邦画『ミッシング』ネタバレ感想「精神的に辛すぎるラスト結末、犯人は…」石原さとみ主演2024映画の評価

  • 2024年5月18日

邦画『ミッシング』6歳の娘がある日とつぜん行方不明に…世間にバッシングされても決してあきらめない母親の物語。

シネマグ
石原さとみが娘を誘拐されて精神がボロボロになる母親を体当たりで演じる。ストーリーラスト結末や、正直な感想をぶっちゃけます

あらすじ・ネタバレなしの感想

物語ネタバレ・ラスト結末解説

観賞後の正直な感想・評価(ネタバレあり)

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビュー!

(前半はネタバレなし、後半はネタバレあり。お好きな項目からどうぞ)

映画『ミッシング』作品情報・石原さとみ主演

公開:2024年5月17日
制作国:日本
上映時間:1時間59分
ジャンル:ヒューマンドラマ
年齢制限:G制限なし
監督:田恵輔(「空白」)
脚本:田恵輔
原作:原作なし、映画オリジナル脚本
音楽:世武裕子
キャスト
石原さとみ(実写『進撃の巨人』)
青木崇高(『ゴジラ-1.0』)
中村倫也(『仮面ライダーBLACK SUN』)
森優作
小野花梨
小松和重
細川岳
カトウシンスケ
山本直寛

邦画『ミッシング』あらすじ(2024)

静岡県の港町。

石原さとみと青木崇高

沙織里(石原さとみ)と夫の(青木崇高)は街頭で必死にビラを配る。娘の美羽が3カ月前に行方不明になり、その情報提供を求めるビラである。

そんな沙織里と豊を取材する記者の砂田(中村倫也)。事件直後は話題になったが、今は砂田くらいしか真摯に放送しようとする記者はいない。

沙織里に向かって、「両親が犯人だ」「両親はクズだ」などの誹謗中傷が送られてくる。沙織里が事件当日に美羽を弟の圭吾にあずけ、アイドルのライブに行っていたからだ。

豊は気にするなと言うが、沙織里はSNSを見て怒りをため込んでいった。

砂田は、沙織里の弟・圭吾(森優作)に取材をする。彼が最後に美羽といた人物だ。

圭吾は過去に問題を起こしたコミュ障であり、受け答えにも不審なところがあった。
新人記者の三谷(小野花梨)は「絶対に圭吾が犯人だ」と話す。
砂田はそうやって決めつけることが偏向報道につながるとさとすのだった。

時間はたつが手がかりはなく情報提供はデマしかない。沙織里の心は少しずつ壊れていく…。

ネタバレなし感想・海外評価

映画ミッシングのポスター

まず間違えないで欲しいのが、サスペンスやミステリーではありません。

シネマグ
娘の失踪が中心にあり、肉親や周囲の人間たちの心情を生々しく表現する渋いヒューマンドラマです。

ストーリーにエンタメ性はゼロ。しかし演技や演出のクオリティは高く、シリアスな人間模様に心をしばかれます

行方不明のリアルや報道の倫理に興味がある人にはオススメ! 見る人を選ぶ作品です。

おすすめ度 75%
世界観 88%
ストーリー 80点

※以下、日本映画『ミッシング』(2024)のストーリーネタバレありなので注意してください!

邦画『ミッシング』ネタバレあらすじ解説(2024)

砂田と三谷は圭吾にインタビューをする。圭吾は「事件当日に美羽を家まで送らず、すぐにアパートに戻った」としどろもどろに証言。
圭吾は少し前に、「怪しい白いバンを見た」という警察への証言を勘違いだったと撤回していた。

インタビューが放送されたことで、圭吾は車が壊されるなどのイヤがらせを受けるように。

沙織里は「美羽ちゃんらしき人を見た」とメールを受け、その人に会うために豊と一緒に愛知県の蒲郡市まで行く。
しかしアカウントは消えており、その人は現れない。沙織里はホテルで泣き叫ぶ。豊は外でタバコを吸いながら涙を流した。

有力な情報提供がないまま時間だけが過ぎる。沙織里は「何か情報は来てないの!?」と記者の砂田を責める。
局には明らかにデマだろうという情報しか入っていなかった。それを沙織里に伝えるわけにもいかない。

