Netflix映画『ザ・キラー』クールな熟練の暗殺者が最悪なミスを犯し、自身の人生の清算を迫られて復讐に燃える重厚なノワール!
作品情報・キャスト
あらすじ・ネタバレなしの感想
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
視聴後の正直な感想と評価(ネタバレあり)
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
Netflix映画『ザ・キラー』作品情報・キャスト
制作国:アメリカ
上映時間:119分
原題:『The Killer』
ジャンル:サスペンス・アクション・クライム
年齢制限:16歳以上推奨
監督:デヴィッド・フィンチャー
脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
キャスト
暗殺者|cast マイケル・ファスベンダー
殺し屋・エキスパート|cast ティルダ・スウィントン(『アラビアンナイト 三千年の願い』『フレンチ・ディスパッチ』)
殺し屋・ブルート|cast サラベイカー
弁護士・ホッジス|cast チャールズ・パーネル
マグダラ|cast ソフィー・シャーロット
依頼人・クレイボーン|cast アーリス・ハワード
映画『ザ・キラー』あらすじ Netflix
凄腕の暗殺者(マイケル・ファスベンダー)は、入念に準備したパリでの暗殺に失敗。
暗殺者は証拠を処分しながら、飛行機で家があるドミニカ共和国へ帰る。
家に帰ると血の痕跡があった。
病院へ行くと、何者かに暴行されて重症の妻のマグダラがベッドに横たわっていた。
暗殺に失敗した暗殺者の代わりに殺されそうになり、逃げたと言う。
暗殺者は復讐を決意する…。
ネタバレなし感想・海外評価
暗殺者が自分の心情を独白しながら淡々と復讐を遂げていくという、ある面で起伏のない映画なんですけど、なぜだかすごくおもしろい!
関係者を冷徹に殺していくアクションシーンも、リアリティがあってすごくいいです。
暗殺者が奮闘する姿はなぜか笑えたりします。
派手なアクション満載ではなく、挑戦的なコンセプトの作品なので見る人を選ぶかもしれませんが、映画好きは必見の力作!
海外評価も非常に高いです。
おすすめ度 | 80% |
独特の世界観 | 97% |
ストーリー | 80% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.4(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 87% 一般の視聴者 80% |
メタスコア(Metacritic) | 72(100点中) |
※以下、Netflix映画『ザ・キラー』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ザ・キラー』ネタバレあらすじ解説
妻を襲った殺し屋たちを探す!
暗殺者は、家まで怪しい二人組を乗せたというタクシーの運転手・レオを探し出した。二人の特徴を聞き出すと、暗殺者はあっさりレオを殺害。
暗殺者は、暗殺の仲介者・ホッジス弁護士がいるニューオーリンズの事務所へ。
ホッジスから妻に手を出した暗殺者の正体を聞き出すつもりだったが、釘を胸に打ち込むとすぐに死んでしまった。
暗殺者はホッジスの助手・ドロレスから妻を襲った2人の殺し屋、ブルートとエキスパートの住所を聞き出すと、ドロレスを殺害。
暗殺者はフロリダのブルートのところへ。格闘の末、彼を殺害する。
ラスト結末
暗殺者は続いてニューヨークにいる殺し屋・エキスパート(ティルダ・スウィントン)のところへ。
暗殺者は高級レストランにいるエキスパートの向かいに座る。
暗殺者はエキスパートを川に連れ出して銃殺した。
暗殺者が最後に向かったのはシカゴにいるクライアントのクレイボーンだ。
暗殺者はクレイボーンのペントハウスにやってきて銃を向ける。
クレイボーンは「仲介者のホッジスから暗殺の失敗を聞かされ、追加の15万ドルで証拠を隠滅したほうがいいと言われたから了承しただけだ」と話した。
暗殺者はクレイボーンを殺さずにドミニカへ帰る。
数カ月後、暗殺者は退院した妻と悠々自適に暮らしていた。
Netflix映画『ザ・キラー』ネタバレ感想・評価
デヴィッド・フィンチャーによる斬新すぎる傑作
本作の斬新なポイントは主に3つ↓
- 会話は成立しておらず、ほぼ暗殺者の独白
- ストーリーがほぼない
- 暗殺者を冷徹なマシンのように描きつつ、全体を通して人間味を表現している
