韓国のイカゲームが流行っているので、元ネタと言われているカイジの映画版シリーズを3作見直してみました。
改めて視聴してみると、原作漫画の設定をそのまま映画でやってしまっているので、シリアスなデスゲームというよりギャグ・コメディに近いと感じました。
実写映画シリーズ3作『カイジ1人生逆転ゲーム(2009)』、『カイジ2人生奪還ゲーム(2011)』『カイジ3ファイナルゲーム(2020)』の順番で感想をぶっちゃけてみました。
ネタ的にちょっと面白おかしくツッコんでいきたいと思います。
映画『カイジ1 人生逆転ゲーム』ネタバレ感想・酷評
作品情報・キャスト
監督:佐藤東弥
脚本:大森美香
原作:福本伸行・マンガ『賭博黙示録カイジ』
主演:藤原竜也
出演:天海祐希/香川照之
ぶっちゃけ感想・酷評
強風が吹くビル合間の鉄骨渡りで、カイジとおっさん石田が叫びながら何やら感動的っぽいやり取りをします。
やめてください…大声を出したら揺れるので落ちる確率が段違いに上がりますし、他の挑戦者にもかなり迷惑です。
命を賭けているにも関わらずゲームクリアに100%注力していないのがとっても不思議ですね。カイジは落ちたら死ぬというルールに気づいていないのでしょうか?
あと個人的に藤原竜也さんの演技は嫌いではなくむしろ上手いと思いますが、表情が生死を分かつカードゲームなどで目をひんむいて叫ぶのには大きな違和感がありました(演出の問題ですね)。
まあさすがに無表情だと映画にならないのでしょうがないですが、ゲーム途中で叫んだりはどう考えてもやりすぎでしょう。
『カイジ人生逆転ゲーム』は、感情表現が激しすぎるせいでスリルやリアリティはなくなり、かといってそんなに笑えもしないという負のスパイラルに陥っていました。
おすすめ度 | 50点 |
ストーリー | 46点 |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.4(10点中) |
Rotten Tomatoes(海外レビューサイト | 59%(100%中) |
映画『カイジ2 人生奪回ゲーム』ネタバレ感想・評価
作品情報・キャスト
監督:佐藤東弥
脚本:福本伸行/山崎淳也/大口幸子
主演:藤原竜也
出演:伊勢谷友介/吉高由里子/生瀬勝久/香川照之
ぶっちゃけ感想・評価
個人的に、第1作は非常に出来が悪かったと感じましたが、第2作『カイジ人生逆転ゲーム』(2011)はうまく軌道修正していたと思います。
どのように修正したかというと、生瀬勝久にテンション高すぎるおっちゃん・坂崎を演じさせ全体的にがっつりコメディテイストにしたのです。
なので今作はリアリティラインの期待値が下がり、コメディとしてある程度楽しむことはできました。
Netflixでは、ヒューマンドラマ・サスペンスとジャンル分けされているのがまたシュール。完全コメディ・ギャグでしょう。
パチンコ「沼」の展開がアホすぎる
漫画ならまだしも実写でパチンコ「沼」の展開をそのままやってしまうと、論理崩壊すぎてスリルのかけらもありません。
まず、利根川がパチンコ「沼」を仕切る一条聖也のオフィスの上に穴を開ける展開が爆笑でした。一条やスタッフは利根川の顔知ってるし、ビルでコソコソしてたら絶対誰かに気づかれるでしょ!
「2年かかった(穴を開けるまで)」のセリフで爆笑してしまいました。この時間をもっと有意義に使えなかったのでしょうか。
そして、実写にして1番違和感を感じたのは、ビル全体を傾けるアイデア。
地盤沈下の上のビルに重さをかけ、狙い通り傾けるのは絶対に無理でしょう。計算できるはずがありません。
あとは生瀬勝久演じるおっさん坂崎がパチンコ「沼」のコピーを作り上げている展開も笑えました。
カイジたちはパチンコ台を傾斜させる作戦で支配人一条の不正を破ろうと執念を燃やしていましたが、そもそも「沼」を普通にプレイできたとしても勝つ可能性はまだ少ないはず。
そのへんの基本的な確率をはなから完全に無視して、一条の不正対策だけして人生逆転を賭けたゲームに臨むどうかと思いました。
そして支配人一条にしても、毎晩パチンコの釘を自分で打って調整するという…。部下に頼みづらかったのでしょうか(笑)。
最後らへんの玉詰まりも後出しというか、完全に運ですよね。丸い玉があの傾斜で詰まるかも物理的に疑問です。
日本人が見ればギャグとして楽しめるかもしれませんが、海外の人が映画『カイジ人生逆転ゲーム』を見てもクエスチョンマークだらけで意味不明な展開…になってしまうと思います(コメディジャンルに分類した方が良い気が…)。
個人的な評価 | 70点 |
ストーリー | 60点 |
IMDb(海外レビューサイト) | 6.2(10点中) |
映画『カイジ3 ファイナルゲーム』ネタバレ感想・評価
作品情報・キャスト
監督:佐藤東弥
脚本:福本伸行/徳永友一
主演:藤原竜也
出演:吉田鋼太郎/新田真剣佑/福士蒼汰/関水渚/瀬戸利樹
大まかな感想・評価
第2作のコメディ寄りの作風からまたシリアス路線に戻ってしまったのでリアリティラインの期待値が上がってしまい、お世辞でなければ面白いとは言えない作品に仕上がっていました。
まず日本の政治や権力のトップに食い込む黒崎や東郷ら権力者たちが、ノコノコとデスゲームに参加する時点で笑えました。
実質的に、国民を生かすか殺すかの選択をゲームに託しています。
吉田鋼太郎演じる派遣王の憎らしさがすごくてその演技には引き込まれましたが、それ以外にはあまり見どころがなかったです。
今作はシリーズの中でも特にですが、映画なら映像で見せて欲しい勝利の種明かしが、すべてカイジの語りで説明されちゃってるんですよね。
まあカイジの場合はゲームのルールが複雑なうえにイカサマ勝負なので補足説明がないと伝わらず、もともと映画向きではないのかもしれません。
盛り上がりに欠けた政治転覆
序盤からインフレと派遣などわりとリアリティのあるワードを出しつつも、終盤には首相や大臣たちが自ら遠足気分で新札を取りに行く展開が1番笑えました。
原作者・福本伸行が脚本を書いているので漫画的になるのはしょうがないですが、徳永友一さんも脚本で加わっているので修正は可能だったと思いますが、どうやら「Goサイン!」が出てしまったようですね。
敢えて厳しい言い方をするなら、カイジを元ネタにした『イカゲーム』など現在の韓国映画・ドラマであれば、絶対にこの脚本でOKは出ないと思います。
実写化するに当たって漫画と同じリアリティラインで「Goサイン!」が出てしまう現状に、日本の観客ってもしかして投資家たちに舐められている?と感じてしまいました。
大手レビューサイトIMDbの評価もファイナルが1番低いですね(10点中4.8)…。
個人的な評価 | 63点 |
ストーリー | 55点 |
IMDb(海外レビューサイト) | 4.8(10点中) |
最後のまとめ
カイジの実写映画化でまずい点を具体的に挙げると、
- 漫画と同じ設定を実写でやり切るリアリティのなさ
- カイジに全部語らせちゃう演出
- ジャンルがわからない
この辺だと思いました。
改めて漫画の実写化は難しいと感じました。
カイジ映画シリーズ3作のレビュー終わり。
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