沙織里は近所のタンカン農園のパートに復帰。心に余裕がなく新人に冷たく接する。

砂田は沙織里と豊にロングインタビューを撮ることになった。娘が不在のなかで7歳の誕生日の動画を前撮りすることになる。豊は「そこまで必要なのか?」と言ったが、沙織里は「美羽のためならなんでもする」と言った。

TV局の調べで、美羽の失踪当日に圭吾が夜遅く車で帰宅するのが目撃される。すぐ家に戻ったという彼の証言はウソだった。

砂田が沙織里に連絡し、沙織里が圭吾を公園まで引っ張って連れてくる。

圭吾はインタビューで砂田に詰められ、「事件当日に違法賭博の店に行っていた」と証言。それを隠すためのウソだった。

砂田は圭吾の賭博について「沙織里さんもまだ知らない情報だから放送したくない」というが、上層部の意向で放送される。

圭吾はその件で会社をクビになった。同僚が圭吾を居酒屋に誘い、違法賭博に誘ったことを謝った

ラスト結末

近隣で美羽と同じくらいの少女が行方不明になる事件が起きた。
沙織里は同一犯かもしれないと思い、その少女のビラに美羽の情報ものせて配った。

数日して誘拐事件でなく母親の元恋人が家に連れ帰っていただけと判明。
沙織里は見つかってよかった安心感と美羽だけが見つからない苦しみで泣き崩れる…

2年後。沙織里と豊はまだビラを配っている。

圭吾は美羽に似た少女を見つけ、監禁されているかもしれないと思って家をのぞき、警察に捕まってしまった。

沙織里が警察署に行く。
警察の人が圭吾から事情聴取した内容によると、圭吾は違法賭博がバレたくないために白いバンを見たと話したが、子供の頃に知らない男性に白いバンに乗せられて怖い思いをしたことがあるらしい。

圭吾は沙織里に、「あの日美羽を送らなくてごめん」と謝る。沙織里は泣き、2人は和解した

沙織里は小学生の登下校見守りのボランティアを始める。
美羽は見つかっていない。
しかし小学生の少女を見ていると娘はそばにいるようで、前向きな気持ちになれた

映画『ミッシング』終わり

映画『ミッシング』ネタバレ感想・考察(2024)

辛すぎるヒューマンドラマ、犯人は…

2024年の邦画『ミッシング』の評価は85点。

母・沙織里(石原さとみ)の心が崩壊していく過程をマジマジと見せつけられる非常に辛い2時間でした。

淡いブラックホールに吸い込まれるような物語。

最後には沙織里や夫の豊、弟の圭吾たちの立ち直りも見え感動もありますが、真相はまったくわからないまま娘の美羽は見つからず終幕です。

シネマグ
犯人は最後まで見つかりません。絶望の過程と、そこからかすかに見える光を描いたすばらしい作品でしたね。
感想を語る犬
ただ娘が見つからないラスト結末ふくめ、鑑賞後の精神的なダメージは相当でした。現実にありそうな内容で胸が苦しいです。

娘の美羽が失踪してから数カ月、世間の反応は薄くなり有力な情報は集まりません。序盤からすでに状況は絶望的。

後半で「美羽が見つかった!」と電話を受けて警察に駆け込み、いたずら電話だとわかって絶望してお○らしする石原さとみ。ここまで攻めた石原さとみさんの演技は初めて見ました

沙織里(石原さとみ)はヨレヨレの服を2年後も着ています。娘が失踪してから時間が止まってしまったことを表現しているのでしょう。ディティールからもたくさんのことが伝わってきました。

豊は妻の沙織里とホテルで口論になり、外でタバコを吸いながら、やってきた人にライターを貸すところでこらえきれずに涙を浮かべます。この演出も神がかっていると思いました。

ローカルTV局の砂田だけが真摯に放送しようとつとめますが、上司の決定で沙織里の弟・圭吾が美羽を家まで送らなかった理由は違法賭博をしていたから…と放送し、炎上します。

