Netflix映画『パラダイス 人生の値段』ネタバレ感想・ラスト考察!評価,あらすじ解説

  • 2023年9月29日

Netflixドイツ映画『パラダイス 人生の値段』(Paradise)。寿命が高額で取り引きされる近未来。貧乏人から寿命を買って金持ちに移植させる企業に戦いを挑みます。

シネマグ
借金を返すために寿命移植手術を無理やり受けさせられ、最愛の妻が老人になってしまう怖い話…。最近見たドイツ映画の中では1番おもしろかったです。

作品情報・キャスト

あらすじ

ネタバレなしの感想

視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)

ストーリー考察

物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

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Netflix映画『パラダイス 人生の値段』おもしろかった?(投票どうぞ)

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Netflix映画『パラダイス 人生の値段』作品情報・予告

公開:2023年7月27日
制作国ドイツ
上映時間:118分
原題:『Paradise』
ジャンル:SFサスペンス
年齢制限16+
監督:ボリス・クンツ
脚本:サイモン・アンバーガー|コービニアン・ドフター
キャスト:コスティア・ウルマン、コリンナ・キルヒホッフ、マルレーネ・タンチク、イリス・ベルベン

映画『パラダイス 人生の値段』あらすじ

ドイツ・ベルリンに本社を置くAEON社が取り引きするのは人間の寿命だった。ドナーからの寿命を移植できる技術を開発したのだ。

寿命は莫大な金額で取り引きされている。金がない若者は寿命を売って新しい人生を手に入れられると宣伝されていた。

マックスはそんなAEON社の最優秀営業マンだった。今日も難民キャンプで1人の若者にサインをさせた。

寿命の取り引きに反対するテロ組織・アダムグループはAEON社で若返った人間たちを殺害するなど過激な行動に出ており、寿命の取り引きは社会問題となっていた。

ある日、マックスと最愛の妻・エレナ(エリー)が住むマンションが火事で燃えてしまう。検証結果は火の不始末で、保険金も降りない。

妻・エレナはローンを組むときに自分の寿命を担保にすることに軽い気持ちでサインをしていた。

エレナは警察に連行される。マックスはどうにか阻止しようとするが、エレナはAEONで38年分の寿命を奪われてしまった

エレナは翌日に老婆になり、妊娠していた子供を流産する。

マックスはAEON社の仕打ちに激怒し、CEOのソフィー・タイセンから寿命を奪い返そうとするが…。

ネタバレなし感想『パラダイス 人生の値段』海外評価は?

シネマグ
寿命を移植できる近未来が舞台ですが、テーマは貧富の差や人生と金のどちらを取るかの社会問題で、つい自分ごととして見てしまいます。

ジャスティン・ティンバーレイク&アマンダ・サイフリッドの映画『TIME/タイム』(2011)と似た設定でしたね。本作は『TIME/タイム』からエンタメ性をひいて問題提起を強めたような作品でした。

寿命の売買における倫理観が終始問われており、正義とは何か?真の平等とは?など、「マイケル・サンデル白熱教室」みたいな倫理問題に興味がある人は深く考えさせられて楽しいと思います。私はかなり楽しめました。

感想を語る犬
切なすぎるラストも最高です!

いっぽうで派手なエンタメ作品を求めている人には不向きかもしれません。

海外評価も今のところ微妙ですね。

100点中50〜60点をつけている人が多く、批評家の中には「特に新しいテーマではなく、インパクトも弱い」と言っている方もいます。

個人的にはテーマは新しくないですが、表現がけっこう強烈で楽しめました。

おすすめ度 75%
アイデア・設定 70%
ストーリー 80%
IMDb(海外レビューサイト) 6.2(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 批評家 50%
一般の視聴者 52%
メタスコア(Metacritic)※随時更新 (100点中)

※以下、Netflix映画『パラダイス 人生の値段』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『パラダイス 人生の値段』ネタバレ感想・評価・考察

Netflixのドイツ映画『パラダイス 人生の値段』の評価は86点
シネマグ
SF映画として設定などの面で賛否分かれるでしょうけど、人生について深く考えさせられました。

