日テレ土曜10時ドラマ『パンドラの果実 科学犯罪捜査ファイル』は、AIロボットやナノマシンなど最先端科学をテーマにした新感覚の刑事ミステリー。全10話。
ディーン・フジオカ主演。ユースケ・サンタマリア、岸井ゆきの出演です。
作品情報、キャスト相関図・評価、各話のネタバレ感想・評価、テーマ考察を知りたい人向けに映画をわかりやすくレビュー・まとめています。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)
作品についての視聴者アンケートも投票お願いします↓
ドラマ『パンドラの果実 科学犯罪捜査ファイル』作品情報・キャスト相関図
ジャンル:刑事モノ・サスペンス・サイエンスミステリー
監督:羽住英一郎
脚本:福田哲平 関 久代 土城温美
原作:中村啓 小説「SCIS 科学犯罪捜査班 天才科学者・最上友紀子の挑戦」
制作:日本テレビ・Hulu共同
©︎https://www.ntv.co.jp/pandora/chart/
パンドラの果実 登場キャラ・キャスト
- 小比類巻祐一(こひるいまき ゆういち)|cast ディーン・フジオカ→2022年は映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』にも出演。
- 最上友紀子(もがみ ゆきこ)|cast 岸井ゆきの
- 長谷部 勉(はせべ つとむ)|cast ユースケ・サンタマリア
- 島崎博也(しまざき ひろや)|cast 板尾創路
- 三枝益生(さえぐさ ますお)|cast 佐藤隆太
- 葛木信介(かつらぎ しんすけ)|cast 西村和彦
- カール・カーン|cast 安藤政信
- 四宮聡子(しのみや さとこ)|cast 石野真子
- 小比類巻亜美(こひるいまき あみ)|cast 本仮屋ユイカ
※以下、ドラマ『パンドラの果実 科学犯罪捜査ファイル』のストーリーネタバレありなので注意してください!
『パンドラの果実 科学犯罪捜査ファイル』ネタバレ評価
ディーン・フジオカさんの王子様的キャラと、ユースケ・サンタマリアさんのズボラなキャラの対比が面白いです。
ディーン・フジオカさんだけだと王子様すぎてリアリティなくなりますが、ユースケさんがうまく現実に引きとめてくれています。
また、死んで冷凍睡眠中の妻を蘇らせたい小比類巻が最先端科学を使った事件を解決していく内容で、刑事モノとして事件が解決するカタルシスに加え、科学技術の発展と人類の価値の二項対立に触れている点が非常に興味深いです。
海外のHBOドラマ『ウエスト・ワールド』のように、人類の価値を揺さぶる哲学的な気づきを得られる深い内容になってほしいですね。
おすすめ度 | 75% |
登場・キャラクター | 84% |
オリジナリティ | 77% |
ストーリー | 78% |
『パンドラの果実』全10話ネタバレ感想
1話ネタバレ感想「AIロボット人情モノ」
開発会社のCEO・安井が研究室で閉じ込められ酸素濃度低下で死亡し、AIロボット・LEO(レオ)が殺したと自供するところからスタート!
LEOには創設者・神楽の脳がコピーされて入っているという設定で、神楽を慕っていたロボットエンジニアの郷原(内田理央)が彼の地位を奪った安井を殺したというオチ。
ロボット・LEOの自供に関しては、「安井を守ることができなかったから私が殺したも当然」という、こじつけみたいな感じで残念でした。
しかし、ラストは郷原が小比類巻と最上を研究室に閉じ込め、酸素濃度低下で殺そうとし、LEOが人間の命令を自分の意思を拒否して2人を助けます。
郷原も「LEOが本当に神楽なら小比類巻を助けるだろう」と、確かめたくて閉じ込めたということのよう。
郷原と神楽の絆がAIロボットによって確かめられたという、なかなか興味深い結末でした。
AIは殺人事件に関与していないながらも、最先端科学を取り入れたストーリーにふさわしい、ロボット人情物語といえるでしょう!
第2話 ネタバレ感想「脳をデジタル化して不老不死に!」
eスポーツ(プロゲーム)の選手・田中浩二が頭から煙を出して死ぬ動画が生配信。
田中の頭にはマイクロチップが埋め込まれており、それが電車の電磁波と共振して発火したと判明。
脳外科・鮎川智彦(今野浩喜)が脳に埋め込んだ能力向上チップを使って、Mind Upload(精神転送技術)を田中の仲間・三ツ矢に行い、彼も死亡。
鮎川は小比類巻の前で、自分に精神転送技術を施して死亡。
ボディーハッカージャパンの代表カール・カーン(安藤政信)は、ネット上に三ツ矢によく似たプレイヤーがいるという記事を見て笑うラストオチ。
個人の脳の情報をネットにアップロードして不老不死に!というのはSFではよくある設定ですが、なんか実現できそうな気がして、怖いような、未来を見てみたいような。
妻を死から救いたい刑事・小比類巻が鮎川の成功を願っているシーンが印象的でした。甘いマスクの裏に闇の深さを感じますね。
科学者・最上の「奥さんのこと一生忘れないんだよね」というセリフで、そういえば人が死んだとしても、有機的なビジョンとして誰かの心に残っているはずだよな〜と思いました。
- ネットにアップロードされた脳データ
- 誰かの記憶に生きるその人のビジョン
この一筋縄ではいかない二項対立が浮かび上がってきて、科学的・哲学的な興味が掻き立てられます。コンセプト的には通底する部分がありますよね。
倫理観を問うようなSF設定に、続きが気になって仕方ありません!
