『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』別次元からやってきたグウェンが、マイルスをマルチバースを監視するスパイダー・ソサエティへといざなう!
視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
ネタバレ考察:本作のテーマ/マルチバースやカノン・イベントの解釈/SSU・MCUとの繋がり、続編の推測
ぶっちゃけ感想と評価
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』作品情報・予告
制作国:アメリカ
上映時間:140分
原題:『Spider-Man: Across the Spider-Verse』
ジャンル:ヒーロー・CGアニメ
年齢制限:G(制限なし)
監督:ホアキン・ドス・サントス/ケンプ・パワーズ/ジャスティン・K・トンプソン
脚本:デヴィッド・カラハム/フィル・ロード/クリス・ミラー
音楽:ダニエル・ペンバートン
製作費:約130億円
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』あらすじ
父や母と対立しがちのマイルス・モラレスは、別次元からやってきたグウェン・ステイシーと再会。
マイルスはグウェンとの再会をよろこんだ。しかし彼女は何か隠しているようだ。
マイルスはグウェンのあとをつけ、グウェンはマルチバースを管理するスパイダー・ソサエティに所属していると知った。
グウェンは自由自在に別次元に移動できるヴィラン・スポットの監視をしているようだ。
マイルスはグウェンを追ってスパイダー・ソサエティに入った。
マイルスはスパイダー・ソサエティでリーダー格のミゲル・オハラから衝撃の事実を突きつけられ、全スパイダーマンから狙われることになった。
※以下、映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のストーリーネタバレありなので注意してください!
スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース ネタバレ考察・解説
父?世界?両方救う?ビヨンド・ザ・スパイダーバース予想
本作でミゲルが突きつけたのは、「全部の次元のスパイダーマンに起こるカノンイベントがあり、それが起こらないとその世界線が崩壊・他の世界へ影響が出てしまう」という事実。
簡単に言ってしまうとトロッコ問題で、大多数を救うために少人数を犠牲にすることは正義か否か?ということです。
「犠牲を受け入れてこそスパイダーマンだろ!」と言い換えることもできます。
うまいと思ったのが、マルチバースでいろんなタイプのスパイダーマンが登場する究極の多様性をやりつつ、1つの正解(カノンイベント)を強要する構図になっていること。
ダイバーシティが進んでいると見せかけて、そうじゃない…というわけです。(よく言われる「多様性を説くなら、多様性を受け入れない考えも許容しろ」の問題と似てますね)
マイルスの考え方は「父も助けて世界も崩壊させない」両方どりです。
ただこれを遂行してしまった場合、他のスパイダーマンたちがカノン・イベントを受け入れた事実が否定されることになりますし、そもそも父と世界の両方を取れないのが前提です。
なのであくまで推測ですが、マイルスがカノンイベント以外の新たな概念を見つけて解決!ということになると思います。
カノンイベントの考察
本作のカノンイベントは、MCUドラマ『ロキ』でいうネクサスイベントやMCUアニメ『ホワット・イフ…?』の絶対点(ドクター・ストレンジが元カノ・クリスティーンの死のイベントがなかったことにしようとして宇宙が崩壊する)と似た概念だと思われます。
ちなみにカノンとは古代ギリシャ語・カノーン(規範・基準)が基の言葉です。
また音楽でも、同じ旋律を複数のパートでずらして演奏する曲をカノン様式と言います。
スパイダーバースのカノンイベントについては、ギリシャ語の語源から考えると、その世界の基準点ということ。
推測になりますが建物の骨組みの支点のような役割を果たしているのでしょう。
支点(カノンイベント)がないと建物が半壊(その世界線の消滅)、もしくは全壊(他の世界線まで消滅)ということだと思います。
すべての世界線は何らかのエネルギーで関係しあっている→バランスを崩すような出来事を監視しなければいけないというのがスパイダー・ソサエティの使命です。
絶対に起こらなければいけないカノンイベントのアイデアはうまい!と思いました。
もしもカノンイベントなどを相互で監視する必要がなかった場合、ヒーローがあえて他のユニバースに干渉する必然性がないからです。
スパイダーバース、MCU、SSUの繋がり
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』でSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース/Sony’s Spider-Man Universe)の映画『ヴェノム』のコンビニのおばちゃん・チェンが登場しました。
よってスパイダーバースとヴェノムは並行世界の関係です。
『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の最後では、ヴェノムがトム・ホランドスパイダーマンがいるMCUの世界に飛んでいました。
マーベル映画『ヴェノム2レットゼアビーカーネイジ』は連続殺人鬼が怪物になりヴェノムと戦うシンプルなストーリーで、期待してたよりはおもしろかったです。 主演はトム・ハーディ(『マッドマックス怒りのデスロード』)、ヴィラン・カーネイジ役は[…]
なので『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』とSSU、MCUはパラレルワールド(並行世界)同士となります。
ただ、スパイダーバースについてもMCUについてもいえることですが、そもそもマルチバースの概念=無数の並行世界です。コミックやレゴブロックのスパイダーマンの世界も繋がっています。
そもそも論でいえばマルチバースが存在する時点で、直接的な描写がなくてもスパイダーバース、MCU、SSUそれぞれが並行世界で繋がっている理屈です。
それぞれの世界がどう繋がっているか?という問いかけはあくまでソニーとマーベルなど製作側の問題。理屈ではもとから並行世界として繋がりがあることになります。
マルチバースの懸念点:タイムループと一緒?
