実写映画『ホリック xxxHOLiC』は、CLAMPの人気漫画を初実写化した作品。高校生が居場所を求めて色気たっぷりな怨霊とバトルします。
神木隆之介、柴咲コウ、玉木ティナ、松村北斗(SixTONES)、吉岡里帆らが豪華絢爛なセクシー・コスプレに挑む!
蜷川実花監督の映画はPVと揶揄されることもありますが、本作は一応ストーリーやメッセージ性があります。ちゃんと映画になっていました。
ただ、ところどころプロットがひどい感じで、ご視聴の際には思考停止が推奨されます(笑)。
作品情報・キャストの印象や演技、あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価、ストーリー・ラスト考察(ネタバレ)、思考停止のビジュアルファンタジー解説(ネタバレ)を知りたい人向けにわかりやすくレビュー・まとめています。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)
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実写『ホリック xxxHOLiC』ネタバレなし感想・あらすじ・見どころ
©︎ 映画「ホリック」製作委員会
あらすじ:アヤカシ(霊的存在)が見えてしまいいつも逃げ回ってばかりの高校生・四月一日君尋(わたぬききみひろ/神木隆之介)。ある日、壱原侑子(柴咲コウ)のミセ(店/館)に迷い込みます。侑子は四月一日の「アヤカシを見たくない」という願いを言い当て、「叶えるには代償が必要」と言いました。四月一日は館のお手伝いとして、料理や掃除に励みます…。
もはやアートレベルの豪華コスプレが楽しめます。
映像面では2013年の実写ドラマ版より数段豪華で見応え抜群。
ただし物語はざっくり系…。ストーリー性を求める人には向いてません。映像作品として思考停止して楽しみたい人向けです。
おすすめ度 | 60% |
極彩色の世界観 | 85% |
ストーリー | 68% |
IMDb(海外レビューサイト) | 5.0(10点中) |
※以下、実写映画『ホリック xxxHOLiC』のストーリーネタバレありなので注意してください!
実写映画『ホリック xxxHOLiC』ネタバレ感想・評価
©︎ 映画「ホリック」製作委員会
(原作漫画未読で鑑賞しての感想です。)
蜷川実花監督の『Diner ダイナー』(2019)よりはメッセージ性もあり、楽しめました。
一方で、映像面では『Diner ダイナー』よりインパクト控え目。もう少しケバケバしい蜷川実花の攻めた映像表現を体験したかった気持ちもあります。
藤の花の紫色をふんだんに使った、いつもの蜷川実花ワールドです。
全体的に豪華絢爛な極彩色衣装とCGを駆使して夢の中のような映像美を作り上げており写真集を眺めるように楽しめました。(若干キセルの煙に誤魔化されている感もありましたが)
一方、ストーリーは意味不明な感じで面白くもつまらなくもありません。
特にキャラ同士の関係性が予定調和というか、まったく緊張感がないのが残念でした。
侑子と女郎蜘蛛も、最初からどうせ侑子のほうが強いだろうなという印象で実際その通り。四月一日からもギリギリの必死さが感じられず、どうせなんとかなるという雰囲気で実際そうなります。
良くも悪くも、キャラクターが画面を彩る装置でしかないです。
実写『ホリック』ストーリーラスト考察:代償とは?(ネタバレ)
全体的にストーリーは意味不明
中盤では四月一日君尋が女郎蜘蛛に呪いをかけられ、何度も4月1日を繰り返します。
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のようなあるある設定ですね。
終盤は、なんとなくエロい女郎蜘蛛と四月一日の対決になり、水浸しの場所(お寺)で赤い糸での縛りプレイ。
みんなびしょびしょでわめいています。すごいこと起きちゃってるぜ感強めです。
しかし内容的にはわめいている最中に侑子が助けてくれて、超悪霊が扉から目覚め、侑子がよくわからないまま消滅して、四月一日がミセを引き継いで終わる意味不明なラスト。
侑子のブレスレットはひまわりに引き継がれ、彼女は“先祖から引き継ぐ業”を克服した生活をしているようです。
四月一日の代償は侑子
ラストの意味を考察すると、やはり侑子が消滅したのは侑子こそが四月一日の大切な存在となったからなのでしょう。
四月一日の願いは当初「アヤカシを見る目はいらない」ということでしたが、終盤では「居場所が欲しい」に変化したように感じます。
その願いの代償として、侑子が場所を明け渡したとも取れますね。
「すべては必然だ」というセリフから深読みするなら、四月一日がミセに来たときから、侑子は自分が消滅することを知っていたのかもしれません。
