マーベル映画『ドクター・ストレンジ2/マルチバース・オブ・マッドネス』(MoM)サム・ライミ監督が良くも悪くもやらかした!マルチバースで完全に遊び尽くしています。
作品情報・キャスト・あらすじ・見どころ、ぶっちゃけネタバレ感想・ストーリー酷評、ラストシーン・ゾンビや三つ目・ワンダの結末を考察、マルチバースの呪縛考察、ミッドクレジット(エンドロール)に登場した新キャラ、サム・ライミバース解説をまとめました!
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)
作品についての視聴者口コミ・アンケート評価も投票お願いします↓
映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』作品情報・キャストと演技の印象
原題:『Doctor Strange in the Multiverse of Madness』
ジャンル:マーベル・アクション・ファンタジー・ホラー
監督:サム・ライミ
製作:ケヴィン・ファイギ
脚本:ジェイド・バートレット/マイケル・ウォルドロン
原作:スティーヴ・ディッコ 「ドクター・ストレンジ」
撮影:ジョン・マシソン
音楽:ダニー・エルフマン(『チャーリーとチョコレート工場』)
登場キャラ・キャストと印象
ドクター・ストレンジ/スティーヴン・ストレンジ医師|cast ベネディクト・カンバーバッチ(『パワー・オブ・ザ・ドッグ』『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』)→まさかのゾンビ化に大爆笑!
スカーレット・ウィッチ/ワンダ・マキシモフ|cast エリザベス・オルセン→まさかのメインヴィラン。というか、ヴィランの枠を超えてもはやモンスター扱い!ワンダファンが悲しむのでは(笑)?
アメリカ・チャベス|cast ソーチー・ゴメス→ピンチで時空移動できる便利キャラ。続編ではちょっとは理屈を知りたい…。LGBTQ(レズビアン)設定らしいですが、今作では明かされません。
クリスティーン・パーマー|cast レイチェル・マクアダムス→当たり障りのないヒロインという印象。
ウォン|cast ベネディクト・ウォン→コミックリリーフ(お笑いキャラ)ポジション。
モルド|cast キウェテル・イジョフォー→活躍はせず、いちおう出した感が強め。
ニコデマス・ウェスト|cast マイケル・スタールバーグ
『ドクター・ストレンジ2 マルチバース・オブ・マッドネス』MoM ネタバレなし感想・あらすじ・見どころ・海外評価
©︎マーベル/ディズニースタジオ
あらすじ:『スパイダーマン/ノーウェイホーム』後の物語。ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)は、チャベスという少女を敵から守り死亡する夢を見る。その後、ストレンジが元恋人クリスティーン(レイチェル・マクアダムス)の結婚式で落ち込んでいると、一つ目タコの巨大怪物が現れて街で暴れ回っているのを発見。ストレンジはウォンと共に怪物に追われていたチャベスを助ける。チャベスは別次元のユニバースに移動する能力を持っていると言う。別世界から一緒に来たストレンジの死体もあった。ストレンジはワンダ(エリザベス・オルセン)を訪ね、チャベスを守ってほしいと助けを求めるが予想外の事態へ…。
マルチバースの話のはずが、ホラー映画のようなプロット(脚本)。
難しさはないので、マーベル初見でもある程度は楽しめると思います。
ただヒーロー映画を見に行くつもりだと痛い目にあうでしょう。実質ファンタジーホラーです。
ところどころちょいグロい感じ。適度なグロさに調節されているのでよほど苦手な人でない限り大丈夫です。
本作を本気で楽しみたいなら、ドクター・ストレンジの1作目とドラマ『ワンダヴィジョン』をディズニープラスで予習しておくのがおすすめです↓。
おすすめ度 | 70% |
ホラーの世界観 | 85% |
ストーリー | 68% |
IMDb(海外レビューサイト) | 8.2(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家77% 一般89% |
※以下、映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『ドクター・ストレンジ2/マルチバース・オブ・マッドネス』ネタバレ感想・評価
マーベル映画を見にきたと思ったら、サム・ライミホラーだったというのが正直な感想!