今後どういう展開になるかわかりませんし、続編も楽しみですが、上記の考察を含めてマルチバースの懸念点をひとつ挙げたいと思います。
それは現段階の解釈だとマルチバースの物語は、タイムループの作品と本質的に一緒だということです。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などタイムループもので「過去を変えちゃいけない!」というのは、「カノンイベントは絶対に起きなくてはならない」と一緒です。
この世界だけへの影響だったのが、他の平行世界へも影響することになったの違いしかないということもできます。
同じなのがダメなのではなく、人間ドラマとしてタイムループものと似たようなカタルシスになってしまうのがちょっと問題だと思いました。
スパイダーマンたちにとって並行世界=まだ生きているあの人がいる過去!でもある印象。
スパイダーバースだけでなくMCUの課題でもあり期待されているのは、「マルチバースならではのストーリー!」ではないでしょうか。
カノン・イベントがないと世界が壊れてしまう!世界が悪い方向に変わってしまう!
これはタイムループモノの派生形だと思います。
『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』ネタバレ感想・評価
特にマイルスとグウェンが高所で逆さの状態で街を眺めるシーンには心を奪われました。この美しいシーンが見られただけでも劇場で見た価値がありました。
逆さでビルが上にあり、空が下に広がる幻想的な風景。加えて画面もクルッと回転する感じで見ていてリアルな高所恐怖も伝わってくるのがすごいと思いました。
ほとんど全部のシーンに映像的な見応えがあり、アニメーションの美術館に来ているような印象さえ受けました。もはやストーリーが必要ないレベルです。
物語はマイルスが全スパイダーマンに追われて別の世界で悪に染まった自分と出会う丁度中間地点で終わっていることもあり、ストーリーもふくめた映画全体の評価としては2024年に公開される『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』を見てみないとなんとも言えません。
自分の父を救うか、世界を救うか、果たして両方救えるのか?
このテーマで結末をきれいに作るのは難しい気もしますが、きっと上手く解決してくれるでしょう。
CineMagの点数 | 90点 |
アニメーション | 100点 |
ストーリー | 75点 |
IMDb(海外レビューサイト) | 9.0(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 96% 一般の視聴者 95% |
メタスコア(Metacritic) | 86(100点中) |
最後のまとめ
ストーリーだけを見れば2時間越えは少し長かったような気もしますが、想像を超える映像やアクションの連続に興奮しっぱなしでした。
続編の『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』も楽しみですね!
ここまで読んでいただきありがとうございます。アニメ『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』レビュー終わり!
マーベル映画・関連記事
マーベル映画『ガーディアンズオブギャラクシー3 VOLUME 3』。ロケットの過去が明らかに!ピーターやドラックス、ネビュラたちは最悪なヴィラン・ハイ・エボリューショナリーの脅威から仲間を守れるのか!? ガーディアンズオブギャラクシー[…]
マーベル映画『アントマン&ワスプ:クアントマニア』みんながスターウォーズみたいな量子世界でドタバタするだけのストーリー性がなさすぎる作品でした。量子世界と征服者カーンを紹介して終わった感じ。 シネマグ MCUフェーズ[…]
マーベル映画『ドクター・ストレンジ2/マルチバース・オブ・マッドネス』(MoM)サム・ライミ監督が良くも悪くもやらかした!マルチバースで完全に遊び尽くしています。 CineMag ゴリゴリのホラー演出!マルチバースではなく「[…]
映画『モービウス』(Morbius)はジャレッド・レトが不治の病を患う天才医師に扮し、コウモリのDNAからスーパーパワーを得るダークヒーロー作! CineMag アクションでは残像が紫の影としてヴィジュアル化されており、背負[…]
2023年公開ヒーロー映画
映画『ザ・フラッシュ』人付き合いが苦手なフラッシュが光速を超えて過去へ行き、おどろきの人物たちと対面するヒーローアクションエンタメ大作! シネマグ 母を救うタイムバックのストーリーが感動的!何よりマイケル・キートンのバットマ[…]