映画『エンゼル・ハート』徹底考察/物語の本当の意味!2つの解釈ラスト結末の解説!わからない人向け,カルト名作

  • 2023年12月19日

カルト的な人気を誇るサスペンスホラー映画『エンゼル・ハート』!

ストーリーの本当の意味2つの解釈ラスト結末・エンドロールのシーン冒頭の死体契約内容悪魔の正体などを徹底考察していきます!

シネマグ
いろいろ考察してみるとヤバさが激増する傑作カルト映画の金字塔!なぜ名作なのか?その構造を解説!
公開:1987年5月6日
制作国:アメリカ
上映時間1時間53分
原題:『Angel Heart』
ジャンル:ホラー・サスペンス
監督:アラン・パーカー
脚本:アラン・パーカー
原作ウィリアム・ヒョーツバーグの小説『堕ちる天使』(1981)
撮影:マイケル・セレシン
音楽ジェリー・ハンブリング
キャスト: ミッキー・ローク、ロバート・デニーロ、リサ・ボネット、シャーロット・ランプリング

映画『エンゼル・ハート』あらすじ

1955年のニューヨーク。

私立探偵のハリー・エンゼル(ミッキー・ローク)はルイス・サイファー(ロバート・デ・ニーロ)から「自分と契約したジョニー・フェイバリットという人物の行方を探り、生死を確かめてほしい」と依頼を受けます。

界隈で有名な歌手だったジョニーは戦争へ行って顔面を損傷する大怪我を負い、PTSDと記憶喪失を患って精神病棟に入院しているようです。

ハリーはその精神病棟へ行きますが、ジョニーが数年前に転院した記録しか見つかりませんでした。

ハリーは当時の医者・ファウラーや、ジョニーが戦争へ行く前に付き合っていた女性マーガレット・クルーズマーク、ジョニーと一緒に演奏したギタリスト/トゥーツ・スウィート、ジョニーと関係したエヴァンジェリンの家などを訪ねます。

しかしハリーが行く各地で凄惨な殺人が繰り返されるのでした…。

映画『エンゼル・ハート』考察ネタバレ,意味不明なラスト解説

映画『エンゼル・ハート』当時のポスター

現実か妄想かあやふやな映像に加え、過去のフラッシュバックもあり。しっかりとした説明はなく全体像の把握に混乱したと思います。

シネマグ
まず結論から言うと、ジョニー=主人公ハリー・エンゼルでした。

ファウラー医師、マーガレット、トゥーツらを残忍な方法で殺害したのはハリー自身(ジョニーの人格)です。

ハリーは戦争で顔面損壊+記憶喪失の状態だったため、整形手術で顔が変わっており、自分の正体がジョニーだと気づいていない状態でした。

悪魔ルシファーに本来の自分を探すように仕向けられ、関係者たちを次々に殺害。

最後には自分の娘・エピファニーを性行為後に殺害してしまいました

感想を語る犬
なぜこんなことになったのか?

ジョニーは戦争へ行く前に悪魔崇拝に傾倒しており「悪魔に魂を売った」とマーガレットやその父・イーサンに話していました。

実は悪魔ルシファーだったルイス・サイファー(ロバート・デ・ニーロ)が序盤でジョニーとの契約内容について、「有名になる前に支援した。死亡時に負債を取り立てる契約だ」と語っています。

よって、ジョニーは悪魔ルシファーに魂を売って歌手として成功したと考えられます。

さらに終盤ではイーサンが「ジョニーは悪魔崇拝から抜けようとしていた」と語っていました。

ジョニーはルシファーに魂を取られるのが嫌だったのでしょう。

ハリー・エンゼルという男性を拉致監禁して儀式(殺害して心臓を食べる)を行い、その魂を得て自分の正体を隠し、ルシファーを騙そうとしたのです。

しかし戦争へ行って負傷したことで自分が何者かがわからなくなってしまい(ハリー・エンゼルだと思い込んだ)、凶行に及んでしまったのでした。

映画『エンゼル・ハート』細部の考察(ネタバレ)

悪魔ルシファーは存在するか? 2つの解釈

本作は二面性のあるストーリーでした。

悪魔ルシファーが実際に存在するとも言えますし、エンゼル=ジョニーの心の闇が悪魔の幻影を見せたとも取れます。

ルシファーはワインサップ弁護士(ダン・フロレク)を雇っていたので、実在するような気もしますが、ワインサップ自体が幻影かもしれません。

個人的には、悪魔崇拝にとらわれていたジョニーが幻影を見たとするサイコ・サスペンス的な解釈の方がしっくりくると感じました。

悪魔ルシファーが実在する場合はジョニーがエンゼルの魂を取り込んで、人格が同化している可能性など、解釈がさらに多様になりますね。

自分を殺した犯人は自分だった!

