Netflix映画『目指せメタルロード』(Metal Lords)は、メタルの名曲がハイスクールで鳴り響く、メタル好き必見の一本。3人の学生がギター・ドラム、そしてチェロで心を通わせていきます。
まさにメタル民の、メタル民による、メタル民のための映画です!
作品情報・キャスト、ぶっちゃけ感想・評価、楽曲と場面解説、ライブシーン考察を知りたい人向けに記事をわかりやすくまとめました。
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです。お好きな項目からどうぞ)
Netflix映画『目指せメタルロード』作品情報・キャスト
原題:『Metal Lords』
ジャンル:メタル青春ドラマ・ティーン
監督:ピーター・ソレット
脚本:D・B・ワイス
出演:ジェイデン・マーテル、エイドリアン・グリーンスミス、アイシス・ヘインズワース
HBOドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』の脚本家・プロデューサーであるD・B・ワイスが脚本を務めており、ストーリーはシンプルながらハッと息を呑むような展開があります。
主人公・ケビン役を演じたジェイデン・マーテルは『ナイブズ・アウト』『ITイット それが見えたら、終わり』への出演で有名です。同じくNetflixオリジナルの『ハリガン氏の電話』(2022)でも主演!
ちなみに有名バンド レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンのギタリストであるトム・モレロがミュージックプロデューサーとして参加しています。
映画『目指せメタルロード』ネタバレなし感想・あらすじ・見どころ・海外評価
©︎Netflix
あらすじ:親友のハンターにメタルバンドを組もうと誘われたマーチング部のケビン。マーチングの練習中に顧問にブチ切れてクラリネットを投げた不思議な少女エミリーがチェロを弾けると知り、彼女をメンバーに入れようとしますが…。
海外サイトの評価も比較的高いです。バンドを組んだ経験が1回でもあるかないかで評価が大分変わる作品だと思いました。個人的にはかなりオススメ!
ティーンエージャーだけでなく大人が見ても十分楽しめます。
ちなみに映画タイトルの『メタルロード』は英語でMetal Lordで、道ではなくメタルの君主・支配者のような意味になります。
おすすめ度 | 85% |
メタル度 | 95% |
ストーリー | 80% |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.7(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト) | 批評家63% 一般79% |
※以下、Netflix映画『目指せメタルロード』のストーリーネタバレありなので注意してください!
映画『目指せメタルロード』ネタバレ感想・評価
©︎Netflix
バンドで最高の演奏をしたい初期衝動と、かけがえのない青春の掛け算のようなメタル映画でした。
劇中で使用される楽曲はハードロックやメタルの超有名曲で、老若男女ヘドバン間違いなしのツボを抑えた選出になっています。
ひ弱でメタルがそれほど好きでもなかったケビンが、立派なメタルドラマーになる過程は、成長譚として綺麗でした。
その一方で、ギターのハンターは数年前に母親が家出しており、医者の父は現在いろんな女性と遊んでいます。ハンターはその葛藤をメタルにぶつけています。
ヒロインのエミリーはセロトニン不足で切れやすくときに暴力的になり、それを克服しようと葛藤しています。
それらの歪んだ青春・若さゆえの強迫観念がラストのバンドバトルで、メタルサウンドに昇華されるのです。
メタルは怒りや社会への反逆の感情を孕んでおり、メタルというジャンル自体が現代では疎まれ、孤立状態です。
そんなメタルに3人の高校生が寄り添い救いを求める。のけ者達が寄り添い合うコンセプトが美しいですね。
高校生たちが孤独な音楽と手を取り合い、居場所はここだと叫んでいます。
個人的にはハンターがソロ中に涙を浮かべながら宙に浮いていくシーンに超感動しました。誰にも認められなかった彼が、自分の存在をぶち破って突き抜けた瞬間でしょう。
欲を言えば、全体的に少しあっさりしすぎというか、3人の高校生の美しい成長もボーッと見てしまうとしっかり伝わってこないような面があり、それぞれのシーンがもう少し印象深ければ傑作になっていたと思います。
なんか薄味なんですよね。全体として映像が小綺麗にまとまり過ぎているせいもあるのでしょうか。
ケビンがプールで美人に迫られているときに、アンスラックスのスコット・イアン、メタリカのカーク・ハメット、レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンのトム・モレロ、ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォードといったロック・メタル界の超スーパースターが登場する音楽ファン必見のシーンがあります。
ここでも、ケビンに悪さをしろともっと強く促すとか、お互いに激しい喧嘩を始めるとか、よりメタルらしいパンチのあるシーンに出来たと思いました。少しもったいないです。
ネタバレ解説:映画の楽曲と演出
まず、メタルの開祖と言われるバンド、ブラック・サバス(Black Sabbath)の「War Pigs」のチェロバージョンがめっちゃかっこよかったですね。
他にも、ジューダス・プリーストの「ペインキラー」をバックにカーチェイスするなど、楽曲とそれぞれのシーンは相性抜群でした。
ハンターが施設に入れられてから、ケビンはエミリーと楽しく過ごしているのですが、バックでガンズ・アンド・ローゼズの「シンス・アイ・ドント・ハヴ・ユー」が流れています。
エミリーという恋人とのデートという満たされたかのような状況の一方、ハンターがいなければ虚しい青春だと、心の対比構造が曲の歌詞でバッチリ説明されていて、この選曲も完璧だと思いました。
レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンのギタリスト、トム・モレロが音楽プロデューサーを務めていたので、選曲センスが抜群だったのかもしれません。
トム・モレロらが作曲した映画の主題歌『Machinery of Torment』も、リフや曲調はブラックサバス×メタリカで、サビのメロディはレイジ・アゲンスト・ザ・マシーンっぽくてなかなか面白いですね↓
メタルと青春の組み合わせが受けそうだから映画を作ったというより、メタルへの愛、リスペクトがビシビシ伝わってきたのが嬉しかったです。
ネタバレ考察:ラストのライブでの浮遊
本作で1番感動したのはラストのライブでハンターがソロを弾いているときにゾーンに入り、最高の瞬間を表現するために空中に浮いちゃう演出でした。
孤立はメタルらしい表現ではありますが、観客と一体になっているときにこの空中浮遊させるのは別のメッセージもあると感じました。
それが母親不在という心の傷の昇華です。
最高の音楽を表現できたという喜びと、心の傷から立ち直れた瞬間が重なり、素晴らしいシーンが誕生したのだと思います。
敢えてハンターを孤立させて映すことで、群衆に影響されずに自分を表現できる強さも浮き彫りになったと思います。
言葉だけで説明できない理性を超えた部分もあり、いろいろな意味でマジカルなライブシーンだったと思います。
最後のまとめ
映画『目指せメタルロード』は、メタル愛に包まれた、メッセージ性の強い青春学園モノだったといえるでしょう。
映画×音楽、この図式がしっかり成り立っていました。心の声を音楽と映像で表現できるというのは強いですね。本作の制作陣で他の青春映画も撮ってほしいです!
ここまで読んでいただきありがとうございます。Netflix『目指せメタルロード』レビュー終わり!
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