映画『ザリガニの鳴くところ』は湿地で暮らす美しい女性がある男性の殺人容疑で起訴され、真相が暴かれていく物語!
全世界で1500万部突破し、アメリカでは2019年と2020年の2年連続で1番売れた本がついに映画化されました!
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけ感想・評価、ストーリーネタバレ解説、を知りたい人向けに徹底レビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓
映画『ザリガニの鳴くところ』作品情報・キャスト
原題:『Where the Crawdads Sing』
ジャンル:サスペンス
年齢制限:G(だれでも視聴可能)
監督:オリヴィア・ニューマン
脚本:ルーシー・ありバー
原作: ディーリア・オーウェンズ 「ザリガニの鳴くところ」
原作者のディーリア・オーエンズは本業は動物学者で、これまで動物についてのノンフィクションを書いてはいるものの小説を書くのは本作が初。69歳で初めて書いたサスペンスが爆発的に売れるなんてすごいですね。
動物学だけでなくサスペンス界にも大きな衝撃を与えたすごい人物です。
登場人物・キャスト紹介
主人公カイア役のデイジー・エドガー=ジョーンズはドラマ『Cold Feet』やコメディサスペンス映画『Fresh/フレッシュ』(2022)で有名な注目若手。
テイト役のテイラー・ジョン・スミス
ギレルモ・デル・トロ監督のスリラー映画『ナイトメア・アリー』やアカデミー賞作品賞を獲得した『ノマドランド』に出演するデヴィッド・ストラザーンがミルトン役で登場。
あらすじ
ノースカロライナ州。チェイスという青年が湿地で死体で発見される。
19メートルある物見やぐらの下に死体があったため、警察は転落したと考えた。しかし後頭部に傷を負っていたりチェイスの指紋や足跡がまったくない点など不審な点が多い。
保安官は湿地に住むカイアという女性を逮捕した。カイアは湿地で一人暮らししていたため湿地の女と呼ばれて町の人からさげすまれていた。チェイスと付き合いがあったことから彼を殺したと疑われたのだ。
カイアを小さい頃から知っているミルトン弁護士は彼女を助けることにする。しかしカイアはなかなか心を開かない。果たして真相は…?
ネタバレなし感想・海外評価
エンタメ性はうすいですが、美しいメッセージがあります。見るひとによって評価はわかれるでしょう。
非常に美しいノースカロライナの湿地の風景も見どころ。
印象深い作品で見る価値はあります。
しかし全体としてはサスペンスよりヒューマンドラマ的なパートが多く、やや中途半端な作品になってしまったのは否めません。
予告で「衝撃度No. 1」とかあおりすぎです!
海外レビューサイトでは一般視聴者の満足度は非常に高いものの、批評家は低評価をつけているというチグハグな結果になっています。
おすすめ度 | 70% |
湿地の世界観 | 88% |
ストーリー | 70% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.1(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 35% 一般の視聴者 97% |
メタスコア(Metacritic) | 43(100点中) |
※以下、『ザリガニの鳴くところ』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ザリガニの鳴くところ』ネタバレ感想・評価
湿地を舞台に、美しさと恐ろしさをかねそなえた素晴らしいテーマが浮かびあがってきます。
主人公・カイアが法廷にいるシーンと過去の回想が交互に映し出される構成はやや単調で、途中は中だるみ感がありました。
ラストのオチはサスペンス的にはそこまで真新しいものではありません。
宣伝ではさんざんラストに驚愕!とあおっていましたが、驚きというよりは湿地の動物や昆虫の鳴き声が心に染みわたるような渋い結末でした。
カイアが無罪になりハッピーエンド!と思いきや、のちのちカイアが実は殺していたとわかるオチはそれなりに面白いですが既視感があります。古い映画だとハリソン・フォードの『推定無罪』と似てますね。
回想で赤い帽子はテイトが被っていたものだったり、伏線・ミスリードでカイアがチェイスを殺していたと思わせないような作りになっていたのですが、そもそも動機があるのはカイアとテイトだけなので、彼女が殺していたこと自体におどろきはありません。
そういえば予告では「死刑を求刑する!」って言い切ってたような気が…。予告自体がミスリードですね。
本作の魅力はサスペンスのどんでん返しより、カイアという女性のしたたかさを誰も見抜けなかったという人間的な怖さでしょう。
鑑賞者もカイアが純真な女性だと思い込まされますが、実はそうではない。男性の暴力の被害者だと思われていたカイアは冷酷な捕食者でもあった。
カイアは湿地での生活でさまざまな生き物の残忍な生態を学び、人間社会では許されない方法で人生を勝ち取ったのです。
ただそのメッセージも伝わりにくかったというか、カイアの少女時代などストーリーの前半に残酷な生存競争をしている生物の描写を少しでも入れていれば、伝わる強度がぜんぜん違ったと思います。
カイアの過去を回想でたんたんと見せるのではなく、メタファーとなるシーンをいくらでも入れることができたと思いました。
あとは細かい点ですが、湿地で一人暮らししているカイアがキレイすぎるのもリアリティがなかったです。
デイジー・エドガー=ジョーンズが美人なのは仕方ないにしても、肌が白くて日焼けもしてない、肌が泥などで汚れていないのはちょっと違和感がありました。
↓本作『ザリガニの鳴くところ』の深掘り考察記事もあるので、すでに視聴した人はそちらもどうぞ↓
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『ザリガニの鳴くところ』ネタバレあらすじ解説
カイアの過去
ノースカロライナの町の中心地から外れた湿地で家族と暮らしていた少女・カイア。
父の暴力によって母が出ていき、やがて姉や兄たちも湿地を出ていった。カイアはしばらく父と暮らしていたが、その父も出ていってしまう。
カイアは夜明け前に湿地でムール貝を取り、それを雑貨店を営む黒人夫妻のジャンピンとメイベルに売って1人で生活した。
1度学校へ行ってみるが、ボロボロの身なりのカイアはみんなに笑われ、それ以来いかなくなった。
湿地で一緒にボート遊びをするテイトが唯一の友達だった。ジャンピンとメイベルもカイアを支えてくれた。
数年後、美しい娘に成長したカイアはテイトに読み書きを教えてもらううちに恋仲になる。
しかしテイトは大学で町を出ることになった。テイトは翌月に1度戻ってくると約束したが、その日に一晩中待ってもテイトは来ない。
カイアは深い悲しみにくれる。
数年後、カイアはチェイスという男性と知り合う。
チェイスは初めは優しかった。カイアはチェイスに体を許し、しばらく関係は続いた。
大学生活を終えたテイトがカイアに許しをこいにやってくる。テイトはカイアを愛していたが、今後の生活のことを考えて怖くなって約束の日に来れなかったのだと言った。
テイトは街でチェイスを見かけて軽いやつだと知り、「あいつと付き合うのはやめろ」とカイアに忠告した。
カイアは湿地の生き物についての本を出版し、その金で湿地の土地の権利を獲得。
ある日、チェイスに婚約者がいることが発覚。カイアは失望した。
チェイスはカイアに言い訳をするが、許してくれないとわかると暴力を振るい、乱暴した。カイアはチェイスを石で殴って逃げる。
↓『ザリガニの鳴くところ』のラスト結末解説は2ページ目へ↓
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