ストーリーもマルチバースの話だったはずが、狂ったスカーレット・ウィッチが血だらけになりながらストレンジたちを追い詰めるコッテコテのホラー。
ぶっちゃけ物語としては、駄作とまではいかなくてもつまらない…。不思議な力を持った少女(チャベス)を助けるためストレンジが立ち上がるという、よく見る筋書きでしたね…。
ストーリーに面白さはなく、ホラー的なドキドキだけ。要はホラー映画です。
とくに、マルチバースが“不思議な世界”くらいの感覚でしか表現されていなかったのが個人的にひどく残念でした。
マルチバース同士のつながりなど細かい設定は完全無視!
別次元が「こんな世界あったらいいな」程度の概念に変換されています。ある意味いさぎよいです。
『ドクター・ストレンジ2/マルチバース・オブ・マッドネス』のストーリーは夢を現実にしようとした者の悲劇と、ひとことで表せるでしょう。
マルチバースに制約がなくなんでもあり状態なのでMCUファンからすると不満かもしれません。少なくとも『ドクター・ストレンジ2』はSFなどの設定が緻密なMCUではないでしょう。
『ワンダヴィジョン』はSFサスペンスとして見られましたが、本作はSF感ゼロですよね…。これでいいんでしょうか!?
中盤ではエリザベス・オルセン演じるスカーレット・ウィッチ(ワンダ)が、足を引きずりながら迫ってきて、気づくと後ろに立っています。
貞子のノリで骨バキバキさせながら出てきます。映画館で笑ってしまいました。あのワンダがホラーをやらされているっ!
『インフィニティー・ウォー』『アベンジャーズエンドゲーム』ドラマ『ワンダヴィジョン』のキュートなワンダが好きだったファンは、彼女がヴィランを通りこしてモンスターとして描かれているのを見てどう思うでしょうか?
スカーレット・ウィッチ(ワンダ)は狂った母親として死んでいきます…。彼女の扱いがひどいです。
ラスト考察!ゾンビ・ストレンジ/スカーレットウィッチは死んだ?(ネタバレ)
ゾンビになったストレンジ
©︎マーベル/ディズニースタジオ
ストレンジがマルチバースからドリームウォーク(意識だけ飛ばしてその世界の肉体を操る)を使い、基本世界(アース616)で冒頭で埋めた自分の死体(別次元から移動してきた)に乗り移り、ゾンビ・ストレンジになって悪霊たちの手が千手観音みたいになる終盤の展開は大好きでした!
ゾンビストレンジは、つきまとってきた黒い悪霊たちをも操作し、完全な化け物になります。攻めすぎです(笑)。でも嫌いじゃない!
©︎マーベル/ディズニースタジオ
果たしてこれはマーベル映画なのか?やらかし案件発生です(笑)。
しゃべりかけてくる黒い悪霊の正体はなんでしょうか?
説明なさすぎ…。死神ですかね。
黒い悪霊はストレンジに向かって「死体に乗り移る(ドリームウォーク)のは反則だぞ…」みたいなことを言っていたので、ダークホールドの番人か冥界の役人なのでしょう。
黒い悪霊たちもマルチバースを移動できるなんでもアリ設定が引っかかりましたが。
マルチバースで各々のストレンジたちが起こした罪・カルマの結集!的なコンセプトが隠されている気がします。
スカーレット・ウィッチ(ワンダ)はヴィランとして死亡!?
