映画『セブン』考察ネタバレ「七つの大罪と殺し方」最悪のラスト結末!Se7enあらすじ伏線,別エンディング解説

  • 2024年4月7日

何を隠そうこの『セブン/Se7en』は私のサスペンス”原体験”映画であります!

最初観たときはまだ小学生でしたが、その時の衝撃が今でも忘れられない!

凄惨な内容にプラスして、究極の事件解決。子供ながら「サスペンス映画ってスゲぇ」と変な爽快感と感動を覚えました!

シネマグ
そんな傑作映画『セブン』の解説や考察をネタバレありでしていきます!

↓サマセットと犯人ジョン・ドゥに関しての考察は下記記事へ↓

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デヴィッド・フィンチャー監督の映画『セブン』
目次

映画『セブン』あらすじ

無情な犯罪が横行する街。

退職まであと7日のベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)の元に、若く経験も浅いミルズ(ブラッド・ピット)が赴任してきた。

それから間も無く、山盛りのスパゲッティに顔を突っ込んで、巨漢の男が死んでいるという事件が起こり、手足を縛られている事から他殺と判明。

サマセットは現場でスーパーのレシートを見つけ、買い物までしてスパゲッティを食わせた犯人に異常性を感じた。

次の事件被害者は敏腕弁護士で、現場である事務所の床には”血でGREED(強欲)”と書いてあった。

そして山盛りスパゲッティの現場でも冷蔵庫裏に”GLUTTONY(暴食)”という文字を発見。

キリスト教の7つの大罪をあらわしていると悟ったサマセットは、これは始まりにすぎず、まだ殺人事件が起こると予見。

初心者から映画好きまで誰でも楽しめますが、一部グロい表現などがあるので覚悟して下さいw

超オススメ!!まだ観ていない人は、仕事をサボってでもすぐに見るべきです(笑)!最高にクールな1日になるでしょう!

残酷な描写や、グロい表現も多いですが、そういったシーンが苦手な人も、目を覆いながらでも観ましょう!
サスペンス映画の大傑作です!

※以後ネタバレあり!

映画『セブン』ネタバレあらすじ解説

SLOTH(怠惰)

殺害されたグールド弁護士の事務所に置かれいた”夫人の写真”の目の部分が血塗られていた事から、サマセットは夫人に事件現場の写真を見せれば何らかの手掛かりが得られるのでは無いかと推理。

