『ドント・ウォーリー・ダーリン』ネタバレ感想・考察:ラスト意味や強烈な風刺!映画あらすじ評価レビュー

映画『ドント・ウォーリー・ダーリン』女優フローレンス・ピューが謎の共同体で暮らし追い詰められていくスリラーです。

CineMag
気色が悪い系サスペンスとして演出は最高!社会風刺としてもすごい!しかしラストのオチは正直〇〇でした…。

作品情報・キャスト・あらすじぶっちゃけ感想・評価ストーリーの意味・結末考察、を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

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映画『ドント・ウォーリー・ダーリン』作品情報・キャストと演技の印象

公開・制作国・上映時間:2022/11/11・アメリカ・122分
原題:『Don’t Worry Darling』
ジャンル:サスペンス・ホラー・不条理
年齢制限:PG12
監督:オリヴィア・ワイルド
脚本:ケイティ・シルバーマン/キャリー・バン・ダイク
撮影:マシュー・リバティーク

監督のオリヴィア・ワイルドは『Dr.ハウス』のレミー・ハドリーを演じたことで有名で、『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』(2019)で監督デビューを果たし、本作が長編2作目。俳優も監督もこなす才能あふれる女性です。

撮影監督のマシュー・リバティークは『ブラック・スワン』や『アイアンマン』を撮った人物。どおりで本作の映像は『ブラック・スワン』のような重苦しさと芸術性があるわけです。

登場人物・キャスト紹介

女優フローレンス・ピュー

©︎ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ

アリ・アスターの斬新すぎる傑作ホラー『ミッドサマー』のフローレンス・ピューが主演!これは絶対見に行かなければ…と鑑賞を決意しました。謎の共同体で生活するアリスを演じます。表情が豊かなのでずっと見ていられるんですよね。

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映画『ミッドサマー』

フローレンス・ピューはマーベル作品『ブラック・ウィドウ』と『ホークアイ』にエレーナ役で出てましたね。

フローレンス・ピューの夫ジャック役はハリー・スタイルズ。世界的アイドルグループ、ワンダイレクションのメンバーで、俳優としてはクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』に出演しています。

あとはクリス・パイン(『スタートレック』『ワンダーウーマン』『ザ・コントラクター』)が共同体の創設者・フランク役。

クリス・パインの妻役で、『エターナルズ』や『ヒューマンズ』で知られるジェンマ・チャンが登場します!

映画『ドント・ウォーリー・ダーリン』あらすじ

『ドント・ウォーリー・ダーリン』のワンシーン

©︎ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ

1950年代。砂漠の中にある豪勢な共同体ヴィクトリー・プロジェクトで暮らすアリス(フローレンス・ピュー)は夫のジャック(ハリー・スタイルズ)と幸せに暮らしていた。

朝は家事を完璧にこなし、昼はバレエを習い、そのあとは隣人のメアリー(オリヴィア・ワイルド)と酒を飲んで楽しく過ごしていた。

ある日、アリスの友人のマーガレットが、「この場所から逃げなきゃ」と錯乱して失踪したことで、アリスは完璧だと思っていた暮らしに疑問を抱き始める

男たちは朝一斉に出勤し、どんな仕事をしているかもわからない。

みな共同体の創始者・フランク(クリス・パイン)を尊敬しており、彼の言葉に疑いを抱くものはいない。

アリスは飛行機の墜落を目撃し、その場所近くにある立入禁止区域へ足を踏み入れるが…。

ネタバレなし感想・海外評価

シネマグ
演出や映像、メッセージ性に優れたタイプで好みがハッキリ分かれると思います。

大まかなストーリーは普通だけど、不条理な映像の数々が面白いので楽しめる作品。個人的には好きでした。

映画をみながら抽象的なメッセージを考えるのが好きな人には向いていると思います。映像も芸術的で美しいです。

海外レビューサイトの評価は微妙な感じで、一般視聴者の評価はなかなか高いですが批評家からは支持されていません。「長いわりには衝撃度がない」的なコメントが多かったです。

おすすめ度70%
世界観94%
ストーリー64%
IMDb(海外レビューサイト)6.2(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト)批評家 39%

一般の視聴者 74%

メタスコア(Metacritic)48(100点中)

※以下、『ドント・ウォーリー・ダーリン』のストーリーネタバレありなので注意してください!

『ドント・ウォーリー・ダーリン』ネタバレ感想・評価

映画『ドント・ウォーリー・ダーリン』の評価は75点。

コンセプトアートのような演出や男性優位社会への鋭い風刺をはらんだ良作です。

ジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』のような息苦しさが終始漂い、男性優位社会への皮肉が効いている!