まず冒頭15分くらいずっとマイケル・ファスベンダーの暗殺哲学を聞かされます。
その間のロケーションはホテルの向かいの無人ビルで、ヒッチコックの『裏窓』みたいなワンシチュエーション映画か!?と思いました。
その後、暗殺に失敗して復讐に乗り出す過程でも、ほとんど暗殺者の独白。
暗殺者は、殺し屋や仲介者と会話をするにはします。
しかし実際は会話というより、暗殺者は情報だけを聞き出そうとしていて不必要なことには一切耳を傾けていないように見えました。
「情報だけ聞いたら殺そう!」と最初から自己完結しているのです。こんなの会話ではありません。
ザ・キラーというタイトルですが、俯瞰的にとらえると映画において重要な会話を殺しているヤバい映画です。
ストーリーも骨組みだけで肉がありません。
暗殺者が仕事に失敗し、暴力を受けた妻のために依頼人たちに復讐する流れはありますが、それぞれの登場人物のバックボーンは一切語られませんし、仕事の内容などディティールも一切語られません。
移動も無表情で飛行機です。
デヴィッド・フィンチャー監督のやりたかったことが成功していた印象です。
また、ディティールは語られませんが『ザ・キラー』は暗殺者の人間味があふれるヒューマンドラマとしても成立している点が素晴らしいです。
暗殺者は最後の妻と一緒にゆったり過ごしているシーンの独白で「予測不能な人生を認められないなら、あんた(視聴者)も俺と同じで数あるうちの1人だ」と言っていました。
(冒頭の独白では「数少ないものであれ」と言っていたので、最初と最後で心境が変化していることがわかります。)
「予測不能な人生を認められない」。この言葉は、妻との人生が予測不能な危険なものでは耐えられないということでしょう。
運命なんて気休めだと言っておきながら、すべてが予測不能な偶然とも思いたくない微妙な心情が表現されています。
「妻との出会いは運命だと信じたいし、これからも一緒に幸せに暮らしたい」という気持ちを暗殺者がストレートに言語化できなかった結果、ややこしい表現になったような気がします。
ネトフリではサスペンスのカテゴリで、確かにサスペンスなんですけど、メインテーマは暗殺者が復讐の過程で自分が人間だと気づくヒューマンドラマだったと思います。
度肝を抜くアクション!
暗殺や格闘のシーンは少ないものの、リアリティや迫力が半端ない!
会話中に相手を殺害しちゃうのがリアルに見えます。映像の撮り方もすごく上手いのでビビります。
中盤の暗殺者とブルートの近接戦闘は見応えバツグン!
過激なアクションが躊躇なく展開されて痛快で、ジョン・ウィックとも違う新たな見せ方だと思いました。
シュールなギャグに爆笑
暗殺者がその場の仕事が終えてから、銃などの証拠品をポイポイとテンポよく道のゴミ箱などに処分していく描写も大きな見どころでした。
所持品を処分していく過程を面白く見せるとは、斬新なアイデアですね。
こんなぽいぽい捨てるのか?と笑える面もありつつ、男の美学が凝縮されているような気がしました。
ブルートとの殺し合いでは暗殺者が引き出しを開けてゲットしたのは「すりおろし機」…爆笑です。
ティルダ・スウィントン演じる殺し屋が綿棒のような女と表現されていたのが笑えました。
確かにティルダ・スウィントンってほっそりしていて髪型も特徴あって綿棒みたいだけれど、それ言っちゃうのw
ティルダ・スウィントンが話した猟師と熊のドギツイ寓話も面白かったです。
猟師がクマの射殺に失敗してクマに“やられちゃう”話です。
暗殺に失敗してから復讐を楽しんでいる主人公の暗喩だったり、いつの間にかお金じゃなくて殺し自体が目的化していて辞められないエキスパートを表していると思いました。
クライアントのクレイボーンのペントハウスに忍び込むときも、Amazonで買ったスマートキー読み取り機を使っているのも爆笑。
本当の暗殺者もAmazonで道具をそろえたりするのでしょうか!?
ダメな点
映画としてダメな点は見つけられません。
デヴィッド・フィンチャー監督はやりたいことをほぼ完璧に成し遂げたと思います。
ただマイケル・ファスベンダーがずっと独白するくだりが何度もあり、ずっと退屈しなかったといえば嘘になります(笑)。
最後のまとめ
映画『ザ・キラー』は、復讐する暗殺者の殺しと独白を一方的に描くことで逆に彼の人間性や葛藤を浮かび上がらせたすごい作品でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。Netflix『ザ・キラー』レビュー終わり!
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