映画『ランボーラスト・ブラッド』は、ランボーシリーズ第5作目で、最終章(完結編)という位置づけだっただけに、期待が高まった。しかし、ぶっちゃけ面白くなかった。シリーズのファンだっただけに悔しい…。
なぜランボーラスト・ブラッドが駄作に終わってしまったのか?
まず、あらすじネタバレ解説。
そのあとに、酷評の理由をいくつか挙げ、とことん考察してみた!
ランボーラスト・ブラッド登場人物・キャスト
監督:エイドリアン・グランバーグ(『ブラックデーモン 絶体絶命』)
音楽:ブライアン・タイラー
ジョン・ランボー/シルヴェスター・スタローン(『エクスペンダブルズ4 ニューブラッド』)
ガブリエラ/イヴェット・モンレアル
マリア・ベルトラン/アドリアナ・バラッザ
カルメン/パス・ベガ
ウーゴ/セルヒオ・ペリス=メンチェータ
ジゼル/フェネッサ・ピネダ
映画『ランボー ラスト・ブラッド』ネタバレ酷評/戦場がなくランボー感ゼロ
今回ランボーラスト・ブラッド最大の失敗は、ランボーなのに舞台が戦場じゃないという点だ。
戦場ではなく、田舎の牧場が舞台なので、ランボー感がゼロ。メキシコのカルテルと戦うなら、メキシコの1つの町全体を使って、戦争っぽくしてもよかったのでは?
とにかく、戦場がないのでランボーっぽくなかった。
ダイジェスト映像?シーンの切り替わりが早すぎ
ランボーラスト・ブラッドは、各人物に感情移入できないほどテンポが早かった。アリゾナ→メキシコ→アリゾナと、コロコロ場面が変わる。
まるで、ダイジェスト映像を見せられているようだ。
上映時間は1時間30分ほどしかないので、2時間ほどに尺を伸ばしてシーンの切り替わりをゆったりにすれば、少なくともアクション映画としては楽しめたはずなのに。
とにかく勿体無い。
ラスト・ブラッド考察/ストーリーに深みがない
マリア・ベルトランも、孫娘のガブリエラもメキシコ系。今はメキシコにいるガブリエラの父や、友人のジゼルもかつては一時的にもランボー牧場にいたと言っていたので、マリアは移民だろう。さらにいえば不法移民の可能性もある。
ランボーがどうやってこの家族と出会ったのか描かれていなかったが、不法移民を牧場でかくまって仲良くなったと考えるのが自然だろう。
ちゃんとこの辺を描けば、ランボーとメキシコとの因縁が見え、ストーリーに深みが出たと思う。残念だった。
社会的なテーマの薄さを解説(ネタバレ)
ストーリーの深さに繋がる話だが、ランボーラスト・ブラッドは社会的なテーマも薄い作品となってしまった。
映画ランボーシリーズは、アクションエンタメという一面はありながらも、ランボー1や2怒りの脱出ではベトナム戦争や帰還兵の問題、ランボー3ではアフガン紛争の問題を問いかけていた。社会的なテーマのある作品だったのだ。
しかしランボー5ラストブラッドでは、ストーリーのテンポが早かったこともあり、何が言いたかったのかよくわからなかった。
ランボー4最後の戦場では、ゴアでリアルな戦闘の演出を取り入れ、ミャンマーの独裁政権への徹底批判をしていた。反戦テーマをグロくてリアリティたっぷりに描き、その辺りは評価されていた。
ラストブラッドでは、メキシコのカルテル(人身売買集団)の問題を取り挙げたのだと思う。
しかし、シーンの切り替わりが早すぎ、カルテルのマルティス兄弟の描き方も浅かったなどが積み重なり、メキシコの治安やカルテルのテーマが伝わってこなかった。
映画『ランボーラスト・ブラッド』ネタバレあらすじ解説
あらすじ1:ボランティアのランボー
タイからアメリカに帰国したジョン・ランボー(シルヴェスター・スタローン)。亡き父親の牧場を切り盛りしながら、友人のマリア・ベルトラン(アドリアナ・バラッザ)と、彼女の孫娘ガブリエラ(イヴェット・モンレアル)と3人で、10年間平和な暮らしを送っていた。
近くの山で遭難事故が起こり、ランボーは馬に乗ってボランティアに参加するが、鉄砲水にあい、一人の女性しか救助できずに落ち込む。
ランボーの中で戦争がフラッシュバックしていた。
次の日ランボーは、馬の調教をしたあと、地下に掘った洞窟の一角の部屋で大学に進学するガブリエラの為にナイフを作っていた。