そして、夫人は部屋の絵が逆になっている事を指摘。

サマセットとミルズはグールドの事務所に掛かっている絵を外すと、『HELP ME』と指で書いた痕跡が現れる。

その指紋から、警察は犯人はヴィクターという前科者だと断定。

S.W.A.T.部隊を出動させ、ヴィクターの自宅へ乗り込む。

しかしそこで見たものは、1年間ベッドで寝かされ、左手まで切り落とされている廃人ヴィクター(壁の文字はSLOTH(怠惰)であった。

ミルズの妻トレイシー(グウィネス・パルトロー)はサマセットの温かな人柄に信頼を寄せ、妊娠しているがこの街で産んで育てていけるか心配だとミルズに内緒で相談する。

サマセットは「私も過去同じように悩み、結局恋人は産ませなかった。判断は今でも正しかったと思っているが、違う決断をしていたらと毎日考える」と告白。

犯人はジョン・ドゥ

手掛かりがつかめないサマセットは、犯行現場に残された文章から、犯人が読んでいる本を推測。

知り合いのFBI捜査官を通じ、それらの本を図書館で全て借りている人物を特定する。名前はジョン・ドゥ。

二人はジョン・ドゥの部屋の前で、踏み込むかどうするか躊躇していると、買い物から帰ってきた彼とバッタリ出くわし銃撃戦に。

逃亡するジョン・ドゥをミルズが懸命に追いかけるが、逆に路地裏で追い詰められ、額に銃口を当てられる。

しかし何故か、ジョンはミルズを撃たずに逃走。

ジョンの部屋を調べると、一連の殺人現場の写真や、被害者の体の一部など、証拠が多数あり犯人だと判明。

部屋にはミルズとサマセットの写真まであり、ジョンが取材記者に扮し殺人現場まで来ていたこともわかる。

部屋の調査中ジョン自身から電話があり、「あんたらのせいで計画を変更することになった」と告げられる。

肉欲と高慢

ほどなく、4番目LUST(肉欲)の罪による娼婦殺害が起こる。

ある男性を脅し、ナイフを性器に見立てたものを装着させ、娼婦との性行為を強要するという凄惨なものであった。

5番目PRIDE(高慢)はベッドに横たわるモデルの死体であった。

モデルは刃物で顔を切り裂かれ、鼻も削ぎ落とされており、病院や警察に電話し生き延びるか自ら睡眠薬を飲むか選択させられ、後者を選んだものだった。

サマセットはミルズとバーで酒を飲んでいたが、ミルズから「社会に期待しても報われることはないと思い込んで引退するんだろ」といわれ、忘れていた闘志に火が灯る。

まさかのジョン・ドゥ自首

日中、ミルズとサマセットがパトカーから警察署に戻る際に、タクシーから降りてきた血まみれの男が館内に入り「ディテクティーブ(刑事)!!」と叫ぶ。

周囲は騒然、それは他ならぬ犯人=ジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)であった。

ジョンは警察に自首した格好になったが、すぐ弁護士を呼び「あと2人の死体を遺棄している場所までミルズとサマセットを案内したい。断れば2人の遺体はずっと見つからないだろう」と取引を仕掛ける。

ミルズは取引など嘘だと拒んでいたが、ジョンの服から娼婦とモデル以外の血液が見つかった為、応じざるをえなくなった。

荒野での惨劇・WRATH

サマセット、ミルズの2人はジョンの案内で、郊外の荒野まで車を走らせる。

ミルズやサマセットの質問に対しジョンは「俺は選ばれしものであり、あんたも歴史に名を残すよ」という発言をした。

高圧鉄塔が建ち並ぶ場所で降り荒野に歩き出すと、配達のバンがこちらにくるのが見えた。

サマセットは道から逸れた空き地でミルズにジョンの番を指示し、バンの方へ向かう。

運転手は”箱”をサマセットに渡し、「これを運ぶのに500ドルも貰った」と言った。

上空から監視するヘリ部隊が、爆弾ではないかと疑う最中、サマセットはナイフで箱を開け、中身にたじろいだ。

ミルズはサマセットの様子を伺っているが、距離が遠く箱の中身まで確認できない。

ジョンは「中身はお前の妻トレーシーの生首で、お前達夫婦に嫉妬(ENVY)している俺も罪人だ」とミルズに告げる。

ミルズはジョンに銃口を向け、サマセットの表情を確認する。

ミルズたちに近づいてくるサマセットは動揺を隠しきれないまま、「撃ったらこいつ(ジョン)の勝ちだぞ!」と必死にミルズを止めようとする。しかし、度重なる挑発に耐えきれず、ミルズはジョンを射殺。

WRATH(憤怒)はミルズ自身であった。

連行されるミルズを横目に、サマセットは「何とかやっていくよ」とぼやく。

映画『セブン』終わり。

映画『セブン』七つの大罪と殺し方、順番に解説・考察

ジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)はキリスト教の7つの大罪をテーマに、猟奇殺人の範疇をも超えた嗚咽モノの犯行を繰り返します。

セブンという映画をよりよく理解するために、7つのそれぞれの罪と被害者、被害状況をまとめてみました!

1.GLUTTONY(暴食)=超肥満の男性

映画セブン GLUTTONY(暴食)

肥満男性がスパゲッティを喰わされ過ぎて死亡。銃で脅され、トイレはその場…ゲロも大きなバケツに吐きながら食わせ続けられるという地獄!

犯人のジョン・ドゥはそれを見ながらせっせと買い物してスパゲッティを作ってた訳だから、やっぱり狂っている!

食わせなが暴行も加られ、肥満男性は内臓破裂で死亡。

2.GREED(強欲)=グールド(弁護士)

映画 セブン GREED(強欲)

グールド弁護士は「キッカリ3ポンドになるように自分の肉を切り落とせ」とジョン・ドゥに強要され、出血多量で死亡。

ジョン・ドゥはサディストにも程がありますね。

グールド弁護士の妻の写真の目のところが血塗られていました。ミルズの妻トレーシーの死を暗喩しているようにも見えますね。

3.SLOTH(怠惰)=ヴィクター

1年間ずっとベッドで寝かされ続け、死亡寸前だった性犯罪の前科者のヴィクター(本名はアラン)。

左手の切断し、舌を切り、食事を与え、苦しみを与え、部屋の掃除や糞便の片付け、挙句の果てに家賃の支払いまでジョン・ドゥがやっていたのだから…いくら目的達成のためとはいえ、驚きの執念ですね

4.LUST(肉欲)=娼婦

先にナイフの付いた性行為の道具を使われ死亡(使ったのはジョン・ドゥに銃で脅された男性)!

