Netflix映画『LOU/ルー』ネタバレ感想・考察:母子の驚愕ラスト!メッセージ評価,あらすじ解説(2022)

  • 2022年9月28日

Netflix映画『LOU/ルー』(2022)。嵐の大森林を舞台に卓越したサバイバルスキルを持つ老女が、近所の女児誘拐事件の犯人を追跡。その過程で過去の秘密が暴かれていくという設定に目を引かれ早速視聴!

CineMag
期待していた大自然サスペンススリラーでしたが…。

作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価ラストの意味・メッセージ深掘り考察を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

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Netflix映画『LOU/ルー』作品情報・キャストと演技の印象

公開・制作国・上映時間:2022/09/23・アメリカ・109分
原題:『LOU』
ジャンル:サスペンススリラー・アクション・ヒューマンドラマ・大自然
監督アンナ・フォースター(『アンダーワールド ブラッド・ウォーズ』)
脚本:マギー・チョン/ジャック・スタンレイ

登場人物・キャスト紹介

主演のアリソン・ジャネイは、マーゴット・ロビー主演の『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』で母親役でアカデミー賞の助演女優賞を獲得した実力派!

シネマグ

スタイルが良くて無愛想で強い老女!とってもカッコよかったです。

娘を誘拐された母親役はジャーニー・スモレット=ベル。彼女はDC映画『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』の歌姫・ブラックキャナリー役の印象が強いです。ネトフリ作品ではクリヘム主演の『スパイダーヘッド』(2022)にも出演していましたね。

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謎の男フィリップ役にはローガン・マーシャル=グリーン。リドリー・スコット監督の映画『プロメテウス』への出演や、カルト宗教についての映画『インビテーション』で主演を務めたことで知られています。

キャストはなかなかよかったんですけどね…。

あらすじ(ネタバレなし)

孤独な初老女性・ルー・アデルは、シカを撃った。しかし弾が外れシカはすぐに死なない。飼い犬のジャックスが鹿の内臓を食べる。

島に警報が出ていた。夜は嵐になるようだ。

ルーから家を借りているハンナは、娘のヴィーと2人で暮らしている。

ハンナの夫のフィリップは特殊部隊にいたが3ヶ月前に人質を拷問した罪に問われ、逮捕される前に爆死したと知らされていた。ヴィーには父親のことは話していない。

夜の嵐の中、娘・ヴィーが何者かに連れ去られる。ハンナの友人・クリスも近くで殺害されていた。

嵐のせいで電話は繋がらない。ハンナはパニックになってルーに助けを求める。

ルーは“ある事”をしようとしていたが、中断してヴィーをさらった人物を追跡することに。ハンナもついていく。

さまざまな場所に置かれた手紙。そのメッセージを見てルーはCIAに所属していた過去を思い出していた。

ネタバレなし感想・海外評価

年配の女性が主人公の映画はたくさんありますが、カッコいいババアが男どもを追い詰めて殺し合う映画は初めて見た気がします。

雨を浴びながら散弾銃を握る老女の絵面は斬新かつクール、抜群のサスペンス映えです。

感想を語る犬
そういった意味で一見の価値はあるでしょう!

また大雨が降る大自然での壮大な追跡劇も見応えあり。

大自然をバックにスリリングな展開が繰り広げられるコンセプトは、ジョン・トラボルタとロバート・デ・ニーロの『キリングゲーム』(2013)やウィレム・デフォーの『ハンター』(2011)に近いです。

これらの作品が好きな人はぜひ『LOU/ルー』を視聴しましょう。

ただ、雨がふる森の中という変わり映えしないシュチュエーションがずっと続くのでやや中弛みも。画面もラスト以外は暗いです。

物語の内容はストレートなサスペンスアクションかと思いきや、かなり意外な展開が待ち受けていて驚きました。

テーマは家庭内暴力や幼少期のトラウマなど重めでメッセージ性が非常に強く、全体的なテイストも変化球です。

王道のサスペンスやアクションが見たい人には向かないかもしれません。

おすすめ度 45%
サバイバル度 80%
ストーリー 60%
IMDb(海外レビューサイト) 5.2(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 批評家 65%
一般の視聴者 57%
メタスコア(Metacritic) 50(100点中)

※以下、Netflix『LOU/ルー』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『LOU/ルー』ネタバレ感想・評価

