Netflix映画『ブラック・クラブ』(Black Crab)は、ノオミ・ラパス演じる女性兵士が、スケートで氷上を進み敵陣をくぐり抜けてある物資を運ぶ、決死の任務を遂行する戦争アクション。
ガンアクションの迫力や、氷上の美しさなど、映像も素晴らしかったです。全体的にはエンタメ作というより社会派の要素がある戦争映画ですね。
キャスト、ぶっちゃけ感想・評価、戦争における究極の二項対立の考察、ネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに記事をわかりやすくまとめました。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)

Netflix映画『ブラック・クラブ』作品情報・キャスト・見どころ
原題:Svart krabba 英題:Black Crab
監督:アダム・バーグ
脚本:アダム・バーグ/ペレ・ラドストローム
ジャンル:戦争アクション
配給:Netflix
登場人物・キャストの印象
キャロリン・エド|ノオミ・ラパス
©︎Netflix
エドは負けつつある戦争で特殊任務に挑む軍人。
ノオミ・ラパスは映画『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』、『プロメテウス』『チャイルド44』などに出演。個人的には『クライム・ヒート』の演技が印象に残っています。
その他のキャラ・キャスト
ニールンド中尉|ヤーコブ・オフテブロ
グランビク|エリク・エンゲ
ネタバレなし感想・見どころ・あらすじ
あらすじ:戦争で負けつつある国家。軍人キャロリン・エド(ノオミ・ラパス)は、アーダー基地に“あるもの”を届けるミッションを言い渡されます。チームは、敵陣の近くをアイススケートで進みますが…。
戦争アクションのリアリティで恐ろしさを疑似体験できると共に、戦争の悲惨さを浮き彫りにするなどメッセージ性も強いです。
エンタメ寄りではないですが見る価値はあります。
おすすめ度 | 80% |
戦争のリアリティ | 90% |
ストーリー | 75% |
IMDb(海外レビューサイト) | 5.5(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家69% 一般41% |
※以下、Netflix映画『ブラック・クラブ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ブラック・クラブ』ネタバレ感想・評価
2022/03現在、戦争状態にあるロシアとウクライナと重なる部分もあり、非常に深く考えさせられました。
銃撃などのリアリティのある戦闘・グロい殺害シーンなど、視聴者に戦争の悲惨さや恐ろしさを疑似体験させるコンセプトがあるのでしょう。クリストファー・ノーランの『ダンケルク』と近いテーマがある気がします。
ストーリーが面白いというより、体験型ですね。
映画として超面白いとは言えないですが、残酷な真実に触れるという意味では見る価値ありでしょう。
映画『ブラック・クラブ』ネタバレあらすじ解説
戦争により娘・ヴァニャと各地を転々とする生活を送っていたキャロリン・エド(ノオミ・ラパス)。ある日トンネルで、敵兵に市民が次々と撃ち殺され、ヴァニャも連れて行かれました。
時は流れ、軍人となっていたエドはテッセナーイにある基地に呼ばれます。フォルスベリ大尉、ニールンド中尉、グランビク、マリック、カミリ伍長らと、戦争に勝つためアーダー基地まである物質を運ぶ任務を言い渡されました。敵陣に近い氷の上をスケートで滑っての移動です。
ブラック・クラブ(黒い蟹)作戦と名付けられました。
エドは、娘がアーダーにいると言われ、任務の成功の命をかけると誓いました。
任務が開始されますが、フォルスベリ大尉は氷に落ちてしまいます。エドは氷の下に潜り、リュックと荷物だけ回収します。大尉はそのまま沈んで死亡。体が冷えたエドは焚き火ができる場所で、仲間と体を温めました。
無人のはずの群島に灯りがあり、老夫婦が住んでいました。エドたちは食料でもてなされますが、老夫婦はテーブルの下にマシンガンを隠していました。撃ち合いになり、エドたちは老夫婦を射殺。味方のカミリ伍長も死亡します。
敵のヘリに狙撃を受けながら座礁した船に到着し、銃弾を受けていたマリックはそこで自殺。
エドたちは自分たちが運んでいる物質の容器を開け、中身が強力なウィルス生物兵器だと知って驚きました。
エドたちは薄い氷を渡り切ります。
しかし翌日、良心の呵責に耐えかねたニールンドがウィルスが入った容器を盗んで消えていました。銃声があり、エドたちが眠っていた小屋は10名ほどの敵兵に囲まれています。
敵兵を狙撃してなんとか全員倒しますが、エドは腹に銃弾を受け、グランビクは手榴弾で死亡。
エドは、氷の上を滑ってニールンドを追いかけて銃で撃ち、アーダー基地付近で倒れました。
目覚めるとエドは基地のベッドの上です。エドは表彰されて少尉になりました。娘が基地にいるというのは嘘だと知り、手当を受けていたニールンドと共にウィルス兵器の使用を阻止することに決めます。
兵器が使用されれば数百万人の国民も犠牲になり、娘・ヴァニャがどこかで生きていれば彼女も殺すことになってしまうからです。
エドとニールンドは研究室に侵入して研究者を脅し、ウィルスの容器を持って警報を押し、外へ出ました。
先が長くないと悟ったエドは、ニールンドにヘリに行くよう言います。
エドは司令官たちに囲まれながら崖から飛び降ります。
©︎Netflix
落下中にウィルスの容器ごと手榴弾で自爆しました。
Netflix映画『ブラック・クラブ』終わり。
ネタバレ考察:戦争による究極の二項対立
©︎Netflix
戦争で負けそうだから、ウィルス生物兵器を使う。しかし、あたり一帯の自国民や難民も死亡する。
国が戦争に勝つために、罪なき国民の命を奪うことは正しいことでしょうか?
戦争では勝利と、国民の命どちらが重いのでしょうか?
ラストシーンのエドのように、生物兵器を破壊することが正しいようにも思えます。
一方で、もし敵国が残虐なら、生物兵器を使用せずに戦争に負けた場合、支配された後で多くの国民が虐殺されてしまうかも知れません。
このように、本作では答えが難しい二項対立が浮き彫りになります。マイケル・サンデル教授の正義の授業みたいですね。
さらに、この残酷な二項対立が主人公視点でドラマティックに変化していくのも非常に興味深いです。
母であるエドは、娘・ヴァニャに会いたいがために、生物兵器を運ぶことに全力を尽くします。最初は娘の存在の方が、その他大勢の命より重いわけです。
しかし娘が基地にいないとわかり、難民たちに被害が出ないように自らの正義に沿ってウィルスごと自爆しました。
ほんの少しの立場の違いによって選択が変わってしまう。その選択によって多くの人命が奪われてしまう。
最後のまとめ
ノオミ・ラパス主演の映画『ブラック・クラブ』は、氷上をスケートで移動する奇想天外な任務での戦闘シーンや、戦争における現実的な選択を迫る佳作でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。Netflix『ブラック・クラブ』レビュー終わり!
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