映画『スオミの話をしよう』
徹底考察:『サンセット大通り』からの解釈、ヘルシンキの意味、テーマは日本社会の縮図?
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
『スオミの話をしよう』相関図キャスト
出演と関連記事↓
スオミ・時枝|cast 長澤まさみ(『マスカレードナイト』)
草野圭吾|cast 西島秀俊(『ドライブマイカー』)
十勝左衛門|cast 松坂桃李(『VIVANT』)
小磯杜夫|cast 瀬戸康史
魚山大吉|cast 遠藤憲一(『首』)
宇賀神守|cast 小林隆
寒川しずお|cast 坂東彌十郎
乙骨直虎|cast 戸塚純貴
|cast 阿南健治
|cast 梶原善
薊|cast 宮澤エマ
※以下、『スオミの話をしよう』のストーリーネタバレありなので注意してください!
『スオミの話をしよう』考察
元ネタはサンセット大通り?
(『サンセット大通り』のネタバレがあります)
使用人の魚山(遠藤憲一)が実はスオミの元夫だったとんでも設定は、元をたどればビリー・ワイルダー監督の『サンセット大通り』のオマージュだろう(使用人が屋敷の大女優の元夫だった設定がある)。(表面上はドラマ『大豆田十和子と三人の元夫』なども設定が似ているかもしれないが)
その作品から、夫がたくさんいたら面白いと思って話がつくられたのかもしれない。
終盤でスオミは屋敷の階段を登っていき、夫たちがみんな「スオミ最高だ〜」と叫ぶが、これはかつての大女優がメディアに囲まれながら狂気の表情で階段を下っていく『サンセット大通り』を逆にしたパターンとも考えられる。
つまりスオミはたくさんの夫たちの前で女優のように演じたが、『サンセット大通り』のように破滅はせず新たな未来が待っている表現なのかもしれない。
ヘルシンキが意味するもの
劇中でも触れられていたが、フィンランドは男女平等な社会かどうかを示すジェンダーギャップ指数で世界2位の国である。最後のミュージカルの歌であった「ヘルシンキ」はフィンランドの首都。スオミ(Suomi)はフィンランド語でフィンランドを指す。
ラストにはスオミが自分が生まれた場所に帰りたかっただけでなく、男によって自分を変えるような生き方から、そんなことをしなくていい場所へと進む意味があると考える。
そしてスオミは父の写真が入ったペンダントをいつも身につけていた。父が外交官でフィンランドに住んでおり、そこでスオミが生まれたと考えると、フィンランドという国はいつもスオミの中にあり、表面上は夫によって変わっても心の中には男女平等を求める本来のスオミがいつもいたという解釈もできる。
結局何が言いたいの?日本社会の縮図
本作が何を言いたいのか?さまざまな解釈があると思うが、ひとつには日本で女性が置かれている状況を表した社会派映画なのだと思う。
結婚して夫が望むような女性を演じてきたスオミ。スオミほどではなくても、会社・家庭・学校で男が望むような役を演じている女性は多いのではないか?(無意識にしろ)
日本人男性の中に何か理想の女性のようなものがあって、それを押し付けている社会を風刺した作品だと思った。
そして重要なポイントが、スオミの母・時枝も男に追従するような生き方の模範である点だ。
母親や他の女性でさえ、男に依存しない生き方を教えてくれないばかりか、それを良しとしてしまう社会。この指摘はなかなか鋭い。さすが三谷幸喜。
スオミは後続する女性のために、自らが模範になる道を選択したのだと考える。そう思うといい話。
元夫の名前は神社から
草野、十勝、小磯、宇賀、寒川は日本各地にある神社で、魚山は寺院の名前でもある。
これが意図されたものかはわからないが、夫たちの名前にはスオミを見守る存在という意味があるのかもしれない。それぞれの男たちが日本のダメ夫の象徴ではあるが、彼らなりにスオミを愛し、守っていたという意味があるような(ないような)。
『スオミの話をしよう』ネタバレラスト解説
5人の夫たちは犯人からの電話の通り、セスナ機から相模原公園にアタッシュケースに入れた金を落とす。
しかし、小磯の推理で、寒川がアタッシュケースに金を入れていなかったことが判明。
草野は、十勝がセスナ機を保有していることや、元夫のない内部事情にくわしい者で、かつ脅迫文がアナログな手法でポストに投函されたことから、実行役は乙骨で、黒幕はスオミだと推理する。
5人は乙骨を尋問し、草野がスオミに連絡を取る。
スオミは親友でいつも一緒にいる薊と屋敷に戻り、夫に都合のいい女性ではなく、本当の自分として生きたかったと話す。スオミはフィンランドで生まれ、ペンダントには父の写真が入っている。ヘルシンキで暮らしたいと話した。
狂言誘拐だが身内の揉め事ということで事件にはならなかった。
スオミは利用した乙骨に別れを告げる。乙骨は5.5番目の夫止まりだった。
しばらく後、スオミは小磯とマッチングアプリで知り合った。小磯はスオミの顔を見ていなかった。彼はスオミの6番目の夫になるようだ。
『スオミの話をしよう』ネタバレ感想・評価
元夫の草野が現在の夫・しずおにあって、俺の知らないスオミの話を聞かされて落ち込んでいるときに、隣にしずおが書いた「泣きたいときは泣けばいい」という色紙が飾ってあったのが面白かった。
全体的にクスッと笑えるけど、大笑いはできない感じ。でも会場でずっと笑っているおじさんもいたし、やはり三谷幸喜のギャグセンスは刺さる人には刺さるのだろう。
基本的には元夫たちが嫉妬しあい、じゃれあっているのが面白い作品で、ぶっちゃけ『マジックアワー』のように特に大きな感動とかは得られなかった。
古畑任三郎とか『マジックアワー』みたいに、真面目に感動できるシーンをもっと入れても良かった気がする。
映画『スオミの話をしよう』作品情報
上映時間:1時間54分
ジャンル:ミステリー・コメディ
年齢制限:G制限なし
監督・脚本:三谷幸喜
撮影: 山本英夫
音楽:荻野清子
制作会社:エピスコープ
製作:東宝・フジテレ
ここまで読んでいただきありがとうございます。『スオミの話をしよう』レビュー終わり!
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