ひどい!映画『オールド/Old』ネタバレ考察オチやビーチの意味・伏線!つまらないラストどんでん返し,あらすじ酷評・感想

  • 2024年3月24日

M・ナイト・シャマラン監督の新作映画『オールド/Old』は、正直ツッコミどころ満載でつまらなかったです(好きな人には申し訳ない)。

感想・評価や、ストーリー違和感の正体を徹底考察

ラストオチ結末ネタバレあらすじ解説もしています。

CineMag
感想をひとことで言うなら「どうしたシャマラン?!」

↓M・ナイト・シャマラン監督の次作は『ノック終末の訪問者』(2023)のレビューは下記記事へ↓

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映画『オールド/Old』キャスト・作品情報

公開・制作国:2021年8月27日・アメリカ

監督・脚本:M・ナイト・シャマラン

原作:グラフィックノベル『Sandcastle』フレデリック・ペータース&ピエール・オスカル・レヴィー

撮影:マイク・ジオラキス

主演:エル・ガルシア・ベルナル/ガイ・キャパ役

出演:ヴィッキー・クリープス/妻プリスカ役

出演:アレックス・ウルフ/ノーラン・リヴァー/ルカ・ファウスティーノ・ロドリゲス/イーモン・エリオット/息子トレント役

出演:トーマサイン・マッケンジー/エンベス・デイヴィッツ/アレクサ・スウィントン/娘マドックス役

出演:ルーファス・シーウェル/チャールズ

出演:アビー・リー/クリスタル夫人

出演:ケン・レオン/ジャリン役

出演:M・ナイト・シャマラン/運転手

出演:キャスリーン・チャルファント/アグネス役

今作で監督のシャマランはリゾートの運転手役で出演していました。

エル・ガルシア・ベルナルは映画『バベル』への出演や、『リメンバー・ミー』のヘクターの声で知られています。

アレックス・ウルフは映画『ジュマンジ』シリーズや『へレディタリー継承』の息子役で有名。

女優のトーマサイン・マッケンジーは映画『ジョジョ・ラビット』などで有名で、成長してお姉さんになったマドックスを演じます!

チャールズ役のルーファス・シーウェルはNetflix『ザ・ディプロマット』に出演。

ケン・レオンはドラマ『LOST』マイルズ役で有名な俳優

ホテルの客室係・マドリード役のフランチェスカ・イーストウッドは、クリント・イーストウッドの娘です(鍛えているのか、肩の筋肉ムキムキでしたね…)。

キャスリーン・チャルファントはホラー映画『へレディタリー継承』の主人公の母役で出演。

映画『オールド』ネタバレ感想・酷評

映画『オールド/Old』のみんなでビーチで抱き合うシーン

映画『オールド/Old』の評価は67点。

嫌な予感はしていましたが、正直つまらなかったです。

シャマラン監督前作の『ミスター・ガラス』よりは若干マシかな〜という印象。

考察系ネコ
小さな子供たちが成長するので、キャストが同じシュチュエーションでどんどん変わっていく点は斬新だと思いました。

老いるスピードが人によって違うようで不自然さはありましたが、その都度のキャストやメイク変更に限界がある撮影の都合だと思うので、ある程度は仕方ないでしょう。

ただ、誰もがシャマランに期待するであろうラストのオチにはがっかり

大手製薬会社の治験でした!というオチは予想できた数パターンのうち、個人的にはもっとも残念なものでした…

(コロナやワクチンの話題が多いので、このオチが共感を呼べると思ったのでしょうか?)

ちなみにサスペンス的な治験オチは、原作ノベルを元にシャマランが加えたようです。

感想を語る犬
あっ、蛇足ですね…。

これまでのラストでどんでん返しの衝撃を与えるシャマラン監督作品と比較すると、人が老いていく過程でのトラブルや精神的な葛藤など、中盤のシーンを見どころにしたかったのかもしれません。

ビーチで、トレントとカラがすぐに成長して勢いで性行為をして子供ができちゃうなど、家族で見ていると気まずいびっくり仰天のハプニングもありました(こちらは原作の内容らしいです)。

シャマラン監督のインタビューによると、父が認知症になったり子供が急に大人になったりといった人々が経験する驚きを、この『オールド』で伝えたかったようです。

しかしそれなら、もっとヒューマンドラマ要素に力を入れるべきだったでしょう。

そもそも急激に老いて肉体や心に葛藤を感じるテーマ自体が芳根京子主演の映画アーク/arcなどのように、サスペンスよりヒューマンドラマ向きの題材な気がします。

ただ良いシーンもあって、主人公的なガイとプリスカの夫妻が離婚の危機を時間で乗り越えていく描き方は素晴らしかったと思います。

肉体的に歳をとっての恋愛観や人生観の変化が、1日の同じシュチュエーション内で起こるのが斬新でした。

感想を語る犬
むしろラストオチはおまけ程度にして、夫婦や親子関係をよりメインに据えるべきだったと思います。

ストーリーのひどい点を考察

オチがよくあるパターン

映画『オールド/Old』のトレントとマドックス

治験でした!というオチは、いつも予想外のパターンを持ってくるシャマラン監督にしては普通すぎだと思います。

何かの実験だった!というメタ的なオチは映画『CUBE』や『キャビン』など数多くあり、斬新さが売りのシャマランらしさを期待したファンはがっかりするでしょう。

ご都合主義多し!

映画『オールド/Old』では、ご都合主義が多すぎです。

1番気になったのは、歩いてビーチを出ようとする場合はその場で気絶せず、無意識でビーチに戻ってきてから倒れる設定

崖を登る場合はそのまま気絶して落下し、海でも気絶して溺れます。

この違いはなんでしょう?

