Netflix映画『シニアイヤー』(Senior Year)、イケイケのチアリーダーが昏睡状態になり、20年後に目覚めて高校に通い出すという衝撃作!
笑と共にタイムカプセルを開けたときのような感動があふれ出す。レベル・ウィルソンのパンチの効いたギャグに加え、メッセージも素晴らしい作品でした。
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ネタバレあり感想・評価、1歩進んだポリコレ感の考察を知りたい人向けにレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)
作品についての視聴者・口コミアンケートも投票お願いします↓

Netflix映画『シニアイヤー』作品情報・キャスト
原題:『Senior Year』
ジャンル:ヒューマンドラマ・コメディ・ハイスクール
監督:アレックス・ハードキャッスル
脚本:アンドリュー・クノアー/アーサー・ピエッリ/ブランドン・スコット・ジョーンズ
シニアイヤーの登場キャラ・キャスト
- 37歳のステファニー(ステフ)|cast レべル・ウィルソン(『ピッチ・パーフェクト』)→痩せましたね。
- 17歳のステファニー|cast アンガーリー・ライス
- セス|cast サム・リチャードソン
- マーサ|cast マリー・ホーランド
- パパ(ジム)|cast クリス・パーネル
- ジャネット|cast アヴァンティカ・バンダナプ
- ヤズ|cast ジョシュア・コーリー
- ブリー|cast ジェイド・ベンダー
- ティファニー|cast ゾーイ・チャオ
『シニアイヤー』ネタバレなし感想・あらすじ・見どころ・海外評価
©︎Netflix
あらすじ:オーストラリアから引っ越していじめられていたステフ(ステファニー)。イケイケの高校生活を目指してチアリーダーの主将になり、モテ男・ブレインのガールフレンドになります。プロム(卒業パーティー)でプロム女王を目指しますが、なんとチアダンスの最中に落下して昏睡状態に。目を覚ますと20年が経過していました…。
見た目は37歳のおばさん、中身は17歳のチアリーダー。インパクト抜群です。
アイデアもギャグも面白い。いろんな価値観の衝突のあるストーリーも見応えバッチリ!
ネットでは全体的にストーリーが浅いという意見も多いですが、誰もが知っている結論に至るまでにかなり深い考え方があると思いました。
おすすめ度 | 87% |
笑い | 85% |
ストーリー | 85% |
IMDb(海外レビューサイト)※随時更新 | 5.6(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト)※随時更新 | 批評家32% 一般73% |
※以下、映画『シニアイヤー』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『シニアイヤー』ネタバレ感想・評価
いつもいつも70点そこそこのオリジナル映画を乱発してくるNetflixとは思えない、ハイクオリティなヒューマンドラマ・コメディでした。
イケてるチアリーダーが昏睡状態になって20年後に目覚め、また高校に通うキャッチーなアイデア。
パンチの効いたジョーク・下ネタ。
世代間格差、それと対比した人間としての普遍的な価値観の提示。
見事な伏線回収。
どこをどう切り取っても素晴らしいです。
脚本や伏線演出の巧みさ
Netflixオリジナルあるあるの“脚本スカスカ作品”とは一線を画していたと思います。
20年前の関係性や出来事が綺麗に回収されていたのが素晴らしい。
- 20年前にステフをプロムに誘えなかったセスが20年後に誘う
- ステフが20年越しにマーサやセスに冷たくしたことを謝罪
- 20年前に借りた鍵でマーサの別荘をパーティー会場にする
- 20年前に憧れていたディアナと再会
- ラストでは20年前に落下した技(宙返り)をみんなが受け止める
などなど、タイムカプセルを開けたときのような感動が味わえました。
あと、うまいと思ったのはティファニー(恋人ブレインと結婚したライバル)の策略でステフが落下して植物状態になったわけですが、ストーリーでその点を掘り下げなかったところ(お土産よ→中指立て、でチャラっぽくなってましたね)。
ティファニーの策略でステフが落とされていたことが判明したら、ストーリーが複雑になってメッセージがぼやけてしまっていたと思います。
丁寧な脚本ながら、カットすべきところはバッサリカットしていました。
考察:メッセージ深掘り
1歩進んだポリコレ感
『シニアイヤー』は2000年代初頭のノリノリ世代と、環境問題に関心があるのがクールな2022年の高校生を対比させたある面では多様性・ポリコレ映画です。
ただ本作の場合は、20年後に昏睡状態から目覚めた主人公・ステフが、「イケイケのプロム女王になりたい!」という現代ではちょっと恥ずかしい目標に突き進んでいくのが素晴らしいと思いました。
「他人を蹴落としてチアリーダーになり、プロムの女王になりたい!」
現代で良いとされる多様性の価値観においてはNGな主張です。
しかし一方で、心からそれを望んでいるステフを否定するのは真の多様性といえるでしょうか?
口では多様性と言いつつ、社会が容認する“良い子的な価値観”だけしか認めないのも変ですよね。
プロム女王になりたいというイタい願望が、多様性・ポリコレに対しての問題提起になっており、彼女なりに問題と向き合っていきます。
自分を笑わず、正しく傷つく物語
ステフの“いびつな価値観”をジャネットなど周囲の学生が面白がって受け入れます。
かつての同級生のセスはステフに「イタいからいい加減やめろ」とやんわり説教するのですが、ステフは「自分にはプロム女王しかない」と真剣に言い返すのです。
社会から見てわがままだろうが母が存命のときにアドバイスされた、明るい未来の想像を貫くということでしょう。
この瞬間セスは、ステフのわがままを尊重する意味を悟ったのだと思います。
さらにステフはこの目標がないと壊れてしまうということもヒシヒシと伝わってきました。
プロム女王になるというちょっとおバカな願望は、失われた20年の空白と現在の状況を乗り越えるために必要だったと思えました。
その過程でステフは20年前に本当の友達をないがしろにしてしまっていたことに気づき、セスとマーサに謝罪。
20年越しに等身大の自分から謝罪。感動の流れでしたね!
37歳になっていようが心は17歳。
時間が経っていようが、プロム女王が時代錯誤だろうが、一旦自分の思い通りにやって周囲とぶつかりあったからこそ、本当に大切なものが見つけられたのではないでしょうか?
この普遍的なテーマを、言葉でなく行動で示していたと思います。
全体的にノリが軽いので見落としそうですが、感動や新しい価値観が随所に差し込まれて引き込まれました。
最後のまとめ
映画『シニアイヤー』は、キャッチーなアイデアとキツめの下ネタ、そして多様性の新たなメッセージが加わった秀作でした。
ここまで読んでいただきありがとうございます。Netflix『シニアイヤー』レビュー終わり!
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