©︎マーベル/ディズニースタジオ
スカーレット・ウィッチ(ワンダ)は別世界にいる自分の双子の子供を見て涙を流して改心し、ダークホールド(禁断の書物)を閉じて瓦礫に巻き込まれて死亡するラスト。切ないですね。
ドラマ『ワンダヴィジョン』のラスト(街を丸ごと破壊して精神崩壊したワンダが完全にウィッチになっている)を引きずったバッドエンドでした。
救われ度ゼロですね。普通の監督なら改心してヒーローに戻るなどのストーリーを考えるでしょうけど。
サム・ライミ監督はウィッチを容赦なくモンスターに仕立て上げて殺しました…。
まあでも死体が出てきたわけではないので、まだスカーレット・ウィッチが生きている可能性はあるでしょう。
本作のスカーレット・ウィッチはヒーロー映画のヴィランというより、殺戮者・モンスターという側面が強かったですね。完全にホラー映画のジェイソンやフレディといった怪物ポジションです。
カマータージ(寺院)でもウォンの部下を殺しまくり、別世界(アース838)でもイルミナティのキャプテン・カーターたちを殺戮します。プロフェッサーXは首をコキっとひねって殺害!
イルミナティたち→「本当に危険なのはウィッチではなく、ストレンジ!お前だ」からの→全員ウィッチにボコられて死亡の展開はかわいそ過ぎでした。もはやギャグですよね…。
こういった笑えるのかよくわからない流れもホラー映画っぽいです。
さて、スカーレット・ウィッチ(ワンダ)が本当に死んだかどうかの考察ですが、ドラマ『ワンダヴィジョン』のエンドクレジットシーンではお茶をいれているワンダと、奥の部屋でダークホールドを読んでいるスカーレット・ウィッチに分裂していました。
ラストのオチまでサム・ライミ/三つ目の意味はマルチバースの呪縛
ラストシーンは結局、ストレンジ自身もダークホールド(禁断の書物)の呪いで叫びながら三つ目になるという…。
『死霊のはらわた』や『スペル』に共通する「ホッとしたと思ったらそうはいかねえ!」的な、既視感バリバリのサム・ライミオチでしたね。
ただ三つ目にはストーリー上の大きな意味があると思います。
なぜ三つ目になったのでしょうか?
- ストレンジがダークホールドを使った代償
- 自分の死体にドリームウォークしたから
理由はこのあたりでしょう。
ちなみにストレンジは原作コミックでも三つ目になり、他人をコントロールする力などがあるらしいです。
話を映画に戻して、少し視点を広げて意味を考察するともっと怖いです。
別ユニバースのシニスター・ストレンジも三つ目(ダークホールドの代償)でしたが、彼が持つヴィランの性質が本物のストレンジにも受け継がれたようですよね。
悪い自分と出会ったら、その呪縛から逃れられないのかもしれません。
結論をいうとマルチバースの危険性とはヴィラン性質の輪廻だと思います。
無限の可能性があるマルチバース。中には悪いアイアンマン、悪いマイティ・ソーなどもいるでしょう。
本来ヒーローである彼らも、別次元への扉が開かれてしまえば、悪い性質を持つ自分と出会ってヴィランの性質が乗り移ってしまうのかもしれません。
ヴィランの性質だけでなく、構造的に1つのユニバースで善悪の総量のバランスを保っていたのが、その均衡が崩れることで全ユニバース滅亡!となる危険があるのでしょう。
ミッドクレジット・エンドロール後のシーン
シャーリーズ・セロン演じる謎の女性・クレア登場!
