Netflixで2021年9月22日配信された映画『イントリュージョン/侵入』は、理想の新居に謎の男たちが侵入し、背筋が凍りつく事実が発覚していくサスペンス!
ラストが意外とあっけなかったような気もしますが、伏線が割としっかりしていましたし、展開がスリリングで結構楽しめました。
記事では、ネタバレなし感想、ネタバレあらすじ結末解説、ぶっちゃけ感想・評価、ストーリーの裏に隠された切ないメッセージ深掘り考察、伏線解説をしていきます!
映画『イントリュージョン/侵入』キャスト・作品情報
監督:アダム・サルキー
脚本:クリス・スパーリング
ミーラ/フリーダ・ピント
ミーラは心理カウンセラーとして働く女性。
インド出身でアメリカの大学へ進学し、夫ヘンリーとの結婚でアメリカで暮らし始めます。
癌と鬱を発症し、夫に支えられた過去があります。
女優フリーダ・ピントは映画『スラムドッグ$ミリオネア』への出演で有名。
ヘンリー/ローガン・マーシャル=グリーン
ヘンリー・パーソンズはやり手の建築家。
街から離れた場所に自分でデザインした家を建て、ボストンからミーラと引っ越してきました。
写真を綺麗に並べたりする几帳面な性格です。
昔ミーラに送った置き時計をいつも眺めています。
俳優のローガン・マーシャル=グリーンは、評価が高いどんでん返しサスペンス映画『インビテーション』の主演で有名な人。こちらもなかなか面白いのでオススメ!
ネタバレなし感想・見どころ・あらすじ
映画『イントリュージョン/侵入』は、夫婦が街から離れた静かな邸宅に住んでいて、目的の不明な男たちに侵入され恐怖に怯えつつ、衝撃の真実が発覚していく物語です。
ゴリゴリのサスペンスで、ヒューマンドラマなど他の要素は薄め。伏線の意味や、ビクッと驚いてしまう演出の上手さは楽しめました。
結構と凝っていて楽しめるのですが、なんとなく見てしまうと凡庸な作品に映ってしまう可能性があります。
これから視聴する人は、見た後にこの記事に戻って考察を読んでいただければ、また違った味わい深さが感じられると思いますのでぜひ。
おすすめ度 70% | |
スリル 78% | |
ストーリー 80% | |
IMDb(海外レビューサイト) 6.2(10点中) | |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト | %(100%中) |
※以下、映画『イントリュージョン/侵入』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『イントリュージョン/侵入』ネタバレあらすじ解説
結婚して12年になる心理カウンセラーのミーラは、建築家の夫ヘンリーが建てた豪勢な邸宅に引っ越してきました。
ある日、2人がデートに出かけて帰ると、何者かに侵入された形跡があり驚きます。なくなっていたのはスマホとノートPCだけです。翌日刑事モールスが、ヘンリーから事情を聞きます。
ヘンリーは家の鍵を変え、新しく電子ロックを取り付けますが、夜に何者かが侵入。ミーラが縛られました…。
侵入者たちは何かを探しています。その隙にヘンリーはミーラの拘束を外し、植木鉢に隠していた銃を取り出しますが、犯人と揉み合いになりました。
2階から外に出たミーラは車に逃げます。しかし家の中から数発の銃声が聞こえ、犯人の1人が近づいてきます。また銃声が響き、その人物は夫ヘンリーに撃ち殺されました。
翌日、刑事のモールスは侵入した3人は家族だと説明します。ヘンリーが撃ったので2人は即死。1人生き残ったディランは聖メアリー病院で危篤のようです。さらにモールスは、失踪中の少女クリスティンが、侵入したディランの娘だと言いました。
夜、ヘンリーが買い物に行きますが財布を忘れています。ミーラは車に乗り、彼の車を尾けました。ヘンリは聖メアリー病院の方向へ曲がります。夫の車に目を奪われていたミーラは事故ってしまいました。
翌日、ミーラは職場でモールス刑事に会い、危篤状態だった侵入犯ディランが死んだと聞き、夫を疑います。
車の場所履歴でヘンリーが少し前にイーグルポイント1432に行っていたことがわかり、ミーラはそこへ向かいます。
その住所はディランの家でした。外の車で鍵を見つけ、家の中へ侵入します。すると、夫ヘンリーの建設会社の書類が床に転がっていました。
ミーラはディランのポストから、彼が警察に送ろうとしていたビデオカメラを発見。しかし不審な男がミーラを怪しみ、そのビデオカメラを叩きつけます。ミーラは逃げました。
ミーラは家でそのビデオカメラを再生してみますが、ディランがヘンリーのことを話そうとしている途中でテープが切れます。動画を再生するため、ミーラはネットで同じ型のビデオカメラを購入。
ミーラは家でヘンリーのPCを開くと、建設現場の写真にディランと娘クリスティンが映っています。
ミーラは帰宅したヘンリーを問い詰めました。すると、以前関わった建設現場で従業員を雇っていなかったことにして、金を多く受けとったと話します。ミーラのガンの治療費と自宅の建設費用を賄うためでした。
ヘンリーは建設計画の不正をネタにディランから脅されていたようです。
ミーラは夫がクリスティンの失踪には関わっていないと知り、安心します。そんな中、ディランの家の近所でミーラと口論になった不審者が動物虐待やクリスティン誘拐容疑で捕まりました。
ミーラたちの新築記念パーティーが行われます。TVニュースを見たミーラは、捕まった不審者がクリスティン誘拐に関わっていないと知り、蒼ざめました。
ミーラはひとり車へ行き、購入したビデオカメラでディランが残した映像を再生してみます。すると、ディランは「犬が書斎で吠えたので、そこに何かあると思う」と証言しています。
ミーラはヘンリーの書斎へ行き、部屋の設計図を見てコンセントの1つが謎のスイッチに変わっていると気づきます。
スイッチを押すと壁の扉が開き、地下へと階段が続いています。なんと地下にクリスティンが椅子に縛られていました。
ミーラは後ろからヘンリーに殴られて倒れ、縛られます。
ヘンリーは泣きながら、「俺はガンになって不妊で鬱になったお前を支えてきた。今度はお前が俺のことを支えるべきだと言います。」
ヘンリーはパーティーをお開きにしてみんなを帰宅させました。
ミーラは拘束を解き、クリスティンと共に階段でヘンリーをやり過ごして地下室から脱出。しかしヘンリーに殴られ、倒れます。
ヘンリーはクリスティンを殴り、地下室へ連れて行きました。
起き上がったミーラは地下室へ行き、昔ヘンリーから貰った置き時計で、彼の頭を殴りました。
ヘンリーは倒れ、クリスティンが縛られていた椅子の上で死亡。
数週間後、自宅は売られ、ミーラは引越しします。
Netflix映画『イントリュージョン/侵入』END!