ただサスペンス映画としてオチに過度に期待して肩透かしをくらった感も否めません。

シネマグ
だって要はマトリックスじゃないですか…。
謎が謎を呼んでいくつくりなのでオチへの期待値が爆あがりしてしまうんですよね。
「オチが最高なら満塁ホームランの傑作になる!」と目をギラギラさせて見てしまい、結末が仮想空間ですから、正直ガッカリはしました。
ただやはりオリヴィア・ワイルドは監督としても才能あふれていると感じました。人間の尊厳を奪うことへの警鐘をシニカルかつ美しく描けるのは本当にすごいです。
感想を語る犬
『ピアノ・レッスン』や『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ジェーン・カンピオンみたいな監督になりそうだと勝手に期待しています。

狂気のシーンの連続

  • 卵の殻を割ると中身が空っぽ
  • 自分でラップで顔をぐるぐる巻きにして呼吸困難になる
  • 壁が迫ってきてつぶされる

などなど、怖さやグロテスクさではなく心理的抑圧を伝えるメッセージ性の強い場面に圧倒されました

演出含めて終始スリリングな雰囲気がただよっていたので中だるみしなかったです。

感想を語る犬
狂気のシーン自体がコンセプチュアルアート(前衛的な芸術)ですよね。ブラック・スワンっぽさもあります。

フローレンス・ピューが暮らしているヴィクトリープロジェクトという共同体は何なの?という謎をひたすら引っ張るタイプの物語でも退屈しなかったのは、内面を表現するアーティスティックな映像のクオリティが高かったからだと思います。

考察(ネタバレ)

ラストの意味

フローレンス・ピュー演じるアリスはラストでどうなったでしょうか。

暗転したあとに大きく息をする音が聞こえたので、現実社会に戻れたのだと思います。

そのまま現実に出ても秘密を知っているのでクリス・パイン演じるフランクに殺される可能性がありましたが、フランクは妻のシェリー(ジェンマ・チャン)に殺されました。

シェリーは夫を恨んでいたようなので共同体のシステムは解体されるのでしょう。シェリーもまた夫を支える妻として抑圧されていたのです。

男性優位社会のメタファー

男は仕事!女性は家をキレイにして夫を支える!

男女の役割分担がはっきりしたステレオタイプの共同体ですね。

女性は家周辺から遠くへ行くことは許されず、夫が何をしているかも知らない。古き良き1950年代のアメリカはこんな感じだったのでしょうか。

この共同体は決してフィクションではなく、現実の男性優位社会をそのままミニチュアにしたようです。

映画での描きかたはやや極端ですが、世界中で女性が男性のために家に抑圧される時代が長く続いていました。そして現在も多少緩和されたとはいえそういう風潮が残っています。

「ドント・ウォーリー・ダーリン(愛しい人、心配しなくていいよ)」と甘い言葉をささやいていても、その裏に女性への抑圧があるのです。

感想を語る犬
甘い言葉の裏の束縛…ゾッとするほど怖いですね。

(ちなみにヴィクトリーコーポレーション(共同体)はタレントのヒュール・ハウザーさんが所有していたカリフォルニアのボルケーノハウスがもとになっているようです。)

フランクの目的

マトリックスみたいなプログラムを開発したフランクがそれを使ってやりたかったのは、彼があこがれている古き良きアメリカの再現。

古き良きとはフランクみたいな男性からみてそう見えるだけかもしれないのに、あたかもそれが正しいように住民を洗脳しているわけです。

ようは世界中を旧世代の思想に戻したかったのでしょう。

劇中でも混沌(こんとん/カオス)は悪で、コントロールや秩序が善とされていました。多様性(ダイバーシティ)の否定です。

フランクを演じたクリス・パインは渋いイケメンだし、女性にもそれなりに気を遣っているしぐさも見せます。

しかし、女性の人生は男性の作品だと言っているようで、よく考えると非常に怖い

あまりいい言葉でないですが、女性の尊厳を踏みねじる傲慢(ごうまんさ)さに吐き気がします。

素晴らしい頭脳とカリスマ性を持ちながら、目的は男性優位社会を作ること!

言葉にしてみるとすごくダサいですね(笑)。

シネマグ
「男は本当にバカだ」と突きつけています。風刺という意味では本当に強烈で面白い

共同体の仕組み

共同体の詳しいシステムについては語られておらず、解釈の余地が残っています。

まず主人公・アリスの旦那ジャックは、フランクの思想に共感して共同体に申し込みました。

実態は、アリスをベッドに縛り付けて頭と目に特殊な装置をつけ、仮想空間を見せそこで楽しく暮らすこと。

ジャックは本部に行けば目覚めることができ、昼は現実社会で普通に働いて夜だけ仮想空間でアリスと過ごしているようです。

要はバーチャル空間ですが、アリスが飛行機が墜落を目撃したことについて疑問が残ります。

単にシステムのバグなのでしょうか。

もしくは共同体の土地は現実にあり、アリスたちの意識がそこに転送されている仕組みなのかもしれません。

共同体が完全にバーチャルであれば、女性たちに過度な行動制限を強いる理由もない気もします。まあ強いて理由がなくてもフランクは女性を家に縛りつけたかったのかもしれませんが。

最後のまとめ

『ドント・ウォーリー・ダーリン』は、芸術性とメッセージ性を兼ね備えた映像美とフローレンス・ピューの迫真の演技が楽しめた良作でした。

シネマグ
これでラスト結末がもっと衝撃的だったら最高だったんですけどね。

もしくはオチを過度に期待させない工夫があればなおよかったと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございます。『ドント・ウォーリー・ダーリン』レビュー終わり!