映画『唄う六人の女』ネタバレ感想・評価「何が言いたいの?」考察とあらすじ解説

  • 2024年3月25日

邦画『唄う六人の女』竹野内豊と山田孝之が、山奥で6人の謎の美女に拉致監禁されるサスペンス!

シネマグ
六人の女のビジュアルも美しくて映像美やコンセプトはすばらしい!しかしストーリーは…。

この記事でわかること!

作品情報・キャスト

ネタバレなしの感想

物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説

ぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)

意味不明な物語のメッセージを考察!

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)

これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓

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映画『唄う六人の女』作品情報・予告

公開:2023年10月27日(金)
制作国:日本
上映時間112分
ジャンル:サスペンス・ファンタジー
年齢制限:PG12
監督・原案:石橋義正(「キュピキュピ」『ミロクローゼ』)
脚本:石橋義正|大谷洋介
撮影:高橋祐太
主題歌:NAQT VANE「NIGHTINGALE」
全世界興行収入

漫画版の『劇画 唄う六人の女』は原作でなくコミカライズです。漫画版は映画と結末が違うようです(まだ1巻しか発売されていないのでオチは不明)。

キャスト

萱島森一郎|cast 竹野内豊(『シン・仮面ライダー』)

萱島森一郎|cast 竹野内豊

宇和島凌|cast 山田孝之

宇和島凌|cast 山田孝之

刺す女|cast 水川あさみ(NHK連続テレビ小説『ブギウギ』)

刺す女|cast 水川あさみ

濡れる女|cast アオイヤマダ

濡れる女|cast アオイヤマダ

牙を剥く女|cast 萩原みのり

牙を剥く女|cast 萩原みのり

見つめる女|cast 桃果

見つめる女|cast 桃果

撒き散らす女|cast 服部樹咲

撒き散らす女|cast 服部樹咲

包み込む女|cast 武田玲奈

包み込む女|cast 武田玲奈

松根|cast 竹中直人

『唄う六人の女』あらすじ

竹野内豊と山田孝之

写真家の萱島森一郎(竹野内豊)は、田舎の山で暮らしていた父が死亡したとの連絡を受け、家と土地を処分するために現地へ。

森一郎は4歳までは父と母と3人で山で暮らしていたが、母が父の妄言についていけず、母に連れられて家を出て、それ以来会っていなかった。

森一郎の恋人・かすみ( 武田玲奈)は、電話口で「話があるから早く帰ってきて」と言った。

山の中にある実家で不動産屋と土地の売買契約を終えた森一郎は、仲介業の宇和島凌(山田孝之)の車に乗せてもらった。宇和島は山の道を猛スピードで走る。

トンネルを抜けると、着物を来た女性・刺す女(水川あさみ)が立っている。宇和島は慌ててハンドルを切った

森一郎はその女性がセミをくわえているのを見る。

車は前方の落石に突っ込み、2人は気を失った

森一郎は、腕を縛られた状態で日本家屋で目覚める。刺す女がムチで森一郎を叩き、芋虫を煮たスープを食えという。

いっぽう別の部屋に監禁されていた宇和島は、斧をもった女(牙を剥く女/萩原みのり)が狩ったウサギにかぶりついているのをみて驚愕する…。

その家屋の周辺には他にも異様な雰囲気をまとった濡れる女撒き散らす女見つめる女包み込む女がいた。

6人の女の目的は何なのか? 果たして森一郎と宇和島の2人の運命は?

『唄う六人の女』ネタバレなし感想・口コミ評判

『唄う六人の女』六人の女たちのビジュアル

漫画を読んで、独特の世界観をどう表現するのか楽しみでもあり、怖かった作品。

現実離れした世界観の再現という意味では、キャストも映像も完璧だったと思います。

シネマグ
ただコンセプトや世界観を重視した作品であり、万人受けするようなストーリーではないような気がします。

自然をアート的に描いた映像や、物語のメッセージには感銘を受けたいっぽう、サスペンスとしての面白さは感じませんでした。

感想を語る犬
濡れる女役のアオイヤマダさんが水中で踊るシーンはため息が出るほど美しく、この映画を見にきて正解だと思いました。

しかし、見終わってみると「面白かったね!」とは言えない作品でした…。テーマ性重視の作品という印象です。

おすすめ度 65%
世界観 85%
ストーリー 70%
Firmarks 3.5
IMDb(海外レビューサイト)※随時更新 (10点中)

※以下、『唄う六人の女』のストーリーネタバレありなので注意してください!

