映画『ナポレオン』。果たして彼は英雄か悪魔か!?巨匠リドリー・スコットが問いかけます。
『JOKER(2019)』のホアキン・フェニックスがナポレオン、ヴァネッサ・カービーがジョゼフィーヌを演じた歴史大作です!
あらすじネタバレなしの感想
視聴してのぶっちゃけ感想・評価(ネタバレあり)
ラスト考察:ジョゼフィーヌの秘密とは!?
これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビューしていきます!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目から読んでください)
これから視聴する方の参考になるよう、作品についての視聴者口コミ・アンケートも投票お願いします↓
映画『ナポレオン』作品情報
制作国:アメリカ・イギリス
上映時間:2時間38分
原題:『Napoleon』
ジャンル:伝記映画・戦争・歴史スペクタクル
年齢制限:PG12
監督:リドリー・スコット(『ブレードランナー』『エイリアン』『最後の決闘裁判』『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』)
脚本:デヴィッド・スカルパ|リドリー・スコット
撮影:ダリウス・ウォルスキー(『プロメテウス』『最後の決闘裁判』)
音楽: マーティン・フィップス
キャスト
ナポレオン・ボナパルト|cast ホアキン・フェニックス|吹き替え・星野貴紀
ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネ|cast ヴァネッサ・カービー|吹き替え・清水はる香
ポール・バラス|cast タハール・ラヒム
テレーズ・カバリュス|cast リュディヴィーヌ・サニエ
映画『ナポレオン』あらすじ
野心的なナポレオン・ボナパルト(ホアキン・フェニックス)は英の戦艦の撃退に成功し、将軍に出世した。
社交界の中心にいる美しき未亡人・ジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)に一目惚れして結婚する。
その後、ナポレオンはさらなる大躍進を遂げ、皇帝と呼ばれるようになった。
しかし、栄華はいつまでも続かない…。
※以下、映画『ナポレオン』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ナポレオン』ネタバレ感想・評価
リドリー・スコットの圧巻の映像美!
今作、あらゆるカットの構図が完璧じゃありませんでした?
リドリー・スコットは老将になっても衰えを知りません。キレッキレだと思いました。
どの場面を見てもため息がもれるほど美しかったです。
かけた製作費の違いもあるのかもしれませんが、近年の『最後の決闘裁判』や『ハウス・オブ・グッチ』と比較しても映像のクオリティが凄まじく、ハッキリ言ってビジュアル面だけで大満足でした。
戦いの場面はリアリティや臨場感があるだけでなく、戦術もしっかり伝わるように描いてくれていました。
最初のイギリス艦隊との戦いでは夜中に奇襲して砦を奪ってそこから砲撃するなど、ナポレオンが頭を使って計画を組み立てているとわかります。
バトルシーンで1番すごかったのは、やはり凍った湖の上に敵を誘導して爆撃するシーン。
水面下から大砲で割れた氷と、落ちてきた人間や馬、そして水が血で赤くにじんでいく映像は必見です!
人が死んでいる場面に不謹慎かもしれませんが、芸術的な美しさをはらんでいました。
同時に、そんな作戦を遂行するナポレオンが悪魔に見えます。
ホアキン・フェニックスのナポレオン
ホアキン・フェニックスのナポレオンも最高に素晴らしかったです。
2019年にアカデミー賞主演男優賞を獲得した『ジョーカー』の大袈裟な狂気とはまた違った趣がありましたね(もちろんジョーカーのブッ飛んだ演技も最高ですが)。
ホアキンは、さまざまな表情で感情の機微を伝えるのが本当に上手いと思いました。
狂気を抑え目にして、ジョゼフィーヌのまえでは人間らしく動揺したり泣いたりする、弱みを見せた役作りが良かったです。
ホアキン・フェニックスの演技がうますぎるせいもありますが、ナポレオンってこんな人物だったかもしれないと思わせる説得力がありました。
人類の文明が滅んでそのあと宇宙人がこの映画を発見したら、ナポレオンの人物像=ホアキン・フェニックスで定着することはまず間違いありません。
ヴァネッサ・カービーのジョゼフィーヌ
ヴァネッサ・カービーのジョゼフィーヌもホアキン以上に完璧だったと思います。
ジョゼフィーヌは史実通り浮気をしまくっていました。
けれどもヴァネッサ・カービーが演じたからか魅力的すぎて「ナポレオンは浮気されても離れられないよな」と納得してしまいました。
ナポレオンを躍進させた幸運の女神と呼ぶにふさわしい立ち振る舞いでした。
ヴァネッサ・カービーは2020年の『私というパズル』の演技も素敵でした。2023年は『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』にも出演していましたね!
