Netflix韓国映画『スマホを落としただけなのに:アンロック(Unlocked)』。日本でも話題になった作品が韓国版としてリメイクされました。
作品情報・キャスト
ネタバレなしの感想
視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
ラストシーンを考察・ストーリー伏線解説
物語ネタバレあらすじ・ラスト結末解説
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから観る方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
韓国映画『スマホを落としただけなのに』作品情報・予告
制作国:韓国
上映時間:117分
原題:『스마트폰을 떨어뜨렸을 뿐인데』英題:『Unlocked』
ジャンル:サスペンス・スリラー
年齢制限:16+(暴力描写、グロテスクなシーンあり)
監督・脚本:キム・テジュン
原作:志駕晃「スマホを落としただけなのに」
中田秀夫監督、北川景子さん主演の『スマホを落としただけなのに』(2018)のリメイクというより原作小説のアイデアをいくつか借りて、あとはほとんどオリジナル要素で作られた作品です。
すでに日本版の映画を見た人でも問題なく楽しめます。というかクオリティは韓国版のほうが圧倒的に上だと思いました。
韓国版『スマホを落としただけなのに』キャスト
ヒロインのイ・ナミ役|キャスト チョン・ウヒ
©︎Netflix
チョン・ウヒさんは笑顔から恐怖に満ちた表情までの七変化がすごくて、演技に引き込まれました。本作でさらに好きになりました。
チョン・ウヒはポン・ジュノ監督の映画『母なる証明』の女子高生役、カン・ヒョンチョル監督の『サニー 永遠の仲間たち』、ナ・ホンジン監督の『哭声/コクソン』占い師役などで有名です。
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オ・ジュニョン役|キャスト イム・シワン
©︎Netflix
イム・シワンはアイドルグループ「ZE:A」のメンバー。俳優としては映画『非常宣言』(2023)のテロリスト役が記憶に新しいです。ドラマ『なにもしたくない』にも出演して話題になりました。
影のあるキャラクターが本当によく似合います。
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その他のキャスト
ウンジュ(ナミの親友)|キム・イェウォン(『君は私の春』、ディズニープラス『コールイットラブ/愛だと言って』)
イ・スンウ(ナミの父親)|パク・ホサン(『マイ・ディア・ミスター 私のおじさん』)
ウ・ジマン刑事(ジュニョンの父親)|キム・ヒウォン(『星から来たあなた」』)
キム・ジョンホ刑事(ジマンの後輩)|チョン・ジノ
殺された女性・ミギョンの母|キル・ヘヨン(カメオ出演)
韓国映画『スマホを落としただけなのに』あらすじ
ゼリーの販売会社で働くイ・ナミ(チョン・ウヒ)は、忙しいながらも充実した毎日を送っていた。
基本的に1日の生活では、スマホの画面を見ている時間が非常に長い。
ある日ナミは友人たちと飲み明かし、帰りにバスでスマホを落としてしまう。
バスのなかで怪しい男性がナミのスマホを拾った。
男性はスマホをデータごと完全に複製するために、女性のAI音声を使って「スマホの画面を割ってしまったので修理を頼みました。修理屋へ来てください」とナミに電話する。
ナミは言われた住所のとおりに古いビルにあるスマホ修理屋へ入り、パスワードを教えてしまう。
スマホの画面は直ったが、ナミの周囲で恐ろしいことが次々に起こるようになった…。
近くの森では数人の女性の遺体が発見されていた。ウ・ジマン刑事は家出した息子・ジュニョンの関与を疑うが…。
ネタバレなし感想・海外評価
そして何より、期待よりクオリティが数段上ですごく楽しめました。
何回も何回も予想を裏切られ、最高のサスペンスを堪能できたという満足感でいっぱいです。
サスペンス好きには絶対見て欲しい作品!
海外レビューサイトでも70点以上と比較的高評価です。
100%PC上で映画が進行するサーチシリーズにも通じるものがありますね。
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おすすめ度 | 90% |
アイデア・脚本 | 95% |
ストーリー | 86% |
IMDb(海外レビューサイト) | 7.0(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 71% 一般の視聴者 78% |
※以下、Netflixの韓国映画『スマホを落としただけなのに』のストーリーネタバレありなので注意してください!
