Netflix映画『トリッキー・ワールド』あらすじネタバレ解説・感想!ゲスなギャングと移民問題を評価

Netflixオリジナル映画『トリッキー・ワールド』(原題:Jagame Thandhiram)は、ゲスなギャングがイギリスではちゃめちゃに暴れるうちに本当に大切なものは何かを知るインド発のマフィア物語!

無慈悲なバイオレンスから社会問題が浮かび上がってきます。

ストーリーのあらすじネタバレを解説し、評価感想をまとめています。 移民問題についての考察もあり。

Netflix『トリッキー・ワールド』作品情報・キャスト

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公開・制作国:2021年 Netflix インド・タミル

監督・脚本:カルティック・スバラージ

主演: ダヌーシュ

出演:アイシュワリヤー・レクシュミ

トリッキー・ワールド感想・評価76点

映画トリッキーワールドのお祭り騒ぎシーン

Netflix映画『トリッキー・ワールド』の評価は76点。

ストーリー自体はそれほど面白くありませんでしたが、歌って踊るインド映画らしいシーンもありつつ、マフィア抗争や 移民問題を強烈に描いていました。

流行りの韓国ドラマ『ヴィンチェンツォ』ガイ・リッチー監督の映画『ジェントルメン』のようにコメディ要素もありつつ、残酷な殺しのシーンもある作品ですね。Netflix『エクストレモ』よりはグロくはないです。

本作で面白いと思ったのは、主人公のギャング・スルリが移民を弾圧する側のマフィアについたことです。そこから同族タミル人組織に寝返るのかと思いきや、ボス・シヴァダスを裏切って殺してしまいます。

シヴァダスは移民の受け入れや、現地で他のギャングに襲われないように世話をしたりしていたようです。

移民を守る義賊・シヴァダスをクズな主人公・スルリが殺す展開は斬新で衝撃的でしたし、差別の問題が同族同士で行われている問題的にもなっていました。

タイトルのトリッキーワールド(複雑で扱いにくい世界の意味)に相応しい予想できない内容ですね。

あと細かい点で言えば、インドのタミル人が葬式の時に大声で歌って踊り出すのが新鮮に映りました。死者を盛大に弔おうということでしょうか。パーカッションの効いた インド音楽が随所で楽しめました!

スルリはリアルなギャング?貧困が生んだ悪人

映画『トリッキー・ワールド』の主人公・スルリ

まったく相手側の事情を考えず金だけで人を容赦なく殺す主人公・スルリには、案外リアルな悪人像が反映されているのかもしれません。

スルリは幼い頃に父に死なれ、母が苦労して育ててきたインドの 貧困層出身です。おそらく教育も満足に受けていないでしょう。相手のことを思いやるだとか、ロンドンの 移民問題などの事情など、本当にこれっぽっちも知らなかった可能性があります。

仕事で人を殺すような悪人は、その人が最初から悪かったわけではなく、貧困や環境のせいで生まれるのかもしれないと深く考させられました。

カースト制度への問題提起

主人公スルリが、「 カーストなんて!国外に出ればインド人はみんな白人に見下される」と言っていたのが印象的でした。

人種差別を解決しなくてはならないのに、同族同士で差別し合ってどうする!?というかなり強烈でシニカルなメッセージを伝えていると思います。

一方で、 カースト制度を否定するような発言なので「インド映画でインド人も見るだろうに、この発言大丈夫かな?」とちょっと心配してしまいました。

それは置いておいて、インドに住んで外国を知らなければ カースト制度に疑いの余地は生まれないでしょう。スリルは初めて国外に出て、階級や差別について自分なりの考えを持てたわけです。

カーストで身分が固定されているインドでは結婚や仕事が制限されているわけで、映画『トリッキー・ワールド』のような作品が増えて、その垣根がなくなればいいなあと感じました。

ただし、一族で仕事を受け持つなど カーストにはかなり優れている面もあるようなので、撤廃すれば大多数の人が幸せになる単純な問題ではないかもしれません。

制度をどうするかはまだまだ先の話になると思いますが、『トリッキー・ワールド』を視聴したインド人同士で議論できるようになればいいですね。

同族同士の争い

映画『トリッキー・ワールド』が1番に伝えたかったのは、移民の問題が意図的に移民VS移民の問題にすり替えられている!というメッセージだと思います。

タルミ人の主人公・スルリが同族のマフィアのボス・シヴァダスを裏切ったのがその象徴といえるでしょう。

移民側の視点で考えれば、市民権を得たいのに 既得権益ではなく他の移民に怒りが向いてしまうのはマイナスでしかありません。

本作は全世界の移民に向けて「進むべき方向を間違えるな」と伝えているのかもしれませんね。

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