私自身ドラマ『真犯人フラグ』を楽しんではいるのですが、考察を促していながらそもそもミステリーとしては破綻しており、真犯人当てゲームが無理ゲーなのが気になるので、あくまで個人的な意見として、その理由を主張したいと思います(僕自身も楽しんでますし、楽しんでいる人を貶める意図は全くありません)。
ぶっちゃけ感想・評価、ミステリーとして完全に破綻している点を知りたい人向けに記事をまとめました。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです)
真犯人フラグ・ネタバレ感想
伏線と回収で飽きませんし、毎回のラストで大きな展開があり、18話分はぶっ続けで見てしまいました。
キャスティングもいいですよね。個人的には芳根京子演じる二宮瑞穂や、渋川清彦演じる刑事・阿久津のキャラクターが大好きです。
真犯人フラグ/脚本の元ネタはツインピークス?
『真犯人フラグ』は、緻密なパズラー作品かと思いきや、手法的には1990年代に日本でも流行ったデヴィッド・リンチ監督の『ツインピークス』的ですね。
登場人物全員怪しい、謎に謎を上塗りして引っ張っていくタイプの作品です。
第1話で圭樹の死体が発見されるくだりが、ローラパーマー発見時に絵的に似ていたり、本作の猫おばさんはツインピークスの丸太おばさんと同じスピリチュアル預言者です。
オマージュもあるのでしょう。
(ちなみに第1話で刑事・落合が言っていたデヴィッド・フィンチャーの猟奇サスペンス映画とは『セブン』のことです。)
ツインピークスは犯人探しが途中から超自然的で難解かつシュールな不条理サスペンスになり、最後は宇宙とか出てきます。(ちなみに超傑作ですよ)
ほとんど不確定情報
ドラマ『真犯人フラグ』は、証拠や伏線を組み合わせて答えを出すパズラー作品的な雰囲気を醸し出しています。
ネットやニュース情報番組『スッキリ』で生考察コーナーがあるなど、考察が非常に盛り上がっているのも特徴。
ただ冷静に分析すると、犯人に繋がるか不確定な情報が小出しにされているだけです。点と点で結びついているように見せる線は、脚本上あとで簡単に切ることができます。
それぞれの細かい出来事が完全に解決されていないので、情報が断片的か、もしくは発言自体が虚偽の可能性が大いにあり、伏線回収されたとしても犯人特定の証拠は積み上がっていません…。
つまるところ、視聴者は真犯人に繋がらない伏線で踊らされている状態に近く、犯人考察モノとしてはフェアではないです。
本作にあるのは信用できない語り手と、信用できない真実だけなので。
それぞれの情報を視聴者が好みで結びつけていくイメージで、どちらかというと考察というより想像を補足して楽しむといった方が近いでしょう。
予想や妄想というほうが適している気もします。
論理的なパズルというより、教室くらいある巨大なスクラッチをランダムで削らされている感じ。出てきた情報同士は関連性があるか不明なのに、想像でくっつけざるをえないイメージですね。
伏線を重ねたところでそれらに関連性がなく、情報が断片的なものばかりなので、そもそも犯人特定のベクトルに向かっているかすら不明なのです。
もちろん、これだけ多くのキャラを登場させて話を組み立てていく脚本家の高野水登の手腕はすごいと思います。
結局、最終回20話もアレ…って感じで動機がひどい微妙な終わり方でしたね。
共犯かつ犯人の人数不明=なんでもアリ
『真犯人フラグ』では、複数の人物が関わっている共犯・共謀がほぼ確定しています。
黒幕は事前に指示していればOKなため、アリバイの有無があまり関係ない状況です…。
加えて、それぞれの事件がしっかり解決されていないため、関連性なども含めるとめちゃくちゃな状態…。
最初の設定崩しすぎの脚本
情報の不確かさに繋がりますが、『真犯人フラグ』はいくらなんでも最初の設定を崩し過ぎです。
真帆、光莉、篤人の3人を誘拐した犯人を探すゲームから、3つの事件が別々だという突然のルール変更はいろんな意味で衝撃でしたね。
わりと巧妙にゲームチェンジしている脚本は逆にすごいですが、冷静に考えると推理ものとしては反則レベル。それまでの考察の意味が一切なくなりますからね。
光莉の他にも、瑞穂や一星など、身内が元から持っている情報を隠しているというのも、やり過ぎです。
キャラがどんどん増えるのは反則…
キャラがだんだん増えていくのもズルいですね。
クレーム魔のバタコの正体も、第1部の9話でこれまで登場した人物ではなく香里奈というもう1人増えた形で登場。
裏家業何でも屋の強羅が後半に登場とかもひどいですよね。
な新キャラが出た瞬間に積み上げてきた考察のリセットが必要で、フェアじゃない感。
最後のまとめ
『真犯人フラグ』はサスペンスとしてはまあまあ面白いものの、推理に必要な情報が全く与えられておらず、それを上手く誤魔化している感じなのが気になります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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