Netflix映画『パリピ的アフターライフの始め方』(原題:Afterlife of the Party)は、ヒロインが冒頭すぐに死亡して、天国へ行くために大切な人たちと関係修復をするヒューマンドラマ+コメディ!
生前パリピだった主人公がみんなの人生を彩るために脇役に回るコンセプトやラストが斬新でしたが、結論からいうと76点ぐらいの普通レベルの映画です。
ぶっちゃけ感想・評価や、本作を深読みした考察、ネタバレあらすじ解説をしていきます!
美人女優ヴィクトリア・ジャスティスが主人公キャシーを演じますが、“ヒロインの恋愛観”を安易にテーマにしていないのが好感!メッセージも深掘りしてみたよ!
映画『パリピ的アフターライフの始め方』キャスト・作品情報
公開・制作国:2021年9月2日Netflix/アメリカ
監督:スティーヴン・ヘレク
脚本:キャリー・フリードル
キャシー役/ヴィクトリア・ジャスティス
キャシーは25歳の誕生日を迎える前に、パーティー後に便器に頭をぶつけて死亡したパリピ。
死んでから天使のヴァルと出会い、
- 喧嘩したままだったリサ
- 生前話しをしなかった父・ハウイー
- 昔家を出て行った母・ソフィア
この3人と仲直りすれば天国行き、できなければ地獄落ちという無理難題を突きつけられます。
キャシーを演じた女優のヴィクトリア・ジャスティスは、シットコム『ビクトリアス』で主役トリー・ベガを演じたことで有名です。
同じくネトフリオリジナルの映画『パーフェクト・ペアリング』(2022)でも主演を務めました。
リサ役/ミドリ・フランシス
キャシーの親友で幼馴染でルームメイト。
パリピなキャシーとは対照的に内気で、博物館で古代生物の発掘に関する研究を行うオタク気質な女性です。
隣に越してきた男性マックスに一目惚れします。
女優ミドリ・フランシスは日系3世(父方の祖父母が日本人)で、映画『オーシャンズ8』などに出演。
マックス役/ティモシー・レヌーフ
マックスはキャシーとリサが住む部屋の隣に越してきた男性。
イギリス訛りのゲーム音楽制作者で、オタク気質です。
ヴァル役/ロビン・スコット
ヴァルはキャシーが死んだ後の守護天使。
面倒見のいい女性です。
死者じゃなく、生きている人間をサポートするために出世したいと考えています。
ネタバレなし感想・見どころ
基本的にはコメディタッチで進んでいき、クスッと笑えるシーンも多いです。
死んだヒロイン・キャシーが、親友リサや両親と関係を修復する話にはそれなりに感動できます。
ただ、ストーリーがとても練られているかと言えばそうではなく、映画『ゴーストニューヨークの幻』などには及びません。
※以下、映画『パリピ的アフターライフの始め方』のストーリーネタバレありなので注意してください。
『パリピ的アフターライフの始め方』ネタバレ感想・評価
『パリピ的アフターライフの始め方』の評価は76点。
死んでから生きているときに関わった人々に感謝し、みんなにもその気持ちが伝わって感動して終わるという割とよくあるプロットで、パリピを題材にして無難に仕上げた感じでした。
キャシーが前例なしにリサと話せたり、物を動かせたりとご都合主義が多いですが、それらの点はコメディなのでこの際よしとしましょう。
ただ個人的に引っかかったのは、キャシーと親友リサ、父ハウイーとの確執は誰にでもあるもので、解消も非常にスムーズだったのはどうかと思いました。
親友との喧嘩や若い娘と父親の対話のなさは、死後にやっと解消できる問題としての説得力にやや欠けています。
ちょっと話し合ってすぐ仲直り、みたいな感じだったな〜!
例えばですがケヴィン・コスナー主演の映画『フィールド・オブ・ドリームス』と似たようなコンセプト(ジャンルは違いますが)にも関わらず、本作では問題が小さく見えてしまった分、感動も薄かった印象です。
母ソフィアに関しては彼女が出ていった理由もわからなかったのでトラウマになったのは分かるのですが、それでもキャシーが一方的に会いにいかなかっただけでなので、リサを仲介に意外にすんなり解決してしまったイメージです。
キャシーが死後に他人を助け、わだかまりを解消することで自分の心も成長させるストーリーは美しいではありますが、コメディにしては問題解決の家庭が平坦だった印象です。
『パリピ的アフターライフの始め方』ネタバレ考察!