『唄う六人の女』ネタバレあらすじ解説

拉致された理由

森一郎は風呂に入れられる。風呂の中にいた濡れる女が、森一郎をお湯の中に引きずり込んだ。

気づくと森一郎は、風呂と水中トンネルでつながっている大きな池の中にいた。森一郎はなんとかその池からはいあがる。

濡れる女は森一郎に発情していたようだったが、森一郎はなんとか回避して逃げた。

森一郎は別の部屋にいた宇和島を助けようとするが、2人とも閉じ込められてしまう。

宇和島は、見つめる女に声をかけて扉を開けさせて殴る。2人は森を歩いて道を探すが、同じ場所に戻ってきてしまう。

家屋の周辺に恋人のかすみにそっくりな包み込む女がいるのを見て、森一郎はおどろいた。

森一郎は父が使っていたカメラのレンズキャップを見つけた。父もこの場所に来ていたのだ。

夜、仕方なく家屋に戻ってきた森一郎は、刺す女から酒をもらい、死んだはずの父の姿を見る。

父は、「植物がなぜ太陽を吸収する生態になったのか…」など、壮大な話をしていた。

翌日、森一郎は森の中をさまよい、父の家で見つけたフクロウの写真の場所に到着。

それと同時にある記憶を思い出した。幼い頃に川で溺れた森一郎がある女性に助けられる。その女性はフクロウになって飛んでいった。父はその時の光景を写真におさめたのだ。

森一郎は、「俺はこの森を救うために六人の女たちに呼ばれたのだ」と確信した。

そして宇和島のカバンの中の書類を見て、この土地に放射性物質の廃棄場が建設予定であると知る。この土地には活断層があり、大規模な廃棄場を作ったら地震で放射能がまき散らされることになる。

森一郎は刺す女に「自分の使命がわかった」と話す。刺す女は帰り道を指さしてくれた。ハチに導かれ、森一郎は森を抜ける。捜索に来ていた恋人・かすみが駆け寄ってきた。

ラスト結末

いっぽう、宇和島は森から抜け出せないことで自暴自棄になり、見つめる女を強姦する。

森一郎はかすみが運転する車の中で、施設の誘致で金儲けを企んでいた宇和島が反対派の父を殺したと確信した。

女たちのもとに戻り宇和島を証拠人として引っ張っていくと決意した森一郎は、かすみを下ろして車で落石の場所まで向かう。そして落石に突っ込んだ。

森一郎は再び六人の女たちがいる村に来ていた。気がおかしくなった宇和島は見つめる女が産んだ卵を叩き割り、刺す女の手をカマで傷つけていた。

森一郎は宇和島を殴るが、逆に鋤で刺されて倒れ、そのまま死亡した

宇和島は牙を剥く女に噛まれ、森の中で倒れて命を落とした

数年後、かすみは子供と一緒に森一郎の父の家に住んでいた。子供の父親は森一郎だ。

かすみは森一郎の生き様に共感し、森を守りながら生活することを決意したのだった

『唄う六人の女』ネタバレあり感想・評価

良かった点

『唄う六人の女』の評価は72点。
シネマグ
猟奇的な監禁サスペンスかと思わせて、自然との共存を唄うコンセプトはすごく斬新だと思いました。

人間ではない六人の女の異様な雰囲気も美しかったです。

ダンサーのアオイヤマダさん(濡れる女)の水中ダンスは本当に最高でした。2023年のベストショットといえるクオリティだったと思います。このシーンはずっと見ていられると思いました。

後半になるにつれてクズ化していく山田孝之さんの演技も良かったです。怖いのは六人の女ではなく山田孝之だった結末にびっくり!