ダメな点
『ナポレオン』は映像のクオリティ面だけでいえばダメなところなんか1つもないです。
ただ、ストーリーは史実をほとんどそのままなぞっただけなので、少し詳しい人は「まあ知ってる話だね…」となってしまったのでは?
私は映像や演技にグッと引き込まれたので、史実そのままでもまったく不満はありませんでした。
大迫力のバトル、ホアキン・フェニックスとヴァネッサ・カービーの役作り、そして意味深なラスト(考察の項目で解説)で大満足。
しかし、映像よりストーリー性を重視する人からするとちょっとキツイ映画だったかもしれませんね。
リドリー・スコットによる独自解釈もほとんどないですし、時間も2時間38分とかなり長いです。
(個人的には長いけど削れるシーン・無駄なシーンがあったようには思えませんでした。)
また、本作は感情のジェットコースターのような作品ではなく、淡々と展開していくナポレオンの生涯を俯瞰して眺めるコンセプトだったことも賛否分かれる大きな要因に思えます。
『ハウス・オブ・グッチ』もそうでしたが、物語としては淡々としすぎている気もします。
ストーリーだけでいえば『最後の決闘裁判』のほうが面白かったかもしれません。
ナポレオンとジョゼフィーヌの愛情・友情・絆も普通の夫婦の関係性を超えており、噛み砕ける人と消化できない人にわかれそうです。
CineMagの点数 | 90点 |
映像・アクション | 99点 |
ストーリー | 55点 |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.7(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家 59% 一般の視聴者 58% |
メタスコア(Metacritic) | 64(100点中) |
映画『ナポレオン』ラスト考察:ジョゼフィーヌの秘密とは?
ナポレオンの死の直前に天国にいるジョゼフィーヌから「こっちにいらっしゃい」的な独白があり、最後の最後で「秘密を教えてあげる」と言っていたのが気になりました。
ジョゼフィーヌは「もう1度ためしてみましょう」とも言っていました。これは子作りのことだと思います。
本作のジョゼフィーヌには、ナポレオンを馬鹿にしていたようなところがありました。
(史実でも、ナポレオンのことを「つまらない男」と言っていたそうです。)
もしかすると、ジョゼフィーヌは戦争を繰り返すナポレオンのことを軽蔑していたのではないでしょうか?
生きるために結婚したけど、悪魔のような人物の子供を産みたくないと思っていたのかもしれません。
確かな信頼関係もあるようでしたが、ナポレオンを軽蔑していて「こいつに後継者なんかできたら最悪だ」と、ドライに考えていた部分もあったのかもしれません。
エンドロールの前の説明書きにもナポレオンが数百万人を戦死させたと書かれていましたし、英雄の功績の裏側を見ればナポレオンは悪魔ともいえます。
もしジョゼフィーヌがナポレオンの最盛期に子供を産んでいたら彼の地位は盤石なものになり、世界中でさらなる戦争行為が繰り返されていたかもしれません。
ハエの意味
最後にナポレオンのワインの中にハエが入って死にましたが、これは聖書に出てくる蠅の悪魔・ベルゼブブにかけているのだと思います。
ナポレオンはベルゼブブのような悪魔だったと暗喩しているのでしょうか。
最後のまとめ
巨匠リドリー・スコット監督の歴史大作映画『ナポレオン』は、ディティールまでこだわり抜かれた壮大な映像美、戦争アクションの臨場感と迫力、ホアキン・フェニックスとヴァネッサ・カービーの完璧な役作りが組み合わさった傑作でした。
ストーリーは歴史に沿っていましたが、ナポレオンが英雄か悪魔かしっかり突きつけて、「やっぱコイツ悪魔かも…」と答えを出していた点が素晴らしかったです。
ここまで読んでいただきありがとうございます。映画『ナポレオン』レビュー終わり!
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