ミッドクレジットシーン(エンドロール途中)には謎の女性魔術師が登場!マーベルの新キャラのようですが…。
キャストはなんとマッドマックス怒りのデスロードなどで有名な大女優シャーリーズ・セロン。読者様からの親切なコメントでクレアというキャラだと判明しました。
クレアは原作コミックに登場する、ストレンジの後継者としてソーサラースプリーム(その次元で最高の魔術師)となるキャラクター。
設定ではドルマムゥ(映画ドクター・ストレンジ1のラスボス)の妹の娘、かつストレンジのパートナーらしいです。
クレアはストレンジがダークホールド(禁断の書物)を使ったせいでインカージョン(崩壊)を起こした世界を修復しに行く!と言っています。
続編『ドクター・ストレンジ3』でこの先が描かれるのでしょうか?もしくは他のMCU作品かもしれません。
ポストクレジットシーン
エンドロール後(ポストクレジットシーン)には、ストレンジに魔法をかけられて自らを殴り続けるピザ屋がその呪縛から解放されてホッとするというコメディシーンがあります。
メタ考察/サム・ライミバース開幕(ネタバレ)
新たなユニバースを率いる勢いのサム・ライミ
監督はサム・ライミバースを作りたいのでしょうか。本作を視聴した限りそうとしか思えませんでした。
映画内で「1番恐れるべきはストレンジ」みたいなことが言われてましたが違います。
マーベル映画で自分のやりたいことをやっちゃうサム・ライミのほうがある意味恐ろしいです。
MCUフェーズ4でインカージョン(世界崩壊)を仕掛けているのは間違いなくサム・ライミ監督でしょう。
『スパイダーマン』旧3部作シリーズと『ドクター・ストレンジ2/マルチバース・オブ・マッドネス』に、『死霊のはらわた』の続編を加えれば、無事サム・ライミバースの完成です(笑)。俳優ブルース・キャンベルも今作に出てましたし。
コテコテのホラー演出
劇伴にしてもディゾルブ(前の映像を残しつつカット切り替え)にしても、80年代ホラーファンタジーを見ているイメージ。
一周回ってカッコいい!とかではなく、普通に古臭い印象を受けました。
驚いた人物をアップにする、衝撃のシーンで鋭い不協和音を入れるなど、“コテコテホラーそのまんま感”が非常に強かったです。
楽曲担当がダニー・エルフマン(『バットマン』(1989)『チャーリーとチョコレート工場』(2005))というのも、ファンタジー感をマシマシにする要因だったと思います。
個人的にはダニー・エルフマンの曲は大好きですが、シリアス感は出ないですよね。
「マーベルらしくなくて逆に面白い」という人もいれば、「なぜファンタジーホラー映画にした?」と困惑する人もいるでしょう。賛否両論になる気がします。
マルチバースが夢で繋がるファンタジー設定
マルチバースにいる別の自分に起こった出来事を夢で見れちゃう設定も安易すぎると思いました。
夢が別次元につながっているというのはSFとかでよくある設定なので、納得できる部分もあります。
しかし、結果として今作はマルチバースの話というより夢の中を冒険するお話に見えてしまいました。
夢が次元の連結部分につながっているというありがちな設定を加えたことで、物語から壮大さがなくなってしまったと思います。
それでも最高のアイデアが詰まっていた
ストーリーとしては物足りなさを感じた『ドクター・ストレンジ2/マルチバース・オブ・マッドネス』ですが、ストレンジが別次元を移動しまくって、顔がサイコロステーキになったり、体がペンキ状になったり、最後はゾンビ千手観音になったり、素晴らしいアイデアが詰め込まれていました。
サム・ライミ監督の解釈としてはマルチバース=なんでもあり!なのでしょう。
別次元のストレンジの屋敷では海の上に階段がかかっていたり、プロフェッサーがウィッチの頭の中に入ってワンダを助けようとするシーンでは瓦礫の中にテレビがあったり、ところどころシュールレアリスム芸術っぽかったのも素敵。
なんだかんだサム・ライミが起用されたのは、マーベルが作品が飽きられないように、他ジャンルとの融合を模索しているのでしょう。
たとえば“ちょっとホラーっぽいヒーロー映画”だと、既存ファンは結局いつもと同じだと飽きてしまう可能性がありますし、ホラーファンはそもそも見ません。
もっと発想を大胆にして登場キャラがヒーローのホラー映画ならどうでしょう?より幅広い客層を満足させられそうです。
サム・ライミ監督はヒーローが出ているホラー映画がどうなるかの実験に成功したのだと思います。
この路線で従来のマーベルヒーロー映画の概念をぶち壊して、新たなステージに導いてほしいです!
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