第3話 ネタバレ感想
山梨県の遺体安置所にYoutuberが侵入して生配信。土屋という人物の死体が蘇る様子が映っており、科学捜査対策室のメンバーが現地へ向かう。
隣接された研究所では植物タンパクの研究をしており、そのタンパクが死体の神経を蘇生させ、死んだ土屋が病院で打たれていた強心剤も作用するなどの偶然が重なり、蘇生したようだ。
研究所を出た土屋は今は亡き家族との思い出の場所へ行き、そこでまた死んでいたというオチ。
なんかブラックジャックみたいですね。
シリアスな雰囲気やSF感が薄かったのがちょっと残念でした。
テーマ考察:パンドラの果実とは?(ネタバレ)
パンドラの果実の意味
タイトルの『パンドラの果実』とは、ギリシャ神話に登場するパンドラの箱と旧約聖書に出てくる禁断の果実の組み合わせでしょう。
- パンドラの箱→全ての災いが入っている絶対に開けてはならない箱
- 禁断の果実→アダムとイヴが神から禁じられていた実(りんご)を食べたことで楽園から追放され、人類は生まれながらの罪=原罪を背負うことになった。
要は、絶対に手を出してはいけない領域ということですね。
本当に怖いシンギュラリティ
劇中でも触れられていた2045年問題・シンギュラリティ(技術特異点)は、人工知能が人類の知能に勝り、人類が思いもつかなかった発明・技術が量産されて世界が一気に変わるという予測のことです。SF映画とかでお馴染みですね。
科学が進歩するといいことのように聞こえますが、人間を超えた存在が誕生すると考えると恐ろしいですよね。
ターミネーターのように人類が機械に支配されるというディストピアになるかどうかはさておき、地球で人間の価値そのものが揺らぐことになりかねませんから。
大雑把にいえば知能のヒエラルキーで人間が猿の位置に下がり、人間の位置にAI・メタヒューマンがくるということです。
まあ実際人類にとって怖い結末が待っているかは分かりませんが、宇宙物理学の第一人者スティーブン・ホーキング博士など、人類存続の危機や危険性を提唱した学者もいます。
ドラマ『パンドラの果実』で言っている科学の進歩による闇は、絵空事ではないのです。
小比類巻 VS 最上の対立構造
主人公・小比類巻は死んだ・妻を冷凍保存し、科学が進歩したら生き返らせようとしています。
一方、天才科学者の最上友紀子は「科学の先に踏み入れてはいけない闇がある」と言い切っています。
一見いいコンビに見える小比類巻と最上は決して相容れない思想を持っており、この小比類巻 VS 最上の対比構造が物語の鍵です。
小比類巻は妻の“死”を拒絶しています。人類の大多数が死を拒絶したらどうなるでしょうか?
生があり死があるという人間の概念そのものが転覆され、今私たちが持っている価値観がまったく通用しなくなるかもしれません。
幸福を放棄することになっても、科学を進歩させるのか?
社会を破壊することになっても、最愛の人の生を望むのか?
ドラマ『パンドラの果実』からはそんな哲学的なテーマが浮かびあがってきます。
最後のまとめ
『パンドラの果実 科学犯罪捜査ファイル』は、日テレ系列でシーズン1、Huluでは見逃し配信があり、シーズン2はHuluで放送するという流れのようです。
科学捜査モノのリアリティとヒューマンドラマ要素を高い水準で保って、ヒットドラマに成長して欲しいですね!
ここまで読んでいただきありがとうございます。『パンドラの果実』レビュー終わり!
2022年4月公開日本ドラマ・ネタバレ感想関連記事
日曜劇場『マイファミリー』の第2話の伏線・考察や、時系列のネタバレあらすじ解説をまとめました。鳴沢夫妻VS警察のバトルが加熱しました! CineMag 誘拐捜査から警察を排除する無理ゲーを二宮和也演じる温人がどうにかクリアし[…]
綾瀬はるかと大泉洋がタッグを組んだミステリードラマ『元彼の遺言状』の第1話・第2話の内容についてネタバレありで感想・考察をしています。 CineMag 登場キャラは面白いものの、サスペンス・ミステリーとしては普通…。 […]