映画『イントリュージョン/侵入』ネタバレ感想・評価
サスペンス的に残念な点
大筋のストーリーは悪くなかったのものの、ヘンリーが家に財布を忘れて買い物に行き、病院に行っていたとミーラにバレるなど、ちょっとズボラな展開もありました。
ヘンリーの家にディラン・カーブの家族が侵入したときに、最初にミーラを縛るわけですが、誰も見張りについていなかったのがちょっと違和感。
あとは終盤でヘンリーがミーラを殴って縛りもせずに放置するのも、都合主義な気がしました。結局起き上がったミーラに殴られて死にますし…。
映画『イントリュージョン/侵入』考察・伏線!
妻へのストレスが爆発!
結局ヘンリーは、少女を監禁していつでも殺せる事実を楽しむサイコパスという結末でした。
ただ彼の話を聞いていると、妻ミーラの癌と不妊と鬱が重なり彼女の世話と治療費の工面で精神的におかしくなってしまったと考えても良さそうです。
『イントリュージョン侵入』は、妻へのストレスが爆発した旦那の話といっても良いでしょう。
鑑賞しながら「脚本を書いた人は妻に対して不満があったの?」と思わずにはいられませんでした(笑)。
狂気の目的は?
ヘンリーはなぜクリスティンを監禁したのでしょうか?
自分を金銭でゆすってきた建設作業員ディランの娘なので、その恨みでしょうか。
それも一部あるかもですが、他の理由も考えられます。
ここで重要なのが、ヘンリーがクリスティンに暴行などを加えていなかった点です。一見、監禁の目的が不明確です。
妻ミーラとの過去に鍵がありそうですね。
ヘンリーは寝たきりのミーラを世話していたと語っていました。
もしかするとヘンリーはミーラの世話をしている時が1番幸せだったのかも。
妻ミーラが癌や鬱を克服し、ヘンリーは彼女の心が離れてしまったような寂しさを覚え、クリスティンを監禁して以前のミーラと同じように世話をすることで、心の隙間を埋めていたのでしょう。
狂気の裏にものすごい切なさがありますね。
イントリュージョンの伏線
置き時計の意味
昔ヘンリーがミーラにプレゼントした置き時計。これでミーラはヘンリーを撲殺しますが、何か意味はあるのでしょうか?
これはボストンに実在する時計台、カスタムハウス・タワーをモデルにしたものです。(ジブリ『魔女の宅急便』で出てきた時計台のモデルらしいです)
このカスタムハウス・タワーは1915年に建設され、元々税務を担う場所だったとのこと。
それを踏まえると置き時計には、国税庁を騙したヘンリーを監視するような意味合いがあるのでしょう。
ヘンリーは冒頭でも終盤でもこの置き時計を伏線的に触っていましたが、自分の罪がバレないかという不安な心理を表現していたのだと思います。
またヘンリーが時計を触る理由は、彼がまだ異常者ではなくミーラに時計をプレゼントした頃の誠実な自分に戻れる気がするからとも推測できます。
結果的にこの置き時計でミーラに撲殺されますが、過去の誠実な自分に殺されたとも取れます。
そう考えると意外と奥深い作品ですね。
その他伏線
刑事モールスが配管を伝う音を聞いて「配管工」が必要だと言っていましたが、これは地下のクリスティンが配管に縛り付けられて暴れているためであり、地下室監禁の伏線になっています。
序盤で泥棒が入った後に、ヘンリーが書斎の壁そばのボックスを蹴って位置を直していましたが、このボックスは地下室への扉のスイッチを隠しているものです。
ミーラは心理カウンセラーで、患者の青年が「引越しがトラウマになっていた」と語っていましたが、これもラスト結末でミーラが引越しする伏線でしょう。
最後のまとめ
Netflixオリジナル『イントリュージョン/侵入』は、スリルと衝撃的な結末の裏に、夫ヘンリーの切ない狂気が潜んでいるような味わい深いサスペンスでした。
もう少しストーリーのテーマやメッセージをわかりやすくできたのでは?とは思いますが、一見サラッとしているようでドロドロの結末が楽しめてよかったです。
映画『イントリュージョン/侵入』レビュー終わり。読んで頂きありがとうございます!
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