圭吾もかわいそすぎでした。彼も悲しんでいるのに姉の沙織里に責められ、職場をクビになり、窓に石を投げつけられます。

すぐにパニックになり言動のすべてが空回りする圭吾を森優作さんが完璧に演じていました。

シネマグ
沙織里が圭吾を責める構図は、世間がSNSをバッシングする構図と同じなのです。皮肉ですね。

バッシングに関して鋭い問題提起がなされています。

演技も演出もテーマも、映画としてのクオリティは非常に高いと思います。

強いていうならストーリーに起伏がないのが難点な気もしますが、コンセプト的に仕方ないですね。
いろんな話を盛り込むリアリティやテーマ性が損なわれてしまいますから。

後味が悪かったりモヤっとしたりする部分がありますが、そういう部分こそ行方不明事件や報道のリアルです。

しかしそのリアルは物語性が欠けるので目にすることは少ない…本作が1番伝えたかったことでしょう。

シネマグ
子供の行方不明で残された家族のリアル、そして報道やSNSの倫理問題を鋭い角度でえぐった秀作でした。

ドキュメンタリーの内側へ

行方不明になった子供の家族だけでなく、中村倫也さん演じる砂田や新人の三谷(小野花梨)ら報道にたずさわる人物の心の動きもヴィヴィッドにとらえられていました。

ドキュメンタリーを撮られる側だけでなく撮る側にも感情移入することができ、鑑賞者がドキュメンタリーの内側にほうりこまれるようなつくりがとても興味深かったです。

母・沙織里は「しょせん娘を見つけたい温度が違う!」と記者の砂田を責めます。

砂田は「何か進展がないと放送しても視聴率がとれない」と上司に言われ、コミュ障の圭吾を取材しますが、結局なんの罪もない圭吾を追い込むことになってしまいました。

ドキュメンタリーは真実をもとにしているとはいえ、ストーリー仕立てになっていないと誰も興味を持ってくれません。

母・沙織里も記者の砂田も、だんだんとTV映りを意識するようになり、娘・美羽の誕生日を前撮りしたりします。
果たして“前撮り”は真実でしょうか?
TV的な演出が入りこみ、双方の純粋な想いがだんだんとねじ曲がっているような怖さが感じ取れます。
問題提起の仕方が本当に秀逸ですね。

実際のドキュメンタリーでも、こういった微妙な演出は避けられません。

そもそも編集次第でストーリーを作り替えることもできますからね。

映画『ミッシング』では非常に微妙な放送倫理の問題が浮き彫りになっており、学ぶことが多い作品でした。

SNSの問題点!

娘が行方不明になって悲しみに暮れる母親にさえ最悪なコメントが飛んでくるSNS。

最近は訴えるケースも増えているらしいですが、調べてみると個人だと慰謝料はせいぜい数十万円。犯罪歴なしなら執行猶予がつくので刑務所にいれることはほぼ無理なよう。

映画では豊が裁判所に訴えて悪質なコメントを書き込んだ男が逮捕・送検されたっぽかったですが、普通は悪質なコメントだけで逮捕されることはほとんどないそうです。書き込む人が1人ではない場合は対策が難しいですね。

私もブログ書いていると結構ひどいコメントが来たりしますが、相手の年齢も身分もわからないので相手にしないようにしています。

もしかしたら子供かもしれませんし、怒ってコメント返ししてもしょうがないです。

ネットやSNSにはやられ損的な面があります。名前が少しでも広まってしまえば見知らぬ人から悪口を言われても何もできないのです。

映画『ミッシング』から、何かを書き込むとだれかが傷つくことになると伝わってきました。

最後のまとめ

石原さとみ主演の邦画『ミッシング』は、登場人物の演技、演出、リアルな行方不明、放送倫理への問題提起が絶妙なバランスで交錯した完成度の高い作品でした。

シネマグ
エンタメ性はほぼゼロなので鑑賞後に「楽しかった!」という感想はいっさいありませんでしたが、最後には一筋の光を感じることができました。
感想を語る犬
石原さとみさんの体当たりの演技もすごかったですね。髪の毛までボサボサで、くしゃくしゃのTシャツを着て、役作りも完璧でした。

レビュー終わり!

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