Netflix映画『荒れ野』ネタバレあらすじ感想!意味不明な怪物を考察・映像評価

  • 2022年12月14日

Netflixスペイン映画『荒れ野』(El Paremo)は、荒野で暮らす母子に謎の怪物に迫りくるホラー!絵画のような美しい映像が堪能できる一方、意味不明で抽象的な物語です。

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グロいシーンも多いですが、どちらかというとホラーというよりアート寄りの映画。

スペイン映画らしい芸術性・抽象的なメッセージに優れており個人的には楽しめましたが、好みがハッキリ分かれるでしょう。

本作『荒れ野』のぶっちゃけ感想・評価怪物やストーリーの意味考察全編ネタバレあらすじ解説を知りたい人向けに記事をまとめました。

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです)

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Netflix映画『荒れ野』キャスト・作品情報

公開・制作国・上映時間
原題:El Paramo 英題:The Beast/The Wasteland
監督:ダビド・カサデムント
脚本:ダビド・カサデムント、マルティ・ルーカス、フラン・メンチョン
主演アシエル・フローレス(ディエゴ役)
出演:インマ・クエスタ(母ルシア役)
出演:ロベルト・アラモ(父サルバドール役)

女優インマ・クエスタはNetflixドラマ『あなたの遺した混沌』『クリミナル:スペンイン編』などで有名。

ネタバレなし感想・見どころ・あらすじ

あらすじ:幼いディエゴは人里離れた荒野に父母と暮らしています。カカシが示す境界の外には人間の恐怖を喰らう怪物がいるらしいです。父が旅に出て、ディエゴは母を守ろうとしますが…。

眼福の映像美+抽象的で意味不明なストーリーのホラーです。

個人的にはかなり好みですが、海外大手レビューサイトの評価も軒並み低いですね。(不条理系の映画なのでしょうがないのかも)

アート映画が好きな人や、明確な答えのない物語が好きな人には向いています。

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個人的にはかなり好きでしたが、エンタメ系コンテンツとは真逆で、好き嫌いがハッキリ分かれるでしょう。
おすすめ度 75%
芸術性 90%
ストーリー 70%
IMDb(海外レビューサイト) 6.7(10点中)
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) 一般26%

※以下、映画『荒れ野』のストーリーネタバレありなので注意してください!

映画『荒れ野』ネタバレ感想・評価

Netflixホラー映画『荒れ野』の評価グラフ

 

Netflixホラー映画『荒れ野』の評価は85点。

荒野にポツンと一軒家があり、カカシで境界線が決められている…、浮世離れした舞台自体がメタファーのようです。

ルーシー・アザリロヴィック監督の映画『エヴォリューション』(2016)に近いコンセプトだと感じました。戦時に戦線以外の隔離された場所を描いていることから『パンズラビリンス』に似た側面もあります。

芸術大国スペインらしさなのか構図が美しいカットが多く、ストーリーは難解ながらも終始絵画を眺めているような感覚で視聴できます。

どこまでも続く地平線や、雲から覗く太陽、木板の隙間から差し込む陽光などなど、見応えがあるシーンが非常に多いです。アート作品として成立しています。

風景として非常に美しい一方、映像が叙情的ではないバランス感覚も素晴らしいです。

ストーリーの多方面からの解釈を許し、そもそも言葉で語れるような答えに重きを置いていないともいえるでしょう。

あくまでも推測ですが、ダビド・カサデムント監督は自分自身も解釈が及ばないようなシュールレアリスム的な手法で本作を作ったのかもしれません。

一応、次の項目では1つの解釈を提示してみました。

映画『荒れ野』怪物の意味考察

暴力は人間の内側にすでに存在する

映画『荒れ野』の怪物

ストーリーの抽象度が高すぎるので怪物の正体についても色々な解釈ができるでしょう。

フワッとした大まかな回答なら、この一家は戦火を逃れていることもあり、怪物は絶望や暴力の象徴といえます。

ただ物語を見ていると、それだけで片付けて良いかは疑問です。

怪物の登場や迫り方を見ていると、戦争から逃れても暴力からは逃れられないといっているようです。

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暴力は外部からでなく、人間の内側から生まれる避けられないものであると表現しているのでしょう。

些細なきっかけで暴力性が覚醒すると言い換えても良いでしょう。

怪物で親殺しを表現

『荒れ野』のストーリーからさらに具体的に考えると、怪物は少年ディエゴの父殺し・母殺しを具象化したものだと思います。

心理学でいうとエディプスコンプレックス(父殺し)や、母離れなどの精神的親殺しです。

映画『荒れ野』は、少年の心理状態の表現であり、心の中で父を追い出し、母に別れを告げ、外の世界へ飛び出していく過程を描いたのではないでしょうか。

そう捉えると、恐怖を喰う怪物が父母を殺す意味不明なストーリーが繋がります。

少年は成長する過程でたくさんの恐怖を抱き、それを糧に精神的なハードルを乗り越えると映像で表現しているようで素晴らしいですね。

終盤では黒い細長い怪物が、父が座っていたテーブルにいました。これも少年から湧き出る父への憎悪=怪物だと匂わせています。

父サルバドールの姉が両親から虐待を受けていたというエピソードも、親殺しの必然性を説いているようです。

深読みするなら、サルバドールは姉を自殺させた両親を実際に殺害したのかもしれません。

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戦乱と少年の通過儀礼をシンクロさせ映像で表現したのが、映画『荒れ野』なのでしょう。

怪物の正体はダリの絵画?

サルバドール・ダリ1937年の絵画「燃えるキリン」
サルバドール・ダリ「燃えるキリン」1937年

黒くて細長い怪物を、サルバドール・ダリの1937年の絵画作品「燃えるキリン」が浮かびました。

荒野で細長い黒い影…、スペイン製作で、主人公の父の名前もサルバドール。

ダリの絵画をホラー映画で表現するコンセプトがあったのかもしれません。

ダリも精神世界を描いていますし、本作『荒れ野』も精神世界っぽいです。

何かしらの影響を受けている可能性はあるでしょう。

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