寿命がどんな原理で吸い取られて移植されるのかは謎すぎましたが、そこはあえて掘り下げずに搾取する側・される側の構造、金か人生かの二者択一がメインです。

主人公・マックスと妻・エレナが「子供がほしいね」と言っているところでエレナが老化させられてしまう流れは本当に残酷で、見ていて辛かったです。

感想を語る犬
無理やり老化させられることほど嫌なことはないと思いました。見ていて「取り返しがつかない絶望感」に襲われます。

そして最初は乗り気でなかったエレナが、なんの罪もないマリーから寿命を搾取する終盤の豹変っぷりには人間の怖さを感じました。

そしてラストでは若返ったエレナが妊娠…しかしそばにいるのはマックスではなく別の男性です。

シネマグ
切なさ×胸糞のすばらしい結末だったと思います。

マックスは罪のないマリーから寿命を奪ったエレナの狂気を許すことができず、決定的な溝ができてしまったのでしょう。

マックスのすべての行動は妻・エレナのためでした。しかし、自分も寿命売買の営業で稼いでいたこともあってまさに因果応報ともいえる最後を迎えることに。

あとは『パラダイス 人生の値段』の特徴として、「若いだけでは幸せになれない」とハッキリ言っているのが面白いと思いました。

若くても貧困にあえいでいる人はたくさんいます。そんな人が「10年の寿命と引き換えにいい家に住める!」と聞いたらそちらを選択してしまうかもしれません。

怖いのは、若さを失っても金があればその方が幸せかもしれない可能性それ自体です。

シネマグ
若さを失う=人生の一部を失うことです。それでも金を取る思考や環境に恐ろしさを感じます。

日本でも毎日仕事が忙しく休暇も満足に取れない人が大勢いますが、これも寿命を金に変えていることにならないでしょうか。

寿命を移植できるという突飛なSF設定ですが、リアルな問題提起を孕んだ作品でした。

映画『パラダイス 人生の値段』ネタバレあらすじ解説

マックスは妻・エレナの寿命を奪って若返ったのがCEOのソフィーだと知って激怒。ソフィーは適合社のエレナに寿命を提供させるために火事を仕組んだのだ。

マックスは若返ったソフィーが早老症で亡くなった娘・ルーシーの墓参りをしているところを狙って彼女を拉致した。

マックスは闇で寿命移植手術を受けているベルク医師にコンタクトを取り、エレナを車に乗せてリトアニアへ。ソフィーを縛り、大きな箱の中に入れていた。

リトアニアの港で警察に待ち伏せされるが、マックスはとある家族を銃で脅して車を運転させ、どうにか入国に成功。

マックスとエレナは拉致した女性から「は私ソフィーの娘・マリーだ。」と聞いて驚いた。間違って娘を誘拐してしまったのだ。しかしマックスは、「マリーはソフィーの娘なのでエレナと寿命が交換できるはずだ」と考えた。

マックスたちが隠れていた廃墟にアダムグループがやってくる。マリーの救助にやってきたソフィーとAEON社の部隊も廃墟に着いた。

マックスは、アダムグループに言われた通りソフィーだけを廃墟へ招き入れようとする。しかしアダムグループのスパイだったAEON社の男性1人がソフィーを銃で狙い、大規模な銃撃戦が勃発。ソフィーは撃たれて倒れた。

マックスはエレナとマリーを連れてベルク医師がいる場所へ車を走らせる。マックスは罪のないマリーから寿命を奪うのは間違っていると考えた。しかしエレナの若返りたい欲望は強い。エレナはマックスを道に置き去りにした。

エレナはベルク医師に会い、マリーの寿命を奪って若返る

解放されたマリーはソフィーのもとへ帰る。老化したマリーは母・ソフィーに寿命を分けてほしいと言うが、ソフィーは「ドナーを探す」としか言わなかった。

マックスはリトアニアの難民キャンプに住む若者たちの寿命が金持ちたちに搾取されている現状を見て絶望した。

数カ月後。

エレナは妊娠していた。しかし恋人はマックスではない

遠くからエレナを見つめていたマックスはアダムグループのメンバーと合流する

映画『パラダイス 人生の値段』終わり

最後のまとめ

Netflix映画『パラダイス 人生の値段』は、寿命を金で取り引きする近未来を舞台に、人間の生き方や貧富の差などの社会問題を提示した良作でした。

感想を語る犬

1年くらいなら売ってもいいかな…とか考えちゃいますよね(笑)。1年売れば数百万〜1000万もらえる計算です。

金で寿命を得るのは、確かに人身売買や臓器売買に近いと思います。

設定や展開はぶっ飛んでいる映画でしたけど、人間の尊厳という哲学的な問題や倫理について深く考えることができ、一定の満足感を得られました。

たまにはドイツ映画もいいですね。

ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『パラダイス 人生の値段』(Paradise)レビュー終わり!

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