ディズニープラス配信の実写映画『ピノキオ』(Pinocchio)!トム・ハンクスがCGのピノキオと絡む超微妙な作品でした。
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・酷評・なぜつまらないか解説
黒人妖精(ブルーフェアリー)はポリコレ?!、キャラビジュアルの違和感、1940年のアニメ版とのストーリー比較考察を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
実写映画『ピノキオ』作品情報・キャスト紹介
原題:『Pinocchio』
ジャンル:ファンタジー・ヒューマンドラマ
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:クリス・ワイツ/ロバート・ゼメキス
原作:カルロ・コッローディ著「ピノッキオの冒険」(1883)
撮影:ドン・バージェス
音楽:アラン・シルヴェストリ
配給:ディズニープラス/Disney+
ロバート・ゼメキス監督
みんな大好き『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を作り上げた名監督!
『フォレスト・ガンプ/一期一会』や『キャストアウェイ』などトム・ハンクスと組むことが結構多い印象です。
実写『ピノキオ』は誰が監督か知らないで見たので、いろんな意味で驚き…。近年はアン・ハサウェイ主演のファンタジー映画『魔女がいっぱい』(2020)もかなり微妙でしたし、ファンタジー系は向いていないのでは?と思いました。
登場人物・キャスト紹介
登場人物 | キャスト・出演作 |
ピノキオ | ベンジャミン・エヴァン・エインズワース/川原瑛都 |
ジミニー・クリケット | ジョセフ・ゴードン=レヴィット/山本耕史 |
ゼペットじいさん | トム・ハンクス (『フォレスト・ガンプ/一期一会』『キャストアウェイ』『エルヴィス』) |
ブルー・フェアリー(妖精) | シンシア・エリヴォ |
ファビアナ 見せ物小屋で働く人形師。足が悪い。 |
キャン・ラマヤ |
ストロンボリ 見せ物小屋の悪徳経営者。 |
ジュゼッペ・バッティストン |
コーチマン プレジャーランドの管理人。 |
ルーク・エヴァンズ (『ワイルドスピード』シリーズ『10×10/テンバイテン』) |
カモメのソフィア | 声)ロレイン・ブラッコ/土井美加 |
J・ワシントン・ファウルフェロー(キツネ) | 声)キーガン=マイケル・キー/村田秀亮 |
ネタバレなし感想・あらすじ・海外評価
あらすじは有名な1940年のアニメ版『ピノキオ』とほぼ変わりません。
ただ、全体的に実写版は「なんとなく作った」感が強く、個人的には全然楽しめませんでした。
海外らビューサイトでも評価は低めですね。
正直、子供に見せるにしても1940年のアニメ版のほうがぜんぜん楽しんでくれると思います(子供じゃないのでわからないですが)。
おすすめ度 | 60% |
世界観 | 80点 |
ストーリー | 40点 |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.0(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 29% 一般の視聴者 64% |
メタスコア(Metacritic) | 42(100点中) |
※以下、ディズニー実写映画『ピノキオ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
実写映画『ピノキオ』ネタバレ感想・酷評
CGと実写を絡めた映像美は見応えありましたが、1940年のアニメ版にあるワクワク感がまったくありません。
実写版を見終わってからディズニープラスでアニメ版も見返してみたのですが、アニメ版の方が圧倒的に素晴らしいしワクワクしました。
今作に関しては、「話題になりそうだからなんとなく実写化した」としか思えません…。
なぜディズニーが最新の技術を駆使して実写化した作品が、80年前の作品より全然おもしろくないのでしょうか?
結論をいうと、ストーリーに余計な要素を足してしまったからだと思います。
ゼペットじいさんに過去に子供がいたっぽい描写、見せ物小屋の脚の悪い女の子。学校へ行ってつまみ出されるピノキオなど。
人間ドラマや差別撤廃のメッセージを入れたかったのでしょうけど、正直あってもなくても良かったと思います。
社会的なメッセージを盛り込みたいがために、キャラの背景や新キャラを無理に追加しているように見えました。
それらがストーリーを盛り上げる要素として上手く機能してないんですよね。
口で説明できるレベルの教訓をいちいち映像で見せられた感じです。
社会的なメッセージの入れ込みが結果として尺の無駄遣いになってしまった印象。
また、アニメ版では大きくスポットが当たっていた猫のフィガロや金魚のクレオも、実写版ではスポットされている場面が少なく物足りないです。
この2匹はしゃべれなくても物凄く重要なキャラのはずが、今作ではただのオマケ…。
アニメ映画では2匹がゼペットじいさんの心を汲み取って表現する役割を担っていましたが、実写版ではそれがありません。
これは小さいようですごく大きなマイナスポイント。フィガロとクレオのシーンが新キャラ追加で少なくなったせいで、ストーリーに深みがなくなってしまったと思います。
良かったのはラストでクジラ・モンストロから逃げるシーンくらいですね。CGのモンストロはかなり凶悪なヴィジュアルで迫力がありました。
黒人女神(ブルーフェアリー)はポリコレ?
