映画『サイレントラブ』声を失った山田涼介と、光を失った浜辺美波をピアノの旋律が繋ぎます。
作品情報・キャスト
あらすじ
ネタバレなしの感想
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
視聴後の正直な感想・酷評レビュー(ネタバレあり)
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『サイレントラブ』作品情報
制作国:日本
上映時間:116分
英題:『Silent Love』
ジャンル:ラブロマンス
年齢制限:G
監督:内田英治(『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』)
脚本:内田英治|まなべゆきこ
原作:映画オリジナル
撮影:木村信也
音楽:久石譲
原作小説はありませんが監督の内田英治によるノベライズ版は発売中です。
2024年2月23日には同じく内田英治監督のサスペンス映画『マッチング』も公開されました!
サスペンス映画『マッチング』土屋太鳳さんがマッチングアプリで怪しすぎるイケメン・佐久間大介さん(Snow Man)と出会い、連続殺人事件に巻き込まれていきます! シネマグ Filmarksで3.9と高評価なのが信じられない…[…]
『サイレントラブ』キャスト
沢田蒼|cast 山田涼介(『暗殺教室』『鋼の錬金術師』『大怪獣のあとしまつ』『BAD LANDS バッド・ランズ』)
甚内美夏|cast 浜辺美波(『君の膵臓をたべたい』『約束のネバーランド』『シン・仮面ライダー』『ゴジラ-1.0』『もしも徳川家康が 総理大臣になったら』『らんまん』)
北村優真|cast 野村周平(『ちはやふる』『ALIVEHOON アライブフーン』)
柞田|cast 古田新太(『シン・ゴジラ』『ヒノマルソウル』『空白』『KAPPEI カッペイ』『ヴィレッジ』Netflix『離婚しようよ』)
吉村界人(『A2Z』『Netflix 地面師たち』)
SWAY
中島歩
円井わん
辰巳琢郎
映画『サイレントラブ』あらすじ
音大の清掃員として働く声を失った男性・蒼(山田涼介)は、屋上から飛び降りようとしている美夏(浜辺美波)を助けた。
美夏はピアニストを目指していたが、どうやら交通事故に遭って視力を失ってしまったらしい。手の怪我でピアノが思うように弾けず、失望して飛び降りようとしていたようだ。
美夏は先生たちに連れられていく。
蒼は美夏が落とした鈴を拾った。
後日、美夏は1人で旧講堂でピアノの練習をしていた。偶然近くにいた蒼は、ピアノの演奏に聴き惚れる。
蒼は転んだ美夏を助けた。美夏は、蒼が自分が落とした鈴を持っているとわかり、屋上で助けてくれた人物だと理解する。
蒼と美夏は手の甲を1回叩いたらYesの意味と決め、コミュニケーションを取る。
美夏は蒼を音大生だと勘違いした。
蒼は自分が清掃員だと言い出せなかった。
蒼は夢に向かっていく美夏を応援したいと思い、鈴の音を使って音大の通学をサポートするようになる。
毎週土曜日は旧講堂の鍵を開け、美夏が自主練習できるようにした。
美夏は蒼のピアノ演奏を聴きたいと言う。
蒼は音大の講師の北村と出会い、たびたび金を払って自分の代わりに旧講堂で美夏にピアノを弾くように頼んだ。
3人の奇妙な交流が始まる。
映画『サイレントラブ』ネタバレなし感想
わりとシリアスな内容かな…と思っていたら、10代から20代前半の若い子向けです。
序盤は山田涼介が浜辺美波のストーカーにしか見えないなど、細かい部分にツッコミ出すとキリがありません。
細かい点には目をつぶって少女漫画を読んでいるつもりでピアノの旋律に身を任せるのですが、終盤の微妙な展開に思わず目をおおってしまいました。
良くも悪くも雰囲気を楽しむための作品です。
中盤の回想シーンは結構グロいのでお気をつけて!
