Netflix映画『スパイダーヘッド』考察:支配というドラッグ
映画『スパイダーヘッド』が伝えたかったことはなんでしょう?!
ドラッグ分泌で作られた感情より、ドラッグなしで自然に湧いてきた自由意志のほうが尊いというテーマがひとつあると思います。
あとは、
- ジェフも恋人と親友を自分の飲酒運転で殺してしまった。
- リジーも自分の赤ちゃんを過失で車内に放置して熱中症で殺してしまった。
これらの要素を考えれば、どんなに辛い過去でも乗り越えられるというメッセージもあるのでしょう。
映画のラストでは「自分を許すドラッグはない」という言葉もありました。
普通に考えると『スパイダーヘッド』はメッセージ性までチープな映画となり、満足度はより下がります。
そこで、記事も終盤になってきましたが本作の名誉のためにもっと大きなテーマについて考察したいと思います。
視点を広げると『スパイダーヘッド』のテーマは“支配というドラッグ”だと思いました。
製薬会社を経営するクリヘムは自分でもラブアクチンなどのドラッグを使用しています。
しかしそれ以上に彼が陶酔しているのは支配というドラッグではないでしょうか。
クリヘムの目的は相手を支配するドラッグを製造することでした。
しかし彼のソシオパス的な行動を見ていると、そのドラッグの製造よりも受刑者たちの支配を楽しんでいる印象も受けます。
さらに、支配の他に承認や成功というドラッグもあるでしょう。
承認のドラッグの症状ついては受刑者全員に当てはまります。
SNSいいね社会への批判にも捉えられますね。
成功のドラッグについては、クリヘムの同僚で右腕のマークがその症状に当たります。
マークは非人道的な実験と知りながら、経済的に成功するために研究者としてクリヘムに協力していました。
支配のドラッグも成功のドラッグも、目には見えませんし体に支障をきたすこともないです。
しかし、われわれ現代人の誰もが囚われているとも言えます。
ジェフたちが孤島から脱出するラストは、社会という装置が作り上げた支配と成功のドラッグ・幻影から抜け出すことのメタファーになっていたように感じました。
最後のまとめ
映画『スパイダーヘッド』は、キャストや制作スタッフを見る限りNetflixの期待作でした。世界のランキング入りは果たすと思いますが、内容がまったく面白くないので評価は得られないでしょう。
ここまで読んでいただきありがとうございます。Netflix『スパイダーヘッド』レビュー終わり!
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