Netflix『完璧な家族になる方法』(The Guide to the Perfect Family)は 教育、親の期待、ドラッグ、育児ノイローゼ、健康志向など様々な社会問題をリアルに提示したカナダ映画。
現代の親子関係やさまざまなトラブルをどう乗り越えていくのか!?
見どころ、ネタバレあらすじ解説、ぶっちゃけ感想・評価、社会問題考察をまとめてみましたー!
Netflix映画『完璧な家族になる方法』キャスト・見どころ
スタッフ・キャスト
公開・制作国:2021年7月14日 Netflix カナダ
監督:リカルド・トロジ
脚本:ルイ・モリセット
主演:ルイ・モリセット/父マルタン役
出演:エミリー・ビエール/娘ローズ役
監督リカルド・トロジと主演のルイ・モリセットは映画『ミラージュ』でもタッグを組んでいます。
本作の見どころ
カナダのケベックが舞台で、フランス語の映画です。
完璧を求める父・マルタンとそれを重圧に感じる娘・ローズを軸に、世代間や教育、SNSなど現代社会の問題を浮き彫りにしていきます。
Netflixのジャンルにはヒューマンドラマ、コメディと書いてありましたが、映画『ファザーフッド』のような笑いを前面に押したものではなく、社会派という方が近いです。
Netflixドラマ『ザ・チェア私は学科長』からもっと笑えるシーンを排除したような印象で、正直エンタメ性を求める人には向きません。
ただ、リアリティがあるので教育・親と子供の問題などが興味がある人は見て損はないでしょう。
子育てに悩んでいる人も、映画で家族の問題を客観的に見ることで解決のヒントになると思います。
『完璧な家族になる方法』感想・評価レビュー
映画『完璧な家族になる方法』の評価は73点。
親子関係や教育の問題をリアルに描く一方、子供たちの成長こそかけがえのないものという映像的なメッセージもあり、そのコントラストが美しかったです。
子供に勉強やスポーツを押し付ける父・マルタンはわかりやすいダメ親でしたが、
そんな親を持ち苦しんでいるローズのような子供は、カナダ、アメリカ、日本はもちろん世界中にいるのではないでしょうか?
そしてほとんどの場合、親たちもどうしていいか分からず苦しんでいるのです。
親子関係に特定の答えはないですが、『完璧な家族になる方法』を見れば少し答えに近づけると思います。
最近だとポーランド映画『プライムタイム』みたいな反面教師系の作品ですね。
そんな社会派として優れたコンセプトのある一方、ストーリー的な面白さはあまりありませんでした。
エンタメを求める人はつまらないと感じてしまったのではないでしょうか。
ママの魔法の杖
一番笑えたのが妻マリーのバイブを見た息子に、マルタンが「ママの魔法の杖」と説明したシーン。
バイブをママの魔法の杖と例えるとはセンス抜群ですね!
これくらい破壊力のあるギャグシーンをもっと入れても良かった気もします。
映画からカナダの社会問題を考察
親の期待とは
教育、親の期待、ドラッグ、育児ノイローゼ、健康志向、ADHD、離婚、使えないミレニアル世代、SNS映えのための休日などなど、
映画『完璧な家族になる方法』は、現実の社会問題のオンパレード!
教育や親の期待は日本でもカナダでも同じかもしれませんね。
ほとんどの場合、勉強をしっかりやっていい大学へ行ったほうが、選択肢が広がってより良い人生になる可能性が高いかもですが、適性がなければ期待に潰されてしまいます。
親たちは、子供の頑張りをたいしたことないと捉えてしまうかもしれませんが、子供からしてみれば学校などの狭い世界が全て。
ローズのように追い詰められてしまうこともあるでしょう。
かといって放任主義にするわけにもいかないですし、答えのない難しい問題ですね。
ミレニアル世代
ミレニアル世代は2000年代以降に成人した人々を指し、ジェネレーションYと同義です。
物質的な豊かさよりも精神的な豊かさに重きを置くのが特徴。
マルタンは物質主義や仕事頑張りすぎに反論するミレニアル世代の部下ピエール・リュックに手を焼いていました。
『完璧な家族になる方法』に出てきた中でも現代的な問題ですね。
ネットやSNSに触れながら成長した世代と、その前の世代で考え方が違うのは当たり前ですが、お互い根っこの部分の考え方が違うので、話も通じず説得も難しそう。
映画の中では、部下のリュックが使えないみたいなまとめ方でしたが、実際はどちらの考え方が優れているということはありません。
ミレニアル世代の方がうまくいく場合もあるでしょう。
ネットが発明される以前は、このような世代間差が少なかったのでしょうか?気になりますねー。
『完璧な家族になる方法』は、いろんな問題を考える機会をくれました。
ドラック問題
ティーンのドラッグ使用はカナダだけでなく、以前から世界的に問題になっています。
日本にいるとわかりにくいですが、例えば大麻であればカナダでは日本で飲酒するくらいの感覚で吸っている人も多いです。
麻薬だけでなく、海外では睡眠薬などを常用している人が多いのも問題だと感じました。
本作のようにローズみたいな学生が勢いで親の薬を飲んでしまうこともあるからです。
『完璧な家族になる方法』ネタバレあらすじ解説
カナダのケベック州に住むある一家の物語。
保険会社に勤めるマルタン・デュボアは勝ち気な性格で、高校2年生の娘・ローズに医学部進学やホッケーの奨学金獲得などを期待していました。
ローズは元妻キャロリンとの子供です。今は現妻マリーと、彼女との息子マティス、そしてローズの4人で暮らしています。
会社では若い部下ピエール・リュックのやる気のなさに振り回され、大型契約を逃して昇進の機会を失ってしまいます…。
一方、ローズは父・マルタンの期待をプレッシャーに感じ、定期テストの過去問を不正入手して試験に臨んだことやドラック使用がバレて停学になります。
ローズはホッケー、ダンス、勉強と疲れて軽いうつ状態だと診断されました。
マルタンは田舎の父の家にローズを連れていき、ボートを漕いで遊びます。しかしローズは頑張れと上から目線で励ましてくるマルタンに反発し、湖に飛び込みました。
マルタンたちが家に帰ると、今度はマリーから育児ノイローゼだと言われます。
ローズを元妻・キャロリンのところで数日過ごさせることに。
しかしローズはダンサーで恋愛に奔放なキャロリンについていけず、学期末テストで落第したこともあって、勢いで薬をたくさん飲み自殺を図ります。
翌日、ローズは病院で一命を取り留めマルタンに謝りました。
マルタンは「悪いのはパパだ」と言って抱きしめます。
後日、マルタンは親たちの会議に参加し、好き勝手な意見ばかり並べる親たちを見てバカバカしくなりその場を去りました。
癇癪を起こしてばかりだった息子マティスが、他の男の子の隣でブランコで遊び始めたのを見て、成長を噛み締めます。
Netflix映画『完璧な家族になる方法』終わり!
まとめ
『完璧な家族になる方法』は、カナダのみならず世界的な社会問題を提示して考えさせてくれた映画でした。
(その分考察もなんか固くなってしまいましたが…)
個人的にはもうちょっとコメディより、もしくはストーリーにひねりがあった方が良かったと思いますが、家族のリアルを生々しく突きつけられたという点では見る価値ありでしょう。
Netflix『完璧な家族になる方法』レビュー終わり。
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