映画『エンゼル・ハート』のミッキー・ローク

「ハリー=ジョニーで、ジョニーの人格が連続殺人を犯していた!」という二重人格の解釈だけでは、全体の矮小化になってしまうと思います。

確かに主人公にハリーとジョニーの両面があるのは事実です。

シネマグ
しかしもっと俯瞰して捉えるなら、本作は自分を殺した犯人が自分だったという奇妙な構造の作品なのです。

ジョニーは、自分のことを(儀式で死んだ)ハリーだと思い込んで生きてきました。でも実際はハリーを殺した側の人物だったわけです。

主人公の自我はハリー・エンゼルです。よって、自分(ハリー)という存在はすでに死んでおり、その自分を殺害したのは本来の自分(ジョニー)という構造になります。

主人公はエンゼルでなく、エンゼル・ハート(エンゼルの心臓)を喰った人物だったというどんでん返しですね。

言葉にすると非常にややこしいですが、感覚的に捉えると腑に落ちる部分があると思います。

例えばあなたが誰かに殴られたとします。その瞬間に殴った人物の方に自分の意識や目線がシフトした印象です。

人間が持つ根源的な恐怖のようなものが内在された映画だと思いました。

(カルト的な人気を博す理由は、洗練された中毒性のある映像以外にこの不気味な構造にもあるのでしょう。)

ハリーは終盤でイーサンから「ジョニーが戦争へ行く前に黒魔術にハマっており、自分と同じ世代の青年を生贄にした」という話を聞き、パニックになります。

そして「(生贄になった)若い兵士は誰だった!?」と叫び、マーガレットの部屋の花瓶からハリー・エンゼルと書かれた認識票(軍のドッグタグ)を見つけます。

さらに若い兵士がタイムズスクエアにいたときのフラッシュバックが流れます。

このとき、ハリーは自分の正体が殺人犯・ジョニーではなくハリーだと思い込みたかったはずです。

同時に見ているこちら側も、「ハリーの正体はフラッシュバックの中心にいる青年ではないか?」と、映像的なミスリードを促されています。

実際は、青年の肩を叩く側だったわけです。

こういった演出の巧みさが、自分を殺したのは自分だったという不気味な印象を残した作品につながっていると感じました。

殺人の理由

なぜハリー=ジョニーはファウラー、トゥーツ、マーガレット、イーサン、エピファニーを殺害したのでしょうか?

ジョニーの人格が自分の痕跡を消したかったという理由も考えられますが、娘のエピファニーまで殺すのはやりすぎな気もします。

理由のひとつはルシファーがジョニーに罰を与えるためです。悪魔を騙そうとした代償は大きすぎました。

あとは、ジョニーに殺された本物のハリーの恨みも反映されていると思います。

もし心臓を食べる儀式によってハリーの人格がジョニーに憑依しているとしたら…。

シネマグ
ジョニーの関係者たちを殺したのはハリーの人格かもしれませんね。

冒頭で死んでいた人物は誰か?悪魔の正体

冒頭では静まり返った貧困街の裏道を杖を持った人物が歩いて行き、犬が右手首のない死体を見つけます。

この手首はマーガレットのところにあったもので、イーサンの説明によると獄中で切り取られた殺人犯の手首です。

ただ冒頭の死体は殺人犯というより、そこで殺されたおばさん?のように見えます。

ジョニーが「殺人犯の手首だ」と嘘をついたのでしょう。

しかし冒頭で裏道を歩いていたのは杖を持った人物…ルシファーに見えますね。

ルシファーが右手首を切り取ってジョニーに渡したのでしょうか?

ジョニーは悪魔と一体だった。ジョニー=ルシファーと考えるとしっくりきます。

エンドロールのエレベーター

映画『エンゼル・ハート』エンドロールのエレベーターのシーン

エンドロールで自分の正体がジョニーだと悟った主人公はエレベーターを下っていきます。

これは心象のメタファーみたいなもので、ハリー=ジョニーがルシファーに魂を奪われて地獄へ下っているとの表現だと思いました。

シネマグ
1人の男の絶望の末路で締め括られます。死刑台へのエレベーターですね。

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