おすすめ度 | 28% |
世界観 | 70% |
ストーリー | 20% |
IMDb(海外レビューサイト)※随時更新 | (10点中) |
※以下、映画『サイレントラブ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『サイレントラブ』ネタバレあらすじ解説
蒼が声を失った理由
金持ちの家出身だがピアニストにはなれず、音大で講師をしながらギャンブルで借金を作っている北村は、「おまえのフリをしてピアノを1回演奏する代わりに5万円よこせ」と言う。
蒼は金を工面するために、夜もスクラップ工場で仕事を始めた。
蒼の高校時代からの親友・けいすけは、働きすぎの蒼のことが心配になり、音大へ行く。そこで蒼が北村に金を渡しているのを目撃し、恐喝されていると勘違いした。
美夏は帰り道をサポートしてくれる蒼の手に触れ、「私を助けてくれた神の手だ」と微笑む。
蒼は、高校時代に喧嘩でけいすけを助けようとして喉を刺され、相手を刺して殺害してしまった過去を思い出す。自分の手は血で塗られていると心の中で思った。
北村が恋のライバルに
北村は、健気に美夏を思う蒼に感化され、次第に表情が和らいでいく。
しかし美夏のまえで蒼のフリをして演奏をするうちに、美夏に惹かれていった。
北村は蒼に「美夏と3人でドライブしよう。もちろん自分がピアノを弾いているとは言わない」と提案。
3人は車で海沿いをドライブする。雨の中にカフェに入るが人がおらず、蒼が裏手の家に店主を呼びに行った。
北村がカフェの中にあるピアノで美夏が口ずさんだフレーズを弾いた。
美夏は「あなたがピアノを弾いていたとなんとなく気づいていた」と言う。
北村は美夏に近づき、キスをする。
入ってきた蒼がそれを見て動揺し、雨の中で外にかけだした。美夏は北村を突き放した。
後日、北村は蒼のフリをして美夏に近づこうとするが、手の形でバレた。
北村はこの前のことを美夏に謝罪。
そのとき、バンに乗った男たちが北村と美夏を拉致する。
いっぽう、蒼はけいすけから「お前から金を巻き上げている北村に暴行を加えろと賭博場の男たちに依頼した」と聞かされる。
蒼はけいすけから聞いた廃墟へ原付で向かおうとするが、ちょうど音大内の盗撮事件で警察が来ており、前科のある蒼に向かってバイクから降りろと言う。
先輩の柞田(古田新太)が警察を抑える。蒼はバイクで走り去った。
廃墟では美夏の前で北村が男たちから暴行を受け、ドリルで手に穴を開けられた。
美夏が泣き叫ぶ。
蒼がやってきて男たちを倒していく。
美夏は鉄パイプを握り、蒼を助けようとする。しかし、視力がまだ回復していないため北村を殴ってしまった。
男たちは大怪我を負った北村を見て逃げ出す。
美夏は何が起こったかわからない。
蒼は鉄パイプの美夏の指紋をふき。警察がきたときに鉄パイプを掲げて逮捕された。
ラスト結末:2人は結ばれる?