Netflixドラマ『全裸監督』もすごかったですが、クズを演じさせたら右に出るものはいないでしょう。それくらいの領域です。見応えバツグンでした。

ダメな点・ひどい点

根底にかなり深い啓蒙思想(考察の項目で詳しく)があるのですが、そんなのどうでもいい!サスペンスを楽しみたい!って人にとってはハッキリいってハズレ作品となったのではないでしょうか?

猟奇的な拉致監禁→女たちはさまざまな生物の化身であり、竹野内豊は自然を救う使者となった!この結末は賛否両論でしょう。

特に中盤のだらだら自然を見せられるシーンでの中だるみ感はすごかったです。大自然の美しさはわかるけど…って感じ。

要は、サスペンスを入り口にして出口は環境保護活動だったわけです。サスペンスやホラーを求めていた人は劇場で静かにキレたかもしれませんね。

私はコンセプトやメッセージ性は好きでしたが、正直サスペンスっぽいテイストをもう少し強調させてもよかったと思いました。

『唄う六人の女』考察(ネタバレ)

ポスト・ヒューマニティーズ VS 資本主義

『唄う六人の女』は何を伝えたかったのか?大まかにいえば自然の大切さですが、もっと具体的にいえばポスト・ヒューマニティーズ的な思想だと思いました。

ポスト・ヒューマニティーズとはかんたんにいえば、人間中心の考え方をやめよう!というもの。

生物、環境など非人間的な存在にスポットを当てることで、人類の未来も救えるという思想です。

森一郎は人間が生きる意味や、生物の化身である六人の女たちとの共存について真剣に考えていました。

単に「自然を保護しよう!」というより、「共存・共生することにしか人類が生きる意義はない!」と謳っているようですね。

活断層(動き続けていて未来に地震が起こる確率が高い地層)の土地に放射性物質の廃棄場が建設されるのを止めようという結末にも、人間中心主義で行動していたら、結局人間も生きていけないという鋭いメッセージが織り込まれています。

本作では竹野内豊演じる森一郎がポスト・ヒューマニティーズ的な思想を開花させたいっぽう、宇和島(山田孝之)は資本主義の権化ともいえる立ち振る舞いを見せます。

シネマグ
『唄う六人の女』はポスト・ヒューマニティーズ VS 資本主義の権化!の作品だと感じました。

宇和島が隠していたもの

宇和島が大手ジェネシスの島原(津田寛治)に「あとで見せる…」と言っていたものは何か!?

森一郎の父を殺害した証拠でしょう。

契約後の今さら手が引けなくなることにつけ込んで、「この事業に殺人が関わっていると世間に言いふらされたくなかったら金を渡せ」と脅迫しようとしていたのでしょう。

六人目の包み込む女は、なぜ恋人と同じ姿?

森一郎の恋人・かすみと包み込む女は両方とも武田玲奈さんが演じていました。

なぜ同じ姿なのでしょうか?

明確な答えは劇中ではわかりませんでしたが、女たち全員が森一郎の無意識を通じてビジュアル化された存在だから恋人に見えたのだと思います。

生き物たちが実際に女たちの姿をしているというより、森一郎がそういう姿だと捉えていると言ったほうが近い気がします。

森一郎はかすみの妊娠をなんとなく察知しており、子供を育てている六人目の包み込む女を見て、姿を重ねたのではないでしょうか。

「人間以外の生物の子孫繁栄もあなたの子孫と同じレベルで考えろ」という自然からのメッセージが込められていると感じました。

カエルになって子供の元へ

ラストは森一郎とかすみの子供がカエルを捕まえていましたが、森一郎がカエルになって帰ってきたようにも見えますね。

森一郎が幼い頃からカエルの絵を描いていたことも伏線っぽく回収されました。

最後のまとめ

『唄う六人の女』は、コンセプトや美しい六人の女性たちと映像美はすばらしかったものの、サスペンスとしてのカタルシスがいま一歩だった作品でした。

とはいえ、商業主義の映画ばかりが横行する2023年に本作のようなテーマ性の深い作品が大手で配給されること自体がすばらしいと思います。

シネマグ
非常にアーティスティックだったので、カルト的な人気を博すかもしれませんね。そこに期待したいです。

本作のような挑戦的な作品がこれからもたくさん作られることを願っています。

ここまで読んでいただきありがとうございます。『唄う六人の女』レビュー終わり!

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