『六本木クラス』は韓国で大ヒットした『梨泰院クラス』を竹内涼真、新木優子、香川照之出演で日本リメイクしたドラマ。
すでに本家『梨泰院クラス』を全話見た筆者の視点で、『六本木クラス』の感想や思うところを忖度なしでぶっちゃけていく。
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六本木クラスの感想・評価
©︎テレビ朝日
まだ全話配信された訳でないので現時点での感想になるが、本家に比べると物語の推進力や映像のスタイリッシュさが圧倒的に不足している。
別に韓ドラ贔屓したいわけではないし『梨泰院クラス』の熱心なファンでもないが、正直キャスティング・演技・演出で本家に勝っているところはないと感じた。
ドラマティックな復讐劇+青春ドラマのはずが、のっぺり平坦に進んでいる印象。
具体的に理由を解説していく。
パクセロイを竹内涼真が演じる違和感
まず断っておくが私は全然アンチ竹内涼真ではない。
また演技の違和感については演出家・監督がどういう指示を出したかというのも非常に大きいので、竹内涼真さん本人への批判ではないことをご了承いただきたい。
『六本木クラス』の主人公・宮部新(みやべあらた)は『梨泰院クラス』でパク・ソジュンが演じたパク・セロイと比べると、かなり“普通の人”になってしまった印象。
父を殺されて居酒屋経営で大企業を潰そうとする狂気が感じられない。
梨泰院のパク・セロイは信念と人情にあふれるが無表情で融通がまったく効かない変人でもあり、その苛烈な個性がカリスマ性や物語の推進力を生んでいた。
一方、『六本木クラス』の宮部新はパク・セロイから変人という個性を抜き取ってしまったようで、中心部に強烈な芯がないように見える。
笑顔が多い好青年といったところ。
別にリメイクだからといって本家の『梨泰院クラス』のパク・セロイとキャラクターを一致させなくてもいい。
しかし強烈な復讐&サクセスストーリーを無個性な主人公が引っ張っていけるかと考えると、正直かなり不安だ。
Twitterも「髪型がダサい」の意見で溢れている。そこは真似しなくてもよかったのでは…。
あとは本家のチャン・グンウォン役として早乙女太一が演じていた長屋龍河も小物感がすごくて、重要なキャラなのに今後どうなるのかが心配になった。
笑える演出
ドラマ『六本木クラス』はいろいろ笑えるシーンが多かった。
1番笑えたのは、竹内涼真が父親が事故で死んで、葬式で示談書を投げ捨てるときにコケるシーン。
勢い余ってコケたちょっとダサい場面にしか見えない。
あとは、竹内涼真が事故で父を轢き殺した早乙女太一演じる長屋龍河を殴り殺そうとして警察が止めに入るシーン。
刑事役の緒方直人が警告の発砲をすると、ヒロインの新木優子ともう一人の警察も並んで立っていて、まるで「戦隊モノ」の登場シーンのようだった。
緊張感は微塵も感じられない。
ヒロインたちは無言で近づいてきたのか!?
演出が丁寧じゃないと感じてしまった。
ネトフリで本家の梨泰院を見返すと、警察が銃を撃ってからヒロインのクォン・ナラたちが走って近づいてくるという自然な演出になっている。
土下座おじさん香川照之
香川照之の顔面から発せられる狂気はすごい。
しかし相変わらずの土下座おじさんっぷりに「半沢直樹のスピンオフドラマか?!」と笑ってしまった。
土下座の下りは本家・梨泰院にもあり、もともと本家が半沢直樹っぽいので逆輸入といえるだろう。
「土下座といえば香川照之!」という半沢直樹を想起させたいがための安易なキャスティングに見えた。
アングルとか普通すぎない?
会話している登場人物2人をそのまま横から撮りました的な無難なアングルが多いのが気になった。
映像から疾走感やスタイリッシュさは感じられず。
“間”についても、例えば第1話で主人公の父親がスクーターに乗っていて後ろから撥ねられて転がり落ちるシーン。
Netflixで見返してみると『梨泰院クラス』のほうが断然シリアスさや迫力がある。
こちらはアングルだけでなく、カットが切り替わるタイミング・間などの問題だと思う。