Netflix映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』、奇妙で不気味なピノッキオの物語が現代版としてアップデートされました!
作品情報・声優、あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価、メッセージ考察、ストーリーラスト結末・ネタバレ解説、を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
Netflix映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』作品情報・キャスト
原題:『Guillermo del Toro’s Pinocchio』
ジャンル:冒険ファンタジー
年齢制限:7+(7歳以上推奨)
監督:ギレルモ・デル・トロ/マーク・グスタフソン
脚本:ギレルモ・デル・トロ/パトリック・マクヘイル
原作:カルロ コッローディ「ピノッキオの冒険」(1883年)
配信:Netflix
ギレルモ・デル・トロ監督
©︎Netflix
少しまえに大人向けホラーファンタジー『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』がNetflixで公開され、こちらも高い評価をえた監督。
作品は強いメッセージ性がありつつ、No.1優先事項としてオリジナリティあふれる奇怪な映像美があります。
本作ピノッキオのすごいところはストーリーもめちゃくちゃ感動的なところ。
ギレルモ・デル・トロ監督は『シェイプ・オブ・ウォーター』や『ナイトメア・アリー』以降、ストーリーテラーとして進化をし続けていると感じました。
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登場人物・声優
クリケットの声を務めたのはユアン・マクレガー。声が特徴あってすぐにわかります。お調子者のクリケットはハマり役でした。
視聴中は気づきませんでしたが、サルのスパッツァトゥーラの声をケイト・ブランシェットが務めています。万能すぎですこの人。『ナイトメア・アリー』にも出てましたね!
ブルーフェアリーと死神はティルダ・スウィントン。カーニバルのヴォルペ伯爵役はクリストフ・ヴァルツ。
あとは神父役にバーン・ゴーマン、ジョン・ガイコツウサギ役にティム・ブレイク・ネルソンと、ギレルモ・デル・トロ作品の常連が名をつらねています。
あらすじ
ゼペットは10歳の息子・カルロを空襲で失ってしまいました。
カルロが持っていた松ぼっくりを植えて、飲んだくれになったゼペット。
時がたって松の木が成長し、作家のジミー・クリケットがその木の穴に住みはじめます。
クリケットは木の下で泣くゼペットじいさんを哀れに思いました。
ある夜ゼペットは松の木を切り倒し、木の人形・ピノッキオを作ります。
深夜にブルーフェアリーが現れてピノッキオに魔法をかけました。
翌朝、ゼペットは動くピノッキオをきみ悪がりました。
果たしてピノッキオはゼペットを幸せにできるのでしょうか…。
ネタバレなし感想・海外評価
ストップモーションによる映像美と感動がつまった傑作でした。
少し前にディズニーがトム・ハンクスをゼペットじいさんにして実写版を配信しましたが、単なるアニメ映画のリメイクに終わったその作品に対し、現代版とはこういうことだとお手本を突きつけたかのようでした。
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海外レビューサイトでも非常に評価が高いです。これはぜひNetflixで視聴してください!
おすすめ度 | 90% |
世界観 | 95% |
ストーリー | 88% |
IMDb(海外レビューサイト) | 8.1(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 97% 一般の視聴者 84% |
メタスコア(Metacritic) | 83(100点中) |
※以下、『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』ネタバレ感想・評価
ギレルモ・デル・トロ監督作品は好きなので期待していましたが、期待を軽がると超えてきました。
ストップモーション作品だとウェス・アンダーソン監督の『犬ヶ島』が大好きですが、その作品を凌駕していたと思います。
とにかくキャラクターのデザインが秀逸。
エクソシストブリッジで登場する木目もろだしのピノッキオは斬新すぎ!
完全に虫造形のクリケットもいかにもデル・トロという感じ。『パンズラビリンス』に登場した虫みたいでした。
片目が見えないサルのスパッツァトゥーラのデザインもすてき。
クジラの怪物のデザインも最高です。ストップモーションでこんなにも恐怖や迫力出せるのかと驚きました。
映画では『パンズラビリンス』以降でもっとも奇怪な映像美が楽しめる作品だったと思います。
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また、クリケットがピノッキオの右胸の穴に住んでおり、ピノッキオが寝たあとにそこで本を書いているなど心をくすぐるファンタジー設定の数々にワクワク!
怪物の胃のなかで釣りをするディズニーアニメ版でお馴染みのシーンもありつつ、灯台があって案外過ごしやすそうな環境もツボでした。
ミュージカル仕立てにしたのもうまく機能していたと思います。
何より1本の映画として強い感動がありました。
ゼペットじいさんはありのままのピノッキオを受け止めます。クリケットは夢だった小説家としての成功を捨ててピノッキオの復活を望みます。
真新しい結末ではないものの、わかっていても超感動してしまう説得力がすごかったです。
ピノッキオ考察(ネタバレ)
メッセージは?
©︎Netflix
わかりやすく言ってしまえば、ありのままの自分でいい、ありのままの関係でいいというのが本作のメッセージです。
個人的にはゼペットじいさんが、見た目はボロボロの木のクズになったピノッキオを抱きしめて泣いている姿に胸をうたれました。
いわば他人から見ればゴミを抱きしめているわけです。
本当に大切な存在であれば見た目は関係ないとことの1番力強い表現に感じました。
ラストでボロボロの木の板を抱きしめたゼペットに、ありのままでいいというありがちな言葉の真理をみた気がします。
ピノッキオのデザインがもっとかわいくてキャッチーならここまで心に深く刺さらなかったでしょう。
ギレルモ・デル・トロの感性に感服です。
ピノッキオはキリスト?
ピノッキオも教会のキリスト像もゼペットじいさんが木から作ったものだと作中でも言及されていました。
ピノッキオが街の人々から避難され、ゼペットを救うために自己犠牲を選ぶラスト。そして復活。
ギレルモ・デル・トロ監督作品の随所にキリスト教をモチーフが見受けられますが、本作ではもっとはっきりピノッキオを救世主イエス・キリストに重ねているような気がします。
人間でない者を救世主として描くのは斬新ですね。
アカデミー賞作品賞を受賞したシェイプ・オブ・ウォーターの半魚人もそうですが、人間でない者を尊い存在として描く監督の美学が炸裂していました。
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- ギレルモ・デル・トロ監督作品, ネタバレ, ユアン・マクレガー出演作品, 全話あらすじ, 感想, 考察
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