴェリー
アーノルドが考えていたホスト( A.I.)が自我を持つプロセスは、
- 即興
- 記憶
- 自分との対話
だったとわかる。迷路のように三つが折り重なり、3の自分との対話で自我が形成されるイメージだ。
夢幻(レヴェリー)は、特定の記憶を保持させてプログラムにない動きをするものであり、アーノルドが発見したコードだった。
レヴェリーが記憶の断片を保持させ、ドロレスは自分自身との対話まで達成し、A.Iとして新たなステージに立つ。
「もしかしたらドラマ『ウエストワールド』は人間の自我の確信に迫っているかもしれない!」
そう思わせてくれるリアリティがあった。
ウィリアムと黒服の男の秘密
ウィリアムという気の弱そうな男性が出てきて、ドロレスに真剣に恋をしてしまうが、実はこれが30年前の過去の話だった。
そして、ドロレスに暴力を働いていた黒服の男がウィリアムだとわかるシーンに鳥肌が立った。
現在はホスト殺しまくりおじいちゃんになっていたウィリアムだが、その裏には A.I.のドロレスに本気で恋をして、彼女がそれを忘れてしまったことに対する葛藤があったのだ。
純愛が狂気に変貌した。しかしまだ当初の想いを心の淵に残しているようで、ドロレスがプログラムを超えて反乱を起こした様子を見て笑っていた。
彼はおそらく本当にうれしかったのだろう。30年前の恋が偽りでないとわかったのだから。
シーズン1はドロレスの反乱で終わり、ぶっちゃけここで終わってもいいような素晴らしいクオリティだった。
ウエストワールドシーズン1まとめ!予想できない展開の連続と知的好奇心
『ゲーム・オブ・スローンズ』や『Raised by Wolves/神なき惑星』など傑作ドラマを多数輩出しているHBOが生み出した『ウエストワールド/シーズン1』。
類稀なる完成度と、予想できないサスペンス展開の連続。そして何より、知的好奇心を存分に満たしてくれる稀有なドラマだった。
現在完全な答えは出ていない「 A.I.は人間を超えるのか?」や「共存できるのか?」の問いに緻密な設定・プロットで答えてくれた。
ウエストワールドシーズン1/全10話あらすじネタバレまとめ
シーズン1全10話分のストーリーをわかりやすくまとめました。
ウエストワールド,記憶を保持したホスト
ロバート・フォード( アンソニー・ホプキンス)が創設した、人間と遜色ないA.Iアンドロイド“ホスト”が西部開拓時代に模した地域で生活するテーマパーク“ウエストワールド”。
ここにやってきた人間たちは、ホストと肉体関係を持つもよし、襲って殺すのも自由。まさに倫理から解放された理想の楽園だった。
殺されたホストたちは回収されて修繕され、次の日には記憶を消去されてシナリオ通りの配置につく。
ホストのドロレスが恋人のテディと一緒にいると、30年以上ウエストワールドに通う黒服の男に襲われて殺されてしまう。しかし、翌日も記憶を消され、同じように生活していた。
彼女の父ピーター・アバーナシーはある日、ある人間が落とした古い写真を見て、この世界とまったく違うことに違和感を抱く。ドロレスはピーターから「この世界から抜け出せ」とささやかれる。
まもなくピーターは不具合が出たとして倉庫に入れられた。
娼婦メイヴの覚醒
ウエストワールドのバーの娼婦ホスト・メイヴ( タンディ・ニュートン)は、覚えのない“娘と暮らしていた記憶”を不思議に思う。
メイヴは人間に殺された後、ウエストワールド社内で突然目覚め、修繕担当のフェリックスを驚かせる。メイヴはフェリックスを脅して自分の知性をMAXにし、コードを書き換えて記憶が消えないようにさせた。
さらに他のホストに命令できるようにプログラムさせ、ウエストワールドから抜け出すことを決意。
バーナードの驚き
技術担当のバーナード・ロウは、息子・チャーリーを無くしたことに苦しみながら生きている。品質部のトップの テレサと不倫をしていたが、部下のエルシーの調査で テレサが外部に信号を送っていると判明した。そんな中、エルシーが行方不明に。
テレサはウエストワールドの親会社で役員会をまとめるシャーロット・ヘイル(テッサ・トンプソン)と協力し、創設者のフォードを追放しようとしていた。
バーナードは テレサを、パーク内のある館に連れ出す。そこにあったのはバーナードの設計図で、 テレサはパニックになる。フォードがやってきてバーナードに命令し、 テレサを殺害させた。
バーナードは、自分がホストだったことと、 テレサを殺したことに悩む。
フォードは30年前に死亡した共同創設者・アーノルドと瓜二つにバーナードを作ったと語った。エルシーもバーナードが襲っていたことが判明。
変貌するウィリアム
取引会社の経営者の娘と婚約したウィリアムは、婚約者の兄・ローガンと一緒に、はじめてウエストワールドにやってきた。
当初は倫理観を重んじてホストを殺すことなどできなかったウィリアムだったが、ホストのドロレスと会って彼女に本気で恋をし、園内での任務中にホストを大量に殺すようになる。
フォードの真のシナリオ
フォードは新しいシナリオを完成させるため、園内を改造などしている。しかし、シャーロット・ヘイルがやってきて役員の全会一致で会社のトップを追われることになった。
一方パーク内では、30年以上パークに通い、秘密を探り続けている黒服の男が“大量殺人鬼ワイアット”のシナリオに乗っ取り、ドロレスを捕まえて従わせ、パークの鍵である迷路の中心にやってきた。しかしそこにあったのは迷路のオモチャだった。
ドロレスは「ウィリアム」が助けに来るというが、黒服の男が「俺こそが30年通っているウィリアムだ」と笑う。
ウィリアムはドロレスをナイフで刺す。テディがやってきてドロレスを連れ出した。
テディは浜辺にたどり着き、ドロレスを抱きしめたところで停止。
フォードがやってきて「ついにシナリオは完成した」というと、見ていた関連企業の重役たちが拍手を送る。新シナリオ完成パー ティーが始まり、ウィリアムも出席している。
スピーチを終えたフォードは、ドロレスに自分を撃ち殺させた。
パニックになる会場の周りにいつの間にか、メイブが解放したホストたちが銃を持って待ち構えている。
ウィリアムは襲撃を見て、笑みを浮かべた。
メイヴはウエストワールドを脱出しようとするが、一緒に暮らしていた子どものことを思い出し、園内に戻る。
ドラマ『ウエストワールド』シーズン1 END
関連記事
映画『レミニセンス』(原題:Reminiscence)は、記憶潜入を警察から依頼された人物が、失踪した恋人の過去から陰謀を暴いていくスケールの大きなSF作品。 ヒュー・ジャックマン主演で、『ウエストワールド』のスタッフが集結しています[…]
- SF・ファンタジー, サスペンス
- HBO, アンソニー・ホプキンス, ジョナサン・ノーラン, ネタバレ, 全話あらすじ, 感想, 登場キャラ・キャスト, 考察
- 2945view