パリピが“恋愛なし”で伝えたこと!
映画『パリピ的アフターライフの始め方』で1番面白いと思った点は、ヒロイン・キャシーは生前この界隈でNo.1パリピ!だったのが、死んでからは自分の恋愛物語などは一切なく、引き立て役に回っていたところ。
ヒロインを演じた女優のヴィクトリア・ジャスティスは美形なのでヒロイン自身の恋愛が絡むのか?と思いきや、親友・リサの恋愛をサポートするキューピッド役になります。超イイやつです!
心理学者のアダム・グラントのTaker(人から多くを得ようとする人)、Giver(人に多くを与えようとする人)の枠組みで分けてみましょう。
生前Takerだったキャシーは死んでGiverになり、プラマイで帳尻を合わせた感じですね。
生きている時に人から多くを搾取したら、死んだ後につけでその分の試練が待っているようでもあります。
ただ、本作が本当に伝えたかったのはそういった因果応報的なものではなく、人を幸せにする人こそ本当に幸せになれる!というポジティブなメッセージだったと思いました。
そう捉えると余韻に浸れる心温まる作品になるね。
イスラム教・アジア的ラスト
ヒロイン・キャシーは天国へ行く前のエレベーターで偶然死んでしまった大好きな歌手クーパーと出会い、お互いイイ雰囲気にになります。
完全に男と女として意識していますね。
これは2人で永遠にパーティーコース(意味深)でしょう!
超大好きな歌手とカップルになれるこのハッピーエンドの結末は、どちらかというと天国では72人の処女(フーリー)と過ごせるイスラム教的ではないでしょうか。
もしくは若くして死んでしまった子供を結婚させる(生者もしくは死者と)中国や台湾の冥婚にも近いでしょう。
死後の世界観に多様性がありますね。
モナ・リザのパズルの意味
なぜ本作では、名画『モナ・リザ』のパズルがキャシーとリサの友情復活のモチーフとして使われていたのでしょうか?
パズルについては、友情の構築や破壊のメタファーとしてわかりやすいですよね。2人で協力してこのパズルを仕上げたことで、友情を完成させたのだと思います。
ではなぜ『モナ・リザ』なのでしょう?
『モナ・リザ』はルネッサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチによる“未完”の絵画です。
劇中でキャシーが最後のピースをはめたことを考えると、奇跡のような天国からのワンピースで遂に名画が完成するということを伝えているのでしょうか。
これを踏まえて作品を解釈すると、キャシーこそがラストのピースであり、彼女の影響でリサとマックスの関係、父と母の関係修復、父とパン屋の女性の関係など歯車が回り出したと捉えられます。
キャシーとみんなの関係修復の“幸福”=『モナ・リザ』パズルが完成なのだと思います。
なぜ死後1年も経過しているか?
なぜ、ヒロインキャシーの天国へ行くための試練が死後1年経ってからなのか?ですが、これはキリスト教の追悼ミサが死んでから1年後の命日にわりと盛大に行われるためだと思われます。
ただ、リサの主催で命日の追悼として“灯籠流し”(日本やアジアの文化)をしていたので、キリスト教をそれほど意識したわけではないのかもしれませんね。
さまざまな宗教に1周忌の風習がありますし。
先程のイスラム教的な天国と併せると、『パリピ的アフターライフの始め方』は良い意味で多様性を持った映画だといえるでしょう。
パパが歌っていた曲は?
パパのハウイーが歌っていた曲は、アメリカのバンドザ・ビーチ・ボーイズの『God Only Knows』(1966年発表)です。
いろんなアーティストがカバーしており、劇中でリサの恋人になったマックスが好きだと言ったデヴィッド・ボウイも1984年にカバーしています。
しっとりとした。味わい深い曲です。そのバージョンをどうぞ!
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