©︎ディズニープラス/Disney+
ポリコレの影響か、1940年のアニメ版では白人の妖精でしたが、本作では黒人の女優で歌手のシンシア・エリヴォさんが起用されています。
『ロード・オブ・ザ・リング 力の指輪』も黒人エルフで炎上している最中の公開で、物議を醸しそうなキャスティングだと思ったら本作のブルーフェアリーもやっぱり炎上!
ただ今回の妖精が坊主頭でファンキーすぎる見た目なこともあり、意外性に富んだキャラという印象しか受けませんでした。
実写『ピーターパン&ウェンディ』(2023)も黒人の女優が妖精ティンカーベル役でしたが、それと比べても今作のブルーフェアリーはインパクトありすぎですね。
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ストーリーや雰囲気が考慮されているというよりは、明らかにキャスティングありきでキャラクターを作り上げた印象。このキャラが物語に寄与しているかと言われると微妙です。
歌手で歌が上手いのは利点ですが、それ以外は好意的に受け取ったとしても「斬新な妖精にしたい」くらいの意図しか汲み取れません。
ポリコレを重要視するのはわかりますし、原作と違うどの人種をキャスティングするのもOKだと思います。
ただ、どの人種が演じたとしてもキャラクターと物語が上手く絡んでいなければ本末転倒です。
今回の実写『ピノキオ』の黒人妖精(ブルーフェアリー)は、ただポリコレ枠を満たすためでは!?と疑問を感じてしまうようなキャスティングでした。
※追記)こういう意見すべてを「人種差別だ!」と、細かい論点が苦手な人が結構多いので付け加えます。
まずキャスティングやキャラ設定はそれ単体の問題でなく物語に影響します。なぜキャスティングしたのか意図がわからなければ、どの人種が演じていてもキャスティングは成功しているといえません。
これは人種差別以前の問題です。この問題と差別の問題がごっちゃになっているので争点がおかしくなっている気がします。
あとは程度問題です。
ゼペットじいさんが中国系、白雪姫の実写版で黒人やアジア系でもそのキャラクターが素晴らしいものになっているなら私はありだと思います。
ただ現実、白雪姫が有色人種なら「雪のように白い肌」というくだりは変更しなければなりません。それは白雪姫でしょうか?
白雪姫は極端な例ですが、配役ありきで物語の変更・ニュアンス変化をどの程度まで許容できるか?というかなり微妙な問題であると多くの人が知った方が良いと思いました。
異議を持っている人の意見を詳しく聞かず、すべて一緒くたに「人種差別だ!」と切って捨てるならば、それは人種差別している人の思考回路と変わりません。
(動画でもまとめてみました↓)
ピノキオやジミニー・クリケットのビジュアル
©︎ディズニープラス/Disney+
ピノキオのヴィジュアルが全体的にのっぺりしすぎていて、実写と合成したときにやや違和感がありました。
大冒険をしているはずが顔にはまったく汚れがついておらず、リアリティゼロです。(汚れていないから背景とのマッチ度が低いのもあると思います。)
あと、現実的に考えれば木で作られた人形の表情が豊かにならないのはわかるのですが、その辺はリアルにしなくても…。
顔は動くものの表情がのっぺりすぎて感情移入しにくかったです。
あとはジミニー・クリケットのヴィジュアルについて。
©︎ディズニープラス/Disney+
アニメ版とそっくりかと思いきや、顔の上半分が緑のマスクを被っているようで違和感です。
主要人物2人のヴィジュアルが微妙だったのも入り込めない要因だったと思います。
あと怪物クジラ・モンストロもなんかタコの足みたいなの生えてましたし…。足必要でした?まさに蛇足。
考察(ネタバレ)
実写『ピノキオ』とアニメ版の違い(ネタバレ)
まずアニメ版では期間ははっきりしていませんが、冒険は数日がかりでした。ゼペットじいさんがクジラの腹の中で「もう何日も魚が釣れない」と言っていましたし。
実写版『ピノキオ』ではすべての出来事が1日の間に起こっているため、詰め込み過ぎで違和感です。駆け足すぎてストーリーに重みが感じられません。
すべてを1日の出来事にしてしまったために、実写版ではピノキオとゼペットが一緒に飲み込まれます。
アニメではゼペットが先にクジラに飲まれていますが、そのほうが哀愁があって良かった気もします。
そしてアニメ版ではクジラ・モンストロから逃れたあと、ピノキオが一旦死んで人間として復活しますが、実写版ではピノキオはピンピンしており、木のままか本物の人間になったかは曖昧な状態で終わります。
「本物か偽物かどうかは外見でなく心で決まる!」というメッセージでしょう。
最後のまとめ
ディズニープラスの実写映画『ピノキオ』は、個人的にはまったく面白みのない凡作でした。
メッセージ性も中途半端で、ストーリーのつなぎ方も微妙。キャラクターのビジュアルもイマイチ。
1940年の名作アニメに近づいてすらいません。
実写をやるそれなりのコンセプトがなく、“話題作りのための実写”にしか見えません。
子供の頃にアニメ版『ピノキオ』を何回もみた私としては正直、残念でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。実写『ピノキオ』レビュー終わり!
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