韓国版『スマホを落としただけなのに』ネタバレ感想・評価
二転三転する展開はもちろん、常軌を逸したラストには美しさまで感じられる傑作でした。
まず、犯人の顔が最初からわかっているのにそれでも予想を裏切る展開が待っていたのがすごすぎます。
犯人が刑事ジマンの息子・ジュニョンだと思わせておいて、実はジュニョンを殺してなりすましていた…。
このミスリードが最高でした。犯人を見ても刑事たちが作戦失敗したことに気づけないのです。刑事と観客を同時にだましていました。
会社の悪口を書き込んだり、親友を疑わせたりしてヒロインをどんどん孤立させていくプロセスもめちゃくちゃ上手いです。
以前使っていたスマホにまでスパイウェアを仕組みヒロインの行動を操る真犯人。ナミは父がいる家に帰ったはいいけど、そこで待ち構えていて電話が鳴る過程も怖すぎます。
水を溜めた浴槽にナミの父を入れ、父の上に縛られたナミも入れて、彼女に父親を殺させる狂った展開も最高でした。
ナミが最後に犯人を射殺する結末についても、自分に父を殺させようとしたことで怒りが頂点に達していたとしっかり伝わってきます。
そして何より、びしょびしょに濡れて銃を撃つナミの姿に狂気と美しさが垣間見えました。
とにかく脚本と演出が練られまくり。
比較するのも野暮かもですけど、日本版と韓国版を比較したときに明らかなレベルの違いがあるのが日本人としては少し残念です。
好みはありますが論理的に筋が通っているかどうかや、細かい演出で考えた場合、けっこうな差があると思いました。
制作したキム・テジュンは監督としては新人らしいのですが、このレベルの作品が作れるなら今後有名になるかもしれないですね。
韓国版『スマホを落としただけなのに』考察(ネタバレ)
ラストシーンの意味を解説
ラストでは怒り狂ったナミが真犯人(ジュニョンと思われていた人物)を銃で撃ち殺します。
ナミが持っていた銃を刑事のジマンが手にとっており、その後ナミは普通に生活していました。
ナミをかばったジマンは彼が真犯人を殺したことにしたのでしょう。
刑事のジマンなら「危険な犯人を撃ち殺した」と処理できたのかもしれません。
息子ジュニョンをすでに殺害されていたジマンも犯人を撃ち殺したい衝動に駆られていたので、ナミに引き金を引かせてしまったことを後悔する気持ちもあったのでしょう。
そもそも、ジマンが家出したジュニョンに連絡を取るなどしていれば、つながりのあった真犯人を事前に逮捕できたかもしれません。
自分に父を殺させようとしたことに怒り狂うナミ、親としてのさまざまな後悔をにじませるジンホ。
2人の哀しみが交差した完璧なラストだったと思います。
伏線一覧
家への侵入→物語の序盤でナミの家に侵入した犯人は、ナミが以前使っていたスマホを見つけ、それにもスパイウェアを仕込んでいました。終盤でナミが以前のスマホにSIMカードを挿したときにも声や行動をカメラで監視できたのはこのためです。
メールして→刑事がナミを父の家に送り届けたとき「メールして」と言い、ナミはうなづきながら何かをバッグにしまっていました。紙に“電話しろ”と書かれていたものです。
声だけ聞いていた犯人は、ナミにメールさせればOKだと思いましたが、メールを受け取った刑事が異変に気づく結果になりました。
タイ料理→犯人は序盤でインスタントラーメンをタイ料理と偽ってSNSに投稿していましたが、これはすでに殺したミギョンがまだ生きていると知り合いに錯覚させるためです。
スマホ時代の孤立
韓国版『スマホを落としただけなのに』は、スマホが完全に乗っ取られて犯罪に繋がる恐怖だけでなく、人生はスマホやSNSというデータでしかないと突きつけているようです。
- スマホを乗っ取られることは、人生を乗っ取られることに等しい。
- SNSが更新されていれば誰も心配しない
そんなスマホ時代の孤立が浮かびあがってきました。
無国籍で存在がはじめからなかった真犯人は、存在や人間関係の希薄さを暴いて社会に復讐しようとしていたのでしょう。
韓国映画『スマホを落としただけなのに』ネタバレあらすじ解説
ナミのスマホを拾ったジュニョンは顔を隠してスマホを修理するフリをし、ナミのデータを完全複製。
ナミのスマホは2台ある状態になり、彼女の行動がいつでもカメラからのぞけるようになる。どのデータも見放題だった。
ナミは1人暮らしをしていたが、ときどき父・スンウのカフェを手伝っていた。そこにジュニョンという男性が頻繁にくるようになる。
共通点が多いことに好感を覚えたナミだが、父・スンウはジュニョンを怪しんだ。
ジュニョンは父・スンウの家に行き、彼を殴って身動きが取れない状態にする。