その後、蒼は暴行の容疑で捕まり、刑務所へ入れられる。
美夏は蒼に面会に行き「私が北村さんを殴ったんだよね?」と聞く。
蒼は面会のしきりを2回たたく(違うの意味)。
美夏は蒼が自分のために嘘をついていると確信して泣き叫んだ。
けいすけが美夏に蒼からの手紙を届ける。「俺のことは忘れて幸せになってほしい」と書かれていた。
しばらく経ち、美夏の視力はだいぶ回復していた。
美夏は、大怪我を負って施設で過ごしている北村に会いにいく。
北村は蒼への義理や申し訳なさがあり、「俺を殴ったのは蒼だ」と言いはった。
回復した北村は美夏のピアノリサイタルの開催に尽力。
北村は美夏が自分に振り向いてくれないと悟り、すでに出所している蒼の居場所を教える。
美夏は船の清掃現場へ行き、「蒼さんはいますか?」と叫ぶ。
声を聞いて美夏の姿を見た蒼は、姿を隠そうとする。しかし鈴が落ちて気づかれてしまう。
美夏は蒼の方へ走る。トラックが来た。蒼が美夏を助けた。
2人は泥の水たまりの上でキスをする。
映画『サイレントラブ』終わり
映画『サイレントラブ』ネタバレ感想・評価
良かった点
声を出せない主人公が、鈴の音や手の甲で指をトントンとして光を失ったヒロインと交流する設定はロマンチックで素敵でした。
ハンディキャップを抱える者同士というわりとよくあるストーリーですが、美しい鈴の音にヒロインが導かれていくシーン自体に美しさや感動があります。
ヒロインの代わりに心情を吐露するようなピアノの音色も心に響きました。
ヒロイン・美夏役の浜辺美波さんが感情を抑える代わりに、ピアノの音符が情熱的に踊ります。それを旧講堂の外から見つめる山田涼介。
久石譲さんが作曲したメインテーマは『崖の上のポニョ』の曲みたいでしたけど、やっぱり美しい旋律でした。
野村周平さんが演じた北村も、クズキャラでしたけど実はピアニストの夢を諦めた過去があるとわかって感慨深かったです。
北村と家族の会話で、弟はコンサートピアニストだとわかるんですよね。
つまり北村は劣等感ありまくりの兄貴なわけで、感情移入の余地がしっかりあります。
ひどい点・残念な点
個人的にはストーリーが悪い意味で少女漫画チックに見えてしまいました。
コメディならまだいいですが、わりとシリアスな実写の恋愛映画にしてはリアリティラインが低すぎます。
まずひっかかるのが、北村がいいヤツになる流れです。
北村の心情の変化がやや唐突に見えました。
北村が恋のライバルというのは見せかけで、思ったよりいいヤツだったせいで、あっさり2人のサポート役・引き立て役に移行した印象があります。
北村はキャラ設定自体は良いですが、彼の微妙な心理描写をもっと表現したほうがいいと思いました。
- ドライブに誘って美夏になんとなくキスをし、蒼と美夏の恋愛を窮地に追いやる役割を果たす北村。
- クズキャラを演じて半グレにボコボコにされ、物語の盛り上がりを作る北村。
- 美夏にぶん殴られて重傷を負ったくせに、彼女がピアニストになるのを必死にサポートする北村。
大事な展開は全部北村が頼りです。
ストーリーを俯瞰すると、いいように使われているのがこの北村です。1つの人格をもったキャラクターというより、物語を推進するための装置に成り下がっています。
また、気になったのが蒼の親友・けいすけ。
蒼に相談もせずに勝手に北村をボコボコする手配すんなよ。
あとは半グレもなんで北村だけじゃなくて美夏もさらったの?
全体的にそれぞれのキャラクターがストーリーを盛り上げるために意図的に行動しているようにしか見えませんでした。
すごく厳しい言い方をすると、映画の中に生身の人間が1人もいない印象を受けてしまいます。
登場人物それぞれが1人の人間というより、映画のキャラクターとして振る舞っている感がすごいです。
あとは、身分の差のテーマもうまく解決されていないのも問題だと思います。
金持ちのお嬢様で天才ピアニストになった美夏と、船の清掃スタッフの蒼は今後やっていけるのでしょうか?
その辺が観客にぶん投げられて終わりました。
「最後に2人の泥臭くも美しいキスで終幕!」でもいいのです。
しかし身分の差をどう乗り越えるかの具体的な話が劇中でなかったので、「この2人うまくやれるかな…」と一抹の不安が残る変なラストに見えてしまいました。
最後のまとめ
映画『サイレントラブ』は、光コンセプトがあったいっぽう、ディティールが微妙すぎる凡作〜駄作の微妙な作品でした。
本作のような人間味が薄い映画はどの層がターゲットなのか気になりました。
山田涼介のファン?浜辺美波のファン?
ファン以外に関しては、少女漫画を読でいるのと同じ感覚を覚えたのではないでしょうか?
映画として公開するなら、生身の人間らしさ、キャラクターのリアリティが必要だと思います。
それがなければ「映画じゃなくてもよくない?」となってしまうので。
クオリティが低かったわけではないですが、邦画の悪い傾向が凝縮されたような本作を残念に思いました。
ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『サイレントラブ』レビュー終わり!
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