この殺人シーンは絶対に想像したくありません。ジョン・ドゥに脅されて行為を強制された男性も完全に精神崩壊コースですね。

5.PRIDE(高慢)=モデルの女性

映画セブン PRIDE(高慢)

鼻や顔の肉を削り取られ、「醜いまま生きるか自分で死ぬか選べ」と言われ→睡眠薬を飲んで自殺を選択。

6.ENVY(嫉妬)=ジョン・ドゥ(犯人)

6番目は真犯人のジョン・ドゥ自身。

ミルズとトレーシーの平凡な暮らしに嫉妬した罪(自己申告)だ。

憤怒したミルズに銃で撃たれて死亡。

7.WRATH(憤怒)=ミルズ刑事

ミルズは妻を殺された復讐と怒りでジョン・ドゥを射殺。その罪を背負った格好となった。

ミルズがジョン・ドゥを殺すように仕向けるために、妻のトレーシーが頭部を切断されて殺され、鉄塔の砂漠に頭部だけが配達されてきた。

改めてまとめてみるとジョン・ドゥの行為が恐ろし過ぎる。しかし、ここまでやったから映画としての完成度が高まったのでしょう。

映画『セブン』衝撃の別エンディング!

セブンには構想段階で別エンディングがあるのを知っていましたか?

その別エンディングとは。。。!?

サマセットがジョン・ドゥを撃つ!というもの!

ミルズを幾ばくか救うため、業を全てサマセットが被るというものです。

こちらのエンディングも衝撃的ではありますが、ミルズ本人がジョンを撃つという結末の方がインパクト大きいですね!この結末でよかった!

ケヴィン・スペイシーのジョン・ドゥ考察/史上最高の悪役?

劇中で言えば、後半にしか姿を現さないジョン・ドゥですが、僕は映画史上でも最高の悪役(ヴィラン)の一人だと思います。

ヒース・レジャーのジョーカーもジョン・ドゥには敵わないでしょう(映画のジャンルちがいますが)。

ジョン・ドゥがやった事が恐ろしすぎる

7つの大罪を実践します。先に書いたように、残虐極まり無い上に、タダで殺さず苦しむだけ苦しませるという最悪の方法をとっています。

しかもこいつ、ミルズの奥さんを殺して生首を主人公にプレゼント♪とか完全にタガが外れている!

ケヴィン・スペイシーの怪演

警察署館内に入ってきて、血まみれなのに叫ぶまで誰にも気づかれないジョン・ドゥの奇妙な存在感はケヴィン・スペイシーならではだと思います。

ジョン・ドゥの目的は!?

ジョン・ドゥの発言を挙げてみると、「私は選ばれた人間だ」「普通の人々が罪を犯し、みんながその罪を許し続けている」「これからはみんなに従わせる」「歴史に残る」など。

推測するに、七つの大罪の恐ろしさを世に知らしめ、人々を啓蒙したかったのでしょう。

普通ならこういう反社会的な人はすぐに逮捕されて終わりそうですが、ジョン・ドゥの場合は目的達成に必要な知力や実行力、忍耐力を持ち合わせていたので、世紀の悲劇が起きたのですね。

映画『セブン』のトリビア

サマセット役はアル・パチーノの予定だった?

サマセット役にはアルパチーノも検討されていたようですが、予定が合わずモーガン・フリーマンになったそうです。

アルパチーノのサマセット役も観てみたい気持ちもありますが、荒ぶる演技がブラピと被って主張しすぎる気がするので、モーガン・フリーマンで正解だったと思います。

ジョン・ドゥは名無しの権兵衛という意味!

