Netflixで配信中の映画『SAS:反逆のブラックスワン』は、ドーバー海峡を走る英仏海峡トンネルの爆破を目論む傭兵集団と英軍SASの兵士が戦うハイクオリティなアクション!
悪のサイコパスと正義のサイコパス同士の争いが魅力的で、驚きもスリルもあり、かなりおすすめです!
記事では感想・評価、抽象的テーマ考察、サイコパスの特質を活かした秀逸なシーンや、ストーリーネタバレあらすじ解説をしていきます。
2021年Netflixで公開された中ではトップ5に入る面白さ!
映画『SAS:反逆のブラックスワン』キャスト・作品情報
公開・制作国:2021年8月27日/Netflixイギリス
原題:『SAS: Rise of the Black Swan』または『SAS: Red Notice』
監督:マグヌス・マルタンス
脚本:ローレンス・マルキン
原作:アンディ・マクナブ『SAS: Red Notice』
ちなみに原題のレッドノーティス(a Red Notice)とは、国際刑事警察機構により発行されるもので、各国で容疑者を捜査し当該国に引き渡す司令です。
トム・バッキンガム/サム・ヒューアン
トムは、英軍SAS(特殊空挺部隊)に所属する軍人。
他人の心があまりわからないサイコパスです。
屋敷や別荘を持つ富豪のバッキンガム家に生まれました。
俳優サム・ヒューアンは、歴史ファンタジードラマ『アウトランダー』で有名な人物。次のジェームズ・ボンド役との呼び名も高い人です。
グレース・ルイス/ルビー・ローズ
グレースは、傭兵部隊ブラックスワンのリーダーのウィリアムの娘で部隊の指揮者。
サイコパスであり、殺人に一才悩んだりしない性格。
男兄弟のオリヴァーがいるが、グレースに比べると能力は低い。
父ウィリアムは、グレースの軍人としての才能を認め、後継にしようとしている。
女優のルビー・ローズは、ジェイソン・ステイサム主演の映画『MEG ザ・モンスター』、ミラ・ジョヴォヴィッチの『バイオハザード: ザ・ファイナル』『ジョン・ウィック:チャプター2』などで有名。DCドラマシリーズでバットウーマンとしても活躍。
ソフィー・ハート/ハナ・ジョン=カーメン
ソフィーは医者で、トムの婚約者。
軍の任務で人を殺しても顔色を変えずにそれを離す彼に対して違和感を持っており、関係を続けようか悩んでいます。
女優ハナ・ジョン=カーメンは、『レディプレイヤー1』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、バイオハザードの新シリーズ『Resident Evil: Welcome to Raccoon City』にジル役で出演予定。
ネタバレなし感想・見どころ
主人公も敵もサイコパスという、他人の気持ちや痛みが理解できない性質を持っており、それを活かした巧みな展開が魅力です。
良い意味で人格者VS悪者というステレオタイプではありません。
トンネルが爆破されそうになるストーリーもダイナミックです。
同時期のNetflix配信開始作品の中では、ジェイソン・モモアのサスペンスアクション『スイート・ガール』や、ジョン・デヴィッド・ワシントンの『ベケット』よりも断然完成度が高くておすすめ!
※以下、映画『SAS:反逆のブラックスワン』のストーリーネタバレありです!
『SAS:反逆のブラックスワン』ネタバレ感想・評価
映画『SAS:反逆のブラックスワン』の評価は87点。
女優ルビー・ローズ演じるヴィランの女傭兵グレースはサイコパス、そして主人公トム(演サム・ヒューアン)もサイコパスという設定が個人的には好きでした。
主人公が孤独に悪の集団と戦う内容は、ブルース・ウィルスの『ダイ・ハード』シリーズにプロットが似ていますね。
主人公のキャラを、運の悪いダメ親父から→イケメンサイコパスに変更すると本作になるでしょう。
あとはガスのパイプラインを移動するという予想外の展開や、イギリス政府の悪事揉み消しなど、ストーリーの完成度もエンタメアクションとして高かったと思います。
『SAS:反逆のブラックスワン』は、いろんな要素がテンポとバランス良く絡み合っていた作品だといえるでしょう。
また、サイコパス同士の対決や葛藤はソン・ジュンギ主演のマフィアドラマ『ヴィンチェンツォ 』や、パク・チャヌク監督の『イノセント・ガーデン』を思い出しました(この映画も傑作なのでぜひ視聴してみてね)。
抽象的に伝えていること
『SAS:反逆のブラックスワン』のはサイコパス同士の戦いだったわけですが、視点を広げると、SAS対傭兵の戦いになり、大手ガス会社の圧力で他の国の村を潰す命令を傭兵に出していた英国政府が問題の発端になっていることがわかります。
利権のために村を力づくで潰すというのは、まさに本作のテーマであるサイコパスそのものですよね。
つまり本作は英国政府こそ真のサイコパスだ!と伝えているのではないでしょうか。
グレース、トムだけでなく、第3のサイコパスはイギリスなのです。
ある国が他国に武力行使するプロセスは、人間に置き換えると史上最悪レベルのサイコパス思考だといえるのかもしれませんね。
考察!サイコパス同士の対決
それぞれの人質に銃を向け合うシーン
サイコパスのグレースは、主人公トムに人質に取られている自分の弟に銃を向けます。
人質を撃たれて失ったら負け確定。ここまではわりと良くある展開です。
悪者が人質に取られている自分の仲間を撃っちゃうパターンですね。
しかし、同じサイコパスだからこそロジックに気がついたトムは、グレースの人質になっている自分の婚約者ソフィーに銃を向けます。
これで五分五分の状況を作り出すわけです。シビれますね!
(相手が人質を気にせずこちらに銃を向け、自分もまだその人物に銃を向けていたら負け確定ですもんね。)
人質ナシでお互い銃を向け合っているリスクに近くなると考えるとわかりやすいです。
論理はわかりますが、完全に狂ってます。
実際にこんな場面に遭遇したら確実にパニクるでしょう。
サイコパスの特性を最大限に活かした天才的なシーン!
このシーンは本作で一番秀逸で、かつ映画史から見ても斬新ではないでしょうか。
よくこんなアイデア思いつくなあと感心しかないです。
婚約者を笑って見捨てる主人公
婚約者ソフィーが足を刺されて出血多量でピンチの状態で、主人公トムはグレースを追うことを決断し、ニヤリと笑います。
この時ソフィーが「あたなを理解している。だから行って!」というような発言をしていることも重要です。
他者に理解されたうれしさと、本能にしたがって行動したいサイコパス気質の復活という異なる2つの要素が混在した良いシーンだと思います。
さらに考えてみると、恋人が死にそうでショックな気持ちより、恋人からの理解がうれしい気持ちが勝っていてまさにサイコパス!と思える場面です。
ガスのパイプラインの中を移動!
海峡トンネルにあるガスのパイプラインの中を移動する脱出方法も予想外で素晴らしかったです。
ガスを吸わないようにマスクをして、小型の自動車?のような物に乗っています。
摩擦で少しでも火花が散ったらアウトだと思いますが、その辺は実際どうなんでしょうか?
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