ナミの会社にイベントの案件があり、よろこんだ社長はナミに給料アップを約束した。
しかし次の日、ナミのスマホからSNSに会社のゼリーにやばい材料が入っていると投稿があり、イベントは白紙。会社に返品が相次いだ。
遅刻したナミは社長に自分はやっていないと言うが、突き飛ばされてクビを宣告された。
ナミは泣いて親友のウンジュに相談した。
2人は知り合いでITセキュリティに勤めるヨジョンにメールで連絡をする。そのメールを見たジュニョンは、ヨジョンのふりをして「今海外にいるから同じ会社のジュニョンをそっちに行かせる」と返信した。
ナミとウンジュはジュニョンを閉店中のカフェに呼んだ。ジュニョンはナミのスマホを見て「スパイウェアがインストールされている」と言う。
ジュニョンはナミだけを外に呼び、「スマホにスパイウェアが手動でインストールされているから、近くにいる人物がやった可能性が高い」と言った。
ナミは昨日から自分の部屋に泊まっているウンジュを疑う。2人は大喧嘩した。
ヒロインと刑事の作戦
ウ・ジマン刑事は7人もの女性の死体が遺棄されていた森の近くに、かつて息子・ジュニョンが子供の頃に一緒に植えたプラムの木を見つける。
ジュニョンは家を出ていき、今どこで何をしているかわからない。
ジマン刑事は別居中の母親のところへ。彼女のメールを見ると、今も頻繁にメールでやり取りをしているようだ。
ジマンはジュニョンの家を突き止めて乗り込む。すでにジュニョンはおらず、中は水浸しになって証拠を隠滅された。
ジマンと相棒のジョンホ刑事は、ジュニョンが働いているスマホの修理屋がある部屋へ。その場所も水浸しになっていた。
手がかりを探しに修理屋にきたナミはジマンたちと手を組み、ジュニョンに自分の家に来て欲しいとメールする。
夜、ジュニョンはナミの家の下までやってきた。張り込んでいたジマンとジョンホが彼に銃を向ける。
しかし、ジマンが見た彼は息子のジュニョンではなかった(もともと犯人はジュニョンのフリをしていただけだった)。
ジュニョンだと思われていた人物は帰り、ナミに「今日はいけない」とメール。
ナミは安全のため、ジマンたちに父がいる家まで送ってもらった。
最悪のラスト結末
※真犯人をそのままジュニョンと表記します。
ナミはジュニョンに操作されないよう、以前使っていたスマホに切り替えた。
ジュニョンから連絡がある。電話をしてみると、家の上階からスマホの振動音が聞こえて愕然とする。
ナミは父のベッドを見るが、父はいない。
ジュニョンがソファの後ろから出てくる。
ナミはナイフで攻撃しようとしたが、ジュニョンから拉致された父の映像を見せられて動きを止める。
ジュニョンは「大丈夫だ」という刑事へのメールをナミに送信させる。
ジュニョンはナミに、24時間以内に誰かから連絡があれば解放してやると言い、トイレに入った。
ナミが鉄の棒で彼を攻撃しようとトイレへ行くと、バスタブに水がためられ、父・スンウが縛られて沈められかけていた。ジュニョンがナイフを向けている。
ナミは武器を捨て、仕方なく手足を縛られる。
なんでもすると言うナミに、ジュニョンは「父を殺せ」と言い放ち、浴槽へ投げ込んだ。
ナミのせいで水カサが増し、父・スンウの顔が水に沈む。ナミは絶望した。
ジマンたちは本物のジュニョンの死体が見つかったと連絡を受けた。
さらにナミに「無事なら電話で連絡しろ」と書いてわたしていたジマンたちは、メールを受けて不審に思い、家まで引き返してきた。
ジマンは偽物のジュニョンを見つけてボコボコにし、息子を殺した憎さから銃を向ける。
ジョンホはナミを浴槽から抱き上げ、息が止まっているスンウに心肺蘇生をほどこした。
ナミは持っていたナイフで拘束を解き、ジョンホから奪った銃でジュニョンを撃った。
ジュニョンのフリをしていた犯人は死亡。
ジマンがナミから銃を取り、罪をかぶる。
父・スンウは息を吹き返し、ナミと抱き合った。
ナミの事件は大ニュースになった。犯人は無国籍の人物ということだった。
数カ月後、父のカフェで楽しそうにしゃべるナミとウンジュの姿があった。
誰かがスマホでナミの映像を撮影している。
韓国版の『スマホを落としただけなのに』終わり!
最後のまとめ
Netflixオリジナルの韓国版『スマホを落としただけなのに』は、脚本・演出ともにすばらしい最高のサスペンスでした。
日本版のクオリティと比較するとなんだか複雑な気持ちになります。
『梨泰院クラス』と『六本木クラス』もそうですが、同じ題材で単純にクオリティを比較すると圧倒的に韓国版のほうがよくね?となってしまうのが残念です。
ここまで読んでいただきありがとうございます。韓国映画『スマホを落としただけなのに』レビュー終わり!