いろいろ考えれば主人公・四月一日が自らの存在理由を見つけるメッセージ性の深い物語のはずなのですが、全体的にコスプレ感が拭えず、テーマがイマイチ伝わってこなかったのも本作の特徴です(笑)。
(原作漫画を見れば細かな設定があるのでしょうけど、漫画と実写が完全にリンクしているわけではないので、映画だけを視聴しての考察でした。)
メタ考察:思考停止は最高の快楽よ(ネタバレ)
©︎ 映画「ホリック」製作委員会
吉岡里帆さん演じる女郎蜘蛛の↓
思考停止は最高の快楽よ
というセリフがとても印象的でした。
良くも悪くも映画『ホリック xxxHOLiC』は、細かい部分を考える意味があまりない作品だったと思います。
ストーリーに緊張感や連続性がないので、考えながら見るよりボーッと映像だけ見てた方が満足感を得られるでしょう。
ご都合主義的すぎる演出
最後の女郎蜘蛛との戦いに百目鬼も参戦しているはずなのですが、彼がどんな状態なのかよくわからないまま舞台から消え、また突然出てくるなど、もはや潔いとさえいえるご都合主義演出が逆に新鮮でした。(思考停止が必要なシーンですね…)
蜷川実花作品全般に通じますがカットとカットの繋ぎで連続性が意識されておらず、その結果、ストーリーの緊張感や流れがストップしています。
(まあ、それが蜷川実花監督らしい映像といえばそうなのかもしれませんが。)
対話で全部説明しちゃう作品
悪くいえばキャラのビジュアルも動きも、すべてが妖艶なる蜷川実花ワールドを表現するための道具です。
よって映画のメリットである“映像での登場人物の内面描写”が弱く、心情はすべてキャラ同士の対話で説明されます。
見る側からすれば能動的に考える必要がないので思考停止状態になり、物語にのめり込めません。
主人公・四月一日の成長譚として重要な自分を犠牲にすることは他人を傷つけることでもあるという素晴らしいテーマも、全部セリフで説明しちゃってます。
実写映画『ホリック xxxHOLiC』作品情報
原題:『HOLiC』
ジャンル:ホラー・ファンタジー
監督:蜷川実花
脚本:吉田恵里香
原作:CLAMP著・漫画「ホリック xxxHOLiC」
撮影:相馬大輔
音楽:SEKAI NO OWARI「Habit」
制作:ドラゴンフライエンターテインメント
蜷川実花監督
写真家でもあり、極彩色+モリモリの映像美からブレない求道者。
ブレずに独自の感性・美学を貫くという点で多くのファンを獲得しています。
初日に劇場鑑賞しましたが、私と隣の男性以外は、ほとんど若い女性でした。
映像や動きの連続性にとらわれない、ある意味で斬新な演出も必見。
ややロジックから外れたストーリーは、もはやチャームポイント。
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蜷川実花 代表作:『さくらん』『ヘルタースケルター』『Diner ダイナー』『人間失格 太宰治と3人の女た』。
登場キャラ・キャストと演技の印象
四月一日 君尋(わたぬき きみひろ)|cast 神木隆之介→中性的なキャラで作品全体のバランスを保っていました。女性陣がみんな美しくて色っぽいので、神木くんじゃないとハーレム作品に見えてしまったことでしょう。まあ原作の年齢設定とはだいぶ違いますが…。
壱原 侑子(いちはら ゆうこ)|cast 柴咲コウ→目力が強く、コスプレ以上の美しさがありました。盛れば盛るほど映えるタイプですね。
百目鬼静(どうめき しずか)|cast 松村北斗(SixTONES)→弓技でイチイチ上半身をはだけて見せつける、ある意味セクシー係。
九軒ひまわり|cast 玉城ティナ→ツインテールの膨らみが特徴的すぎてコスプレ・お人形感がすごい…。2023年は『#ミトヤマネ』に主演。
女郎蜘蛛(じょろうぐも)|cast 吉岡里帆→胸の谷間やデコルテを強調する使命を帯びたセクシー番長。(『忍びの家 House of Ninjas』)
アカグモ|cast 磯村勇斗→実写映画オリジナルキャラ。扱い的に必要あったかは非常に微妙なところ。
マルダシ|cast DAOKO→いくらなんでも原作漫画と年齢違いすぎる…(漫画は少女。DAOKOさんは25歳)。
モロダシ|cast モトーラ世理奈
女性客|cast てんちむ→存在感ゼロ…。いた?違法賭博(賭け麻雀)疑惑などグレーな噂が絶えないけど頑張ってね。
最後のまとめ
実写映画『ホリック xxxHOLiC』は、豪華なコスプレアートとして楽しめましたが、もう少しストーリーに緊張感があればよかったとも感じました。
ここまで読んでいただきありがとうございます。『ホリック xxxHOLiC』レビュー終わり!