『LOU/ルー』の評価は48点。

自然の絶景の中で浮かび上がる母子関係についての強烈なメッセージは素晴らしいと思います。

シネマグ
ただ、誘拐モノから親子関係のテーマに切り替わる過程でシリアスさが薄れてしまったのが、サスペンスとしてはちょっと残念でした。

設定は面白いけど、ストーリーはなぜかそこまで面白くないのも不思議…。

雨の中で追跡するシーンが長くて退屈だったり、後半は心の葛藤がメインにきて誘拐事件がだんだんどうでも良く感じられてしまったりが原因だと思います。

フィリップは娘・ヴィーと一緒に暮らしたいから誘拐したかと思いきや、実は母親であるルーを誘き寄せて過去のトラウマを解消したかったことが動機だと判明。

ルーの息子がフィリップだという展開が驚愕で、この流れは面白かったです。

ハンナの娘ヴィーがDV夫に誘拐される事件に、母子の葛藤というテーマが上乗せされる構造それ自体に意外性がある斬新なストーリーになりました。

広い視点で見ると興味深いのですが、ぶっちゃけるとルーとフィリップ親子の茶番劇的でもあり、終盤に進むにつれ物語が内へ内へと小さくなっていきます。

個々のシーンで面白かったのは、ルーがフィリップの仲間を裂けた空き缶で殺したシーンと、橋から落ちる場面くらいでしょうか。

感想を語る犬

まとめるとコンセプトも大自然の舞台も素晴らしいけど、悪く言えば尻すぼみ的な親子喧嘩で終わってしまった微妙な作品でした。

考察(ネタバレ)

ラストの意味

ラストでルーとフィリップは海の浅瀬で殴り合い、そして抱きしめ合います。

フィリップにとっては、母とやっと分かり合えた瞬間です。

フィリップは幼少期にルーによってCIAのイランでのクーデター任務に利用され、母親に裏切られたと大きなトラウマを抱えていたのです。

ルーも同じ感情を抱いていたでしょう。

しかしルーの場合はCIAのヘリが近づいていて攻撃されることも知っていたので、犯罪者になってしまった息子を殺さなければならないという狂気的な使命感もあったように思えます。

つまり頭の中では冷静に息子を殺す計算をしていたわけです。ルーという女性の怖さが浮かび上がってきます。

そしてルーはフィリップと一緒にヘリからの狙撃で海の藻屑となったかと思われていました。しかし引っ越しをするハンナ親子が乗っているフェリーで犬のジャックスが見つめる先にルーがいます。彼女は生きていたのです。

ルーはハンナたちと家族になれるのか?それとも観察し続けるだけなのか?

シネマグ
彼女の今後の選択が視聴者に委ねられる渋いラストシーンでした。

個人的には、ルーが冒頭で自殺を計画するまで精神的に追い込まれていたり、息子を目の前にしても表情を崩さず戦うなど鉄の仮面が剥がせない女性であることを考えると、ハンナたちと打ち解けて幸せになるハッピーエンドは想像できません。

過去は癒えず、どこまでも孤独な女性だという気がします。

クーデターと負の連鎖

ルーは息子フィリップに愛情を持ってはいたでしょうけど、数十年前のイランクーデターの際に任務を優先させてフィリップ少年を敵対組織に委ねてしまいます。

フィリップは母・ルーが助けにこないことに絶望し、心に大きな傷を負うことに。

ルーはこの時の選択に後悔し、自分自身に母親失格の烙印を押してしまいました。だから孫であるヴィーにも冷たく接していたのでしょう。自分が関わることで、第二のフィリップを作りたくなかったわけです。

また、ルーが息子のフィリップにトラウマを背負わせたことで、フィリップは成長してから妻・ハンナに暴力を振るってしまう結果に。

ルーが選択を誤った負の連鎖が、ハンナに降りかかってしまったわけです。

さらに視点を広げればルーがフィリップを傷つける原因になったのは、CIA主導のクーデターのせいです。

シネマグ
中東の政治問題から始まる負の連鎖が、ハンナの家庭を壊していたと考えると感慨深いものがありますね。

アメリカはイランに介入して、劇中では“イランという国を崩壊させてしまった失策だった”と言われていました。

通底する関係として描かれたのが、ルーがハンナとヴィー親子に介入したこと。今回は彼女たちの幸せに貢献することができました。

アメリカは過去に失敗をし、CIAのスパイだったルーもそれに関与していましたが、今回は何かに関与して救うことに成功したわけです。

ルーが過ちを繰り返さず、人生が肯定されたことを意味します。

ただ、ラストで遠くからハンナとヴィーを眺めるルーを見ていると、過去の十字架から簡単には解放されないという切ないメッセージも同時に込められているのでしょう。

感想を語る犬
息子のフィリップも死んでしまいましたし…。切ないですね。

最後のまとめ

映画『LOU/ルー』は、近所で起きた誘拐事件を追跡する老女が、原因は自分だったと知る構造的に興味深い作品でした。

ただ細かい展開や構成が上手く機能しておらず、面白かったとは言えない微妙な映画に。

保安官のランキンなど、主要キャラ以外の人物をもっと活用すればより楽しめる物語になったと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。『LOU/ルー』レビュー終わり!

2022年9月公開 Netflix映画

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