考えてみるとビーチから歩いて出ようとするケースでは、気絶した場所に他の人物が助けに来た場合、その人物も気絶しないと変ですよね。

考察系ネコ
それだと登場人物たちがみんなビーチに戻ってこれずストーリーが進まないから、ビーチに歩いて戻って気絶する設定にしたのだと思います。

都合が良いですね…。

また、赤ちゃんがビーチで死ぬ理由もよくわかりません。

肉体的に成長が早い赤ちゃんは、キャストの用意が大変だし、映像にするのが困難だったからでしょう。

ちなみに原作ノベルでは赤ちゃんは死なずに、唯一の生き残りとしてビーチに最後まで残るようです(治験オチもなく、フェードアウト的な味わい深い終焉になります)。

伏線がわかりやすくて微妙!

伏線もインパクトがあるものが少なかったですね。

まずは、ホテルの部屋でガイが「ウォレン製薬の系列だね」と気づいたのがラストへの伏線です。

関連してビーチで遠くの方に監視者らしき人がいるのは、ラストの治験オチを想像させやすくなってしまい失敗だったと思います。

ジェイソン・モモア主演のNetflix『スイートガール』と同じく伏線的なシーンがどんでん返しに直結してしまっており、想像が簡単になってしまっていますね。

ビーチに錆びたナイフが捨てられている!というのは実験が何回も繰り返されている暗示でしょうけど、別に驚きはなかったです。

あとはトレントがホテルの客に職業を聞いて回るのが趣味、というのも軽い伏線でしたが、こちらも最後に警官に頼むためのストーリーの整合性のためであり、ご都合主義的でした。

計算が合わない

全体的に老いるスピードが個人個人で違うように写っていたのは、キャストやメイクの問題でしょうがないにしても、明らかにおかしいシーンもあります。

まず本作では1日で50年ほど老いると言っていたので、

計算すると28.8分(1728秒)で1年老けます。

1万8千250倍の老化速度です。

考察系ネコ
約30分で1年、2分半で1ヶ月、1秒で4.8時間 老います

そう考えると老いた美人妻クリスタルが複雑骨折して、数秒で治りながら歩いてくるシーンはさすがに計算が合いません

治癒が早すぎですね。

まあ、ホラーとして見ればシャマラン監督らしさのある素晴らしいシーンだったので、あれがやりたかったのでしょう。

また、プリスカの腫瘍の手術シーンも、傷がみるみるふさがっていくスピードはちょっと違和感。

ただ、あんまり突っ込むと野暮かもしれないですね。

精神年齢がわかりにくい

体は老いるけど時間は1日しか経っていないという特殊な状態で、登場人物たちがどのような精神状態になるのがあやふやだったのが『オールド/Old』のヒューマンドラマ要素で致命的だったように思えます。

トレントの心は子供のままであまり成長してないようである一方、ガイとプリスカ夫婦は精神的に老人の域にいるようで、統一感がなく感情移入しずらいです。

現実問題として体だけ老いる時に心はどうなるか正解は誰もわからないですが、もっと登場人物の葛藤に時間を割けば、斬新な心理描写が伝わって来たかもしれません。

むしろ、そこにもっと力を入れるべきだったでしょう。

そもそも長期治験できない?

ビーチの被験者たちは老化で細胞がどんどん代謝しているはずなので、治験するためには薬もそれだけの量が必要なはず。

少なくてもカクテルで飲ませた分の影響は、ビーチで数分でなくなってしまうでしょう。

まあ食料もたくさん食わなくていいので、薬も1回分でいいと考えられなくもないです。

しかしそれだと、そもそも登場人物たちは“老化”ではなく“変形”しているに近い気もします(細胞とかがそのまま変形するかは謎ですが…)。

老化の実験にはならない可能性がありますね。

フィクションだし特殊な環境だと片付ければそれで終わりですが、違和感が残ります。

例えばクリストファー・ノーラン監督なら、こういったそもそも違和感のある設定に物理的な説明をつけて納得させてくれそうです。(岩や砂が人にエネルギーを送っているとか。)

“ビーチ”のメタファー考察

ビーチはモンスター?

ビーチでoldを撮影するシャマラン監督

映画『オールド』で目についた部分ばかり述べるのもアレなので、ビーチが何のメタファーなのか考えていきたいと思います。

個人的にそういう見方ができたという意見になりますが、ビーチは“巨大なモンスター”といえるのではないでしょうか。

人の若さを食べる巨大な怪物です。

崖がモンスターの口ビーチの波が胃液のようにも感じられます。

そう捉えると、気絶設定の説得力が増す気もしますね。

個人的には治験オチよりは、実際ビーチ自体がモンスターだったオチが良かったと勝手に空想していました。

現代社会への警鐘

では次に、いるだけで歳を喰ってしまうビーチが一体何を伝えているのか考えてみましょう。

ひとつの答えは忙しすぎる現代社会への警鐘だと思います。

ビーチは“ネットやSNS”に近いと考えられないでしょうか。

Twitter、インスタ、Facebookなどなど、便利で楽しいですが、それを眺めているだけであっという間に時間を消費しますよね。

きつい言い方をすれば、ネットや他人のSNSを見ている間、あなたは自分の人生を送っていないともいえます。

他人の人生をのぞき見しているだけ。時間を食われているわけです。

その間にもどんどん歳を取っていきます。

シャマラン監督はそれを過激に伝えていたのかも!

『オールド』でビーチにいる登場人物は視聴者である“あなた”のことかもしれません。

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