そんな中、ガブリエラにメキシコに住む旧友ジゼル(フェネッサ・ピネダ)から電話があり、ガブリエラを捨てた父マヌエルの所在がわかったと言う。
ガブリエラは、ランボーとマリアがメキシコに行くなと言ったのを一旦聞いたフりをして、車で国境を越えた。
あらすじ2:連れ去られたガブリエラ
ガブリエラは旧友ジゼルの家に着き、彼女の案内で実父マヌエルのアパートへ。ドアを叩くとマヌエルが出てきた。しかし情のない彼は、ガブリエラと死んだ母との暮らしが無意味だからメキシコに帰ったと言い放った。
泣いて車に戻ってきたガブリエラは、ジゼルの勧めでクラブに行くことに。ガブリエラはクラブで酒に薬を混入され、そのまま連れ去られてしまう。
あらすじ3:ボコボコにされたランボー
マリアからガブリエラが帰ってこないと知らされたランボーは、車でメキシコへ。
ジゼルに会って話を聞くと、彼女がガブリエラのブレスレットをつけているのを発見。ジゼルを脅し、クラブに女性誘拐を働くエル・フラコという男性がいることを突き止めた。
ランボーはクラブから帰る途中のエル・フラコの脚をナイフで刺し、肋骨を引き抜くと脅す。すると、ガブリエラは女性売春・人身売買の元締めマフィア・マルティネス兄弟のところにいると分かった。
ランボーはマルティネス兄弟のアジトに近づくが、武器を持った男性たちに囲まれてしまう。ランボーはボコボコにされ気絶。弟の方のビクトル(オスカル・ハエナダ)にナイフで顔を傷つけられた。
あらすじ4:復讐の火蓋
ランボーは、カルメン (パス・ベガ)というジャーナリストに助けられて医者の治療を受け、4日間寝ていた。
回復して目覚めたランボーに、カルメンもかつて妹をマルティネス兄弟に殺されたと語る。ランボーはカルメンの案内で売春宿に乗り込み、下っ端の構成員たちをハンマーやナイフで殺していく。
ランボーは男たちになぶりものにされ、おまけにヘロインを打たれてボロボロ状態のガブリエラを発見。彼女を救出し、アリゾナまで車を走らせるが、ガブリエラは車中でショック死してしまう。ランボーは絶望した。
アリゾナの牧場へ帰り、ガブリエラの亡骸を見たマリアは泣き崩れた。
ランボーラスト・ブラッドネタバレ結末:一人きりの怒り
ランボーは、マリアに彼女の姉妹の家で住むように勧めた。それから牧場の馬を逃し、周囲や地下の壕に膨大な数の罠(トラップ)を仕掛けていく。
ランボーはまずメキシコへ行き、ビクトル・マルティネスを惨殺してアリゾナへ戻る。兄のウーゴ(セルヒオ・ペリス=メンチェータ)はビクトルの死体についていたガブリエラの写真をみて、ランボーへの復讐を決意。20名以上を武装させ、アリゾナの牧場へ乗り込んできた。
ウーゴの軍団はランボーの牧場敷地へ踏み込むが、地雷で車が1台吹き飛び、数名がトラップのガソリンを被って焼ける。
ランボーはショットガンで数名を撃ち、地下の壕(ごう)へ潜った。
ウーゴたちがランボーを追って地下へ突入するが、串刺しトラップや落とし穴などで次々と部下が戦闘不能に。さらにランボーにナイフや槍で、ショットガンで惨殺されていく。ものの数十分で、生き残ったのはウーゴ一人となっていた。
ランボーは胸と脚に銃弾を浴びながらも、爆弾でウーゴを地下から追い出して納屋に誘導。2階から弓を放ってウーゴを納屋の壁に串刺し状態にし、「これが俺の怒りだ」と言ってナイフで胸を裂いていく。
ランボーはウーゴの心臓を素手で引きちぎった。
大怪我を負ったランボーは家の外のロッキングチェア(彼の父が使っていたもの)に腰をかける。
〜ランボーラストブラッド完結〜
最後に感想まとめ/最後の心臓オチだけが救い
この記事で書いた理由から、ランボーラスト・ブラッドは、ランボーファンの期待にそぐわない作品となってしまった。最後に敵の心臓を引きちぎったところなど、見所は数カ所しかない。
これならヴァンダムの映画『ザ・ラスト・マーセナリー』の方が全然面白い。
個人的には出来の悪さにショックを受け、これがランボーの最終作でいいのか?という感想。
まあ、続けていれば必ず失敗は起こるのかもしれない。
スライ(シルヴェスター・スタローン)の次回作に期待しよう!