『ラストマイル』ネタバレ考察・ロッカーの文字と最後の表情,山﨑の暗号,爆弾を仕掛けた方法

  • 2024年9月10日

映画『ラストマイル』巨大物流センターの荷物に1ダースの爆弾が仕掛けられた!センター長や物流のみんなはどう解決するのか?真犯人の動機は!?

シネマグ
脚本はやっぱりうまかったな。キャストも素晴らしい!ロッカーに書かれた「2.7m/s→0、70kg」の本当の意味を詳しく解説

徹底考察:ロッカーに書かれた文字「2.7m/s→0、70kg」は映画のテーマ?

最後の孔や五十嵐の表情の意味、爆弾はもう1個ある? 犯行動機は?

犯人が爆弾を仕掛けた方法をわかりやすく解説

これらの情報を知りたい人向けにレビュー!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)

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ネタバレ少しの感想

※以下、『ラストマイル』のストーリーネタバレありなので注意してください!

ラストマイル考察

ロッカーの「2.7m/s→0、70kg」は暗号?

山﨑(中村倫也)がロッカーに書き残した文字の意味はなんだったのか?ネット上ではネガティブな考察が多いが、映画全体として捉えると前向きなメッセージも含んでいると感じた。

まず劇中で説明があったように「2.7m/s」はベルトコンベアの速度「70kg」はベルトコンベアの耐荷重

山﨑はわざわざテーブルを使って飛んで飛距離を出したので、ベルトコンベア、ひいては巨大な物流システムを止めたかった表面的な意図はわかる。0は速度0のことだろう。

山﨑の意図を映画全体のテーマにからめて考える必要があると感じた。

70kgは日本人男性の平均体重くらいである。1人いれば物理的にベルトコンベアを止めることができる。1人でも何かできることはあるのだ。

今回の事件は山﨑の飛び降りから始まり、5年後の爆発事故を受けてエレナがベルトコンベアを止め、少しだが下請けの労働条件を変えることができた。

山﨑1人の行動によって巨大企業というベルトコンベアが止まったのだ。

よってロッカーの文字「2.7m/s→0、70kg」は、広い視点では1人の人間が巨大企業を変えられる証明の数字だと考える。

もし山﨑が暗号の意味を込めたとすれば、「あなた1人でもベルトコンベアを止める選択はできるぞ、あなたはできるか?やってくれるか?」と伝えていたのだと思う。山﨑のように飛び降りなくても止める方法はある。1人の行動が顧客中心主義の欺瞞を崩すことができる。

1人の人間がベルトコンベアに突っ込んだ事件が、5年後に下請け配送スタッフたちを救うことに繋がった。

山﨑が飛び降りたそのときにはベルトコンベアは止まらなかった絶望の意味もあるだろうが、5年後には何かが変わった希望もある

(飛び降りや爆破テロはもちろん良くないが)社会の歯車になっている一人一人に、自分は無力な存在だと思わないで欲しいという力強いメッセージが込められていたと感じた。

孔(岡田将生)のラストの表情

最後に孔がロッカーの前でうなだれた。何かを変えた山﨑の決死のメッセージを目の前にして、「俺も社会を変えたい。変えられるかもしれない。でも死ぬほど大変だし重すぎる…」との重圧や葛藤があったのだろう。

山﨑がこのメッセージを残した5年前から、センター長が何人も変わった。みんな何も変えられずに体調不良で辞めていった(エレナ以外)。俺はどうすればいいんだ…。

エレナからバトンを渡された孔のような人間が今後どう動くのかで日本の未来が変わっていくのかもしれない。

五十嵐(ディーン・フジオカ)のラストの表情

五十嵐は最後に関東物流に左遷された。最後は山﨑が飛び降りた場所から階下をながめ、パニックになっていた。

理由は、山﨑が飛び降りた理由がベルトコンベアと暴走する会社を止めたかったからだ…とロッカーのメッセージの意味に気づいたこと。

偶然ベルトコンベアに落ちたのではなく、狙ってやったのだと理解したのだろう。

そして、五十嵐本人も当時・山﨑の飛び降りを目撃して決して平気だったわけではなく、ずっと心のどこかにパニックを抱えていた。現場に戻って感情が抑えきれなくなった表現でもある。

五十嵐はすべてを黙認した加害者でありながら、巨大システムに巻き込まれた被害者でもあるのだ。

下請けとは立場がまったく違う五十嵐や、もっと上にいるサラもまたデイリーファーストが成長するための歯車でしかない。ベルトコンベアを稼働させるためのパーツでしかないという点に怖さがある。

爆弾はもう1個ある?

12個が見つかったあとで、エレナは爆弾はもう1個ある!と言っていた。

これは、エレナ自身が爆発しそうなくらい限界だということ。さらに孔や五十嵐が爆弾になる可能性を示唆している。心の爆弾は起爆される寸前なのだ。

視点を広げ、DAILY FAST(Amazon)が作る非人間的な巨大システムに巻き込まれた世界中の誰も(私たち鑑賞者を含め)が爆弾を抱えている意味もあると考える。

どうやって爆弾を紛れ込ませた?解説

まず、5年前に飛び降りた山﨑の婚約者・筧まりか(仁村紗和)がどうやって爆弾を紛れ込ませたのか?

彼女は配送代行のシステム(自分が持っている商品をDAILY FASTに代わりに配送させる)を利用した。

  1. ブラックフライデー前にセールになる商品をチェックして購入(セール品は絶対売れるから)
  2. そして自分で購入した12個の商品に爆弾を仕掛ける
  3. 配送代行システムにその商品の配送を依頼し、センター内に持ち込ませる
  4. 物流スタッフとして配送代行のラベルを剥がして、DAILY FASTのサイトで購入された同一商品とすり替える
  5. 爆弾が入った商品が配送される

という流れ。

一旦商品を買って爆弾を仕掛け、配送代行システムでDAILY FASTにまぎれこませて、通常受注分とすり替えた。

DAILY FASTのサイトで購入されたが、どこで爆弾を仕掛けたのかわからないように見せかけたというわけ。

犯人の動機・なぜ爆弾は12個?

真犯人・筧まりかが爆弾入りの12個の荷物を出荷した理由は何なのか?

表面上はDAILY FASTを中心とした機械的なシステムを止めたかったから。巨大な物流センターで何百人もの派遣社員が働く映像からは、人間がシステムを使うのではなく、システムに巻き込まれてしまっている悲劇が見える。

顧客中心主義を装って巨大企業がすべてを吸い取っていく非人間的なシステムを山﨑は止めたかった。だから飛び降りたのだ…と筧まりかは考え、爆弾テロでシステム上の懸念点を暴露したかったのだろう。

また、やや飛躍するがDAILY FASTの本社がキリスト教圏のアメリカなので、12個の爆弾には、聖書の12人の使徒のような意味が込められているのかもしれない。

贖罪のように身を投げた山﨑をキリスト(死んではないが)のように考え、彼のメッセージを本国アメリカへより効率的に広めるために爆弾を12個にした可能性も捨てきれない。

ストーリーの復習はコチラの記事へ↓

ラストマイル・最後まであらすじ結末解説の記事

映画『ラストマイル』のストーリーあらすじネタバレ解説の記事です! 山崎が残したロッカーの文字の意味や、最後の爆弾についてなど、映画のさまざまな考察はコチラの記事へ↓ [sitecard subtitle=ラストマイルの考察記事 […]

映画『ラストマイル』

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