ジョン・ドゥは名前が無い人を指すときに使うもので、日本語で言うところの名無しの権兵衛になります。

ジョン・ドゥはメガネだった

ジョン・ドゥは構想段階ではメガネを掛けてました。メガネを掛けたサイコキラーはステレオタイプ過ぎですよね。

ケヴィン・スペイシーのハゲててメガネを掛けていないジョン・ドゥが最強だと思います。

映画『セブン』有名シーン解説!

ディテクティーブ!!!(ジョン・ドゥ登場シーン)

ジョン・ドゥが警察署に入り込み「Detective!Detective!!!!!」(Detectiveは刑事の意味)と叫んで、気づかないミルズとサマセットを呼び止める場面があるのですが、階段下にいる服と手が血まみれのジョン・ドゥを見つけるシーンが最高にクールです!

敢えて階段を使って高さを出したところも素晴らしい!

泣きながらジョンに銃口を向けるミルズ

怒りと失望で自分がコントロールできない。ブラッド・ピットの荒々しく感情的な演技が最高です!

このシーンに入る前に、トレーシーの生首を見つけたモーガン・フリーマンとブラッド・ピットに距離があり、さらに上空のヘリ部隊という3つの視点から緊張感を描く手法もさすがだと思いました。

映画『セブン』へのツッコミ

ジョン・ドゥは図書館通い?

ジョン・ドゥは図書館の貸し出し履歴からサマセットとミルズに家を特定されますが、殺人鬼も図書館を利用するんですね。

貸し出し履歴にしても、大きな街ならジョンと借りた本が被っている人も何名かいそうですが、、もしジョン・ドゥが”本を買う派”だったらことの顛末は変わっていたでしょう(笑)

ケヴィン・スペイシーはこの役でも脚が悪い

ケヴィン・スペイシーが演じるジョン・ドゥは脚が悪いという設定です(ミルズ刑事に追いかけられたときに怪我したのかな)。

そしてケヴィン・スペイシーは同じ1995年に公開された『ユージュアル・サスペクツ』でも脚が悪いヴァーバル・キント役を演じています。

まさか同じ年に脚が悪い役を2つ演じて、2つともヒットするとは!

映画『セブン』が傑作の理由

オープニングが最高にクール!

インダストリアルロックに合わせ手書きのキャスト名が次々に表示されるオープニングは、今観ても斬新でカッコいいです!

こんなミュージックビデオ作りたい!!厨二心をくすぐります!

ちなみにオープニングでは、指先に包帯が巻かれた手がノートに文字をびっしり描いたり、写真を現像していたりするので作業中のジョン・ドゥ(犯人)の手元を映した映像だと思われます。

デヴィッド・フィンチャー流美学炸裂!銀残し映像&音響!

ミルズやサマセットが持つ照明の直線的な光や絵的な事件現場など、灰色や霞んだ暗緑に統一された映像美は必見!構図も最高です!

暗部が徹底的に濃くなりコントラストが強まる銀残しという現像方法が採用されています。

フィンチャー流美学が炸裂してます!

加えて劇中で使われる音響もシーンのドキドキ感とベストマッチ!こだわり抜かれた作品です。

衝撃のラストはサスペンス映画歴代No.1

ラストの衝撃でいえば、ゼブンは歴代No.1かも知れません。

心に強烈な跡を残す劇的な幕引きになっています。攻撃力&暴力性MAX!これでもかというくらいの刺激が味わえます!

完璧な脚本

ストーリーのアイデアが素晴らしい!

脚本家のアンドリュー・ケヴィン・ウォーカーはこの物語に数年かけたそうで、それを売り込んだところからすべてが始まっています。

映画『セブン』キャスト・作品情報

公開年/制作国 1995年・アメリカ
監督 デヴィッド・フィンチャー
脚本 アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
キャスト モーガン・フリーマン
ブラッド・ピット
グウィネス・パルトロー
音楽 ハワード・ショア
興行収入 約360億円

モーガン・フリーマン、ブラッド・ピット、ケヴィン・スペイシーの3人は稀にみる完璧なキャスティング!

この3名については代役はありえない!と言い切ってよいでしょう!

最後に感想まとめ

デヴィッド・フィンチャーによる切れ味抜群の『セブン(SEVEN)』

ストーリー、キャスト、映像、音楽が極限まで研ぎ澄まされたこの作品!

観たことある人も、もう一度観賞したくなったんじゃないですか?

映画セブンレビュー終わり

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