邦画『ミッシング』ネタバレ感想「精神的に辛すぎるラスト結末、犯人は…」石原さとみ主演2024映画の評価

  • 2024年10月4日

邦画『ミッシング』6歳の娘がある日とつぜん行方不明に…世間にバッシングされても決してあきらめない母親の物語。

シネマグ
石原さとみが娘を誘拐されて精神がボロボロになる母親を体当たりで演じる。ストーリーラスト結末や、正直な感想をぶっちゃけます

あらすじ・ネタバレなしの感想

物語ネタバレ・ラスト結末解説

観賞後の正直な感想・評価(ネタバレあり)

これらの情報を知りたい人向けにわかりやすくレビュー!

ネタバレ少なめの感想はコチラ

(前半はネタバレなし、後半はネタバレあり。お好きな項目からどうぞ)

※以下、日本映画『ミッシング』(2024)のストーリーネタバレありなので注意してください!

邦画『ミッシング』ネタバレラスト結末・解説

砂田と三谷は圭吾にインタビューをする。圭吾は「事件当日に美羽を家まで送らず、すぐにアパートに戻った」としどろもどろに証言。
圭吾は少し前に、「怪しい白いバンを見た」という警察への証言を勘違いだったと撤回していた。

インタビューが放送されたことで、圭吾は車が壊されるなどのイヤがらせを受けるように。

沙織里は「美羽ちゃんらしき人を見た」とメールを受け、その人に会うために豊と一緒に愛知県の蒲郡市まで行く。
しかしアカウントは消えており、その人は現れない。沙織里はホテルで泣き叫ぶ。豊は外でタバコを吸いながら涙を流した。

有力な情報提供がないまま時間だけが過ぎる。沙織里は「何か情報は来てないの!?」と記者の砂田を責める。
局には明らかにデマだろうという情報しか入っていなかった。それを沙織里に伝えるわけにもいかない。

沙織里は近所のタンカン農園のパートに復帰。心に余裕がなく新人に冷たく接する。

砂田は沙織里と豊にロングインタビューを撮ることになった。娘が不在のなかで7歳の誕生日の動画を前撮りすることになる。豊は「そこまで必要なのか?」と言ったが、沙織里は「美羽のためならなんでもする」と言った。

TV局の調べで、美羽の失踪当日に圭吾が夜遅く車で帰宅するのが目撃される。すぐ家に戻ったという彼の証言はウソだった。

砂田が沙織里に連絡し、沙織里が圭吾を公園まで引っ張って連れてくる。

圭吾はインタビューで砂田に詰められ、「事件当日に違法賭博の店に行っていた」と証言。それを隠すためのウソだった。

砂田は圭吾の賭博について「沙織里さんもまだ知らない情報だから放送したくない」というが、上層部の意向で放送される。

圭吾はその件で会社をクビになった。同僚が圭吾を居酒屋に誘い、違法賭博に誘ったことを謝った

ラスト結末

近隣で美羽と同じくらいの少女が行方不明になる事件が起きた。
沙織里は同一犯かもしれないと思い、その少女のビラに美羽の情報ものせて配った。

数日して誘拐事件でなく母親の元恋人が家に連れ帰っていただけと判明。
沙織里は見つかってよかった安心感と美羽だけが見つからない苦しみで泣き崩れる…

2年後。沙織里と豊はまだビラを配っている。

圭吾は美羽に似た少女を見つけ、監禁されているかもしれないと思って家をのぞき、警察に捕まってしまった。

沙織里が警察署に行く。
警察の人が圭吾から事情聴取した内容によると、圭吾は違法賭博がバレたくないために白いバンを見たと話したが、子供の頃に知らない男性に白いバンに乗せられて怖い思いをしたことがあるらしい。

圭吾は沙織里に、「あの日美羽を送らなくてごめん」と謝る。沙織里は泣き、2人は和解した

沙織里は小学生の登下校見守りのボランティアを始める。
美羽は見つかっていない。
しかし小学生の少女を見ていると娘はそばにいるようで、前向きな気持ちになれた

映画『ミッシング』終わり

映画『ミッシング』考察

犯人は圭吾?

2024年の邦画『ミッシング』の評価は85点。

母・沙織里(石原さとみ)の心が崩壊していく過程をマジマジと見せつけられる非常に辛い2時間でした。

淡いブラックホールに吸い込まれるような物語。

最後には沙織里や夫の豊、弟の圭吾たちの立ち直りも見え感動もありますが、真相はまったくわからないまま娘の美羽は見つからず終幕です。

シネマグ
犯人は最後まで見つかりません。絶望の過程と、そこからかすかに見える光を描いたすばらしい作品でしたね。
感想を語る犬
ただ娘が見つからないラスト結末ふくめ、鑑賞後の精神的なダメージは相当でした。現実にありそうな内容で胸が苦しいです。

2024年邦画だと『あんのこと』並みの絶望が感じられましたが、ラストに一縷の希望が見えるのが救い。

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映画『あんのこと』

娘の美羽が失踪してから数カ月、世間の反応は薄くなり有力な情報は集まりません。序盤からすでに状況は絶望的です。

後半で「美羽が見つかった!」と電話を受けて警察に駆け込み、いたずら電話だとわかって絶望してお○らしする石原さとみ。ここまで攻めた石原さとみさんの演技は初めて見ました

沙織里(石原さとみ)はヨレヨレの服を2年後も着ています。娘が失踪してから時間が止まってしまったことを表現しているのでしょう。ディティールからもたくさんのことが伝わってきました。

豊は妻の沙織里とホテルで口論になり、外でタバコを吸いながら、やってきた人にライターを貸すところでこらえきれずに涙を浮かべます。この演出も神がかっていると思いました。

石原さとみさんも出演していた『ラストマイル』みたいなエンタメ作ではないですが、喪失を正面から受け止めた稀有な作品でした。

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『ラストマイル』

ローカルTV局の砂田だけが真摯に放送しようとつとめますが、上司の決定で沙織里の弟・圭吾が美羽を家まで送らなかった理由は違法賭博をしていたから…と放送し、炎上します。

圭吾もかわいそすぎでした。彼も悲しんでいるのに姉の沙織里に責められ、職場をクビになり、窓に石を投げつけられます。

すぐにパニックになり言動のすべてが空回りする圭吾を森優作さんが完璧に演じていました。

シネマグ
沙織里が圭吾を責める構図は、世間がSNSをバッシングする構図と同じなのです。皮肉ですね。

親である沙織里と豊だけでなく、沙織里の弟・圭吾も美羽の喪失に心をいためていたとわかる過程が興味深いです。

私も鑑賞しながらひょっとして圭吾が犯人?と思ってしまいましたが、その考えは勝手にいろいろ想像してSNSで沙織里を誹謗中傷する人々と変わらないですね。バッシングに関して鋭い問題提起がなされています。

ストーリーからして圭吾は犯人ではなく、犯人がわからないことがこの映画の最大のポイントです

後味が悪かったりモヤっとしたりする部分がありますが、そういう部分こそ行方不明事件や報道のリアルです。

しかしそのリアルは物語性が欠けるので目にすることは少ない…本作が1番伝えたかったことでしょう。

シネマグ
子供の行方不明で残された家族のリアル、そして報道やSNSの倫理問題を鋭い角度でえぐった秀作でした。

次のページではドキュメンタリーの内側へ入っていくような本作の特異な構造について解説していく↓↓